ムネタケ・サダアキ
ムネタケ・サダアキ(Sadaaki Munetake)
地球連合宇宙軍提督。フクベとは軍時代の同僚で、第一次火星会戦においては、フクベと共に連合宇宙軍第一艦隊旗艦リアトリスに乗艦していた。キノコ状の髪型とオネエ口調が特徴という気色悪い外見な上に、保身と独善に満ちた傲慢な発言が多いという一種の嫌われるタイプであるが、組織の人間としては真面目で忠実な人物で、宇宙連合軍の意向に逆らう素振りは見せない。しかし、優秀な軍人である父親に憧れ、連合宇宙軍提督となる道を選んだり、精神的には追い詰められた時には少年時代の父との写真を見つめる等、どこか純粋で繊細な面もある。
ナデシコを接収するという軍の命令を受けたことで、上官であるフクベの意向に反し、武装した部下を率いてナデシコを一時占拠し反対するクルーを捕縛するも、アキトたちの反攻とユリカの機転で艦を奪い返され逆に捕虜となる。しかし、防衛衛星での戦闘のどさくさに紛れて部下と共に脱走を図り、運悪く目撃したガイを射殺した。
後にネルガルと連合宇宙軍が協定を結んだことで、ナデシコが宇宙軍に編入された後は、図々しくも提督として戻ってくる。事あるごとにナデシコを「アタシのナデシコ」と言っていたり、自分の意に全く従わないクルー達の行動や態度にヒステリックになっていることで、クルー達からは完全に目の上のタンコブ扱いされており、南国の島「テニシアン島」での休息の際には、埋められて何度も波に飲まれた挙句、置き去りにされてしまうという仕打ちを受けている。
木星蜥蜴の正体が人間であることを知った際には、パニックを防ぐために秘密裏に捜索を行うことを命令するが、後にその事実を連合宇宙軍がネルガルと共謀し隠蔽していた事実をエリナから聞かされて、酷く動揺する。ムネタケが非道な手段を行使してきたのも、連合宇宙軍が地球の正義であると信じていたからこそであったが、その先にあったのは、木星蜥蜴が木連として攻撃してきた原因が連合宇宙軍にあったという実態と、それらの最重要極秘事項をナデシコのクルーに漏洩してしまった責任で降格されるという、理不尽な仕打ちだけであった。
それまで信じていたものに手酷い裏切りを受けてしまったムネタケは、精神の拠り所を失ったことで追い込まれていたが、ウリバタケがこっそり製作していた「Xエステバリス」で自身の復権を図ろうとする。しかし、心の何処かで罪悪感を覚えていたガイ射殺の事実をアキトに突きつけられ、更にはXエステバリスが失敗作に終わってしまい、完全孤立してどうにもならなくなってしまったムネタケは、ノイローゼ状態にまで陥ってしまう。その後、完全に自暴自棄になったムネタケは、自らにIFSを打ち込み、その幻覚作用によって合流したドッグ艦のコスモスを敵と誤認。ゲキ・ガンガーの歌を歌いながらXエステバリスで出撃してしまう。失敗作であったXエステバリスは、当然自己崩壊を始めていくが、ゲキ・ガンガーに乗って助けに来たガイの幻を見たムネタケは、涙を流しながら感謝の言葉を言って、「ゲキガン・フレア」の叫びと共にオーバーロードで自爆し散った。
序盤から中盤にかけてはただの嫌味なキャラクターでしかなかったが、その最後が描かれる第17話ではムネタケの人間的な弱さも描かれ、自らの信じた正義に裏切られて居場所をなくし、孤独死に等しい結末を迎えた末路には、視聴者に哀れみを抱かせずにはいられないものがあった。
小説版でも大体映像作品と同じ役回りだが、第17話のエピソードが省かれてる都合上死亡する展開は直接描かれず、エピローグで木連との戦争の最中に戦死した事が語られるのみ。
登場作品と役柄
携帯機シリーズ
- スーパーロボット大戦BX
- 久々に登場。今回は序盤から自軍に同行する。
COMPACTシリーズ
- スーパーロボット大戦IMPACT
- 初登場作品。アキトをナデシコから追放する際に登場。NPC扱いで大した絡みは描かれない。
人間関係
- テンカワ・アキト
- 自らの口にした一言が原因で、自身がガイを射殺した事実を知られてしまう。そのことを追及された際には「正当防衛」と一蹴している。後に自身のガイへの言葉と共に散る姿を目撃したとき、アキトの表情は呆然としていた。
- ダイゴウジ・ガイ
- ナデシコからの脱出の際、見つかった弾みとは言え彼を射殺してしまう。この件は部下の一人に自供させて軍事法廷で部下の責任としているが、内心では自らの行いに罪悪感を感じてもいたようで、後の最後の時の台詞からも、その本心が垣間見えている。
- ウリバタケ・セイヤ
- 彼が費用をちょろまかして開発していたXエステバリスを「エステバエックス」と呼称して、復権のために利用するも開発は失敗に終わってしまい、それによってムネタケはXエステバリスで暴走してしまう。死後、自らの迎えた末路からも同情されていた。
- ミスマル・ユリカ
- 彼女に悪意は一切ないのだが、最後の希望であるXエステバリスの開発を失敗に終わらせたウリバタケを責めた際に、笑顔でばっさりと切り捨てられてしまった。
- フクベ・ジン
- 同僚。第一次火星会戦の際には、彼と共にリアトリスに乗艦していた。後にナデシコを制圧する事で、袂を分かつことになった。
- エリナ・キンジョウ・ウォン
- 彼女から、木連の存在を隠蔽していた宇宙連合軍の実態を聞かされ、酷く動揺することになった。
- リュウ・ホウメイ
- ナデシコの料理班班長。自らが命を落とす直前、彼女の前で自らの弱さを見せ、それが正常時のムネタケの最後の会話となった。
- ムネタケ・ヨシサダ
- 地球連合宇宙軍参謀で、ムネタケの実父。ムネタケにとっては憧れの存在で、息子と正反対で軍人としては優秀。TV版では写真のみでの登場であるが、劇場版ではミスマル・コウイチロウの参謀として登場する。
- ホシノ・ルリ
- 小説版によればガイを射殺した犯人である事を早い段階で察されていた模様。
名台詞
- 「アタシは、アタシの為なら何でもするの!」
- 自らの復権のために形振り構わない姿勢を見せるムネタケが叫んだ台詞。図らずも、この言葉がアキトにガイ射殺について気付かされる切っ掛けとなっている。
- 「…アタシにもあるのよ…正義はあると信じていた頃…あったのよ」
- 望みを全て失ったムネタケが、ゲキ・ガンガーのアニメを見ながらホウメイの前で呟いた台詞。しかし、自らの信じた正義である宇宙連合軍の実態は、過去の不正を隠蔽することに躍起になっている集団に過ぎなかった。これがムネタケが正常時に呟いた、最後の台詞となった。
- 「敵だわ…」
「エステバエックス発進よ…!」
「レッツ!ゲキガイン!!」 - 自らの体内にIFSを打ち込んだ幻覚作用によって、ドッグ艦のコスモスを敵と認識してしまった際の台詞。明らかに挙動のおかしくなってしまったムネタケに、全員が呆然としていた。
- 「守るべき正義は、厳然として存在する!そして、それを阻まんとする悪もまた然り!正義の力を思い知れ!」
- コスモスをXエステバリスで攻撃しようとした際に叫んだ台詞。これは、ムネタケが胸中の何処かで思い描いていた信念を現した台詞であったのかもしれない。
- ムネタケ「ゲキ・ガンガー…!」
ガイ「正義の味方が応援に来たぜ…!」
ムネタケ「そ、その声は…」
ガイ「そう…もはや、魂の名前と、いちいち断らなくてもよくなったダイゴウジ・ガイ…ここに見参…!!」
ムネタケ「助けてくれるの…このアタシを?」
ガイ「正義の味方は…過去に拘らねぇよ…。さあ、勇気を出して、俺と一緒に正義を貫こうぜ!!」
ムネタケ「ガイ…」
ムネタケ「ありがとう…ガイ…」 - IFSの幻覚作用によって、ゲキ・ガンガーに乗って自らの前に現れたガイの幻影との会話。この会話からも、ムネタケは心の何処かでガイを射殺してしまったことに悩んでいた模様。最後のガイへの感謝の言葉だけは、ナデシコのメンバー達に聞かれる事になった。
- ガイ「さあ、いこうぜ…」
ムネタケ「うん…」
ムネタケ「ゲキガン・フレアァァァーーーーーッ!!!!!」 - ガイの幻覚と和解したムネタケの最期。「ゲキガン・フレア」の名を叫びながら、コスモスに向けてグラビティ・ブラストを発射したムネタケは、オーバーロードによってXエステバリスと共に宇宙に散った。