「ガサラキ」の版間の差分

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(専門用語と余談の追記。物語の核心に触れるナダの民とガサラキそのものはちょっと書けなかった…)
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== 用語 ==
 
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;タクティカルアーマー / メタルフェイク
 
;タクティカルアーマー / メタルフェイク
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:豪和重工の開発した次世代ロボット兵器。駆動系に人工筋肉[[マイル1]]を使用し、従来の電動モーター駆動等ではありえなかった柔軟な可動性が売り。オプションパーツのアルムブラスト、ブラストロッド等を駆使すれば、遮蔽物の多い市街戦や入り組んだ山岳地形、建築物内部での戦闘で(通常装備の敵よりも)圧倒的優位に立てる。その程度の芸当は[[モビルスーツ]]や[[レイバー]]、[[エステバリス]]、[[アームズスレイブ]]等のリアル系スタンダード機じゃ当然の機能で普段は話題にも上がらないが、未だに歩兵と戦車等が地上戦の主力となるような'''現実世界に限りなく近い劇中世界では戦場を選ばないTAの汎用性は充分に脅威である。'''
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:最も他の作品同様、TAの性能が搭乗者の技量に左右される部分が大きいのはお約束。全身に装甲が分散しているので遠距離線だと戦車が有利、ブースターなどの推進機もなく空中には慣性制御も出来ないので戦闘機と圧倒的なアドバンテージの差がある、等、'''既存兵器に正面から正攻法で攻めても勝てない設定になっている'''(この差を知恵と工夫でどうにかして埋め合わせるのが腕の見せ所である)。しかしこのように、奇襲強襲だまし討ちなどの絡め手でないと勝てない上に、物語の後半から政治劇が中心となったため劇中まともな戦闘シーンも少ないため、'''ぶっちゃけあんまり強そうに見えない'''。(唯一無双していると言えるシーンが国内における暴徒鎮圧の為の警備出撃で、非武装の市民に対して殺傷能力の無い模擬弾を撃つ、劇中有数のトラウマ場面だったりする。)
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:勢力ごとに呼び名が違い、特務[[自衛隊]]に機体を預けている豪和サイドは[[タクティカルアーマー]]、シンボルサイドが[[メタルフェイク]]と呼ばれるも、専門用語は組織ごとに違うため、会話上でに両者が区分けされることはない(双方会敵時には発言者のサイドに寄った名称で呼ばれる)。これは、後述する各種専門用語と共通の演出である。
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;骨嵬
 
;骨嵬
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:「くがい」と読む。'''外見上は巨大な鎧で、顔面は般若のような鬼の面が被されている。'''しかしその正体は'''(恐らく)地球外の知性体が作り上げた生体ロボットである。'''生体故か'''口を開いて怪しい吐息を吐く'''など、生きているかのような素振りも見せるが、平時は豪和本家の蔵に繋がる秘密の洞窟に保管(封印?)されており、自ら動く事はめったにない。しかして一度複中に[[嵬]]を取り込み起動すれば、その鎧は錆びているにも関わらずレールガンを弾き、その脚が跳躍すれば敵の頭上を軽々と越え、その爪は特殊装甲を易々と引き裂き、'''数百年ぶりに稼働した筈の骨嵬が最新鋭機であるメタルフェイクを一方的に蹂躙してしまう。'''
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:実はこの骨嵬、'''有史以来、それも複数存在する'''ことが劇中示唆されており、'''合戦絵巻に当時の戦況が描写されている。'''当然ながら歩兵では話に成らず、騎馬、弓兵すら歯牙に掛らなず、'''骨嵬同士での一騎打ちで全軍の勝敗を定めていたらしい。'''
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;嵬 / インヴィテーター
 
;嵬 / インヴィテーター
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:従来通りに言えば骨嵬のパイロット。本来は単に骨嵬の操縦システムとリンクすることのできる適合者の事を指す言葉であったが、その該当者が生まれる確率は低く、長い歴史の中で幾重にも濁らせて使われてきた結果、劇中ではやや象徴的な意味合いに受け止められる。
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:嵬は戦闘時に凄まじい集中力と判断能力を発揮する。この時心拍数が急激に向上し、一種のトランス状態、所謂「憑依」や「物寄せ(口寄せ)」、「狐憑き」のような状態に陥り、'''脈拍がある一程度を越えると閫(しきみ)と呼ばれる特殊重力フィールドを展開する特徴を持つ。'''この脈拍のリズムは骨嵬の脈とリンクしており、これが同期した時のみ閫が発生して骨嵬が起動するらしい。故に息遣いや脈拍向上演出はこの作品の重要なタームなのだが、'''この所為でガサラキと言えば日本舞踊とハァハァとか言われてしまっている。'''なお、この閫はシンボル側からはGSポイントと呼ばれる。
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:前述のとおり骨嵬は古来、純粋な戦闘用の兵器から決闘用の武神に置き換えられ、一騎打ちは次第に儀式的なものにすり替わってきた(本来は奉納の為の決闘である'''相撲'''を想像してもらえばわかりやすいか?)。これは軍の全面衝突による大量死を回避することにも繋がるが、同時に搭乗者である嵬のどちらかが死ぬことも意味し、ともすれば'''嵬は戦争のための生け贄とも考えられる。'''
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:過ぎた力を持つことで社会から必要とされ、また警戒された嵬の一族にとって、骨嵬と嵬が為政者との関係を繋ぐ唯一の命綱であり、また存在意義でもあった。そのため嵬の素質をもって生まれてきた者(ユウシロウとミハル)はそれら凄まじい期待とプレッシャーを背負って生きてゆかねばならず、少なくない者がその重さに負けて不幸な人生を歩むことになる。
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:嵬は遺伝で生まれてくるが、必ずどの世代にも居る物でも無く外見上は人間と変わらないため見分けることが出来ない(劇中描写からクローニングはある程度有効らしい)。そのため'''舞踊の稽古'''などで特殊な心的環境を人工的に生み出して心理的に追い込み、閫が出来るかどうかで判断する。(ちなみに舞踊の内容は過去の嵬の人生を戯曲にしたものであり、無関係ではなかったりする)
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;豪和家
 
;豪和家
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:旧華族の系統を受け継いだ日本有数の名家で、古来より骨嵬の一体「朱天」を祀る。日本史のかなり初期のころから活動しており、ドラマCDなどで当時の情勢が伺える。豪和一族は骨嵬を駆使し、その圧倒的な力を以て武勲を上げ歴史の節目節目にその名を残し、時の為政者との強い繋がりを持つことで永きに渡る繁栄を手中にしてきたが、それは同時に為政者たちから恐れられ、世俗から切り離される原因ともなり、'''いつしか骨嵬の存在自体を豪和一族が忌み嫌うようになり'''近代に入った辺りからは自らの手によって骨嵬を封印していた。
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:主人公の豪和ユウシロウもこの家の出身だが、実際は為政者との繋がりを継続するためにクローニングで生み出された嵬の一人であり、家族間の関係は妹の美鈴を覗いて希薄そのものだった。ユウシロウにとっては嵬として見られる家族よりも、一隊員として見てくれる特務自衛隊の方が居場所と感じている。
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:現代では巨大コングロマリットを有する豪和ファミリーだが、豪和にとって骨嵬は存在意義であると同時に悲劇を繰り返さないための戒めでもあり、自己矛盾の象徴とも呼べる。ユウシロウの嵬としての覚醒を軸に、頑なに骨嵬の復活を忌避する親世代と、骨嵬を別の形で復活させようとする子世代の確執が全編にわたって描かれている。
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;シンボル
 
;シンボル
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:豪和と対になる組織で海外に拠点を置くコングロマリット。F=ファントムを頂点とする物の基本的には会議制で物事を決める。豪和の手からマイル1に関する技術を盗み出し、独自で[[メタルフェイク]]を作成、各国に売り出している。豪和同様、GSポイントやナダの民を追う等、ほぼ全編に置いて敵として登場するが、直接の対峙は少なく後半は裏工作や政治工作、経済界での駆け引きなどがメインとなって行くため傍から見るとロボット物の敵役とは思えない。
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:ヒロインのミハルにとっては故郷となる組織で、小国のクーデターをアジテートしたり、命の危険を伴うミッションにミハルを同行させる等非人道的な行為も行っているが、ミハルの主治医を始めとして構成員一人一人に悪人らしい描写は少ない。ぶっちゃけユウシロウに対する豪和の黒い面の描写が目立つので、相対的にホワイト企業に見えさえする。
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:劇中既に米国の経済活動に深く食い込んでおり、その影響力は絶大。
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;ナダの民
 
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;マイル1
 
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:タクティカルアーマーに標準装備された駆動ユニットであり、動作を記憶して単独で複雑な運動を復元する機能を持つ。'''要するに反射運動が出来る。'''これによってロボット操縦に必要な複雑な入力を極端にショートカットし、かつ搭乗者に合わせたカスタマイズを自動で行ってくれるため、コンピュータ制御による操縦よりも圧倒的になめらかな上、開いた分の容量を情報処理に回せるという一石二鳥の代物。(別作品かつSRW未参戦作品だが、例えるなら[[機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ]]に登場する阿頼耶識コネクタと似ている。最も向うは駆動系ではなく操縦系のシステムだが。)
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:しかしてその正体は'''骨嵬の鎧の中に敷き詰められた人工筋肉を培養して精製されたモノ'''で、開発者自らが'''オーパーツをただ増やして動くようにしてみせただけで自分達では殆ど何も生み出してない'''と自虐的な発言をする程であり、'''肝心な所は何もわかっていない未知の代物。'''また、分泌液から生成されたインジェクションと呼ばれる一種の精神安定剤は、モノによっては服用すると半日以上操縦しっぱなしで居られるほど集中できるようになるが、相性が良すぎると人格が崩壊して見境なく辺りに襲いまわるようになる。(なお、この時試験搭乗した'''谷口'''隊員は、友軍である筈の雷電試作機の頭部を千切り取って高々と上げ、'''首級を取ったかのように声高に吠えた。'''その後TAから強制的に下した後の表情は'''雅しく鬼の形相だった。''')
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:骨嵬は、こうしたマイル1を始めとしたTA開発と応用技術の起点であり、また発展形の集合体と言ってもいい。とどのつまりTAの目指す所は'''現行技術による骨嵬の再現でしかない。'''ガサラキという作品は、歴史の暗部にその名を残し、舞台から身を引いた'''骨嵬が甦る'''ところからドラマが始まるのだ。
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;ガサラキ
 
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== 余談 ==
 
== 余談 ==
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:タクティカルアーマーは[[TA]]とも訳されるが、これは高橋作品の代表作[[装甲騎兵ボトムズ]]の[[AT]]すなわち[[アーマードトルーパー]]のアナグラムである。また、劇中多用されるウィンチやアンカーによる三次元的戦闘演出は、'''当時助監督だった谷口五郎氏が手掛けた[[コードギアスシリーズ]]に置いて、[[ナイトメアフレーム]]が装備するスラッシュハーケンに受け継がれる'''。
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:後半から搭乗する西田啓(通称'''西田先生''')の登場によって、物語の主題が戦争とロボットから政治と経済にすり替わり、本格的にロボットが目立たない展開になって行き、その点を指摘するファンも多い(戦闘シーンはちょくちょく入るので、脱線しているわけではないが)。しかしながら、ここで語られた主題は至極真剣に考え抜かれた物であり、終盤の政治劇は一見の価値がある。話が長くなるので割愛するが、最終版西田先生の口にした'''「胸を張って坂を下る所存」'''は、前述の通りコードギアスでも受け継がれることとなった。
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:意識したかどうかは不明だが、骨嵬とタクティカルアーマーの関係における「オーパーツ同然の太古の機体から回収された人工筋肉で開発された現行のロボット兵器」という設定は[[ボトムズシリーズ]]の[[青の騎士ベルゼルガ物語]]の最終盤に登場する「レグジオネータ」と「アーマードトルーパー」の設定と被る。最も、安いボロイ弱いが売りの[[AT]]からスーパーロボット並みにパワーアップされた[[ベルゼルガ]]テスタロッサが搭乗する最終版は、流石の最低野郎たちから反感を買って非公式にされた設定なので、勘ぐりすぎと言われればそこまでなのだが…
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2017年6月28日 (水) 02:31時点における版

概要

高橋良輔氏が『蒼き流星SPTレイズナー』以来、13年ぶりにTVシリーズ監督を務めたロボットアニメ作品。高橋氏が得意とするリアルロボット路線と重厚な政治ドラマに「和」の要素を大胆に盛り込んだ異色の作風となっている。また作品後半は経済要素にまで踏み込んだポリティカル・フィクションの様相を呈してくる。

ストーリーの所々に後の現実における世界の動向(中東情勢や世界金融危機等)を予見したような描写が散見しており、高橋氏の先見の明が伺える内容となっている。

声優・高田裕司のアニメデビュー作としても知られる(同作では豪和一清及び渡辺綱役を担当)。

登場人物

スパロボ毎の登場人物一覧については以下を参照して下さい。

メインキャラクター

豪和ユウシロウ
本作の主人公で、豪和家の四男。
ミハル
本作のヒロイン。

豪和一族とその関係者

豪和一清
豪和家の長兄。
豪和清継
豪和清春
豪和美鈴
ユウシロウの妹で、もう一人のヒロインと言える存在。
豪和乃三郎
豪和雪乃
空知

特務自衛隊

速川保
徳大寺琢磨
安宅燐
鏑木かほる
村井沙生
高山臨巳
北沢淳
陶見卓郎

シンボル

ファントム・F・フィーゼラー
ドクター・メス

クーデター関係者

西田啓
広川顕郎

平安編

憂四郎
ユウシロウの前世。
見晴
ミハルの前世。
渡辺綱
渡辺競
叡如

登場メカ

スパロボ毎の登場メカ一覧については以下を参照して下さい。

タクティカルアーマー

壱七式戦術甲冑 雷電
壱七式戦術甲冑改 震電

メタルフェイク

イシュタルMk-II

骨嵬

骨嵬・朱天
骨嵬・克天

用語

タクティカルアーマー / メタルフェイク
豪和重工の開発した次世代ロボット兵器。駆動系に人工筋肉マイル1を使用し、従来の電動モーター駆動等ではありえなかった柔軟な可動性が売り。オプションパーツのアルムブラスト、ブラストロッド等を駆使すれば、遮蔽物の多い市街戦や入り組んだ山岳地形、建築物内部での戦闘で(通常装備の敵よりも)圧倒的優位に立てる。その程度の芸当はモビルスーツレイバーエステバリスアームズスレイブ等のリアル系スタンダード機じゃ当然の機能で普段は話題にも上がらないが、未だに歩兵と戦車等が地上戦の主力となるような現実世界に限りなく近い劇中世界では戦場を選ばないTAの汎用性は充分に脅威である。
最も他の作品同様、TAの性能が搭乗者の技量に左右される部分が大きいのはお約束。全身に装甲が分散しているので遠距離線だと戦車が有利、ブースターなどの推進機もなく空中には慣性制御も出来ないので戦闘機と圧倒的なアドバンテージの差がある、等、既存兵器に正面から正攻法で攻めても勝てない設定になっている(この差を知恵と工夫でどうにかして埋め合わせるのが腕の見せ所である)。しかしこのように、奇襲強襲だまし討ちなどの絡め手でないと勝てない上に、物語の後半から政治劇が中心となったため劇中まともな戦闘シーンも少ないため、ぶっちゃけあんまり強そうに見えない。(唯一無双していると言えるシーンが国内における暴徒鎮圧の為の警備出撃で、非武装の市民に対して殺傷能力の無い模擬弾を撃つ、劇中有数のトラウマ場面だったりする。)
勢力ごとに呼び名が違い、特務自衛隊に機体を預けている豪和サイドはタクティカルアーマー、シンボルサイドがメタルフェイクと呼ばれるも、専門用語は組織ごとに違うため、会話上でに両者が区分けされることはない(双方会敵時には発言者のサイドに寄った名称で呼ばれる)。これは、後述する各種専門用語と共通の演出である。
骨嵬
「くがい」と読む。外見上は巨大な鎧で、顔面は般若のような鬼の面が被されている。しかしその正体は(恐らく)地球外の知性体が作り上げた生体ロボットである。生体故か口を開いて怪しい吐息を吐くなど、生きているかのような素振りも見せるが、平時は豪和本家の蔵に繋がる秘密の洞窟に保管(封印?)されており、自ら動く事はめったにない。しかして一度複中にを取り込み起動すれば、その鎧は錆びているにも関わらずレールガンを弾き、その脚が跳躍すれば敵の頭上を軽々と越え、その爪は特殊装甲を易々と引き裂き、数百年ぶりに稼働した筈の骨嵬が最新鋭機であるメタルフェイクを一方的に蹂躙してしまう。
実はこの骨嵬、有史以来、それも複数存在することが劇中示唆されており、合戦絵巻に当時の戦況が描写されている。当然ながら歩兵では話に成らず、騎馬、弓兵すら歯牙に掛らなず、骨嵬同士での一騎打ちで全軍の勝敗を定めていたらしい。
嵬 / インヴィテーター
従来通りに言えば骨嵬のパイロット。本来は単に骨嵬の操縦システムとリンクすることのできる適合者の事を指す言葉であったが、その該当者が生まれる確率は低く、長い歴史の中で幾重にも濁らせて使われてきた結果、劇中ではやや象徴的な意味合いに受け止められる。
嵬は戦闘時に凄まじい集中力と判断能力を発揮する。この時心拍数が急激に向上し、一種のトランス状態、所謂「憑依」や「物寄せ(口寄せ)」、「狐憑き」のような状態に陥り、脈拍がある一程度を越えると閫(しきみ)と呼ばれる特殊重力フィールドを展開する特徴を持つ。この脈拍のリズムは骨嵬の脈とリンクしており、これが同期した時のみ閫が発生して骨嵬が起動するらしい。故に息遣いや脈拍向上演出はこの作品の重要なタームなのだが、この所為でガサラキと言えば日本舞踊とハァハァとか言われてしまっている。なお、この閫はシンボル側からはGSポイントと呼ばれる。
前述のとおり骨嵬は古来、純粋な戦闘用の兵器から決闘用の武神に置き換えられ、一騎打ちは次第に儀式的なものにすり替わってきた(本来は奉納の為の決闘である相撲を想像してもらえばわかりやすいか?)。これは軍の全面衝突による大量死を回避することにも繋がるが、同時に搭乗者である嵬のどちらかが死ぬことも意味し、ともすれば嵬は戦争のための生け贄とも考えられる。
過ぎた力を持つことで社会から必要とされ、また警戒された嵬の一族にとって、骨嵬と嵬が為政者との関係を繋ぐ唯一の命綱であり、また存在意義でもあった。そのため嵬の素質をもって生まれてきた者(ユウシロウとミハル)はそれら凄まじい期待とプレッシャーを背負って生きてゆかねばならず、少なくない者がその重さに負けて不幸な人生を歩むことになる。
嵬は遺伝で生まれてくるが、必ずどの世代にも居る物でも無く外見上は人間と変わらないため見分けることが出来ない(劇中描写からクローニングはある程度有効らしい)。そのため舞踊の稽古などで特殊な心的環境を人工的に生み出して心理的に追い込み、閫が出来るかどうかで判断する。(ちなみに舞踊の内容は過去の嵬の人生を戯曲にしたものであり、無関係ではなかったりする)
豪和家
旧華族の系統を受け継いだ日本有数の名家で、古来より骨嵬の一体「朱天」を祀る。日本史のかなり初期のころから活動しており、ドラマCDなどで当時の情勢が伺える。豪和一族は骨嵬を駆使し、その圧倒的な力を以て武勲を上げ歴史の節目節目にその名を残し、時の為政者との強い繋がりを持つことで永きに渡る繁栄を手中にしてきたが、それは同時に為政者たちから恐れられ、世俗から切り離される原因ともなり、いつしか骨嵬の存在自体を豪和一族が忌み嫌うようになり近代に入った辺りからは自らの手によって骨嵬を封印していた。
主人公の豪和ユウシロウもこの家の出身だが、実際は為政者との繋がりを継続するためにクローニングで生み出された嵬の一人であり、家族間の関係は妹の美鈴を覗いて希薄そのものだった。ユウシロウにとっては嵬として見られる家族よりも、一隊員として見てくれる特務自衛隊の方が居場所と感じている。
現代では巨大コングロマリットを有する豪和ファミリーだが、豪和にとって骨嵬は存在意義であると同時に悲劇を繰り返さないための戒めでもあり、自己矛盾の象徴とも呼べる。ユウシロウの嵬としての覚醒を軸に、頑なに骨嵬の復活を忌避する親世代と、骨嵬を別の形で復活させようとする子世代の確執が全編にわたって描かれている。
シンボル
豪和と対になる組織で海外に拠点を置くコングロマリット。F=ファントムを頂点とする物の基本的には会議制で物事を決める。豪和の手からマイル1に関する技術を盗み出し、独自でメタルフェイクを作成、各国に売り出している。豪和同様、GSポイントやナダの民を追う等、ほぼ全編に置いて敵として登場するが、直接の対峙は少なく後半は裏工作や政治工作、経済界での駆け引きなどがメインとなって行くため傍から見るとロボット物の敵役とは思えない。
ヒロインのミハルにとっては故郷となる組織で、小国のクーデターをアジテートしたり、命の危険を伴うミッションにミハルを同行させる等非人道的な行為も行っているが、ミハルの主治医を始めとして構成員一人一人に悪人らしい描写は少ない。ぶっちゃけユウシロウに対する豪和の黒い面の描写が目立つので、相対的にホワイト企業に見えさえする。
劇中既に米国の経済活動に深く食い込んでおり、その影響力は絶大。
ナダの民
マイル1
タクティカルアーマーに標準装備された駆動ユニットであり、動作を記憶して単独で複雑な運動を復元する機能を持つ。要するに反射運動が出来る。これによってロボット操縦に必要な複雑な入力を極端にショートカットし、かつ搭乗者に合わせたカスタマイズを自動で行ってくれるため、コンピュータ制御による操縦よりも圧倒的になめらかな上、開いた分の容量を情報処理に回せるという一石二鳥の代物。(別作品かつSRW未参戦作品だが、例えるなら機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズに登場する阿頼耶識コネクタと似ている。最も向うは駆動系ではなく操縦系のシステムだが。)
しかしてその正体は骨嵬の鎧の中に敷き詰められた人工筋肉を培養して精製されたモノで、開発者自らがオーパーツをただ増やして動くようにしてみせただけで自分達では殆ど何も生み出してないと自虐的な発言をする程であり、肝心な所は何もわかっていない未知の代物。また、分泌液から生成されたインジェクションと呼ばれる一種の精神安定剤は、モノによっては服用すると半日以上操縦しっぱなしで居られるほど集中できるようになるが、相性が良すぎると人格が崩壊して見境なく辺りに襲いまわるようになる。(なお、この時試験搭乗した谷口隊員は、友軍である筈の雷電試作機の頭部を千切り取って高々と上げ、首級を取ったかのように声高に吠えた。その後TAから強制的に下した後の表情は雅しく鬼の形相だった。
骨嵬は、こうしたマイル1を始めとしたTA開発と応用技術の起点であり、また発展形の集合体と言ってもいい。とどのつまりTAの目指す所は現行技術による骨嵬の再現でしかない。ガサラキという作品は、歴史の暗部にその名を残し、舞台から身を引いた骨嵬が甦るところからドラマが始まるのだ。


ガサラキ

楽曲

オープニングテーマ
「MESSAGE #9」
エンディングテーマ
「LOVE SONG」

登場作と扱われ方

単独作品

スーパーロボット大戦X-Ω
初登場作品。2017年5月30日配信の『生スパロボチャンネル』にて第3期参戦作品の第1弾として発表され、2017年6月に追加参戦。

主要スタッフ

制作
サンライズ(第9スタジオ)
監督
高橋良輔
助監督
谷口悟朗
シリーズ構成
野崎透
キャラクターデザイン
村瀬修功
メカニックデザイン
出渕裕
荒牧伸志
音楽
蓜島邦明