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== ビーム兵器(Beam Weapon) ==
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'''ビーム兵器'''とは、SF作品に登場する兵器。
  
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== 概要 ==
 
ビームとは、粒子や波等のある一方向への淀みない流れを指す物理用語であり、ビーム兵器とは、そのような性質を持つビームを兵器に転用したものである。
 
ビームとは、粒子や波等のある一方向への淀みない流れを指す物理用語であり、ビーム兵器とは、そのような性質を持つビームを兵器に転用したものである。
  
 
現実に存在する代表的なビームとしては、光のビームであるレーザー、各種粒子のビームである粒子ビームなどがある。レーザーなど一部のビームは既に実用化されているものの、兵器として用いるには出力の問題や加速器の小型化の問題など課題が山積しており、現実世界で兵器として採用されるには至っていない。
 
現実に存在する代表的なビームとしては、光のビームであるレーザー、各種粒子のビームである粒子ビームなどがある。レーザーなど一部のビームは既に実用化されているものの、兵器として用いるには出力の問題や加速器の小型化の問題など課題が山積しており、現実世界で兵器として採用されるには至っていない。
  
=== SF作品・ロボットアニメにおけるビーム兵器 ===
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== SF作品・ロボットアニメにおけるビーム兵器 ==
 
現実世界では実用化の道は険しいビーム兵器であるが、SF作品においてはビーム兵器は兵器の中でもとりわけメジャーなジャンルといって過言ではない。
 
現実世界では実用化の道は険しいビーム兵器であるが、SF作品においてはビーム兵器は兵器の中でもとりわけメジャーなジャンルといって過言ではない。
  
フィクション作品におけるビーム兵器は、大概が「光の筋が敵に向かって照射される」「光の筋はそれ自体が破壊力を有し、敵機に触れると大抵爆発する」のように演出される。何がしかの光る物体を飛ばして相手にダメージを与えるという基本設定は、ヒーローや怪獣の超常的な能力の表現に非常に効果を発揮し、また粒子を飛ばすなりレーザーを撃つなりといった点は、現実世界の延長線上で考え得る中でも特に映像化して映える兵器としても使い勝手の良いものであったため、作品のジャンルを問わず幅広く採用され、その地位は揺ぎ無いものとなっている。
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フィクション作品におけるビーム兵器は、大概が「光条・光束が敵に向かって照射される」「光条・光束はそれ自体が破壊力を有し、敵機に触れると大抵爆発する」のように演出される。何がしかの光る物体を飛ばして相手にダメージを与えるという基本設定は、ヒーローや怪獣の超常的な能力の表現に非常に効果を発揮し、また粒子を飛ばすなりレーザーを撃つなりといった点は、現実世界の延長線上で考え得る中でも特に映像化して映える兵器としても使い勝手の良いものであったため、作品のジャンルを問わず幅広く採用され、その地位は揺ぎ無いものとなっている。
  
うち、ロボットアニメにおけるビームの扱われ方としては、概ね以下の3パターンが存在する。
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うち、SFやロボットアニメにおけるビームの扱われ方としては、概ね以下の2パターンが存在する。
  
;'''超兵器としてのビーム'''
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;スーパー系光線
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:原理は厳密に説明されていないビームを指す。
所謂[[スーパーロボット]]については大概が現実に存在しない超エネルギーを動力としているわけだが、その動力源をビームとして相手に照射するというもの。『[[マジンガーZ]]の'''光子力ビーム'''』、『[[ゲッター1]]の'''ゲッタービーム'''』がその代表にして筆頭である。
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:「とある超エネルギー」に基づいてビームを放つと一応説明されているものもいるが、設定が厳密ではないというか都合主義というか、あくまで黒箱技術に名前を付けただけで、SF的よりもおとぎ話的な感じがする。
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:ただビームに名前を付くだけで原理は全く説明されていないものも、[[スーパーロボット]]作品の敵機や、ウルトラシリーズの怪獣が放つ名前さえ付けられていないものもいる。後者の場合、SRWでは「破壊光線」「怪光線」などを武装の名前とするのが殆どである。
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:SRWではこの部類に入るビームは、殆ど「ビーム兵器」属性もなく、一部では[[射撃 (武器属性)|射撃]]武器でもなく'''[[格闘 (武器属性)|格闘]]武器扱い'''とされている。
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:例:
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::• [[マジンガーZ]]の'''光子力ビーム'''
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::• [[ゲッター1]]の'''ゲッタービーム'''
  
また、スーパー系の作品では主人公メカのみならず、敵機の側も様々なバリエーションのビームを放つ。大雑把には『破壊光線』という形で括ることが出来るこれらのビーム兵器は、その大半が原理不明(しかも光線であるかどうかすらも疑わしいことが多い)であり、何らかの超常的な技術により発せられる光状の物体により対象を破壊するという点のみが共通している。
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;リアル系光線
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:現実世界風の雰囲気を醸し出すように設定されている。こちらも「とある粒子」など架空物理学を導入することもごく普通であるが、用語や文章の書き方にSF的な感じがする。
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:リアルと言っても「実在する」「実現可能」「物理学的に精確」という訳ではない。現実中のビームは、大体光速かそれに近く、照準さえ合わせば必中であり、側面からも目で見えず、ビーム同士は相打ちしないという物理性質だが、演出面では殆ど再現されていない。ビームの名称や原理にも関わらず、基本的に目でも捉えるほどの速さの彩色破壊光線となり、ビーム同士の相打ちも時々見られる。
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:射撃兵器とするだけではなく、ビームで格闘武器を構成するのもかなり多い。ビーム剣同士は互いに受け流すことができるか、受け流せずに通るか、どちらに表現されてもおかしくはない。ビーム剣の出力を上げて延長し必殺技とするのもよくあり、こちらはビーム砲掃射とほぼ同じ表現だが、SRWでは長射程格闘武器として扱いされる。
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:[[ガンダムシリーズ]]がこの部類の代表である。後代の[[リアルロボット]]作品のほとんどは、本作で確立された「[[ビームサーベル]]」や「[[ビームライフル]]」といった兵器に少なからず影響を受けていると言える(ビーム剣やビーム銃の発想自体はガンダム以前のSF作品にも既に存在していたが、「戦場で用いられる巨大な人型機動兵器の主兵装がビーム兵器である」というパターンについて言えば、本作が与えた影響は甚大である)。
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:尚、ガンダムシリーズでも『[[機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ|鉄血のオルフェンズ]]』ではそれまでシリーズで常識化したこのパターンを逆手に取り、[[ハシュマル|唯一の例外]]を除きほぼ全編にわたってビーム兵器は軒並み描かれず、実弾と実体剣、あるいは鈍器が常用されたことで話題を呼んだ。
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:命名面では、レーザーという名称が「知られ過ぎてダサい」からか、近年の作品では殆ど採用されていない。メーザー(マイクロ波のレーザー)や陽電子、反陽子など実在するが一般観客にとって新鮮的な名称を採用するのもよくある。架空粒子を採用した場合、その粒子の名前をそのままビームの名前を構成するのもよく見られる。
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:作品によっては、特に[[リアルロボット]]作品では、ビーム兵器対策([[バリア]]・対ビーム装甲など)が設定される場合が多い。そういったビーム兵器対策の能力表現の為に、SRWでは該当の作品におけるビーム兵器にビーム属性を付く。例えビーム対策が設定されていなくても、作品自体がSF風のリアルロボットなら、ビーム属性も付与されやすい。
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:例:
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::• [[ガンダムシリーズ#宇宙世紀|宇宙世紀ガンダムシリーズ]]の'''[[ミノフスキー粒子]]に基づいた核融合炉とビーム兵器'''
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::• [[機動戦士ガンダム00]]の'''[[GN粒子]]に基づいた[[GNドライヴ]]とビーム兵器'''
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::• [[アークエンジェル]](ガンダムSEED)の'''陽電子破城砲'''
  
いずれについても原理の説明は最初から放棄している場合がほとんどで、逆にそれ故に超兵器としての存在感や圧倒的な破壊力など、自由な設定が行われている場合が多い。
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;その他
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;:実在物理系光線
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:少数ながら、架空物理学を導入せず、全て実在物理学でビームの原理を構成する作品も存在する。物理表現面では、上述の種類とは違い、ビームは避けられず、反応さえ間に合わないと表現されている。ビーム同士は相打ちせずにそのまま互いに命中するか、相打ちしても跳ね返り、ビーム勝負にはならない。側面からも見えるか否かについては、どちらにも限らない。SRWでは基本的にリアル系光線と同じ扱い。
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:例:
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::• [[EVA初号機]]の'''ポジトロン・スナイパー・ライフル'''
  
;'''現実世界風の雰囲気を醸し出しているビーム'''
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;:魔法系光線
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:そもそもSFではなくファンタジー作品である。原理や用語も物理学的やSF的な名詞も無く、代わりに魔力やマナ、エーテル、オドーなど、魔法的な名詞を採用する。一部の作品ではリアルロボットと似たような構成で、SRWでもリアルロボット扱いとなる。
前述のように、現在のところ、ビーム兵器はまず現実世界では兵器としては採用され得ない。しかし設定の工夫によっては、ビーム兵器が戦場における主力兵器として活躍し得る作品もある。その代表が、[[ミノフスキー粒子]]や核融合炉等の設定によってビーム兵器の存在をそれらしく演出することに成功した『[[ガンダムシリーズ]]』である。後代の[[リアルロボット]]作品のほとんどは、本作で確立された「[[ビームサーベル]]」や「[[ビームライフル]]」といった兵器に少なからず影響を受けていると言える(ビーム剣やビーム銃の発想自体はガンダム以前のSF作品にも既に存在していたが、「戦場で用いられる巨大な人型機動兵器の主兵装がビーム兵器である」というパターンについて言えば、本作が与えた影響は甚大である)。
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:例:
 
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::• [[炎神レイアース]]の'''赤い稲妻'''
尚、このタイプのビームとしては、レーザー等は秒速30万kmという圧倒的スピードのために回避困難+当たっただけでは相手が爆発しない、マイクロ波ビーム(メーザー)等は可視光線ではない上に水分を温めることしか出来ない…等の理由により、消去法的に粒子ビームが採用されやすく、後の作品では[[EVA初号機|エヴァンゲリオン]]も、ポジトロンライフルという形で粒子ビーム兵器を採用している。また、これらのビーム兵器は(実現可能かは別にして)明瞭な法則に基づいた兵器であるが故、対ビーム用の防御措置が充実しているのも特徴である。後述のように、ゲーム中で「ビーム兵器」という属性が採用されるのはこれらの[[バリア]]の能力表現の為であるので、ゲーム中では「リアルロボット系が使う粒子ビーム」に限定してビーム兵器扱いされる場合が多い。
+
::• [[イカルガ_(ナイツマ)|イカルガ]]'''ソーデッドカノン(最大出力)'''
 
 
;'''現実の技術で可能なビーム'''
 
:
 
少数ながら、例えばレーザー兵器などのように、現実に実現可能なビーム兵器を搭載している場合もある。但し前述のようにレーザーは対象を切断するには有効だが、爆発させるには不向き。かつ秒速30万kmというスピードをそのまま再現すると相手は回避のしようがない為、演出上はいろいろと課題が多く、採用例は多くない。中には「レーザー」と呼ばれているにも関わらず、スピードが遅いものもあり、名称と実体が一致していないケースも見られる。
 
 
 
== ゲームでの扱い ==
 
  
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== SRWでの扱い ==
 
=== ビーム属性 ===
 
=== ビーム属性 ===
ユニットの[[武器属性]]としてビーム属性が採用されており、「'''B'''」のアイコンによって非ビーム兵器と区別されている。上記3パターンのうち、基本的には2つ目の「主にリアル系ロボットに搭載されている粒子ビーム兵器」に対して属性が付与される場合が多く、超兵器や非粒子ビーム兵器については付与されない場合が多い。
+
ユニットの[[武器属性]]としてビーム属性が採用されており、「'''B'''」のアイコン<ref>『30』では黄色のピクトグラム。</ref>によって非ビーム兵器と区別されている。
  
但し粒子ビーム兵器の中でも、ビームサーベル等の接近戦用兵器や[[ファンネル]]などの[[オールレンジ攻撃]]類には属性が付与されない場合が多かった。これはバリアの作用しない至近距離からの攻撃となるゆえ、バリアでの防御性能に矛盾を生じさせない為の措置であった。しかし、近年は純粋に粒子ビーム兵器であるか否かが防御の可否を左右する[[PS装甲]]などの特殊能力が出現してきている事もあり、これらの接近戦用ビーム兵器についてもビーム属性が付与されるようになってきている。その場合、ビーム属性と同時に、[[バリア貫通]]属性が付与されており、今までのメリットが損なわれない形で実装されていると言える。
+
かつては射撃武器にのみビーム属性が付与されていたが、『第3次α』でビーム兵器であるか否かが防御の可否を左右する[[PS装甲]]が登場してからは[[ビームサーベル]]のような接近戦用兵器にもビーム属性が付与されることが多い。その『第3次α』では至近距離からビームを放つ[[ファンネル]]などの[[オールレンジ攻撃]]類が非ビーム兵器扱いのままだったせいでPS装甲で防御されていたが、以降の作品ではビーム属性と同時に[[バリア貫通]]特性を付与させることで対処している。
  
 
=== 使い勝手 ===
 
=== 使い勝手 ===
以下に、ビーム属性である事によるメリットとデメリットを記載する。ビーム属性である事は一長一短なので、敵の能力と照らし合わせて、使いどころを選んでいきたい。
+
原作的には、「ビーム兵器が強いからビーム対策が立たれた」といったことが珍しくないが、SRWにおけるビーム兵器は基本的に対策されしやすく、一部の作品では全くメリットがなく完全なデバフであり、[[直撃]]や「[[バリア貫通]]」を付与する強化パーツで補強したい。
  
 
==== ビーム属性のメリット ====
 
==== ビーム属性のメリット ====
・絶対に[[切り払い]]で無効化されない([[Z]]の[[オールレンジ攻撃]]を除く)。<br />・貫通できる充分な威力さえあれば、[[ディストーションフィールド]]でダメージを軽減されない。<br />・[[PS装甲]]を貫通できる。<br />・それなりにコストパフォーマンスに優れた武装が多く、使い勝手が良い。
+
*射撃の場合は原則[[切り払い]]で無効化されないことが多い。
 +
*SEED系参戦の作品では、[[PS装甲]]を貫通できる。
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*敵の回避を低下させ、[[クリティカル]]時のダメージ増加率も上昇する(『[[スーパーロボット大戦Operation Extend|OE]]』のみ)。
  
 
==== ビーム属性のデメリット ====
 
==== ビーム属性のデメリット ====
[[対ビームコーティング|ビームコート]]や[[Iフィールド]]といった、専用バリアの類によってダメージを軽減される。
+
*射撃の場合は[[対ビームコーティング|ビームコート]]や[[Iフィールド]]といった、バリアによって軽減・無効化されしやすい。敵機の特殊能力を確認しておこう。近年のSRW作品では、バリアの数値が古い世代から据置の値(1000軽減など)に対して、武器の攻撃力はインフレし(強化労力も落ち)、相対的に影響度は低くなっている。[[無双]]プレイで障害になる事は少ないが、HP調整が必要な局面では厄介という按配が目立つ。
<br />・一部の作品には『[[ビーム吸収]]』を持っている敵ユニットもおり、旧シリーズでは[[直撃]]が無い為、ビーム属性の武装をメインウェポンとしている場合、完全に役に立たなくなってしまう。<br />・[[海]](水中)に対する適正が低い事が大半で、[[地形]]を選んでしまう。
+
**格の高いボスユニットは、ビーム兵器のみならず全攻撃を軽減・無効化するバリアを張るケースが増えており、敵のバリアそのものが弱体化したとは言い難い。
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*一部の作品には「[[ビーム吸収]]」を持っている敵ユニットもおり、[[旧シリーズ]]では[[直撃]]が無い為、ビーム属性の武装が主体である場合、完全に役に立たなくなってしまう。
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*射撃の場合は[[海]](水中)に対する適正が低い事が大半で、[[地形]]を選んでしまう。また、『α外伝』等においては大気圏内のビーム減衰設定を取り入れたのか定かではないが、宇宙世紀作品のビームライフルやメガ粒子砲の多くが主役機体も例に洩れずに[[空]]・[[陸]]適正「B」という作品もあった(しかも『α外伝』のマップは大半が地上である)。
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== 脚注 ==
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<references />
  
== 資料リンク ==
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[[Category:小辞典]]
 
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[[Category:戦略・戦術兵器]]
 
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[[Category:特殊能力]]
 
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2023年8月24日 (木) 07:01時点における最新版

ビーム兵器とは、SF作品に登場する兵器。

概要[編集 | ソースを編集]

ビームとは、粒子や波等のある一方向への淀みない流れを指す物理用語であり、ビーム兵器とは、そのような性質を持つビームを兵器に転用したものである。

現実に存在する代表的なビームとしては、光のビームであるレーザー、各種粒子のビームである粒子ビームなどがある。レーザーなど一部のビームは既に実用化されているものの、兵器として用いるには出力の問題や加速器の小型化の問題など課題が山積しており、現実世界で兵器として採用されるには至っていない。

SF作品・ロボットアニメにおけるビーム兵器[編集 | ソースを編集]

現実世界では実用化の道は険しいビーム兵器であるが、SF作品においてはビーム兵器は兵器の中でもとりわけメジャーなジャンルといって過言ではない。

フィクション作品におけるビーム兵器は、大概が「光条・光束が敵に向かって照射される」「光条・光束はそれ自体が破壊力を有し、敵機に触れると大抵爆発する」のように演出される。何がしかの光る物体を飛ばして相手にダメージを与えるという基本設定は、ヒーローや怪獣の超常的な能力の表現に非常に効果を発揮し、また粒子を飛ばすなりレーザーを撃つなりといった点は、現実世界の延長線上で考え得る中でも特に映像化して映える兵器としても使い勝手の良いものであったため、作品のジャンルを問わず幅広く採用され、その地位は揺ぎ無いものとなっている。

うち、SFやロボットアニメにおけるビームの扱われ方としては、概ね以下の2パターンが存在する。

スーパー系光線
原理は厳密に説明されていないビームを指す。
「とある超エネルギー」に基づいてビームを放つと一応説明されているものもいるが、設定が厳密ではないというか都合主義というか、あくまで黒箱技術に名前を付けただけで、SF的よりもおとぎ話的な感じがする。
ただビームに名前を付くだけで原理は全く説明されていないものも、スーパーロボット作品の敵機や、ウルトラシリーズの怪獣が放つ名前さえ付けられていないものもいる。後者の場合、SRWでは「破壊光線」「怪光線」などを武装の名前とするのが殆どである。
SRWではこの部類に入るビームは、殆ど「ビーム兵器」属性もなく、一部では射撃武器でもなく格闘武器扱いとされている。
例:
マジンガーZ光子力ビーム
ゲッター1ゲッタービーム
リアル系光線
現実世界風の雰囲気を醸し出すように設定されている。こちらも「とある粒子」など架空物理学を導入することもごく普通であるが、用語や文章の書き方にSF的な感じがする。
リアルと言っても「実在する」「実現可能」「物理学的に精確」という訳ではない。現実中のビームは、大体光速かそれに近く、照準さえ合わせば必中であり、側面からも目で見えず、ビーム同士は相打ちしないという物理性質だが、演出面では殆ど再現されていない。ビームの名称や原理にも関わらず、基本的に目でも捉えるほどの速さの彩色破壊光線となり、ビーム同士の相打ちも時々見られる。
射撃兵器とするだけではなく、ビームで格闘武器を構成するのもかなり多い。ビーム剣同士は互いに受け流すことができるか、受け流せずに通るか、どちらに表現されてもおかしくはない。ビーム剣の出力を上げて延長し必殺技とするのもよくあり、こちらはビーム砲掃射とほぼ同じ表現だが、SRWでは長射程格闘武器として扱いされる。
ガンダムシリーズがこの部類の代表である。後代のリアルロボット作品のほとんどは、本作で確立された「ビームサーベル」や「ビームライフル」といった兵器に少なからず影響を受けていると言える(ビーム剣やビーム銃の発想自体はガンダム以前のSF作品にも既に存在していたが、「戦場で用いられる巨大な人型機動兵器の主兵装がビーム兵器である」というパターンについて言えば、本作が与えた影響は甚大である)。
尚、ガンダムシリーズでも『鉄血のオルフェンズ』ではそれまでシリーズで常識化したこのパターンを逆手に取り、唯一の例外を除きほぼ全編にわたってビーム兵器は軒並み描かれず、実弾と実体剣、あるいは鈍器が常用されたことで話題を呼んだ。
命名面では、レーザーという名称が「知られ過ぎてダサい」からか、近年の作品では殆ど採用されていない。メーザー(マイクロ波のレーザー)や陽電子、反陽子など実在するが一般観客にとって新鮮的な名称を採用するのもよくある。架空粒子を採用した場合、その粒子の名前をそのままビームの名前を構成するのもよく見られる。
作品によっては、特にリアルロボット作品では、ビーム兵器対策(バリア・対ビーム装甲など)が設定される場合が多い。そういったビーム兵器対策の能力表現の為に、SRWでは該当の作品におけるビーム兵器にビーム属性を付く。例えビーム対策が設定されていなくても、作品自体がSF風のリアルロボットなら、ビーム属性も付与されやすい。
例:
宇宙世紀ガンダムシリーズミノフスキー粒子に基づいた核融合炉とビーム兵器
機動戦士ガンダム00GN粒子に基づいたGNドライヴとビーム兵器
アークエンジェル(ガンダムSEED)の陽電子破城砲
その他
実在物理系光線
少数ながら、架空物理学を導入せず、全て実在物理学でビームの原理を構成する作品も存在する。物理表現面では、上述の種類とは違い、ビームは避けられず、反応さえ間に合わないと表現されている。ビーム同士は相打ちせずにそのまま互いに命中するか、相打ちしても跳ね返り、ビーム勝負にはならない。側面からも見えるか否かについては、どちらにも限らない。SRWでは基本的にリアル系光線と同じ扱い。
例:
EVA初号機ポジトロン・スナイパー・ライフル
魔法系光線
そもそもSFではなくファンタジー作品である。原理や用語も物理学的やSF的な名詞も無く、代わりに魔力やマナ、エーテル、オドーなど、魔法的な名詞を採用する。一部の作品ではリアルロボットと似たような構成で、SRWでもリアルロボット扱いとなる。
例:
炎神レイアース赤い稲妻
イカルガソーデッドカノン(最大出力)

SRWでの扱い[編集 | ソースを編集]

ビーム属性[編集 | ソースを編集]

ユニットの武器属性としてビーム属性が採用されており、「B」のアイコン[1]によって非ビーム兵器と区別されている。

かつては射撃武器にのみビーム属性が付与されていたが、『第3次α』でビーム兵器であるか否かが防御の可否を左右するPS装甲が登場してからはビームサーベルのような接近戦用兵器にもビーム属性が付与されることが多い。その『第3次α』では至近距離からビームを放つファンネルなどのオールレンジ攻撃類が非ビーム兵器扱いのままだったせいでPS装甲で防御されていたが、以降の作品ではビーム属性と同時にバリア貫通特性を付与させることで対処している。

使い勝手[編集 | ソースを編集]

原作的には、「ビーム兵器が強いからビーム対策が立たれた」といったことが珍しくないが、SRWにおけるビーム兵器は基本的に対策されしやすく、一部の作品では全くメリットがなく完全なデバフであり、直撃や「バリア貫通」を付与する強化パーツで補強したい。

ビーム属性のメリット[編集 | ソースを編集]

  • 射撃の場合は原則切り払いで無効化されないことが多い。
  • SEED系参戦の作品では、PS装甲を貫通できる。
  • 敵の回避を低下させ、クリティカル時のダメージ増加率も上昇する(『OE』のみ)。

ビーム属性のデメリット[編集 | ソースを編集]

  • 射撃の場合はビームコートIフィールドといった、バリアによって軽減・無効化されしやすい。敵機の特殊能力を確認しておこう。近年のSRW作品では、バリアの数値が古い世代から据置の値(1000軽減など)に対して、武器の攻撃力はインフレし(強化労力も落ち)、相対的に影響度は低くなっている。無双プレイで障害になる事は少ないが、HP調整が必要な局面では厄介という按配が目立つ。
    • 格の高いボスユニットは、ビーム兵器のみならず全攻撃を軽減・無効化するバリアを張るケースが増えており、敵のバリアそのものが弱体化したとは言い難い。
  • 一部の作品には「ビーム吸収」を持っている敵ユニットもおり、旧シリーズでは直撃が無い為、ビーム属性の武装が主体である場合、完全に役に立たなくなってしまう。
  • 射撃の場合は(水中)に対する適正が低い事が大半で、地形を選んでしまう。また、『α外伝』等においては大気圏内のビーム減衰設定を取り入れたのか定かではないが、宇宙世紀作品のビームライフルやメガ粒子砲の多くが主役機体も例に洩れずに適正「B」という作品もあった(しかも『α外伝』のマップは大半が地上である)。

脚注[編集 | ソースを編集]

  1. 『30』では黄色のピクトグラム。