スーパーデフォルメ

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スーパーデフォルメ(Super Deformed)

デフォルメ

もともとデフォルメ(deformer:フランス語)とは、絵画・彫刻などで対象や素材の形態を変形し、その特徴を誇張・強調して表現する技法のことである。英語の「deform」は主に『変形させる』の意味で用いられる。

日本では特にリアル頭身の対象を低頭身化・簡略化することを「デフォルメ」と呼ぶが、英語圏では「Chibified」と呼ばれ区別される(Chibiは日本語のチビ)。これは「deformed」に「奇形の・醜い」といった悪い意味があるためである。

SD

日本独自の用語として「スーパーデフォルメ」(略語・SD)がある。これは、2~4頭身で、丸っこく可愛らしさを残したルーズなキャラクター造形センスのことを言う。

元々はカプセルトイ(ガシャポン、ガチャガチャ)の景品として消しゴム人形が作られたことに遡る。消しゴムといっても文字が消せるわけではなく、消しゴムに使われているのと同じ塩化ビニル樹脂で作られた人形というだけなのだが、原材料コストが安いうえに簡単に加工ができることから、安価なミニチュアの素材として好まれるようになっていった。
1970年代に「スーパーカー消しゴム」のブームで一気に広まったカプセルトイ市場では、様々なアニメや漫画のキャラクターが消しゴム人形として作られるようになった。これらの消しゴム人形は安価であることこそが重要で、それゆえにコストをかけてまで凝った造形を行うわけにいかなった。そこで、造形を単純化させつつもそのキャラクターの特徴が分かるようにする工夫が洗練されていった。この流れこそがスーパーデフォルメというデザインセンスを作り出した土台である。
消しゴム人形の市場は1980年代前半には最盛期を迎え、『キン肉マン』の「キン消し」や、『機動戦士ガンダム』の「ガン消し」などがバンダイから発売され、子供達の間で爆発的な人気を得ていた。
当時はタカラ(現、タカラトミー)など玩具メーカーのほかにも菓子メーカーらも加わり、食玩市場もそれに刺激されて爆発的に広がりを見せていき、カプセルトイ市場の競争力が高まっていく中、1985年6月、バンダイはガンダムシリーズモビルスーツを二頭身にまで極端にデフォルメした消しゴム人形を売り出した。このシリーズ商品につけられた名前こそ『スーパーデフォルメガンダムワールド』であり、景品の解説書にはその略称として『SDガンダム』と表記されていた。これが「スーパーデフォルメ」そして「SD」という名前の初出である。

SDガンダムはカプセルトイのみにとどまらず様々な玩具として売り出され、その人気からゲームやアニメともなり、現在に続く『SDガンダムシリーズ』が生まれ、「武者」「騎士」など様々な作品・キャラクターを生み出しバンダイの黄金期を支えた。
その一方、バンプレストがアミューズメント経営において様々な版権キャラクターをSD化して景品化したことが、バンプレストの基本経営戦略のうちの一つを支えた。これらの経緯から、様々な版権を得たバンプレストが独自にゲーム開発したのが、版権SDキャラクターによる「コンパチヒーローズ」と呼ばれる作品群である。
やがてそこから初代『スーパーロボット大戦』が誕生し、後に『スーパーロボット大戦シリーズ』として派生・独立していくこととなる。

「スーパーデフォルメ」はバンダイの商標登録となり、現在に至る。

なおSDブームと同時期には『ドラゴンクエスト』によって始まったファンタジーRPGブームが存在しており、両方の流れを汲むものとして、80年代後半~90年代前半にかけて「ファンタジーRPG的世界観とSD体型のロボットを組み合わせた作品」が多数制作されることとなる。代表的な作品としては『騎士ガンダム(SDガンダム外伝)』や『魔神英雄伝ワタル』、スパロボ参戦作品としては『NG騎士ラムネ&40』『覇王大系リューナイト』が挙げられる。しかしそれらの作品はファンタジー世界観に起因する他作品との合わせづらさが問題なのか、スパロボへの参戦が極めてレアなケースとなっている。

21世紀の現在ではカプセルトイをはじめとした安価な景品玩具の造形技術が前世紀とは比較にならないほど上昇しており、海洋堂のチョコエッグのブーム以降、リアルな造形でかつ安価な景品玩具が多数発売されるようになった。しかし、スーパーデフォルメのデザインのセンスは今でも1つのジャンルとして定着しており、多くのファンが存在する。造形技術の進化とは無関係に、2~4頭身に省略化されたキャラクターは数多く生み出されており、「ゆるキャラ」「ちびキャラ」などが多数創造されていることは現在でもSDのセンスが世代を超えて好まれている証とも言える

スーパーロボット大戦シリーズ

スパロボSRW)も当初は「コンパチヒーローズ」として扱われていたが、『第4次スーパーロボット大戦S)』を契機に独自路線を歩み出した。その第4次が発売後に『新スーパーロボット大戦』が発表され、この作品では「リアル頭身」で描かれたのだが、プレイヤーや開発者からの評価は思わしくなかった(主にリアルロボットスーパーロボットとの身長差や、ドットアニメ作成の手間、ロボットの版権が原因)。その後は元のSDへと立ち戻り現在に至るが、近年でもリアル頭身で描かれた作品も一部存在する(『スーパーロボット大戦Scramble Commander』シリーズなど)。

ちなみに、創通が関わる作品は、リアル等身で登場させると番組ごとに著作権料を支払わなくてはならないため、創通が関わる作品の機体はカットインも基本的にSDで描かれているだが、『スーパーロボット大戦Z』が発売以降にガンダムシリーズ(※)以外全作品にリアルサイズカットインが採用される。更に『第2次スーパーロボット大戦Z 破界篇』以降の作品では全参戦作品(ガンダムシリーズを含む)にリアルサイズカットインが採用される。

近年では、戦闘アニメーションパターンの発達や動きの再現の為か、初期の本当にデフォルメ的なデザインよりはややリアル等身に近い形でのデザインになっている。特にOGシリーズやZシリーズにおいてその傾向がよく見られる。

※備考:ガンダムシリーズが関わる、SDにすれば「SDガンダム」のみの著作権料で済むとされており、膨大な額になると思われる著作権料を少しでも安く抑えたいという製作者側の都合も存在する。そのため、第2次Zまでのガンダムシリーズの機体はカットインも基本的にSDで描かれている(64NEOではゴッドガンダムにリアルサイズカットインが採用される)。なお、他のSD系作品と同じく、『SDガンダム』シリーズに属する作品タイトルは参戦する事が難しい(大人の事情か世界観の理由は不明)。

関連事項

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