フル・フロンタル
フル・フロンタル(Full Frontal)
ネオ・ジオンの残党を糾合した組織、通称「袖付き」の首魁を務める謎の仮面の男。その名は「丸裸」を意味する。一年戦争時におけるシャア・アズナブルを彷彿とさせる外見や声を持ち、「シャアの再来」と呼ばれている。仮面の下の素顔もシャアに酷似しており、額には一年戦争末期においてアムロ・レイとの死闘で負った傷と同じものがある。
かつての指導者であったシャアが失われた事で、ジオン独立の理想が消えつつあったネオ・ジオンの残党兵達にとっては希望の象徴ともいえる存在になっており、絶大なカリスマ性を発揮している。
また、モビルスーツのパイロットとしての能力や技術も非常に優秀であり、アナハイム・エレクトロニクスとの裏取引で奪取した、サイコフレーム搭載である真紅のMSシナンジュを駆る。
地球連邦の存続事態を脅かし得る程の強大な「力」を持った「ラプラスの箱」やその鍵を握るユニコーンガンダムを巡り、バナージ・リンクスやロンド・ベルと激突を繰り返す事になるが、箱の利用方針に関しては、ザビ家の遺児でシャアの忘れ形見とも言えるオードリー・バーン(ミネバ・ラオ・ザビ)と、対立している。
謎めいた言動の多い掴み所の無い人物で、時には味方にとっても理解しきれない部分を見せる事がある一方、シャア・アズナブル本人にしか知りえない独白や経験を知っている節を見せる事等もある。
シャアに似すぎた外見や特徴を持っているものの、シャアを「敗北した人間」と見下し、自身を「宇宙民の意志を受け入れる『器』」とまで豪語しているフロンタル自身の言動からも分かるとおり、シャア本人ではない。また、仮面で素顔を隠しているのも、フロンタル本人曰く「ファッションのようなもの」に過ぎないらしく、バナージの依頼であっさりと外していたりする。
本物のシャアを実の父親の様に慕っているオードリー(ミネバ)からは、ネオ・ジオンの民達が望むならシャアを演じようとする姿勢に対し、「空っぽな人間」とまで嫌悪されている。人格的にどこか青臭さを残したシャアと異なり遙かに強かな性格で、大人であるということを平然と武器にしてくる。
登場作品と役柄
Zシリーズ
- 第3次スーパーロボット大戦Z時獄篇
- 初登場作品。今回はフロンタルが「敗北した人間」と評するシャアその人と共演することになる。
- 「シャア不在時の影武者として活動し、声や姿もシャアそっくりに作られた人間」という原作ネタバレに近い設定で登場している。シャアと似たような声、ということで戦闘画面も聴き比べてみると徹底的に演技わけがされている。放映当時は似ている、シャアより大人であるという印象がシャア・アズナブル本人と共演することでより如実に表れている。当然であるが池田秀一氏の技量が凄まじいものであると裏付けてもいる。
パイロットステータス設定の傾向
能力値
影とはいえ「赤い彗星」と呼ばれるだけあり、すべての能力が高水準の強敵。特に射撃・回避・命中に優れる。
精神コマンド
特殊技能
- 強化人間L9 底力L4 指揮官L4 サイズ差補正無視L3 マルチターゲット 気力+ボーナス ガード 2回行動
- 先頭に「強化人間」。確かに設定上「ニュータイプ」をつけるわけにはいかず、強敵ぶりを能力補正で再現するにはこうするしかないのだが、ある意味正体がバレバレである。似たような前例はあるにはあったが。
- データ的に見ると長所を十全に生かすラインナップであり、こちらのタッグをビームライフルでバタバタ打ち落としに来る上、こちらが何かするたびにどんどん気力が上がっていく。
人間関係
機動戦士ガンダムUC
- オードリー・バーン(ミネバ・ラオ・ザビ)
- 「ラプラスの箱」を利用する方針に関して彼女とは対立する。また、彼女からはシャア・アズナブルを演じようとする姿勢を嫌悪されており、「空っぽな人間」と酷評されている。
- バナージ・リンクス
- ユニコーンガンダムを巡って対立はするものの、フロンタル自身は彼個人にも色々と興味を持っている模様。
- アンジェロ・ザウパー
- 自身の親衛隊の隊長で腹心的存在。絶望的な状況から救った事で、個人的にも心酔されているが、自身がバナージに興味を持った事に大きく嫉妬する事になる。
宇宙世紀作品
フロンタル自身はともかく、彼の演じているシャアと因縁のある登場人物は多いので、その者達がフロンタルにどういう反応を示すのかが気になる所である。
- シャア・アズナブル
- 自らが演じている存在。両者の外見や声(ちなみに、声優はフロンタルと同じ池田秀一氏)等があまりにもよく似ている。また、フロンタル自身はシャアを「敗北した人間」と見下し、自らを「宇宙民の意思を受け入れる器」と豪語しているが、所詮は「他人の念仏で極楽参り」をしているに過ぎないので、説得力はあまり無い。
- 時獄編では彼と共演。フロンタルの立ち位置は「シャア不在の間の影武者」という設定になっており、シャアの帰還後は退いている。終盤では、スペースノイドの旗頭ではなく人類すべてを救おうとした彼を「赤い彗星の偽者」と断じ、自らを真の赤い彗星としてアクシズ落としを行う。
- アムロ・レイ、カミーユ・ビダン
- 片や1年戦争、片やグリプス戦役当初からシャアと関わって来た男達。シャアの模倣であり、同時にその意志を否定するフロンタルに対しては激しい敵意を向けている。特にカミーユは、戦闘デモではシャアと相対した時以上の剣幕で全否定しており、相当腹に据えかねたことが伺える。
名台詞
- 「当たらなければどうということはない」
- ユニコーンのビーム・マグナムを易々と回避して。かつてのシャアと同じ台詞を口にする。
- 「過ちを気に病むことはない。ただ認めて、次の糧にすればいい。それが、大人の特権だ」
- OVA版第2巻より。シャアの名台詞「認めたくないものだな。自分自身の若さ故の過ちというものを…」と対を成している。
- 青臭さを残しているシャアと異なり、「したたかな大人」であることを武器にするフル・フロンタルを象徴する台詞の一つ。
- 「今の私は自らを器と規定している。宇宙に捨てられた者の想い・・・ジオンの理想を継ぐ者たちの宿願を受け止めるための器だ。」
- 「彼らが望むなら私はシャア・アズナブルになる。このマスクはそのためのものだ」
- バナージに「あなたはシャア・アズナブルなのか」と問われて。
スパロボシリーズの名台詞
-->
搭乗機体
- ギラ・ドーガ
- シナンジュに乗る前の搭乗機。ちなみに、機体の色は赤である。
- シナンジュ
- 専用機。アナハイム・エレクトロニクス社製で、サイコフレームの搭載機でもある。