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== 人型蒸気 == | == 人型蒸気 == |
2019年8月22日 (木) 02:37時点における版
霊子甲冑(りょうしかっちゅう)とは、『サクラ大戦』に登場する人型機動兵器群の総称。
概要
都市を襲う魔に対抗する為に、帝国華撃団に代表される各国の華撃団で運用されている決戦兵器。
蒸気と霊力を要する蒸気併用霊子機関を動力としている[1]。霊力を霊子水晶[2]で物理エネルギーへ変換する霊子機関が主であり、蒸気機関は副次的役割を果たす。起動には極めて高い霊力が求められ、それだけの霊力を有する者は殆どが若い女性の為、基本的に搭乗者には高い霊力を持つ若い女性・少女が選ばれる。装甲には一部を除いて「シルスウス鋼」と呼ばれる、外部からの霊力を遮断し、搭乗者の霊力の媒介となる特性を持つ金属が使用されている。但しこの装甲は霊的攻撃に対しては高い防御力を持つ反面通常兵器や物理的な攻撃に対する防御力はゼロに近く、このため霊子甲冑の使用は対霊的戦闘に限定されている。
操作系統は機体の腕部に搭乗者の腕を通し、中にあるグリップで機体の腕や武器を操作する接触型と呼ばれるものを採用している。これにより搭乗者の戦闘技能を機体に反映させる事が可能であり、搭乗者の実力が上がるに比例して機体の戦闘力も向上する。ただし、一見すると接触型と同じだが仕組みが異なる「非接触型」と呼ばれる別の操作系統が存在し、アイリスやコクリコのような小柄な隊員の機体にはこれを採用している。また、搭乗者が専用の戦闘服を着用し、両肩部に備え付けられたコネクタ[3]をコックピットのチューブと接続する事で、霊力をより効率的に機体に伝達する事が出来る[4]。
他にも、頭部と胴体が一体化した全高2m~4m前後のSD調の体型[5] 、レール上を移動するモノアイカメラ、3本爪のマニピュレーターといった特徴がある。各機種各隊員機毎に様々な特色があるが、霊子甲冑と名の付く兵器はこれらの特徴を兼ね備えているものが殆どである。
「人型蒸気」と呼ばれる蒸気を要する機動兵器がまず存在し、霊子甲冑はその発展形にあたる。その霊子甲冑をさらに発展させたものが、『新サクラ大戦』に登場する霊子戦闘機(りょうしせんとうき)である。この項目では、人型蒸気・霊子戦闘機についても併せて記載する。
歴史
ブードゥー教徒による呪殺(マクンバ)部隊を結成した南軍が圧倒的優勢を誇っていたアメリカ南北戦争。1863年7月、ペンシュルバニア州ゲティスバーグでマクンバを生き延びた唯一の生存者が発見される。その生存者とは蒸気トラクターに置き去りにされた赤ん坊であり、北軍はこれと同種の蒸気トラクターをかき集め呪殺部隊を打ち倒す。「ゲティスバーグの奇跡」と呼ばれたこの戦いの後、北軍は蒸気トラクターを徹底的に調査し、性能の悪い高炉でまれに精製される鉛と鉄の結晶が妖力を防ぐ特殊鋼になる事を突き止める。この特殊鋼が「シルスウス鋼」であり、北軍はこの蒸気トラクターを元に人型蒸気「スタア」を開発、形勢を逆転し戦争に勝利した。
南北戦争は最初の大規模な魔術戦争として、魔術の脅威とそれに対抗する人型蒸気の有用性を世界に知らしめた。1914年に勃発した欧州大戦では各国が多種多様な人型蒸気を戦線に投入、大規模な技術革新をもたらした末に日本の地で陸軍対降魔部隊の山崎真之介によって霊子甲冑へと発展した[6]。
1930年には帝都で降魔大戦が勃発。この戦いを切っ掛けに世界中に新たな華撃団が誕生、霊子甲冑はより高出力な霊子戦闘機へと発展した。機体との有線接続が不要になり、霊力変換効率が劇的に向上、搭乗者に求める霊力の要求も低くなった[7]ことから、各国で標準フォーマットとして採用されている。
人型蒸気
アメリカ
世界最初の人型蒸気製造国。欧州大戦に直接介入しない代わりに人型蒸気を連合国側に援助した。これにより莫大な利益を得るが、人型蒸気の研究開発に消極的だった事と歴史が浅い故に都市の霊的災害に見舞われなかった事により、超大国にして人型蒸気発祥の地でありながら霊子甲冑は勿論のこと、人型蒸気の分野においても他国に大きく後れを取る事になった。
- スタア
- モトロール社が開発した世界初の人型蒸気。蒸気トラクターが元になったにも関わらず、曲がりなりにも二足歩行を採用。ただし、数歩歩いただけで転倒・破損と性能は劣悪。南北戦争の勝敗を決定付けた機体だが、兵器としての完成度は決して高いとは言えず、多くの人型蒸気は技術が確立されるまで車輪駆動やキャタピラ駆動を採用する事になる。
- スタアII(スタア・改)
- スタアシリーズの1つ。スタアを改良し、二足歩行を廃して巨大な蒸気機関を本体後部に連結した機体。蒸気機関にスパイク式の金属タイヤが備え付けた車輪駆動を採用し、悪路や高低差に対応している。搭乗者は操縦士と砲撃士の2名。高い馬力と火力を誇るが、燃費が悪く故障も多かった。ドイツ製の人型蒸気には歯が立たず、数的優位を生かす戦い方が取られた。フランスにも輸入され「エトワール」(フランス語で「星」を意味する)という名前が付けられた。第2期OVA『轟華絢爛』にはラジオ電波による遠隔操縦式が登場、生身だったとは言え真宮寺さくらとマリア・タチバナを追い詰める活躍を見せた。
- スタアIID
- スタアシリーズの1つ。スタアIIの金属タイヤをキャタピラに換装した機体。フランス名は「エトワール・改」。欧州大戦後期に最大の生産数を誇った。武装は右腕の三連ガトリング砲と機体前面の機関銃。更に両肩に五連ロケット砲を搭載したスタアIIE、フランス製の75ミリ連射砲と合体したエトワール・カノン等の派生型も存在する。
- スタアIII、IV
- スタアシリーズの1つ。スタア以来の二足歩行を採用。搭乗者は1名。III型は未完成で使い物にならず、IV型は欧州大戦終戦間際の投入となり、遅れてきた名優と皮肉られる有様だった。武装は右腕の三連ガトリング砲。左腕に爆炸槍や爆薬索などを装備していた。
ドイツ
欧州大戦において人型蒸気の研究に最も積極的であり、性能においても他国製のものを上回った。霊能力者の研究を目的とした秘密機関「ブルーメンブラット」の存在もあって、後の霊子甲冑に近い、あるいはそれとほぼ同等の人型蒸気の開発も手掛けている。
- アイゼンゾルダートI
- スタアの基本設計を流用した機体。ゴムタイヤによる車輪駆動のを採用。搭乗者は操縦士と砲撃士2名の計3名。整地での移動力が高く欧州大戦初期は圧倒的な戦果を挙げたが、戦争後期で主戦場となる荒地や高低差、極端な温度差を苦手とする為、次第に後手に回っていった。機体名はドイツ語で「鉄の兵士」を意味する。
- アイゼンゾルダートII
- 欧州大戦において最高傑作と名高い機体。二足歩行を採用。搭乗者は1名。車輪やキャタピラでは対応しきれない起伏に富んだ地形で戦果を挙げ、後の人型蒸気開発の流れを決定付けた。また、腕が人間の物に非常に近い仕様であるため状況に応じて武装を容易に変更できる多用途戦術兵器でもあり、対人型蒸気用ライフルや連射砲などの重火器、大剣やランスといった白兵戦用武器、投擲武器や工作用武器といった多様な武器を駆使してドイツ製ならではの高性能との相乗効果であらゆる戦局に対応した。
- アイゼンリーゼI、II
- 戦線突破用重武装人型蒸気。二足歩行を採用。搭乗者は操縦士と砲撃士の2名。ドイツ語で「鉄の巨人」を意味する機体名の通り、アイゼンゾルダートIIの2倍以上の全高を誇る。全身から突き出た機関銃が放つ圧倒的火力と攻撃範囲、人型蒸気ライフルを弾く異様な厚さの装甲で移動トーチカと恐れられた。ただし機動性は劣悪であり、巨大な落とし穴が弱点となった。II型はこの弱点を克服すべく、機動性と地形突破能力を強化した試作機。
- アイゼンゾルダートβ
- ブルーメンブラットが開発を目指した世界初の霊子併用人型蒸気。二足歩行を採用。搭乗者は1名。後の霊子甲冑とほぼ同じコンセプトの機体だが、開発時の非人道的実験が暴露された結果、組織の解体と共に計画が中止され完成には至らなかった。
- アイゼンクライトI、II
- ノイギーア社が開発した霊子併用人型蒸気。二足歩行を採用。搭乗者は1名。アイゼンゾルダートβのデータを回収した賢人機関が開発に協力しており、欧州星組で試験運用された。I型は『熱き血潮に』で初めてその姿が描かれたが、後のアイゼンクライトIII型に酷似している。II型はパラレルとも呼ばれ、その名の通り2対のモノアイカメラが平行に移動する。機体名はドイツ語で「鉄のドレス」を意味する。
- アイゼンギガント
- 欧州大戦中にロシアが開発したT式34型と呼ばれる人型蒸気をドイツが鹵獲した機体。アイゼンリーゼを超える超重量級の巨体を支える為、蒸気浮遊推進式駆動(ホバー走行)を採用。武装は100ミリ砲とロケット弾。更に、搭乗者の操縦士と砲撃士とは別に霊能力者1名を使い捨ての回路として組み込む事で、他の人型蒸気と比べ一線を画す性能を誇る。戦争終結後まで表舞台に立つ事がなく、幻の霊子甲冑とまで呼ばれ、元がT式34型と判明するのにもかなりの年月を要していた。機体名はドイツ語で「鉄の大巨人」を意味する。
イギリス
- セイバー
- 名機と謳われたほどの高い信頼性と整備性を誇る機体。キャタピラ駆動を採用。生産台数は少ないが小柄な体格と、キャタピラならではの不整地における機動性が強み。搭乗者は1名が操縦士と砲撃士を兼任する。スタアIIDの開発に影響を与えた。A型は対人型蒸気用ライフルを装備し、逃げ足の速さからフィールドマウス(野鼠)と呼ばれた。B型は自在腕が機体上部に腕が付けられ、鉄条網破壊や機体回収を得意とする。武装はA型の装備に加え、副武装として軽機関銃が追加。C型は側面に両腕の付いた工作タイプで武装は機銃のみ。
- スピリット
- 「長槍」と呼ばれる銃剣つき対人型蒸気ライフルが特徴の機体。二足歩行を採用。搭乗者は1名。ポテンシャルと汎用性は高く、試作型のTypeAの他、B(量産型)、C(士官用)、D(砲撃型)、E(偵察型)、G(試作飛行船空挺型)、H(山岳型)、M(揚陸型)などの多彩なバリエーションがある。
フランス
- エトワールIII
- 欧州大戦末期に完成した純国産の軍用機。二足歩行を採用。搭乗者は1名。基本武装は右腕に固定された重機関銃の他、白兵戦用のサーベルや戦斧に盾、場合によっては二刀流も可能となっている。フランス兵の間では「ヌーベル・エトワール」という通り名で呼ばれた。
- カレーシュ
- 魔導士によるゲリラ攻撃から兵員を守る為に作られた一般的な輸送用の機体。キャタピラ駆動を採用。搭乗者は1名。機体名はフランス語で「幌馬車」を意味する。
日本
- 富士
- 神崎忠義が江戸幕府の重臣として渡米し法外な値段で買い付けたスタアを独自に研究[8]、同機の問題点を洗い出して開発した機体。奇しくも、スタア・改と同じく本体後部にタイヤを備えた巨大な蒸気機関を連結する構造だったが、稼働時間や機動力の問題から実用化には至らず、浅草花やしきのアトラクションとして払い下げられた。
- 天神
- 富士に続いて忠義が開発した機体。機関部を本体に組み込む構造だが、性能不足と試験時の事故の多発により採用は見送られた。
- 菖武
- 政府が極秘に欧州大戦時のフランスに持ち込んで実験に使用した機体。二足歩行を採用。搭乗者は1名。機体名は実験機に対する意気込みを表す「勝負」と、設計者の想い人の暗喩である「菖蒲」のダブルネーミングとなっている。
- テヂカラ(タヂカラ)
- 神崎重工が開発した土木作業用の人型蒸気。二足歩行を採用。搭乗者は1名。『轟華絢爛』に登場。タヂカラは小説版での表記。コックピットは剥き出しのオープントップ式、右腕と左腕にはそれぞれアームとハンマーが備え付けられている。
霊子甲冑
帝国華撃団
- 桜武(おうぶ)
- 神崎重工が開発した、便宜上における世界最初の霊子甲冑。子型霊子甲冑。第1期OVA『桜華絢爛』に登場。設計そのものは光武よりも後であり、光武を建造するだけのノウハウの蓄積と適任の搭乗者を探る為のテストタイプの機体。当初はテストパイロットとして屈強で優秀な軍人達を集めるも、誰も操縦どころか起動すらできなかったが、起動実験に居合わせた神崎重工の令嬢にして忠義の孫娘である神崎すみれの霊力に反応し、暴走。それを見た開発者達がすみれをテストパイロットとして起動実験を行った結果、容易く起動・操縦に成功。これにより、霊子甲冑の搭乗者は若い女性が適していると判明した。なお、以下の霊子甲冑はアイゼンクライトIIIと双武、スターシリーズとヤフキエルシリーズを除いて2対のモノアイカメラがレール上を平行に移動するタイプ。
- 三色スミレ
- 神崎重工が桜武に改良を施し開発した機体。丑型霊子甲冑。『桜華絢爛』に登場。桜武の起動実験以降、霊子甲冑開発協力者となったすみれの名に肖って名付けられた。白、黄、紫の3機が製造され、そのデータを元に光武の建造が本格的に開始された。桜武と同じくこの機体もあくまで実験機であり実戦投入される事は無かったが、漫画版では大破した光武の穴を埋める形で一時的に使用された。操作系統は光武と同じ接触型に見えるが実は異なるらしく、テストパイロットを務めたすみれですら久しぶりに乗った際には操作方法を忘れていた為に暴走を引き起こしている。
- 光武
- 山崎真之介が遺した設計図を元に、神崎重工が開発した初の軍用霊子甲冑。虎型霊子甲冑。『1』に登場。搭乗者第一の優れた思想に基づいて設計されており、搭乗者への負担が少なく安定性も高い。その後の霊子甲冑開発の基礎となった。本来は1915年に勃発した降魔戦争で現れた降魔に対抗する為に考案された兵器だったが、莫大な費用が掛かる為に当時は開発には至らなかった。1923年の黒之巣会の魔操機兵との戦いで大きな戦果を挙げるものの、翌年に本格的に復活した降魔には歯が立たず大破する。しかし、基礎設計と機体の完成度が突出して優れており、二度にわたる強化改造によって一線級の性能を発揮し続けた。『熱き血潮に』では後の光武二式に近いデザインで登場する。TV版では操作系統がコックピットにむき出しに設置された操作レバーを操る方式になっている他、脚部から蒸気を噴出するホバー移動を採用している。
- 神武(じんぶ)
- 山崎が遺した最後の設計図を元に、大破した光武に代わる形で神崎重工が開発した機体。卯型霊子甲冑。『1』に登場。霊子機関を2基直列で搭載し、出力は光武の約8倍を誇っている。この数値は、黒之巣会の葵叉丹が開発した自身専用の魔操機兵「神威」をも上回る。また、足底のキャタピラにより高速移動が可能。非常に高性能な機体だが光武に比べて搭乗者への負担と機体の維持費用が大きく、ある戦いで激しい損傷を負った末に光武・改と交代した。『熱き血潮に』では光武二式に近いデザインとなった光武の流れを汲み、アイリス機と紅蘭機が二足歩行を廃してそれぞれ霊力による浮遊とキャタピラ駆動を採用する等、隊員の特性に合わせたチューンナップが機体の原型を留めないレベルで図られている。漫画版では作者の独自の解釈により、かなり大きな設定の追加が行われている。
- 光武・改
- 大破した光武を回収、神崎重工の協力の元に李紅蘭が花やしき支部で改造した機体。『サクラ大戦2』に登場。機体後部のマフラーが4本から6本に増え、頭部にエアインテークが追加。他にも各種パーツの大きさ等を含め大幅な見直しが図られており、ほぼ新造に近い改良が施された。光武の特徴だった搭乗者への少ない負担と高い安定性はそのままに出力は1.8倍にまで引き上げられた。先行機の神武に大きく劣った数値だが、本機は霊力の変換効率が極めて高く、搭乗者が実力を上げた事により実戦での戦闘力は神武を上回っている。後継機の天武が開発された事により一線を退くが、天武がある事情から使えなくなった為に再び戦線に復帰。その際には、搭乗者が更に経験を積んだ効果で天武以上の戦闘力を叩き出し、開発者である紅蘭の予想をはるかに超える戦果を挙げた。『ぱちんこCRサクラ大戦2』では『熱き血潮に』版光武と光武二式の中間に位置するようなデザインで登場する。映画『活動写真』では6本に増えたマフラーが4本に戻り、機体後部に一時的に飛行可能な蒸気ブースターが装着される等、デザインだけでなく性能面でも大きく異なっている。
- アイゼンクライトIII
- 神崎重工から技術的援助を受け、ノイギーア社が開発した機体。欧州星組元メンバーのソレッタ・織姫とレニ・ミルヒシュトラーセが搭乗する。『2』に登場。Y型蒸気併用霊子機関を搭載し、3基の霊子機関をローテーションさせる事で高出力を実現している。3基の霊子機関を維持するには高い霊力が必要であり、搭乗者に負担を強いる造りとなっている。その為、天武が使えなくなった際には織姫とレニ専用の光武・改が新たに用意され本機は保管扱いとなった。後に『活動写真』で蒸気ブースターを装着して再登場している。III型はクロイツ(ドイツ語で「十字架」を意味する)とも呼ばれ、十字型のレール上を1つのモノアイカメラが移動するのが特徴的。前述の通りI型とIII型はデザインが酷似しており、本機はI型をベースに改良を加えた機体と思われる。
- 天武(てんぶ)
- 紅蘭が初めて一から設計し、帝撃・北海道支部で建造された機体。辰型霊子甲冑。『2』に登場。蒸気併用霊子機関「三型」を搭載。従来の霊子甲冑で要していた蒸気と霊力に加え、第三のエネルギーである「都市エネルギー」を動力に変換する。足底には神武と同じくキャタピラが備え付けられている。単純に機体だけを見れば光武・改は勿論の事、神武をも遥かに凌ぐ最高の性能を誇る。ただし、ある問題点を抱えていた事により途中で運用が中止、以後封印され光武・改に取って代わられた。
- 光武二式
- 光武・改に更なる改良を加えた機体。『サクラ大戦4』に登場。
- 双武(そうぶ)
- 紅蘭が天武の反省を元に設計、最終決戦兵器として開発された機体。巳型霊子甲冑。『4』に登場。天武で採用された蒸気併用霊子機関「三型」を三基搭載、「都市エネルギー」を動力に変換する他、両肩部と脚部のブースターで大神一郎の光武F2と同じく単独飛行を可能としている。「三型」は三基搭載する代わりに一基あたりの出力を下げた。更に複座型を採用し操縦士と副操縦士の霊力を同調させる事で、天武が抱えていた問題点を解決した。ただし、操縦士と副操縦士の霊力の波長が合わないと、性能を発揮できないどころか双方とも死に至る危険性がある諸刃の剣でもある。それ故、帝撃で実戦投入された他の霊子甲冑と違い1機しか製造されていない。なお、モノアイカメラは従来のものに加え、副操縦士が搭乗するハッチにも1つ備え付けられている。
- 三式光武
- 光武二式を基に、神崎重工が霊子戦闘機へのフレームワーク移行を視野に入れて開発した機体。『新サクラ大戦』に登場。装甲にアンシャール鋼を採用し従来より軽量化が図られている。ただし、フレームの基礎構造は光武二式と大差なく、霊子過給機も搭載されていない為、総出力や霊力変換効率、総合的な戦闘力は霊子戦闘機に比べ劣る。後に開発される無限の基礎を築き、初登場の『新』の時点で既に旧式となっている。
巴里華撃団
- 光武F
- 光武・改のデータを元に巴里華撃団の整備班が設計した機体。『サクラ大戦3』に登場。神崎重工が製作した2連タービンの蒸気併用霊子力機関「Oarge F11」(オラージュ)を搭載。路面が整備された巴里での運用に合わせ、脚部背面に装備したグランドホイールで高速移動が可能となっている。『3』では実戦において光武・改に遠く及んでいない描写があるが、これは当時の巴里花組と帝都花組の実力差故であり、機体そのものの性能は光武・改とほぼ同等である。
- 光武F2
- 光武Fに整備班と紅蘭が改良を加えた機体。『3』に登場。
紐育華撃団
- スターIV
- FENICS(Future Energy&Newly Industrializing Corporations 「超未来エネルギー工業」を意味する)が開発したアメリカ初の霊子甲冑。『サクラ大戦V』に登場。正式名称は「FENICS X-4Si」。ラチェット・アルタイル専用機で「シルバースター」とも呼ばれる。蒸気併用霊子機関「Titan」を搭載。最初に開発された人型蒸気「スタア」と同じ名前を冠しているが、その後継機という訳ではなくあくまで験担ぎである。技術的にはアイゼンクライトの流れが色濃く反映されている。従来の霊子甲冑とは一線を画した、直線的なラインが増えた意匠が印象的で、後発機にも影響を与えた。指揮官機として頭部にアンテナが備え付けられており実戦投入もされたが、後のスターシリーズの試作機としての側面が大きい機体。なお、スターシリーズは1つのモノアイカメラがレール上を移動するタイプ。
- スターX-V
- バックパック装備などを用いず、基本スペックとして霊子甲冑に飛行能力を付与する目的でFENICSが開発した実験機。正式名称は「FENICS X-5」。蒸気併用霊子機関「Titan Xb」を搭載。背部に折りたたみ翼と両膝と脚の間の離着陸用のタイヤを使用した、滑走による無変形飛行を実現している。また、飛行実験のデータ収集用のデータロガータンクが機体に備え付けられており、実戦投入はされていない。
- スターV
- FENICSが開発したスターシリーズの正式タイプ。『V』に登場。正式名称は「FENICS AT-05」。蒸気併用霊子機関「Titan mk.2」を搭載、A、B、Cの3種類が存在し、各隊員機によってタイプが異なる。装甲は新開発された「ファーレンハイト合金」を採用、光武二式の10倍近い出力の蒸気ジェットエンジンと空戦形態への変形で、安定した長距離飛行を実現した。それでも長期間の飛行には莫大なエネルギーを消費するが、武装飛行船「エイハブ」に搭載された霊子核機関[9]を応用し、スター各機に霊力を供給する事で燃費の問題を解消している。なお、技術・ノウハウ・資材の流用を可能とするために規格がアメリカ軍の蒸気力兵器と共通化された結果の弊害に加え、空戦形態への変形に伴う各種装備の干渉を防ぐ為なのもあって、隊員に合わせた機体のカスタマイズは光武F2や光武二式に比べて最小限度に留められている。また、防御力と燃費の問題からガウォーク形態の採用も検討されたが、設計者が見た目を理由に難色を示したせいで没になったとの話もある。
その他
- ヤフキエルI、II
- アメリカのダグラス・スチュアート社が開発した無人霊子甲冑。I型は『活動写真』に、II型は『サクラ大戦V EPISODE 0』に登場。前者は光武・改に匹敵する戦闘力を持ちながら高速飛行を実現、更に低コストで大量生産が可能と高い完成度を誇り、建造方法も従来の霊子甲冑とは全く異なる。後者は霊子甲冑と言うよりも人型蒸気に近く、戦闘力も霊能力者なら生身で十分に対処可能なレベルに留まっている。それでも、短距離であれば飛行可能である等、欧州大戦時の人型蒸気とは比べ物にならない性能となっている。様々なタイプや派生型が存在し、アメリカ全土に配備された。しかし、I型もII型もそれぞれある理由から製造中止に追い込まれている。なお、モノアイカメラは両者とも頭部前面装甲板の下部に設置されている。
- 光武X、光武Ω
- 帝撃が建造した試作量産型光武。スパロボオリジナルの機体。『スーパーロボット大戦X-Ω』に登場。 光武二式の予備パーツから作られておりデザイン上は殆ど同じだが、兵器としての実態は従来の霊子甲冑とかなり異なる。
霊子戦闘機
- 無限
- 三式光武の開発データを踏まえ、神崎重工が初めて開発した正式な量産型霊子戦闘機。『新』に登場。霊力を供給する霊子過給機を搭載し、性能的には癖が少なく扱いやすい。新生帝国華撃団・花組の主力兵器として運用される。
関連項目
- オーラバトラー、アーマード・トルーパー
- 『サクラ』のプロジェクト発表時、原作者の広井王子氏がメカニックのコンセプトの具体例としてこの2つを挙げた。前者は搭乗者の生体エネルギーを動力とする設定やマニピュレーター、後者は機体の全高やモノアイカメラにその影響を見受けられる[10]。
余談
- 太正が大正、檄!帝国華撃団が激!帝国華撃団など、『サクラ』には誤記されやすい用語がいくつかあるが、霊子甲冑も例にもれず量子甲冑と間違われる事が大変多い。
- 大本となったコンセプトは深海作業服である。これは、架空の大正時代という設定に沿うように近代~近未来の兵器体系を無視したいというデザイン担当の永田太氏の意向によるもの。深海作業服をベースにスチームパンクといった要素を足していった結果、現行のコンセプトが出来上がった。霊子甲冑の多くが曲線的なフォルムをしているのはこのため[11]。
- 原作ゲームの戦闘パートでは運動性や回避というシステムが存在しない為、霊子甲冑は敵の攻撃を耐えて反撃するスーパーロボット的な戦い方で運用される。反対に、スパロボ初参戦の『X-Ω』ではオリジナルの光武X及びΩを含め、運動性が装甲を上回る所謂リアルロボット寄りの性能で調整されている。媒体や解釈の違いにより、その描き方に大きな振れ幅が生じるのもこの兵器の特徴である。
- 設定上は特に記載はないが、華撃団が運用する全ての霊子甲冑は原作ゲームでは回数制の修理装置を有しており、自機または隣接する味方機の耐久力を回復する事が出来る。
- 劇中で度々「金食い虫」と表現される霊子甲冑だが、そのコストの具体的数字は設定資料集にも書かれていない。ただし、『セガサターンマガジン』1997年3月28日号 Vol.9の『サクラ』の特集記事の一節(P80)にて、帝撃副司令の藤枝あやめが「国内の蒸気トラクターの価格は1000円だが、光武はその3、40倍はする」と発言している。
- これを基に太正時代の貨幣を現実の大正時代に当てはめ、更に現在の価値に換算して太正の1円=1000円と仮定した場合、光武の開発費はおよそ3000万から4000万円という計算になる[12]。
脚注
- ↑ コックピットのディスプレイなどには電気制御を用いている。
- ↑ 霊力を媒介、増幅させるクリスタル状の物質。人工的に製造可能だが、天然のものの方が効果が高い。この物質にはそれぞれ固有の波長があり、その波長に霊能力者が霊力を同調させなければ真の力を発揮する事は出来ない。
- ↑ 帝撃の戦闘服のみ、両上腕部にもコネクタがある。
- ↑ 戦闘服を着用しなければ操縦が出来ないという訳ではない。
- ↑ この為、スパロボ参戦にあたり元のデザインをデフォルメする必要が無く、実際に『X-Ω』に登場する光武二式や光武F2は原作の3Dモデルがほぼそのまま流用されている。
- ↑ 人型蒸気と霊子甲冑の最大の違いは霊力を要するか否かだが、そもそも霊子甲冑という定義自体が山崎の設計した光武、あるいは光武へ至る為のプロセスとして神崎重工が設計した桜武から始まったものであり、それ以前に欧州大戦中に開発された人型蒸気の中にも霊力を要した兵器がいくつか存在する。
- ↑ 『無印』~『V』の数年間で2人しかいなかった男性操縦者も増えた。
- ↑ 忠義は帰国の際に大政奉還のどさくさに紛れてスタアを隠匿している。
- ↑ 蒸気併用霊子機関の派生型。一定範囲内にいる人間及び動物、植物などの命ある存在全てから霊力を強制採取し増幅、特定の霊能力者に頼らずに通常の蒸気機関を超える力を発揮出来る。ただし、採取対象者に疲労や目眩といった副作用を及ぼす他、機関自体が大きい為にエイハブや帝撃の武装飛行船「翔鯨丸」といった巨大兵器にしか搭載されていない。
- ↑ 『X-Ω』のイベント「永遠の歌に花束を」では、スコープドッグが光武F2と同じ格納庫に収納された際、両者のデザインが似ている為にキリコ・キュービィーに指摘されるまでレオパルドが全く気付かないというネタがある。
- ↑ 『復刻版 サクラ大戦 原画&設定資料集』P109より。
- ↑ なお、この特集記事には『サクラ』で設定を担当した、レッドカンパニー(現:レッド・エンタテインメント)の金子良馬氏と森田直樹氏が参加している。
参考文献
- ソフトバンクパブリッシング『復刻版 サクラ大戦 原画&設定資料集』
- ソフトバンクパブリッシング『サクラ大戦 蒸気工廠』
- ソフトバンククリエイティブ『サクラ大戦V ~さらば愛しき人よ~ 蒸気工廠USA』
- エンターブレイン『サクラ大戦公式ガイド 戦闘篇<改訂版>』
- アスキー『サクラ大戦2 ~君、死にたもうことなかれ~ 攻略ガイドブック : For professional 天の巻』
- メディアワークス『サクラ大戦 前夜』第1巻
- 富士見書房『サクラ大戦 巴里前夜』第1巻、第2巻
- 毎日コミュニケーションズ『サクラ大戦クロニクル』