スコープドッグ

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ATM-09-ST スコープドッグ(Scope Dog)

ギルガメス軍の主力AT。

ATM-08-ST「スペンディング・ウルフ」をベースにアストラギウス暦7198年にメルキア軍の開発局においてアデルハビッツ社を中心に開発され、7213年の第三次銀河大戦(百年戦争)終結までに1000万を越える機体が生産された史上最高の名機である。百年戦争において最も普及した、アーマード・トルーパーの代名詞的存在であり、戦争の形態を大きく変貌させてしまった歴史に残る新兵器、そして百年戦争に、より一層の殺戮と混迷をもたらした最低の兵器として評価されている。

それまでの初期型ATで培われてきた数多くの新機構が集約されたATの決定版とも呼べる完成度を誇り、後に『ドッグ系』に連なる数多くの試作後継機が誕生している。また、この機体の開発に伴って、メルキア軍はAT開発のための様々なノウハウと幾多の特許を取得し、以後の戦争を左右するATの開発生産に関して独占的な立場に付くことになった。連合内では新参にあたるメルキアがギルガメスの首都星の座に就いたのは、スコープドッグの開発も大きな要素となったと言える。

反面、機動性を優先したがために装甲は非常に薄い。(最大装甲厚はなんとたったの14㎜! 仮に普通鋼だとしたら、歩兵に10m程度まで接近されると、対人銃であるアサルトライフルに蜂の巣にされるレベル)しかもその機動力も時速41kmと乗用車にも劣り(最高速度は時速82km。やはり乗用車より遅いが)、ポリマーリンゲル液の可燃性対策も皆無、パイロットの生命維持機能はすべて専用の耐圧服頼みと、効率重視かつ人命軽視のコンセプトが甚だしく「ボトムズ(最低野郎共)」の蔑称で呼ばれる一因となっている。

STのコードが付けられた標準型の他に、様々な改良型や数多くのバリエーションが産み出され、ほぼあらゆる戦場で活躍した。百年戦争の末期には既に旧式化が囁かれていたが、余りにも普及した機体故に世代交代が進まぬまま(言い換えれば、それだけ優れた総合性能と完成度を誇るともいえる)第四次銀河大戦の開戦を迎え、ATM-09シリーズはその戦争再開後も数十年に渡って第一線で活躍する。

キリコにとってもメルキア軍入隊当初から一番乗り慣れた機体であり、機体を選べる状況であればこのスコープドッグ系列の機体に好んで搭乗している。生き残る手段としてキリコにとって非常に信頼が深い機体であり、暇さえあればスパナを片手に整備を行い、クメンでは温地戦向きで高性能のダイビングビートルを蹴ってスコープドッグの改造をゴウトに依頼したりと破損すればあっさり乗り捨てるボトムズシリーズのイメージとは裏腹に他のロボットアニメとは形は違えど非常に愛着が強い。 ギルガメス軍の標準カラーは緑とベージュ、その中でもメルキア軍精鋭部隊の機体は薄紫の塗装となっている。

登場作品と操縦者

Zシリーズ

第2次スーパーロボット大戦Z破界篇
初登場作品。通常型に加えて武装が異なる機体や、メルキア軍カラーやレッドショルダー仕様機といった数々のバリエーションが登場する。ゲーム中でも指摘されているとおり、機体そのものは弱いと言えるがキリコが搭乗することで凄まじいまでに性能が跳ね上がる。
余談だが、原作再現の演出とは言え、換装の度に左肩が赤く塗られたり右肩が赤く塗られたりする。なお、スコープドッグは顔が左右非対称なので、敵版は別にグラフィックが用意されている。
第2次スーパーロボット大戦Z再世篇
第3次スーパーロボット大戦Z時獄篇
前作同様キリコ機とメルキア軍カラーが登場。今回キリコ機はマシンガンとアサルトコンバットが無く、ソリッドシューターを装備している。
なお、キリコ機は明言されていないが、全身が単色グリーンとなっているため、実質スコープドッグII仕様…と言いたいが、初登場話で完全破壊された上に、直後にキリコが敵地でスコープドッグを強奪して再出撃した事から、塗装だけスコープドッグIIが正しいと思われる(しかもゲームシステムの都合でするとただのスコープドッグ準拠の塗装になる)。

単独作品

スーパーロボット大戦Operation Extend
当然登場するのだが、今回通常タイプのスコープドッグは手に入らなかったりする。

装備・機能

武装・必殺武器

格闘兵装

アームパンチ
カートリッジ式の炸薬で腕を高速伸縮させ、パンチの威力を高める固定兵装。使用後には薬莢が排莢される。ヘヴィマシンガン等はケースレス弾を使用しているのか排莢の描写はなく、この武装のローテクさをアピールしている。

射撃兵装

GAT-22 ヘヴィマシンガン
スコープドッグの標準的携帯火器。液体火薬を使用した30mm機銃弾が120発装填され、連射および単射が可能。オプションとしてグレネードランチャー発射筒が装備出来る。キリコの搭乗するスコープドッグには、ほとんどの場合装備されている。
第2次Z 破界篇ではほとんどが連射しているが、キリコ搭乗機は狙って単射する(TC・LRSのみ連射)。
劇中では薬莢を排出している様子が見られないので、前述のとおりケースレス弾を使用しているものと思われるが、液体火薬を使用しているので湿気で不発になることはない。
GAT-22-C ヘヴィマシンガン改
GAT-22ヘヴィマシンガンの各種カスタムタイプ。一般的には、銃身の短縮とストックの省略が施されたショートバレル型を指す。
これは重量が軽く銃身が短い事から取りまわしに優れ、ジャングル戦や接近戦でよく使用された。キリコ機以外が装備している場合が多く、混戦時などでの個体識別に役立つ。ちなみに正式名称は無い。
GAT-35 ロッグガン
ATが扱える唯一のエネルギー兵器。破壊力は絶大だが、エネルギーチャージや取りまわしに問題があるため、主に対艦用火器として用いられる。原作アニメでは、第1話で1回だけ使用されたのみの非常にレアな武器である。
GAT-49 ペンタトルーパー
AT用のマルチハンドガン。装弾数が6発と少ないながら、ロケット弾や50mmAP(徹甲)弾など弾種が豊富で、重火器を携行出来ない、あるいはその必要性がない部隊(空挺部隊や憲兵隊など)を中心にかなり普及している。
アニメ版ではサブマシンガン的な扱いとなっており、装弾数もヘヴィマシンガン並になっている。
HRAT-23 ハンドロケットランチャー
装弾数11発の4連装ロケットランチャー。ヘビィ級ATのトータス系列の機体の装備と共通のもの。新しめの資料にはハンディロケットランチャーと記述されている事もある。
SAT-03 ソリッドシューター
バズーカ型の火器で、設定では弾体を電磁カタパルトで発射する、いわゆるレールガンであるとされるが、火薬式との複合型もあるのか現実のバズーカなどと同様爆炎が描写される場合も多い。反動が少ないため宇宙空間で活動する機体によく装備される。
SMAT-38 ショルダーミサイルガンポッド
手持ち式の9連装大型ミサイルランチャー。

必殺武器

アサルト・コンバット
第2次Zで採用された、複数の武装でのコンビネーションアタック。RM以外の全てのキリコ機で使用可能。
各機で攻撃方法が違うのはもちろんだが、実は召喚される地形も変わる。基本的に各機体が作中で活躍した地形をイメージしたものになっているが、どれも最後は炎に包まれる

移動タイプ

サイズ

S

カスタムボーナス

全ての武器のCRT+30
第2次Z破界篇
移動力+1、全ての武器のCRT+30
第2次Z再世篇第3次Z

主なバリエーション機

スコープドッグRM
ラウンドムーバーザックを装備した宇宙戦対応型。
スコープドッグ・レッドショルダーカスタム
治安警察との戦いで使用したカスタム機。本来のレッドショルダー仕様とは異なる。
パープルベアー
ステレオスコープを備えた偵察・観測用の機体。バトリングでもよく用いられる。用途の影響か装甲も薄く速度もイマイチ。
ストロングバックス
STCタイプと呼ばれる装甲強化型。生存性の高さからバトリングでも人気の機体。
ブルーティッシュドッグ
パーフェクトソルジャー専用にチューンナップされた特別機。固定武装のガトリングアームが特徴。
マーシィドッグ
湿地戦仕様。ハイドロジェットと浮き袋の装備によって水上戦が可能となっている。
スコープドッグII
別名「スペース・アサルト」。宇宙戦に特化されたタイプ。
スコープドッグRS
レッドショルダーに配備されていたチューンアップ機。リーマン少佐用の指揮官仕様機も存在している。
スコープドッグ・ターボカスタム
ジェットローラーダッシュ機構を備えた高機動型。
ライト・スコープドッグ
装甲と装備を極限まで削ぎ落し、運動性と追従性に特化したカスタム機。設定上は時速100㎞以上の高速を出せる。
ベルゼルガ・イミテイト
クエント人専用のAT「ベルゼルガ」を模したカスタム機。もちろん、パイルバンカーは装備している。
バーグラリードッグ
荒地戦仕様機。不整地走破用のソリを備える。キリコが搭乗した機体は強襲戦用の重武装を施している。
スコープドッグ雪上戦仕様
アイスブロウワーと呼ばれるかんじきと凍結防止装備を備えた寒冷地専用タイプ。
スコープドッグTC・ISS
メルキア情報省特殊部隊に配備されていた宇宙戦用のターボカスタム。
スコープドッグ (ショルダーミサイルポッド)
両肩にショルダーミサイルポッドを装備したタイプ。

関連機体

スペンディングウルフ
SRW未登場の前身機種。『送り狼』の名に恥じぬ、コストがかさむほどの高い生存性が最大の特徴。おかげで作戦成功率も非常に高いので前線では大人気だったがコスト面を問題視され、生産は少数にとどまった。
生産性優先のために、この機体から搭乗者の人命に関わる装備をオミットしたのがスコープドッグである(実は、機体性能の差は殆どなかった)。スコープドッグの名は『狼』に劣る『犬』という意味であるとも言われている。
グラントリードッグ
ギルガメス軍の次期主力試作AT。後のヘビィ級ドッグ系列機の祖となる機体。秘密結社に試作機が奪われ、機密保持のために開発計画は中止となった。ブラッドサッカーは本機の発展系とも名前を変えただけの同一機体とも言われる。
ブラッドサッカー
ザ・ラストレッドショルダー』に登場した、新型ヘビー級ATの試作機。スコープドッグの系譜に連なる機体なのだが、「ドッグ」の名を冠していないのは機密の都合とも言われている。
秘密結社の協力を取り付けたペールゼンが終戦後かき集めた、元レッドショルダー隊員が搭乗していたためか、レッドショルダーの部隊章がしっかりと記され、右肩もご丁寧に真っ赤であった。この機体の完成型が、後にイプシロンが駆る『ストライクドッグ』であり、さらに『ラビドリードッグ』へと続く。
デスグィード
機甲武装Gブレイカーに登場するFTで、スコープドッグに似ている。

余談

  • 3連ターレットスコープが突き出している頭部の形が「蛸」を連想させるため、ボトムズシリーズファンからは「スコタコ」の愛称で呼ばれている。
  • 日本のとある鍛冶造形作家が、鉄を加工して(無可動機ではあるが)実際に1/1スケールのスコープドッグを制作したことがあった。この機体は左腕がクロー付きのガトリングガンになっており、「スコープドッグ ブルーティッシュカスタム」と呼ばれている。
  • 現実の兵器で最も生産数が多いのは、戦闘機だとドイツのメッサーシュミットBf109(約35000機)、戦車だと旧ソ連のT-55戦車(ほぼ同型機のT-54も含めて推定10万輌程度)とされている。この点を鑑みても、本機の生産数(およそ1000万機以上!)がいかに桁外れであるかがわかる。
  • 『ガンダムビルドファイターズトライ』(SRW未参戦)に登場するガンプラであるハイモックは、機体色が(キリコが搭乗する)スコープドッグと同じ緑色で、外見が似ている(ただし、ハイモックのカメラアイは3連ターレットスコープではなくモノアイであるという相違点も存在するが)。
    • ちなみに同作第11話に登場した実物大モデルのハイモックは、コックピットハッチの開閉構造および降着姿勢がスコープドッグのそれと同じであった。おそらく、制作スタッフはスコープドッグを意識しているのだろう。

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