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南北戦争は最初の大規模な[[魔法|魔術]]戦争として、魔術の脅威とそれに対抗する人型蒸気の有用性を世界に知らしめた。1914年に勃発した[[ヨーロッパ|欧州]]大戦では各国が多種多様な人型蒸気を戦線に投入、大規模な技術革新をもたらした末に日本の地で陸軍対降魔部隊の山崎真之介によって霊子甲冑へと発展した<ref>人型蒸気と霊子甲冑の最大の違いは霊力を要するか否かだが、そもそも霊子甲冑という定義自体が山崎の設計した光武、あるいは光武へ至る為のプロセスとして神崎重工が設計した桜武から始まったものであり、それ以前に欧州大戦中に開発された人型蒸気の中にも霊力を要した兵器がいくつか存在する</ref>。 | 南北戦争は最初の大規模な[[魔法|魔術]]戦争として、魔術の脅威とそれに対抗する人型蒸気の有用性を世界に知らしめた。1914年に勃発した[[ヨーロッパ|欧州]]大戦では各国が多種多様な人型蒸気を戦線に投入、大規模な技術革新をもたらした末に日本の地で陸軍対降魔部隊の山崎真之介によって霊子甲冑へと発展した<ref>人型蒸気と霊子甲冑の最大の違いは霊力を要するか否かだが、そもそも霊子甲冑という定義自体が山崎の設計した光武、あるいは光武へ至る為のプロセスとして神崎重工が設計した桜武から始まったものであり、それ以前に欧州大戦中に開発された人型蒸気の中にも霊力を要した兵器がいくつか存在する</ref>。 | ||
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:山崎真之介が遺した設計図を元に、神崎重工が開発した初の軍用霊子甲冑。虎型霊子甲冑。『1』に登場。搭乗者第一の優れた思想に基づいて設計されており、搭乗者への負担が少なく安定性も高い。その後の霊子甲冑開発の基礎となった。本来は1915年に勃発した降魔戦争で現れた降魔に対抗する為に考案された兵器だったが、莫大な費用が掛かる為に当時は開発には至らなかった。1923年の黒之巣会の魔操機兵との戦いで大きな戦果を挙げるものの、翌年に本格的に復活した降魔には歯が立たず大破する。しかし、基礎設計と機体の完成度が突出して優れており、二度にわたる強化改造によって一線級の性能を発揮し続けた。『熱き血潮に』では後の光武二式に近いデザインで登場する。TV版では操作系統がコックピットにむき出しに設置された操作レバーを操る方式になっている他、脚部から蒸気を噴出するホバー移動を採用している。 | :山崎真之介が遺した設計図を元に、神崎重工が開発した初の軍用霊子甲冑。虎型霊子甲冑。『1』に登場。搭乗者第一の優れた思想に基づいて設計されており、搭乗者への負担が少なく安定性も高い。その後の霊子甲冑開発の基礎となった。本来は1915年に勃発した降魔戦争で現れた降魔に対抗する為に考案された兵器だったが、莫大な費用が掛かる為に当時は開発には至らなかった。1923年の黒之巣会の魔操機兵との戦いで大きな戦果を挙げるものの、翌年に本格的に復活した降魔には歯が立たず大破する。しかし、基礎設計と機体の完成度が突出して優れており、二度にわたる強化改造によって一線級の性能を発揮し続けた。『熱き血潮に』では後の光武二式に近いデザインで登場する。TV版では操作系統がコックピットにむき出しに設置された操作レバーを操る方式になっている他、脚部から蒸気を噴出するホバー移動を採用している。 | ||
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2019年12月5日 (木) 19:13時点における版
霊子甲冑(りょうしかっちゅう)とは、『サクラ大戦』に登場する人型機動兵器群の総称。
概要
都市を襲う魔に対抗する為に、帝国華撃団に代表される各国の華撃団で運用されている決戦兵器。
蒸気と霊力を要する蒸気併用霊子機関を動力としている[1]。霊力を霊子水晶[2]で物理エネルギーへ変換する霊子機関が主であり、蒸気機関は副次的役割を果たす。起動には極めて高い霊力が求められ、それだけの霊力を有する者は殆どが若い女性の為、基本的に搭乗者には高い霊力を持つ若い女性・少女が選ばれる。装甲には一部を除いて「シルスウス鋼」と呼ばれる、外部からの霊力を遮断し、搭乗者の霊力の媒介となる特性を持つ金属が使用されている。但しこの装甲は霊的攻撃に対しては高い防御力を持つ反面通常兵器や物理的な攻撃に対する防御力はゼロに近く、このため霊子甲冑の使用は対霊的戦闘に限定されている。
操作系統は機体の腕部に搭乗者の腕を通し、中にあるグリップで機体の腕や武器を操作する接触型と呼ばれるものを採用している。これにより搭乗者の戦闘技能を機体に反映させる事が可能であり、搭乗者の実力が上がるに比例して機体の戦闘力も向上する。ただし、一見すると接触型と同じだが仕組みが異なる「非接触型」と呼ばれる別の操作系統が存在し、アイリスやコクリコのような小柄な隊員の機体にはこれを採用している。また、搭乗者が専用の戦闘服を着用し、両肩部に備え付けられたコネクタ[3]をコックピットのチューブと接続する事で、霊力をより効率的に機体に伝達する事が出来る[4]。
他にも、頭部と胴体が一体化した全高2m~4m前後のSD調の体型[5] 、レール上を移動するモノアイカメラ、3本爪のマニピュレーターといった特徴がある。各機種各隊員機毎に様々な特色があるが、霊子甲冑と名の付く兵器はこれらの特徴を兼ね備えているものが殆どである。
「人型蒸気」と呼ばれる蒸気を要する機動兵器がまず存在し、霊子甲冑はその発展形にあたる。その霊子甲冑をさらに発展させたものが、『新サクラ大戦』に登場する霊子戦闘機(りょうしせんとうき)である。この項目では、人型蒸気についても併せて記載する。
歴史
ブードゥー教徒による呪殺(マクンバ)部隊を結成した南軍が圧倒的優勢を誇っていたアメリカ南北戦争。1863年7月、ペンシュルバニア州ゲティスバーグでマクンバを生き延びた唯一の生存者が発見される。その生存者とは蒸気トラクターに置き去りにされた赤ん坊であり、北軍はこれと同種の蒸気トラクターをかき集め呪殺部隊を打ち倒す。「ゲティスバーグの奇跡」と呼ばれたこの戦いの後、北軍は蒸気トラクターを徹底的に調査し、性能の悪い高炉でまれに精製される鉛と鉄の結晶が妖力を防ぐ特殊鋼になる事を突き止める。この特殊鋼が「シルスウス鋼」であり、北軍はこの蒸気トラクターを元に人型蒸気「スタア」を開発、形勢を逆転し戦争に勝利した。
南北戦争は最初の大規模な魔術戦争として、魔術の脅威とそれに対抗する人型蒸気の有用性を世界に知らしめた。1914年に勃発した欧州大戦では各国が多種多様な人型蒸気を戦線に投入、大規模な技術革新をもたらした末に日本の地で陸軍対降魔部隊の山崎真之介によって霊子甲冑へと発展した[6]。
SRWに登場した霊子甲冑
帝国華撃団
- 光武
- 山崎真之介が遺した設計図を元に、神崎重工が開発した初の軍用霊子甲冑。虎型霊子甲冑。『1』に登場。搭乗者第一の優れた思想に基づいて設計されており、搭乗者への負担が少なく安定性も高い。その後の霊子甲冑開発の基礎となった。本来は1915年に勃発した降魔戦争で現れた降魔に対抗する為に考案された兵器だったが、莫大な費用が掛かる為に当時は開発には至らなかった。1923年の黒之巣会の魔操機兵との戦いで大きな戦果を挙げるものの、翌年に本格的に復活した降魔には歯が立たず大破する。しかし、基礎設計と機体の完成度が突出して優れており、二度にわたる強化改造によって一線級の性能を発揮し続けた。『熱き血潮に』では後の光武二式に近いデザインで登場する。TV版では操作系統がコックピットにむき出しに設置された操作レバーを操る方式になっている他、脚部から蒸気を噴出するホバー移動を採用している。
- 光武・改
- 大破した光武を回収、神崎重工の協力の元に李紅蘭が花やしき支部で改造した機体。『サクラ大戦2』に登場。機体後部のマフラーが4本から6本に増え、頭部にエアインテークが追加。他にも各種パーツの大きさ等を含め大幅な見直しが図られており、ほぼ新造に近い改良が施された。光武の特徴だった搭乗者への少ない負担と高い安定性はそのままに出力は1.8倍にまで引き上げられた。先行機の神武に大きく劣った数値だが、本機は霊力の変換効率が極めて高く、搭乗者が実力を上げた事により実戦での戦闘力は神武を上回っている。後継機の天武が開発された事により一線を退くが、天武がある事情から使えなくなった為に再び戦線に復帰。その際には、搭乗者が更に経験を積んだ効果で天武以上の戦闘力を叩き出し、開発者である紅蘭の予想をはるかに超える戦果を挙げた。『ぱちんこCRサクラ大戦2』では『熱き血潮に』版光武と光武二式の中間に位置するようなデザインで登場する。映画『活動写真』では6本に増えたマフラーが4本に戻り、機体後部に一時的に飛行可能な蒸気ブースターが装着される等、デザインだけでなく性能面でも大きく異なっている。
- 光武二式
- 光武・改に更なる改良を加えた機体。『サクラ大戦4』に登場。
巴里華撃団
- 光武F
- 光武・改のデータを元に巴里華撃団の整備班が設計した機体。『サクラ大戦3』に登場。神崎重工が製作した2連タービンの蒸気併用霊子力機関「Oarge F11」(オラージュ)を搭載。路面が整備された巴里での運用に合わせ、脚部背面に装備したグランドホイールで高速移動が可能となっている。『3』では実戦において光武・改に遠く及んでいない描写があるが、これは当時の巴里花組と帝都花組の実力差故であり、機体そのものの性能は光武・改とほぼ同等である。
- 光武F2
- 光武Fに整備班と紅蘭が改良を加えた機体。『3』に登場。
帝国華撃団(新)
- 三式光武
- 光武二式を基に、神崎重工が霊子戦闘機へのフレームワーク移行を視野に入れて開発した機体。『新サクラ大戦』に登場。
その他
- 光武X、光武Ω
- 帝撃が建造した試作量産型光武。スパロボオリジナルの機体。『スーパーロボット大戦X-Ω』に登場。 光武二式の予備パーツから作られておりデザイン上は殆ど同じだが、兵器としての実態は従来の霊子甲冑とかなり異なる。
関連項目
- オーラバトラー、アーマード・トルーパー
- 『サクラ』のプロジェクト発表時、原作者の広井王子氏がメカニックのコンセプトの具体例としてこの2つを挙げた。前者は搭乗者の生体エネルギーを動力とする設定やマニピュレーター、後者は機体の全高やモノアイカメラにその影響を見受けられる[7]。
余談
- 太正が大正、檄!帝国華撃団が激!帝国華撃団など、『サクラ』には誤記されやすい用語がいくつかあるが、霊子甲冑も例にもれず量子甲冑と間違われる事が大変多い。
- 大本となったコンセプトは深海作業服である。これは、架空の大正時代という設定に沿うように近代~近未来の兵器体系を無視したいというデザイン担当の永田太氏の意向によるもの。深海作業服をベースにスチームパンクといった要素を足していった結果、現行のコンセプトが出来上がった。霊子甲冑の多くが曲線的なフォルムをしているのはこのため[8]。
- 原作ゲームのバトルパートでは運動性や回避というシステムが存在しない為、霊子甲冑は敵の攻撃を耐えて反撃するスーパーロボット的な戦い方で運用される。反対に、スパロボ初参戦の『X-Ω』ではオリジナルの光武X及びΩを含め、運動性が装甲を上回る所謂リアルロボット寄りの性能で調整されている。媒体や解釈の違いにより、その描き方に大きな振れ幅が生じるのもこの兵器の特徴である。
- 設定上は特に記載はないが、華撃団が運用する全ての霊子甲冑は原作ゲームでは回数制の修理装置を有しており、自機または隣接する味方機の耐久力を回復する事が出来る。
- 劇中で度々「金食い虫」と表現される霊子甲冑だが、そのコストの具体的数字は設定資料集にも書かれていない。ただし、『セガサターンマガジン』1997年3月28日号 Vol.9の『サクラ』の特集記事の一節(P80)にて、帝撃副司令の藤枝あやめが「国内の蒸気トラクターの価格は1000円だが、光武はその3、40倍はする」と発言している。
- これを基に太正時代の貨幣を現実の大正時代に当てはめ、更に現在の価値に換算して太正の1円=1000円と仮定した場合、光武の開発費はおよそ3000万から4000万円という計算になる[9]。
脚注
- ↑ コックピットのディスプレイなどには電気制御を用いている。
- ↑ 霊力を媒介、増幅させるクリスタル状の物質。人工的に製造可能だが、天然のものの方が効果が高い。この物質にはそれぞれ固有の波長があり、その波長に霊能力者が霊力を同調させなければ真の力を発揮する事は出来ない。
- ↑ 帝撃の戦闘服のみ、両上腕部にもコネクタがある。
- ↑ 戦闘服を着用しなければ操縦が出来ないという訳ではない。
- ↑ この為、スパロボ参戦にあたり元のデザインをデフォルメする必要が無く、実際に『X-Ω』に登場する光武二式や光武F2は原作の3Dモデルがほぼそのまま流用されている。
- ↑ 人型蒸気と霊子甲冑の最大の違いは霊力を要するか否かだが、そもそも霊子甲冑という定義自体が山崎の設計した光武、あるいは光武へ至る為のプロセスとして神崎重工が設計した桜武から始まったものであり、それ以前に欧州大戦中に開発された人型蒸気の中にも霊力を要した兵器がいくつか存在する
- ↑ 『X-Ω』のイベント「永遠の歌に花束を」では、スコープドッグが光武F2と同じ格納庫に収納された際、両者のデザインが似ている為にキリコ・キュービィーに指摘されるまでレオパルドが全く気付かないというネタがある。
- ↑ 『復刻版 サクラ大戦 原画&設定資料集』P109より。
- ↑ なお、この特集記事には『サクラ』で企画原案と設定を担当した、レッドカンパニー(現:レッド・エンタテインメント)の金子良馬氏と森田直樹氏が参加している。
参考文献
- ソフトバンクパブリッシング『復刻版 サクラ大戦 原画&設定資料集』
- ソフトバンクパブリッシング『サクラ大戦 蒸気工廠』
- ソフトバンククリエイティブ『サクラ大戦V ~さらば愛しき人よ~ 蒸気工廠USA』
- エンターブレイン『サクラ大戦公式ガイド 戦闘篇<改訂版>』
- アスキー『サクラ大戦2 ~君、死にたもうことなかれ~ 攻略ガイドブック : For professional 天の巻』
- メディアワークス『サクラ大戦 前夜』第1巻
- 富士見書房『サクラ大戦 巴里前夜』第1巻、第2巻
- 毎日コミュニケーションズ『サクラ大戦クロニクル』