「ウィスパード」の版間の差分

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ウィスパード(Whispered)とは、『[[フルメタル・パニックシリーズ]]』に登場する、一部の「特別な」天才を指す用語。
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ウィスパード同士の間では「共振」と呼ばれる方法で意志を伝達することが可能。ただし、「共振」をやり過ぎると互いの人格が混ざり合い人格崩壊の危険性がある。
 
ウィスパード同士の間では「共振」と呼ばれる方法で意志を伝達することが可能。ただし、「共振」をやり過ぎると互いの人格が混ざり合い人格崩壊の危険性がある。
  
『フルメタル・パニックシリーズ』シリーズの物語を貫く根幹設定であり、ウィスパードの謎を解き明かすことこそがシリーズの目的でもあったのだが、その種明かしがされたのは小説版の第10巻以降であり、過去のアニメ版三作では謎は解き明かされないまま終了している。
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「フルメタル・パニック! シリーズ」の物語を貫く根幹設定であり、ウィスパードの謎を解き明かすことこそがシリーズの目的でもあったのだが、その種明かしがされたのは小説版の第10巻以降であり、過去のアニメ版三作では謎は解き明かされないまま終了している。
  
 
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2022年4月3日 (日) 11:20時点における版

ウィスパード(Whispered)とは、「フルメタル・パニック! シリーズ」に登場する、一部の「特別な」天才を指す用語。

概要

生まれながらにして、「存在しえないはずの知識」、オーバーテクノロジーをその記憶に刻みつけている人々のことで、その知識を欲する数多の組織に狙われてしまうことが多い。中には自らその知識を持って、組織の内部に食い込むものも存在する。所有する知識の内容は個々人によって差異があるが、共通して理数系に強い知識を持っている。彼ら彼女らのもたらしたブラック・テクノロジーにより、『フルメタル・パニック!』の世界は、本来の世界=我々の生きる現実とは大きく異なった未来を歩んでいる。そのため、我々の世界で起こった事件が作中で起こっていなかったり、或いは逆の事が発生、また別の事件が起こったりするようになっている。

ウィスパードたちは、自分が知るはずのない知識を「実は知っていたことを突然思い出す」ことで新しい知識を生み出していく。その「思い出す」瞬間に何かの囁きを聞いたような気がするとウィズパードたちは口をそろえていうため、「囁かれるもの=ウィスパ-ド」と名付けられた。

彼ら/彼女らの自覚的な認識では、自分が「思い出した」知識は当たり前の常識のように感じられてしまうため、自分が天才になったという自覚は全く持ってていない。その代わりに周囲の普通の人たちのことを「当たり前の常識も知らない変な人たち」として見下してしまいがちになるのだという。 あるいは、自分ではなく周囲が変化してしまったような感覚に陥る。そんなことを考えてしまう自分自身への自己嫌悪は劣等感につながり、周囲の人たちと溶け込めなくなるストレスが精神を蝕んでいくこともあるなど、症状だけなら一種の精神病に近い側面もある。

ウィスパード同士の間では「共振」と呼ばれる方法で意志を伝達することが可能。ただし、「共振」をやり過ぎると互いの人格が混ざり合い人格崩壊の危険性がある。

「フルメタル・パニック! シリーズ」の物語を貫く根幹設定であり、ウィスパードの謎を解き明かすことこそがシリーズの目的でもあったのだが、その種明かしがされたのは小説版の第10巻以降であり、過去のアニメ版三作では謎は解き明かされないまま終了している。

真相

ウィスパード誕生の発端は、作中におけるグリニッジ標準時の1981年12月24日11時50分、ソ連の実験施設ヤムスク11で行われていたオムニ・スフィアの実験である(オムニ・スフィアとは簡単に言えば人間の精神を包括する広大な領域のこと)。この実験は、ラムダ・ドライバにも使用されている「TAROS」に関係する。まず、ドミトリー・ヴァロフ博士はTAROSの理論を造り上げた。精神世界を科学的に記述・利用できると考えた博士は、実際にオムニ・スフィアの存在にたどり着き、実験を小規模ながら成功させていた。

オムニ・スフィアは時間にも空間にも束縛されない精神の世界である。その中で自分の精神を移動させ、物質世界に任意にアクセスできるとすれば、その利用価値は計り知れない。未来予知、情報の自在なやり取り、あるいは洗脳や記憶のハッキング、軍事的な観点だけでも凄まじい効果を発揮する。その一つの極致と言えるのが、ラムダ・ドライバである。また、レナードもTAROSによる未来予知で、予測不可能な大規模太陽風を利用してアマルガムがミスリルを壊滅させる、という「予言」をカリーニンに渡している。現代のTAROSは、レーバテインならばアル、ダナンならばダーナをブースターとして、オムニ・スフィア転移反応を起こしている。しかし、理論構築当時にはそういった高度な技術は存在しなかったため、生物の脳を増幅装置として大量に接続していた。この実験のため、脳組織を死亡させず、活動を制御するための薬物を精製していたのが、ヤムスク11のプラント群である。

しかし、冒頭に上げた1981年のその日、全力稼動テストの最中にTAROSは暴走を起こした。この結果、TAROSから二つの強力な精神波が放射された。一つはイオタ波で、これはヤムスク11の住民の精神を汚染し、錯乱した研究者及び住民が殺し合いを始めて、結果としてヤムスク11に居た人間は全て死亡する事態となった。もう一つのタウ波は世界全土に波及し、放射から3分間の間に出生した新生児の脳に影響を与えた。この、脳にタウ波を刷り込まれた新生児たちが、ウィスパードである(この為、ウィスパードの誕生日時は例外なく1981年12月24日11時50~53分である)。ウィスパードは「ささやかれた者」という当て字が示すとおり、ブラックテクノロジーの知識を「持っている」のではなく「教えられている」のである。誕生時にタウ波によって刷り込まれたのはこの受信能力である。

この「爆心地」であるヤムスク11は、中枢に存在し、被験者となって死亡した少女・ソフィアのTAROSに残留した思念波と、そのオムニ・スフィアを通じて届くイオタ波による汚染を未だ受けている。周囲に近づいたヘリのパイロットはこの影響で錯乱し、内部を進んでいたかなめも強烈な既視感に悩まされていた。レモンは「太陽系は動いているのだから、時間的に言えば18年前のヤムスク11の座標は宇宙の彼方だ」と指摘したが、オムニ・スフィアは精神の存在が在って意味を成し、さらに地球と共に存在する世界であるため、絶対座標の指摘は意味を成さない。

ウィスパードとは正確に言うと、オムニ・スフィアの中を伝達されるある種の波により、過去と未来で情報の伝達を行える人物のことである。基本的には受け取るのみであるが、それによって「歴史の異変」が発生していた。この事実を知る人間は、この世界のゆがみを「時間災害(タイム・ハザード)」と呼称している。 そのような者達が言う「本来の歴史」とは言うなれば、我々の生きるこの歴史のことであるが、ウィスパードとオムニ・スフィアの干渉が必然であれば、本編の世界こそが本来の歴史とも言える。作中のブラック・テクノロジーも「ある技術が未来からウィスパードを通して過去に伝わる」→「その技術が発展する」→「発展した技術が再び過去へ伝わる」を何度も繰り返すことにより、異常に発達したものである。

ヤムスク11のTAROS最深部にはソフィアの「遺体」がある。これは便宜上の表現であり遺体そのものではなく、TAROSに残留した精神がその姿をオムニ・スフィアを通じて現出させているものである。ヤムスク11を未だ汚染している精神波はこれを通路として別の時代から届いているもので、この「遺体」はタウ波をイオタ波に変換・増幅するコンバーターの役目を果たしている。テッサはこれを爆破するつもりだったが、「自分の生きる世界」を求めるソフィアの「ささやき」にかなめが自意識を乗っ取られてしまったために失敗に終わっている。

そして、ウィスパードたちに「ささやき」を与えていた「ウィスパリング(ささやく者)」の正体は、未来の時間軸における千鳥かなめ(に成り代わったソフィア)である。本編の世界においてはかなめがソフィアを拒絶したことと、世界改変の要であったTARTAROSの爆破によりこの時間には繋がらなくなっている(ただし、本編世界でも千鳥かなめの危機に対し、千鳥かなめを狙っていた銃が故障する、千鳥かなめが登場していたヘリが墜落しても偶然無傷で生存するなど、レナードの推測通り、幾度となく世界が不自然な収束を見せているため、本当に繋がらなくなったかは不明である)。

SRWでの扱い

本作が参戦したスパロボの二作(JとW)でも種明かしがされる前に開発が始まっていて、それゆえに原作小説版とは全く異なるスパロボ独自の「ウィスパードの真実」を設定しており、クロスオーバーの要として扱われている。原作小説版が参戦した天獄篇にてようやく原作と同様の種明かしがされた。

Zシリーズ

第3次スーパーロボット大戦Z天獄篇
原作小説版が参戦したため種明かしが行われている。基本は同じだが、設定を多元世界に絡める形で改変されており、ヴァロフ博士による実験は「ADW初の人間の精神を利用した時空震動実験」ということになっている(また、テッサはこの理論を「趣と原理は違うが、発想はスフィアに近い」と述べている)。
さらに、原作における兵器技術の不自然さは「アーム・スレイブだけは他のロボット兵器と異なり突然変異的に技術体系が出来ている」という形で言及されている。
決着後のウィスパードについては、原作ではささやかれた知識はそのまま残っているためまだ危険が去っていないとされているが、本作ではソフィアの残留思念が消滅したことで「ささやき」そのものがなかったことになり、それに依拠するブラックテクノロジーの知識も消滅しつつあることが語られている。

携帯機シリーズ

スーパーロボット大戦J
当時はまだ原作小説が展開中であったため、詳細には触れられていない。
スーパーロボット大戦W
本作ではブラックテクノロジーの多くは古代文明に由来しており、ウィスパードについても、「もしかすると古代太陽系文明人が遺伝子内に遺したデータベースではないか」、とインファレンスが推測している。
なお、原作における兵器技術の不自然さは「無論、先人の努力の結果もある。異星からもたらされたものもある。だが、説明不能のものもある」「人型ロボット兵器を始めとして何かがおかしくなっている」と、アーム・スレイブに限らず多くのロボット兵器が何らかのブラックテクノロジーに由来していると扱われている。そして主人公機もまたブラックテクノロジーである。

VXT三部作

スーパーロボット大戦V
『第3次Z』同様、基本的には原作に準拠しているが、今回も平行世界を絡める形で改変されている。歴史の歪みに関しても、似た歴史を辿りつつも異なる歴史となった平行世界を比較する形で明確に表現している。
ウィスパリングの正体は未来の千鳥かなめではなく、新正暦世界の100年前に存在した平行世界の同一人物「サガラカナメ」であり、彼女のが戦死した事で歴史改変の研究を始め、目的は果たせなかったものの、近しい歴史を辿る平行世界(宇宙世紀世界)への扉を開き[1]、その世界の自分が幸せになれるよう、戦争という過ちを繰り返させないために自分たちの世界の英知を送っていた。しかし、皮肉なことに彼女の齎したブラックテクノロジーが、より激しい戦乱の引き金となった、というのが真相であった。
兵器技術の不自然さは新正暦世界では100年前に開発された機体が、最新鋭機と同等の性能を有しており、明らかに高性能になっているという形で言及されている。サイコミュの開発にも関わっていることも示唆されている。

ウィスパードに該当する人物

人種や得た知識は多種多様であるが、唯一の共通点として挙げられるのが前述の通り全員が1981年12月24日生まれである。

千鳥かなめ
タウ波の影響を最も強く受けた少女で、同時に「ウィスパリング」でもある。スパロボでは他作品の知識も数多く持っているという設定になっている。
ソフィア
「ウィスパリング」の正体。ヤムスク11最深部のTAROSに意識が残留していた。
テレサ・テスタロッサ
ミスリルに所属。潜水艦に関する知識の所有者。
レナード・テスタロッサ
アマルガムに所属。ラムダ・ドライバに関する知識の所有者。
バニ・モラウタ(SRW未登場)
ARXアルの生みの親。“ささやき”から更なる知識を得ようと試みた結果、精神汚染され自殺した。
クダン・ミラ
原作長編冒頭で宗介が助けた少女。初登場は第3次Z天獄篇だが、Wでもヒイロが彼女を助けている事を示唆する発言をしている。
ナミ
原作小説版に登場。ただし、作中でそのような表現があったのみで本当にウィスパードであったかは明記されていない。Vではウィスパードであると設定されている。
田中美兎(SRW未登場)
TRPGリプレイ作品『アンダカヴァ』に登場。アーバレスト2号機のコ・パイとして同機のラムダ・ドライバ発動を補助する。

スパロボでウィスパードに近い存在

スーパーロボット大戦においてはウィスパードは、試験官ベビーのホシノ・ルリスーパーコーディネイターキラ・ヤマト、「コンプリペント計画」の神先未知などのように人工的に作り出され、後天的にその才能を開花させた天才は該当しないとされている。

精神のみで会話できるという一点のみではニュータイプイノベイターも近い存在と言える。

また、『スーパーロボット大戦W』においては、古代太陽系文明の知の記録者こそが、ウィスパードであるという設定がなされている。

木原マサキ
原作におけるウィスパードの定義には当てはまらないのだが、Jではウィスパードである可能性を示されている。
Dr.ヘル
Wにて、独力で数々の古代の兵器を蘇らせたその頭脳はウィスパードに匹敵するものとして、知の記録者に迎え入れられた。

脚注

  1. 同時に、ヴァロフ博士の実験が新正暦世界への扉を開いたのも要因。