平行世界
平行世界 / 並行世界 / パラレルワールド (Parallel World)
万物において様々な世界が無限に存在し、もしくは似ては異なる世界を指す。基本的なSF概念では、平行した時間軸の(自らの世界を主観とした場合の)別世界を指す事が多い。国内の7、80年代頃のSFでは「多元宇宙」とも訳されており、これは「多元的に世界を俯瞰内包している」点から同意義の語となる。
古典の頃からSFでは欠かせない世界観構築の手法であり、スーパーロボット大戦シリーズでも重要なキーワードの一つである。
なお、科学的にはいわゆる「現実的に実存し得ない可能性」の考え方であり、架空の量子世界観である。「次元宇宙」と云った用語とも同義で扱われる事も多いが、近年のライトノベルファンタジーなどで時折見られる「上位の次元=高位の存在の世界」の世界観なども架空のもので、最も上の11次までの次元というものは、簡単に言うと数学的には我々の住む宇宙に同じく内包されている(3次元に住んでいる我々が1次元と2次元を認識していても、干渉できる限界があることを理解しているのに置き換えると判り易い)。
スーパーロボット大戦シリーズにおいて
『スーパーロボット大戦シリーズ』は「異なるロボットアニメ作品同士がひとつの世界に共存していたとしたら」というテーマが土台になっているが、他の作品とはあまりに雰囲気が異なる作品を参戦させる場合、その作品がゲーム世界に存在している違和感に対して「別の世界(=パラレルワールド)から、なんらかの方法や事故でゲームの舞台となる世界にやってきた」という説明がされることが多々ある。もっとも、これはスパロボに限らずクロスオーバーもののコンテンツでは定番となっている手法である。
また、スーパーロボット大戦シリーズは全てが同じ世界観にあるわけでなく、シリーズ毎に別の世界観を持つ。例えば『αシリーズ』の世界観は、『旧シリーズ』の世界観とは別物である。しかし、パラレルワールドの設定を組み込むことにより、他のスパロボシリーズのバンプレストオリジナルの要素や設定を、別のスパロボシリーズにも持ち込むということが行われている。
パラレルワールドという要素が具体的に扱われたのは『スーパーロボット大戦A』からである。「極めて近く、限りなく遠い世界に」というキャッチフレーズを掲げたこの作品では、敵対勢力シャドウミラーは平行世界から転移してきたという設定で、彼らの来た世界は「あちらの世界」と呼称されてもいる。作品設定の中にバンプレストによる過去のオリジナル設定が含まれており、物語の構想を広げたという点では大きな通過点であろう(反面、このせいでストーリー性が難解・複雑になり、単純明快さが無くなったために、小さな子供のプレイヤーがストーリーを理解出来なくなってしまっている、という指摘もある)。
スーパーロボット大戦シリーズの姉妹作である『ヒーロー戦記 プロジェクトオリュンポス』や『スーパーヒーロー作戦』でも扱われていて、後発作品である『スーパーロボット大戦αシリーズ』を経てさらに設定が難解になってきた。異なる要素を織り混ぜた設定も数多く登場しており、ファンの創造性も大きく膨らんでいる。
『ヒーロー戦記』の主人公ギリアム・イェーガーや、『スーパーヒーロー作戦』の主人公であり「因果律の番人」の異名を持つイングラム・プリスケンは、世界の隔たりを飛び越えて『OGシリーズ』の世界やαシリーズの世界へとやってきた。彼らは時間移動と平行世界移動は同義として捉えている(時間分岐が起こる直前の世界に転移し、それぞれの事象を変動させることで結果的に時間を変化させることから同義として捉えることが可能になる。これはSF作品の定石の一つである)。
また、『超時空世紀オーガス』は平行世界がテーマになっており、これは『スーパーロボット大戦Z』に参戦した際にもその設定が生かされている。『Zシリーズ』以降のスパロボは平行世界や多元世界の要素を積極的に組み込むことで、従来のシリーズでは「一つの世界観に同居することが困難な作品群」とされたものの共演を可能としている。ただし、それでも平行世界同士の同一人物が直接対面するような場面はあまりにも状況がややこしくなるためか避けられている。
注意点としてスパロボシリーズでは「次元宇宙」といった語が時折登場するが、これは多元宇宙とは異なり、平行世界の同義語として扱われている。上述した11次元宇宙の理論を製作スタッフが設定に組み込むか否かで、スパロボシリーズでは有名な「フラスコの監視者」などの扱いなども様々に変容すると思われる。『ヒーロー戦記』では存在が仄めかされ本編未登場(こちらの存在の考え方は光瀬龍のSF小説『百億の昼と千億の夜』からの引用)、αシリーズではケイサル・エフェスがその役割を果たしていた。
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