アル

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アル(Al)

ARX-7 アーバレストおよびARX-8 レーバテインに搭載されているAI。本体は銀色の金属流体素子で満たされたシリンダー型のコンピュータユニットとのこと。

当初はM9等のAIと変わり無かったが、原作小説5巻「終わるデイ・バイ・デイ」P69〜での相良宗介との会話時にバニ・モラウタの死を知ってからは、変化を始めることになる。このとき隠されていたフラグが立ち、常に自由会話モードとなった。 それ以降、勝手にインターネット等で多様な知識を吸収し、他のAIよりも高度かつ人間じみた擬似人格に成長し、独自のユーモアセンスまでも披露する。

AIにもかかわらず、一般人にチェスで敗北することがある。これは、一般的な人工知能がチェスをする場合データベースを参照し起こりえる事態を推測しながら最善手をとるのだが、アルの場合"直感"を元に行動していることが原因であり、アルが一般的なAIとは別のモノであることを示す要素の一つである。

思考が操縦者に近づくように設計されているが、操縦者のコピーとなるのではなく相棒となるようになっている。このため、アルと宗介のコミカルなやり取りは、どこか宗介とかなめのやり取りに似たものとなっている。

レーバテインに搭載されて復帰したあと、原作小説内の地の文で語られているが、かつて戦隊の一部で「アルのボイス設定をデフォルトの男性型から女性型に変更する」という案が挙がった際に、アル自身はそれを嫌がっていた(アルの言い分としては「自分はロールアウトして以来、この設定(男性ボイスも含め)と機体で幾つもの戦場を戦い戦果を上げてきた武勲機としての自負があるのに、なんで今更になってか弱い女の声にされねばならないのか。女々しくて気に入らない」とのこと)。本来性別などないAIが、便宜上の設定に過ぎない自分の声にこのようなこだわりを見せるのもまた、アルの人間めいた人格形成の一端と言える。

原作小説の後日談である「テッサの墓参り」において、テッサは、「彼」は人造によるウィスパード(それもソフィアに匹敵する、機械仕掛けの神)を目指したものではないだろうか、という推論をしており、バニの自殺はアルがその力の果てに破滅の使者になってしまった未来を垣間見てしまったためではないだろうか、と結論付けている。

登場作品と役柄

Zシリーズ

第3次スーパーロボット大戦Z時獄篇
担当声優の室園丈裕氏はシュバル・レプテール役を経て、初の版権キャラクターでのスパロボ出演。ミスリルルート40話でサブパイロット化し、掛け合いも変化する。
第3次スーパーロボット大戦Z天獄篇
引き続きアーバレスト及びレーバテインのサブパイロットとして登場する。前作でフラグが立った為なのか、AI離れした言動は健在。同じ「機体に搭載されている会話型AI」つながりでチェインバーとの交流も描かれている。
サブパイロットなので養成できないが、レーバテインを5段階改造することでSPを15増やすことができる。

携帯機シリーズ

スーパーロボット大戦J
NPC。宗介の掛け合い要員でありストーリーにはあまり関わらない。
スーパーロボット大戦W
NPC。J同様に掛け合い要員。

単独作品

スパロボ学園
アーバレストのサブパイロット扱いとなっている。

パイロットステータス設定の傾向

精神コマンド

第3次Z時獄篇
偵察根性分析狙撃

人間関係

バニ・モラウタ
設計者。アルが人間的なAIとなるように設計し、最悪の事態も考え彼のプログラムに「フラグ」を用意していた。彼の死については、アルにも「思うところ」がある。SRW未登場。
相良宗介
自身を搭載したASの操縦者。戦いの中でお互いを大切な相棒だと認識するようになる。
テレサ・テスタロッサ
設計者であるバニと親密であったこともあり、アルの通常のAIとは異なる特性をバニから聞かされていた。
アル個人としても自分の所属する部隊のボスという認識や会話したこともあり、アルがレーバテインという体を得て部隊に復帰した際は、彼女にも己の『復帰許可』を問う挨拶をしている。
ゲイツ
原作では関わりがないが、第3次Z時獄篇では彼のぶっ飛んだ台詞に「理解できない」と言われてしまう。
エドワード・サックス
アーバレストおよびレーバテインの整備中隊長。アルにとっては宗介に次いで馴染み深い人物であり、その死を「悲しんだ」。
クダン・ミラ
宗介の陣代高校転入直前の任務でKGBから救出され、ミスリルに保護されたウィスパード。
ミスリル情報部のギャビン・ハンターと協力して、回収されたアルを再起動し、アルの提示した設計プランに従って、アルの新たな体であるレーバテインの建造に協力した。
レナード・テスタロッサ
本人との会話は無いが、自分の体たるアーバレストが彼の乗機のベリアルに破壊された事を相当根に持ってるようで、ベリアルの事を「あの野郎」「ワンオフの機体など兵器として欠陥品」等散々罵倒している。
が、「ワンオフの機体」というのはレーバテインにも言える事で、戦闘台詞では宗介に突っ込まれたりする。

他作品との人間関係

チェインバー
同じAI同士会話がある。チェインバーが徹底した機械としての反応する反面、人間臭い反応をするアルは対比となっているが関係は良好であり作品を超えた親友と言っていい。
ブラックオックス
チェインバーとは違い、こちらは「人間臭いAI」同士の会話がある。
ピニオン
彼から「ブリキ野郎2号」というあだ名をつけられる。

名台詞

《軍曹殿》
《このまま私を、ここに置き去りにしないで下さい》
《予感がするからです》
《あなたとお別れする予感です》
原作7巻「つづくオン・マイ・オウン」より。作戦遂行のためにアーバレストを降り待機を命じた宗介に対して。ただのAIにすぎなかったアルが、漠然とした不安を口にし、作戦上必要な一時的な別れを拒むかのような発言をする。もはやただのAIではないことがはっきりと分かるシーン。
《私のせいでしょうか?》
《いいえ、サックス中尉のことです》
《先ほど、私を起動するのに忙しくて、彼が安全義務を怠ったと》
《私の起動に成功した以上整備要員であるサックス中尉を失ったことによる戦力低下は微々たるものです。憂慮すべき事態ではありません》
原作小説版最終章「ずっとスタンド・バイ・ミー」編(漫画版「Σ」18巻)より。アーバレスト、レーバテインの整備要員だったエドワード・サックスがアルの起動に掛かりきりになり、コンテナを固定しなかった結果艦体の揺れで動いたコンテナに激突されて死亡したことを受けて。心配事があるのか訊いた宗介は「なら黙っていろ」と制止したが……。
《しかし――…私はもっと大きな損失を感じています》
《彼は<アーバレスト>の時代から私の面倒を見てくれた、私の<身体>をもっとも良く知る人間の一人でした》
《その彼が私を点検しない、私に話しかけない、二度と。これは戦略レベルを遥かに上回る喪失です》
《同時に私は私とこの機体の整備効率の悪さが彼を死に追いやったのではないかと懸念しています。『私のせい』とはそういう意味です》
アルの懸念は、自分が設計した自分の身体であるレーバテインの整備効率が悪く、それがサックスの死の遠因ではないか、というもの。同時にこの時、宗介の前のモニターにはアルが記録していたサックスの在りし日の姿が次々と映し出されていた。
宗介「……お前のせいではない。必要なことだっただけだ」
宗介「それにサックスは最後に言っていた。『誰も恨んでない』と」
アル《それは、私にとって高価値な情報です》
アルの自責めいた言葉に、それをなだめるようにかけた宗介の応えを受けて。
『高価値な情報』という、いかにも機械的な言い回しではあるが、宗介の一言に『いくらか救われた』様子が見て取れる。AIとして生まれたアルに、ひとりの人格としての人間性がいかに育ったかを垣間見られるひとこと。
《ひとつ試す前に聞いておきたい》
《私は人間ですか? それとも機械ですか?》
最終巻。もうすぐ核が落下してくるという絶望的な状況で、宗介に自らの存在を問う。
《感謝します》
《一人でやってみます》
「それは自分で決めることだ」と返答を受けたアルは自分の『意思』で、ラムダ・ドライバを発動させることを決意する。そして―――。

迷台詞

《では私を頼りにしないでください》
待機中の問答で、宗介にカンニングを拒否された際の返答。自分から話を振っておいてコレなので、宗介も怒った。
《新たな高脅威目標接近》
《敵機は撤退。このまま一気に追撃を》
『わりと暇な戦隊長の一日』(アニメ版)にて。あくまでシミュレーションについてのガイダンス音声のはずなのだが、寝ぼけて半裸状態のテッサの行動と状況に見事に噛み合っていた。
《では逃げ終わったら、車にでも積んでください。車種はトランザムを希望します》
エピローグにて、大破した自分の身体の代わりを要求。台詞の通り、もちろん車種の事を言っており、ちゃんと元ネタ(米国製ドラマ『ナイトライダー』に登場する人工知能搭載スーパーカー、“ナイト2000”)も存在するのだが、なんとなくあのシステムを連想してしまう…

スパロボシリーズの名台詞

「軍曹…私には彼の言うことが理解できません」
「飛べ、宇宙へ」にてゲイツと対峙した際に。例のごとくブッ飛んだ言動を連発するゲイツに対してアルからも匙を投げられてしまう(そして宗介も同意した)。
アル「ワンオフの機体など兵器として失格です」
宗介「貴様はどうなんだ、貴様は!」
天獄篇における対ラムダ・ドライバ搭載型の戦闘台詞。
チェインバー「この状況の必然性を問う」
アル「聞いてなかったのですか? これは全員参加のパーティーです」
チェインバー「そこに当機の存在が必要であるかは疑問」
アル「では、あなたは暗い格納庫の中で一人留守番がよかったのですか? 私なら、そのようなハブられた状況は我慢なりませんが」
天獄篇翠の地球ルート第9話にて、焼肉パーティーに引っ張り出されたチェインバーとの会話その1。
「でも、来てよかったではないですか。普段は陰気な顔しか見せない軍曹の笑顔など、なかなか見られるものではありませんし」
「皆さんの楽しそうな様子を見るのも非常に興味深いものです。ねえ、オックス?」
オックス「!!」
チェインバー「理解不能」
アル「啓発インターフェイスならば、レド少尉の行動を監督することも必要では?」
チェインバー「了解。レド少尉の行動の監督を開始する」
アル「固いですね……これではブリキ野郎と呼ばれるのも無理はありません」
チェインバーとの会話その2。両者の違いがよくわかる一幕。