「尾瀬イクミ」の版間の差分

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: 「皆を守る」と言いながらも、その実イクミが守りたかったのは「自分自身の心」だけであったという現実を受け入れたくなかった事から、自分の過ちも、ヘイガーやファイナ、こずえに利用されていた事実の責任さえも押し付ける形で、自分と向き合うことを止めない相葉昂治を「最大の敵」として殺そうとする。
 
: 「皆を守る」と言いながらも、その実イクミが守りたかったのは「自分自身の心」だけであったという現実を受け入れたくなかった事から、自分の過ちも、ヘイガーやファイナ、こずえに利用されていた事実の責任さえも押し付ける形で、自分と向き合うことを止めない相葉昂治を「最大の敵」として殺そうとする。
 
;「俺…俺…姉さん自殺しちゃって、愛し合ってたのに、駄目だって。だから…今度はちゃんと守るって…だから、だからっ」
 
;「俺…俺…姉さん自殺しちゃって、愛し合ってたのに、駄目だって。だから…今度はちゃんと守るって…だから、だからっ」
: 2度目の昴治殺害を祐希に阻まれ、3度目の昴治殺害の際、ゲシュペンストが救助に転じて、こずえからも説得されたことで独裁体制に終止符が打たれる。全てのものに押し潰されたイクミは許しを乞うかのように自身の過去を口にするが、そんなイクミをこずえは拒絶。その代わりに、昴治が介抱するのだった。
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: 2度目の昴治殺害を祐希に阻まれ、3度目の昴治殺害の際、ゲシュペンストが救助に転じて、こずえからも説得されたことで独裁体制に終止符が打たれる。全てのものに押し潰されたイクミは許しを乞うかのように自身の過去を口にするが、そんなイクミをこずえは拒絶。その代わりに、昴治が介抱する。
: 結局のところ、イクミが独裁や殺人をしてでも守りたかったのは、こずえでもリヴァイアス乗組員でもなく、「姉・カオリが自殺したことで傷を負った自分自身」であった。
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: ようやく、自分が独裁や殺人をしてでも守りたかったのは、こずえでもリヴァイアス乗組員でもなく、「姉・カオリが自殺したことで傷を負った自分自身」であったことに気づいた様子だが、そこに至るまでに犯した過ちは小さなものではなかった。
 
; 「悪かったよ…」
 
; 「悪かったよ…」
 
: sere26(第26話・最終回)より。こずえとの再会に最後の望みを懸けて、リヴァイアスに再乗艦したイクミは成長した昴治と和解し、自身も立ち直り始めるが、昴治と共にケンカを仲裁した後、昴治からリヴァイアスでの独裁を冗談とはいえ蒸し返される。それに対し、イクミは上記の台詞で返答するが、過去は消えないことを改めて知ったイクミがリヴァイアス内でやり直していけるかは、本人の心がけ次第であろう。
 
: sere26(第26話・最終回)より。こずえとの再会に最後の望みを懸けて、リヴァイアスに再乗艦したイクミは成長した昴治と和解し、自身も立ち直り始めるが、昴治と共にケンカを仲裁した後、昴治からリヴァイアスでの独裁を冗談とはいえ蒸し返される。それに対し、イクミは上記の台詞で返答するが、過去は消えないことを改めて知ったイクミがリヴァイアス内でやり直していけるかは、本人の心がけ次第であろう。

2018年7月15日 (日) 18:18時点における版

尾瀬イクミ
読み おぜ いくみ
外国語表記 Ikumi Oze
登場作品 無限のリヴァイアス
声優 関智一
デザイン 平井久司
種族 人間
性別
生年月日 2209年12月12日
年齢 16歳
出身 木星
身長 175.0 cm
血液型 A型
所属 リーベ・デルタ第二操船課専攻
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概要

リーベ・デルタ第二操船課を専攻する木星圏出身の少年。リーベ・デルタの時から昴治とコンビを組んでいるルームメイト。

少々軽めだが、明るくリーダーシップのある性格をしており、第二操船課においては祐希に次ぐ第2位の実力を持つため、ヴァイタル・ガーダー(以下V.G.)の操縦チームにおけるリーダー的存在になっていく。腕っぷしも強く、1人で複数の男子を叩きのめしてもいる。一方で、その背景には不明な点も多く、名家の出自でありながらリーベ・デルタへは自費で入学しており、「尾瀬イクミ」という名前も偽名である(本名は不詳)。

彼の抱えている秘密。それは、実姉・尾瀬カオリと近親相姦の関係となり、それを知った父親の手で引き離され、カオリは半ば無理矢理嫁がされた末に自殺したという壮絶なものだった。この出来事で背負ったトラウマから、「人の死」に対して、過剰な反応を示す様になっている。それに加えて、今でもカオリが最愛の女性であることから、自分に好意を寄せてきた和泉こずえとの関係も中途半端なものとなってしまい、それが災いして、こずえの集団暴行事件を招く事になった。事件後、報復としてこずえを暴行した者達(ただし男子のみ)を叩きのめし、こずえを見捨ててしまった市川レイコを暴力で脅す形でグループから追放。また、ディカスティア戦で与えられた役目を果たせなかった昂治とも、その関係が険悪化する一方となった。

その後は、こずえと共に士官部屋で暮らし始めるが、髪を下ろした彼女の姿をカオリと重ねてしまったことで彼女へ依存するようになる。こずえの一件からリヴァイアス艦内で問題行為を行う者達を問答無用で断罪する私刑行為に走るも、既に個人の力で解決出来るレベルを超えている上に、求心力を失ったツヴァイに対しても苛立ちを募らせていき、更には「暴力を振るう者を暴力で黙らせる」という自分自身の行動に大きな矛盾が伴っている事にさえ気付いていなかった。そんな中、こずえの言葉に誘導された事で、エアーズ・ブルー政権が一番安定していたと悟ると、リフト艦を占拠してV.G.を起動させ、「艦内での暴力行為禁止」の宣言と共にリヴァイアスの艦内にいる乗組員全員を恫喝。それに賛同したシュタイン・ヘイガーに言われるまま、暴力事件の起こった「156区画」へ直接的な物理攻撃を実行し、イクミ政権の指導者として、力による恐怖政治を展開していく[1]

イクミ政権となってからはリヴァイアスに秩序をもたらすべく、それまでとは打って変わって高圧的な態度や振る舞いとなり、敵と戦闘を行うリフト艦メンバーが直接リヴァイアスを支配する体制をとり、ツヴァイはその傘下組織として従えるが、自身の行いにどうしても納得出来なかったユイリィ・バハナは「決別」という形でブリッジを去っている。ブルー政権以上に厳格となったポイント制度だけでなく乗組員の階級差別化までも導入する事で、リヴァイアスに貢献していないと見なしたメンバーは身内であろうとも容赦無く下位ランクへと落とし、武闘派で構成したガーディアンズによる監視及び・制裁によって反乱分子を徹底的に駆逐していく。だが、ただでさえ暴力と恐怖で押さえつけているやり方をしていながら、「暴力問題を0%にしろ」という現実的に不可能な命令を下しており、二十日間という期間限定とはいえ、これまで以上に過激となったやり方は、自身の気付かない内に下位ランクと上位ランクの軋轢が深刻なまでに悪化させる事になっていた。結局の所、ヘイガーやファイナ・S・篠崎らは元より、拠り所となっているこずえにすらも良い様に利用され続けている上、イクミ自身「皆を守る」とは裏腹に、こずえ一人を守ることしか考えられなくなっていた。その無自覚さは、自身を何とか止めようとした昂治に逆上して、ニードルガンで瀕死の重傷を負わせた上、本性を曝け出したファイナが昂治を「過去」にしようとしたり、ヘイガーの独断で下位ランクの乗員を殺しかける事態にまで発展する。

灰のゲシュペンスト戦後、唯一の防衛手段でリヴァイアス支配を維持する為の重要な「力」であったV.G.を無茶な運用で失った結果、自分への不満を顕にしたブライアン・ブラブ・ジュニアをニードルガンで撃ち、その場にいた他のメンバーも恫喝するが、負傷を押して現れた昂治から「投降するしかない」と諭され、自分の知らない間にリヴァイアスで起こっていた事実も聞かされる。しかし、自らを否定したくない事から逆上し、昂治を今度こそニードルガンで殺そうとするが、兄の覚悟に心を動かされた祐希や救助に転じたゲシュペンストクルーに加え、こずえにも止められたことで沈黙。本当に愛していた姉・カオリを喪ったことからの行いを懺悔し、泣き崩れる事になった。

事件後は改心しながらも抜け殻と化しており、こずえに会うことも叶わずにいた。こずえとの再会に望みを懸けて、リヴァイアスに再乗艦しながらも事件時の罪悪感から抜け殻のままだったが、昴治のおかげで立ち直り始め、こずえとも再会できた。

登場作品と役柄

単独作品

スーパーロボット大戦X-Ω
初登場作品。2017年4月のイベント「じぶんらしくあるために」では、終盤の独裁者モードで登場しており、原作通りに暴漢を叩きのめすシーンがある。ヘイガーやファイナが登場しないため、事実上のリヴァイアスの支配者になっているが、原作に比べれば、人間性を保っている。
2017年8月のイベント「信じる心」では、和泉こずえを助けるために他のリヴァイアスメンバーを一度は裏切るが、こずえの安全を確保した上で他のメンバーを助けるためにヴァイタル・ガーターを動かす。この際、裏切り者と罵られると覚悟をしており、自分のやっていることを理解した上で行動している。

人間関係

家族

尾瀬カオリ
実の姉。彼女からの求愛を受けて肉体関係にまで至ったが、父親によって引き離され無理やり嫁がされた後、イクミ以外の男と結ばれる事に耐えられず自ら命を絶つ。そのトラウマと姉の死に向き合えないことからイクミは「人の死」というものに対して過敏となっていった。
バラの花が好きであったことから、リヴァイアス事件後のイクミは、昴治に謝罪を込めて姉が好きだったバラの花を贈っている。
イクミとカオリの関係を知り、カオリを無理やり嫁がせるが、その結果、カオリの自殺を招いてしまう。短命の人間を押し付けるかのように嫁がせた辺り、父親は父親で問題があったといえなくも無いが、かといって実の弟であるイクミとの近親相姦を認めてしまう訳にもいかなかった結果、苦渋の決断であったのかもしれない。

相葉兄弟

相葉昴治
リーベ・デルタ時代からのルームメイト。仲は良かったのだが、次第にリヴァイアスの取り巻く状況の悪化や乗組員達への人権に関する考えで対立するようになる。独裁者になった後は、あくまでも自分の信じる考えを変えようとしなかった彼の存在自体に激しい憎悪さえ覚えるようになり、必死に訴える昴治に逆上して彼から奪ったニードルガンで瀕死の重傷を負わせ、半死半生ながら投降を訴えに来た際には、自分の心を守るために殺そうとした。事件後、右肩に後遺症まで残したにも係わらず、昴治に許され、和解を果たす。
相葉祐希
V.G.のパイロット仲間。協調性の無い祐希に最初は呆れていたが、後に実力を認めるようになる。自身が独裁政権に乗り出した際、真っ先に協力に名乗り出て、以降は共に自分達の力にモノを言わせる形で暴走していくが、昂治を殺そうとした結果、決別される。

あおいグループ

和泉こずえ
恋人だが、トラウマのせいで中途半端な接し方になってしまった結果、彼女が我侭に拍車を掛けて集団暴行にまで繋がってしまう。
こずえ事件後、自身の士官部屋に匿っていた彼女にカオリの面影が見えて依存するようになった事で、それを見抜いていた彼女からいい様に利用されてしまう事になり、独裁政権にまで乗り出してしまうが、最終的には破局。その際、自らが本当に愛していた女性が実の姉であった事を明かしており、結局、彼女はカオリの代用品にしかならなかったことを痛感させることになる。
事件後、責任感からか、「友人」としてやり直したいからか、こずえに会うために彼女の実家に足を運ぶが、引っ越していた為に会うことは叶わず、最後の望みを懸けて、リヴァイアスに再乗艦し、再会を果たす。
蓬仙あおい
昴治から、あおいが襲われたことを知らされた際、こずえ以外は眼中になくなってきていることを無自覚で発言してしまう。あおいも昴治殺害未遂の件から、イクミに不信感を抱くようになったことが、ドラマCD3で語られた。
ファイナ・S・篠崎
リーベ・デルタ脱出時に昴治との2人で救出。イクミ政権においては、彼女の信仰する教えに因んで、「軍神」として祀り上げられる。
市川レイコ
こずえを暴行から見捨ててしまった彼女に対し、頭に血が上っていたとはいえ、自分が散々こずえを甘やかしてしまっていたのを棚上げする形で一方的に責め立てて追放してしまう。その後も、彼女からはひたすら恐怖の対象と見なされ、再乗艦直前にイクミの姿を見たことで再乗艦を諦めさせる程のトラウマを刻んでしまっている。

チームメイト

ニックス・チャイプラパット
リヴァイアス内で同じグループに所属。リーベ・デルタの時からの知り合いで「生意気なガキだけど操縦はピカイチ」とのこと。しかし、独裁政権後は目障りになっていったようで、少し寝坊しただけで丸一日独房に閉じ込める等、厳しい罰則を与えたり、ヘイガーがEランクに落としても何も言っていない。当然、ニックスの方からは嫌悪を向けられるようになり、Eランクの隔離もイクミの指示だと信じて疑わなかった。
雅明弘
リヴァイアス内で同じグループに所属。ニックスと違って我侭な振る舞いをせず、役割もこなす為か、独裁政権後も変わらぬポジションに置いている。
小説版では、彼とニックスのコンビに幼い頃の自身と姉を重ねていた。

ツヴァイ

ルクスン・北条
リーベ・デルタを圧潰させた工作員を見捨てた彼に掴みかかっている。もっとも、これ以上の犠牲者を出さない為に、事件の切っ掛けを直接作った工作員たちを危険を押してまで助けに向かう義理立てなどないと判断するのも当然で、イクミやツヴァイによる彼に対する追及は、理不尽なものであった。
シュタイン・ヘイガー
独裁体制に好意的な彼を参謀役として迎え入れる。しかし、リヴァイアスの乗組員達のランク分け等といった役割の全てを彼一人に任させるという無責任に等しい判断を下した結果、次第に増長していった彼から自身を隠れ蓑にする形で利用されていき、Eランクの隔離やゲシュペンスト戦での乗組員大半の置き去りに繋がる。
ユイリィ・バハナ
クーデターを起こした際に彼女に説得されるが、「あんたの好きなブルーと同じことをしているだけ」と突っぱねる。その後、ランク別の部屋割りの件から、完全に決別。
ブライアン・ブラブ・ジュニア
ゲシュペンスト戦でV.G.を失った後、これまでの横暴なやり方もあって彼の怒りを買うが、一度、昂治を撃った事から躊躇いを見せない形でニードルガンで膝を撃って黙らた。なお、昴治と違って後遺症は残らなかった模様。

他作品との人間関係

テンカワ・アキト
漂流していたところを救助する。いざという時はブラックサレナを利用するつもりでいたが、「お前は過去を取り戻そうとしている」と指摘され、思い悩むようになる。

名台詞

「こずえとね、約束したんだ、守ってやるって、必ず守ってやるって、なのになんだよ、何にも、何にも出来てないじゃないか、分かってたの姉さん、俺の力なんてこんなもんだって、だから、居なくなっちゃったの、…、答えてよ、お願いです、姉さん…姉さぁーーんっ…!!」
sere19(第19話)より。極限状況が続き人心が荒廃していく艦内で、ついにその災禍は昴治たちのグループにまで及んでしまう。こずえの身に起きた事を知り、怒りに任せて彼女を傷つけた男達を殴り飛ばしたイクミは、怯える女子達の前で今は亡き姉にすがりつく様につぶやく。
こうなってしまった原因は、自身の傷を言い訳に、こずえと中途半端な恋愛をしてしまったことが大きいのだが、その事実を気付けなかった(あるいは、気づかぬふりをしていた)結果、イクミはこずえを傷つけた彼らや見捨てる事しか出来なかったレイコに怒りをぶつけるしかなかった…。
「てめぇの正論は痛すぎんだよっ!」
「お前の正論じゃ、蓬仙は守れないな」
「本当に蓬仙のことを大切に思ってるなら、命懸けで守れ。そうじゃないんだったら祐希に預けろ」
昴治は怒り狂うあまりレイコにまで理不尽な八つ当たりをしたイクミを正論で鎮めようとするが、イクミはにべもなくそれを切って捨て、最後の手向けとばかりに忠告を残し、その場を去った。このやり取りを境に2人は袂を分かつことになる。だが、昴治の正論「1人の力で大勢は守れない」を痛感することにもなった。
「リヴァイアスの艦内にいる全員に告げる!俺は、航宙士第二種、E328455、尾瀬イクミ!」
「ヴァイタル・ガーダーは俺が占拠した!今の揺れは、ヴァイタル・ガーダーがリヴァイアスを押さえて起きたものだ!」
「リヴァイアスにいる全ての者達に勧告する!今から艦内における全ての暴力行為を一切禁止する!もしそれが破られた場合、俺はヴァイタル・ガーダーで実力行使に出る!」
「過ちを犯すな、揉めるな、争うな、なじるな、傷付けるな、普通でいろ!」
sere20(第20話)より。V.G.を占拠するという、イクミの常軌を逸した行動に艦内がどよめく。
「まだか、まだ駄目なのか、もっと締め付けを厳しくしないと、またこずえが傷つくじゃないか、こずえが、こずえがぁーーーっ!くそっ、くそっ!くそっ!くそっ!くそっ!くそっ…!」
sere23(第23話)より。昂治からあおいが何者かに殺されかけた事実を聞かされていながら、イクミの頭にあったのはこずえの事だけ。そのこずえもイクミにとっては姉の身代わりでしかなく、この時のイクミはもう「自分」の事しか考えていなかった。
イクミ 「お前の行動はシステムに反している」
昴治 「頼む、俺の話を」
イクミ 「だったらリヴァイアスを変えろ! 今すぐだっ、すぐにやれ!」
昴治 「ごめん。やり方はわかんない…。でもさ…これだけは言えるよ…こんなやり方じゃ…こんなやり方じゃ喜ぶわけない。そうだろイクミ…」
イクミ 「っ!?」
昴治 「和泉が喜ぶわけないじゃないか!」
イクミ 「!?…昴治ぃーーーーーー!!」
あおいを始めとする最下位に落とされたメンバー達を守りたい想いから、一方的に力で押さえつけるイクミや祐希に対し、ニードルガンという力を行使してでも止めようとした昂治とのやり取り。しかし、自分が正しいと信じきっていたイクミには何一つ言葉が届かず、皮肉にもこずえの変貌についてまで知らなかった昂治が彼女の事を話に持ち出した結果、遂にイクミは取り返しのつかない過ちを犯してしまう。
「ヘイガー、艦内にいる全員をリフト艦に避難させてくれ。メインルーム下の格納庫なら収容出来るはずだ」
sere24(第24話)より。灰のゲシュペンストの猛攻の前に、イクミは事前にリフト艦に避難させていたこずえに続いて、他の乗組員もリフト艦に避難させることにする。だが、ゲシュペンスト戦の直前、昴治をニードルガンで撃った上に放置しているので、矛盾が生じているのだが、本人は気づかぬふりをしていた。さらに、ヘイガーの独断により、Eランクを初めとした大半のメンバーは置き去りにされる。
「守るんだ、絶対に守るんだ。…文句がある奴は前に出ろっ!!」
sere25(第25話)より。灰のゲシュペンストとの戦闘は痛み分けとなり、V.G.も大破するが、敵は余力を残している上、リフト艦に避難したメンバーは仲間割れや暴動を起こし始めた。イクミは残った武器であるニードルガンを使い鎮めようとするが、「守る」と言いながらも、自分に楯突いたという理由だけでブライアンの足をニードルガンで撃ち抜いたイクミの行動はもはや「力による恫喝」でしかなく、独裁政権に賛同していた祐希や自身が守ろうとしていたこずえでさえ動揺を隠せなかった。
「来るなっ!まだ敵は残ってる、俺は皆を守るっ、こずえを守らなきゃいけないんだ!こいつがいると無駄な混乱を招くだけだっ!」
「皆を守る」と言いながらも、その実イクミが守りたかったのは「自分自身の心」だけであったという現実を受け入れたくなかった事から、自分の過ちも、ヘイガーやファイナ、こずえに利用されていた事実の責任さえも押し付ける形で、自分と向き合うことを止めない相葉昂治を「最大の敵」として殺そうとする。
「俺…俺…姉さん自殺しちゃって、愛し合ってたのに、駄目だって。だから…今度はちゃんと守るって…だから、だからっ」
2度目の昴治殺害を祐希に阻まれ、3度目の昴治殺害の際、ゲシュペンストが救助に転じて、こずえからも説得されたことで独裁体制に終止符が打たれる。全てのものに押し潰されたイクミは許しを乞うかのように自身の過去を口にするが、そんなイクミをこずえは拒絶。その代わりに、昴治が介抱する。
ようやく、自分が独裁や殺人をしてでも守りたかったのは、こずえでもリヴァイアス乗組員でもなく、「姉・カオリが自殺したことで傷を負った自分自身」であったことに気づいた様子だが、そこに至るまでに犯した過ちは小さなものではなかった。
「悪かったよ…」
sere26(第26話・最終回)より。こずえとの再会に最後の望みを懸けて、リヴァイアスに再乗艦したイクミは成長した昴治と和解し、自身も立ち直り始めるが、昴治と共にケンカを仲裁した後、昴治からリヴァイアスでの独裁を冗談とはいえ蒸し返される。それに対し、イクミは上記の台詞で返答するが、過去は消えないことを改めて知ったイクミがリヴァイアス内でやり直していけるかは、本人の心がけ次第であろう。

余談

イクミが行った「秩序をもたらすために、暴力を暴力で制する」は、本作のメインライター・黒田洋介が後に手掛けた『機動戦士ガンダム00』のソレスタルビーイングの武力介入に酷似している。ただし、ソレスタルビーイングは自分たちが裁かれることを承知のうえで行っていたので、イクミとは似て非なるものでもある。

脚注

  1. この時、「156区画」には暴力を受けて気絶していた少年がおり、彼だけはV.G.の攻撃に逃げ遅れて死亡してしまい、ヘイガーの「生体反応が無い」という言葉も、イクミを動揺させない為の嘘であった可能性が高い。