勇者シリーズ

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勇者シリーズは、タカラ(現:タカラトミー)によるロボット玩具シリーズ、ならびにアニメ制作会社のサンライズが制作した一連のロボットアニメのシリーズ。

概要

概ねシリーズに共通する特徴として挙げられるのが、「意思を持ったロボット」が登場する事であり、彼らと「少年」とのコミュニケーションが題材となっている事である。また、そのコミュニケーションを通じて両者が成長していく姿が描かれる。これはメインターゲットを玩具を買う低年齢層に合わせているからで、対象年齢が低い作品が多い。

ロボットに関しては自動車や新幹線など現実の乗り物を模倣したものが多く、合体変形するのが特徴。このロボットを俗に「勇者ロボ(勇者ロボット)」、または単純に勇者と呼称する。この勇者たちも数え切れないほどサンライズ作品のメカデザインをしている大河原邦男氏が一貫して担当している。

トランスフォーマーシリーズとの関係

タカラが同じく玩具開発を担当した『トランスフォーマー』(SRW未参戦、以下『TF』と表記)との関連が深く、トランスフォーマーのテレビアニメシリーズが第5作目『戦え!超ロボット生命体 トランスフォーマーV』で終了したことと入れ替わるように制作されたが、第1作の『勇者エクスカイザー』に登場するウルトラレイカーは元々TFでの発売が企画されていた玩具であった。その後の作品にも、過去にTFシリーズで発売された玩具から流用されたロボットが多数登場している。

TFシリーズの中でも『戦え!超ロボット生命体 超神マスターフォース』はシリーズの中でも異例で、主人公といった主要人物のほとんどが「生身の人間がロボットと一体になる」点があり、後の勇者シリーズの一部に、その要素が引き継がれていると推測される。

『超神マスターフォース』の続編にあたる『トランスフォーマーV』で、少年とのコミュニケーション・パワーアップイベントといった後の勇者シリーズの基本フォーマットを確立。その事から『V』の主人公・スターセイバーは、ファンから「0号勇者」と呼ばれていたりもする。

勇者王ガオガイガー』の放送中に『トランスフォーマーV』以来となるテレビアニメ用トランスフォーマー作品『ビーストウォーズ 超生命体トランスフォーマー』の日本放送が始まるが、それと入れ替わるように勇者シリーズは終了した。

作品リスト

1990年に『勇者エクスカイザー』が放送開始。以後テレビシリーズ作品が年1作ペースで8年に渡り制作され、1997年の『勇者王ガオガイガー』を最後に直接の続編は作られてない。

アニメ作品

勇者エクスカイザー
第1作。当作品から『ダ・ガーン』までは谷田部勝義氏が監督を担当し、シリーズ間でも共通の世界観を持つ。
太陽の勇者ファイバード
第2作。前作の路線を受け継ぎつつ、主役ロボに人間態を持たせたり、秘密基地を配備するなどして、違いを出した。
伝説の勇者ダ・ガーン
第3作。主人公の少年がサポート役から隊長になる。
勇者特急マイトガイン
第4作。AIによる勇者ロボが初登場し、主人公もヒーロー性を高めた。
当作品から『ゴルドラン』までの3作は高松信司氏が監督を担当。いずれも変則的な形で大団円を迎えている。
勇者警察ジェイデッカー
第5作。前作で採用された心あるAIロボをより推し進め、昭和で放送された刑事や警察ドラマをオマージュしているのも特徴。
黄金勇者ゴルドラン
第6作。冒険をテーマにしたコミカル色の強い作風であり、後半からは宇宙が舞台となる。
勇者指令ダグオン
第7作。変身ヒーローがロボットにもなるのが特徴。
先に放送された『新機動戦記ガンダムW』のヒットの影響も受け、メインキャラクターの年齢を引き上げるなど女性ファンにもアピール。
勇者指令ダグオン 水晶の瞳の少年
『ダグオン』のOVA作品で後日談。勇者シリーズ初のOVA作品でもある。全2巻。
勇者王ガオガイガー
第8作にしてテレビシリーズ最終作。ガオガイガーの胸の獅子の意匠を始め、往年の勇者シリーズのオマージュが豊富であり、リアルロボット作品を数手がけた高橋良輔氏をプロデューサーに迎えリアリティも追求されている。
勇者王ガオガイガーFINAL
『ガオガイガー』のOVA作品で、TVシリーズの続編。全8巻。
勇者王ガオガイガーFINAL GRAND GLORIOUS GATHERING
『FINAL』をテレビアニメとして再編集した作品。
覇界王 ~ガオガイガー対ベターマン~
『FINAL』の続編となる小説作品。

ゲームオリジナル

勇者聖戦バーンガーン
ゲーム『新世代ロボット戦記ブレイブサーガ』初登場のゲームオリジナル勇者。勇者シリーズの勇者たる成分の半分はタカラによって培われたものであり、「勇者版スーパーロボット大戦の主役」でもあるため、タカラ純正のこの作品は、ある意味どの勇者よりも勇者らしい。また勇者シリーズの公式サイトでは、本作は勇者シリーズの一つとして数えられている
なお初登場作『ブレイブサーガ』の登場作品は勇者シリーズではない、『太陽の牙ダグラム』『装甲騎兵ボトムズ』『機甲界ガリアン』が加えられている。これらの作品は放送当時のスポンサーがタカラだったという繋がりもある。一方で『ガオガイガー』は開発時期にまだ企画段階だったためか登場しておらず、共演を逃している。
量子跳躍レイゼルバー
『新世紀勇者大戦』初登場のバーンガーン同様ゲームオリジナル勇者。タイトルに「勇者」が無く、今までの制作ラインから外れた本当の意味でのゲームオリジナルである為、シリーズには入らないという意見もある。内容的にも判断が難しいところ。
『ブレイブサーガ2』オリジナル(シズマとヴァリオン)、『ブレイブサーガ新章アスタリア』オリジナル(ガンバーとゼッター)
『ブレイブサーガ2』、『ブレイブサーガ新章アスタリア』初登場のゲームオリジナル勇者。こちらに至ってはタイトルすら存在しないようであり、やはりシリーズに入るかは議論の余地がある。
開発勇者ハヤバーン
『ブレイブサーガ新章アスタリア』に登場するゲームオリジナル勇者だが、元々は『ブレイブサーガ』シリーズ開発スタッフの早坂憲洋氏が広報にて名乗った称号。

関連作品

エルドランシリーズ
玩具メーカー「トミー」がほぼ同時期に展開したロボットアニメシリーズ。ロボに明確な意志は見られないが「少年」が戦うというテーマでは一致しており、アニメ制作も同じサンライズ。シリーズ4作品は『スーパーロボット大戦NEO』にて全て参戦している(『絶対無敵ライジンオー』のみ『スーパーロボット大戦GCXO)』で先行参戦している)他のゲームでは『サンライズ英雄譚R』や『新世紀勇者大戦』等で勇者シリーズと共演経験があり、現在は両玩具メーカーが合併しているため姉妹シリーズとも言える。
ベターマン
第8作『勇者王ガオガイガー』と世界観を共有した作品。『勇者王ガオガイガーFINAL GRAND GLORIOUS GATHERING』のDVD-BOX特典ディスク及び『覇界王』にはベターマンの設定を使用した「ガオガイゴー」というクロスオーバーロボが登場する。
超重神グラヴィオン超重神グラヴィオン Zwei
「勇者シリーズ」で演出を担当した大張正己氏が監督。ロボット群のデザインや戦闘演出こそ「勇者ロボット」のそれを受け継いでいるが、内容は全く無関係。両2作品は『スーパーロボット大戦Z』で参戦している。
ガン×ソード
勇者シリーズのパロディと思わしきロボ、エルドラVエルドラソウルが登場する。
スーパーロボット大戦BXオリジナル
勇者シリーズを連想させる点が多く(主人公機が意思を持つロボットのような存在であることや合体方式、主人公のデフォルト名が「タ(太)」で終わる名前[1]など)、公式ネットラジオでも言及がある。

スーパーロボット大戦との関係

勇者シリーズはロボット作品の中でも比較的メジャーなタイトルであるにも関わらず、長年スパロボへの参戦が果たされず、このためファンの間でスパロボへの参戦が困難なシリーズなのではないかとの見方が強まるようになった。主な理由としては、一連の作品にバンダイと競合関係にある玩具メーカー「タカラ(現:タカラトミー)」がスポンサーとして参加、強い影響力を持っていることが関係しており、タカラトミー側との権利関係の調整が決着しないからであるとの説が有力であった。

この点については後に製作者サイドからも権利関係が問題であることを示唆する発言が出ており、基本的に参戦が果たされていない理由の大半は上述の点に起因していたものと思われる(尤も、権利関係の問題が参戦のハードルになるという事例は他のロボット作品にも言えることであり、何も勇者シリーズに限った話ではない。また、エルドランシリーズなどと同様、視聴者の対象年齢面での問題も影響したとの主張もある)。

その後、2003年の『第2次スーパーロボット大戦α』にて、『勇者王ガオガイガー』が勇者シリーズの作品として初参戦。2005年の続編『第3次スーパーロボット大戦α』では『勇者王ガオガイガーFINAL』も参戦を果たした。この両作品は『スーパーロボット大戦W』でも参戦している。その後は長らく『ガオガイガー』のみの参戦となっていたが、2017年の『スーパーロボット大戦V』で『勇者特急マイトガイン』が参戦したのを皮切りに、2018年には『スーパーロボット大戦X-Ω』に『勇者エクスカイザー』が参戦、2019年の『スーパーロボット大戦T』で『マイトガイン』と『ガオガイガー』が共演と、勇者シリーズの参戦が多数行われるようになっている。

経緯については「未参戦作品」も参照のこと。

関連する用語

グレート合体
勇者パース / サンライズパース
「剣」を決め技に持つ勇者ロボが剣を構えた時の独特のポーズと、画面手前に向けて剣を強調するアングルを指してこう呼ばれる。勇者シリーズで演出を担当した大張正己氏が考案したとされており、グレートエクスカイザーが必殺剣・サンダーフラッシュを繰り出す際の構図が元祖とされる。その後のサンライズ作品にも少なからず継承されている。
余談だが中国では大張一刀流』と呼ばれているとのこと。

脚注

  1. 『エクスカイザー』の星川コウタ、『ジェイデッカー』の友永勇太のほか、主人公ではないが同様のポジションである『ファイバード』の天野ケンタなど、勇者シリーズではロボットと交流を持つ少年に「タ(太)」で終わる名前がしばしば使用されている。