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| == 概要 == | | == 概要 == |
− | 汎用人型機動兵器の総称。劇中では[[略語|略称]]の「'''AT(エーティー)'''」と呼ばれ、正式名称で呼ばれることは少ない。[[全長一覧|全高]]は4メートル前後と、人が搭乗するロボット兵器としては最小クラス。 | + | 汎用人型機動兵器の総称。劇中では[[略語|略称]]の「'''AT(エーティー)'''」と呼ばれ、正式名称で呼ばれることは少ない。[[全長一覧|全高]]は4メートル前後と、アニメ作品に登場する有人ロボット兵器としては最小クラス<ref>ちなみに、高橋良輔監督はNHK総合の番組『ニッポンアニメ100 ロボットアニメ大集合』(2017年4月7日放送)において'''「アーマード・トルーパーの[[全長一覧|全高]]を敢えて約4メートル前後に設定した理由は、スピード感を出したかったから」'''とコメントしている。</ref>。 |
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| 本作の舞台となる[[アストラギウス銀河]]では、惑星破壊兵器が飛び交う銀河規模の壮大な宇宙戦争が行われているが、互いの資源惑星を破壊していくうちに双方が資源不足になっている。そこに「相手陣営の惑星を傷付けずに占領する」という需要が生まれ、拠点制圧兵器として生み出されたのがこのATである。 | | 本作の舞台となる[[アストラギウス銀河]]では、惑星破壊兵器が飛び交う銀河規模の壮大な宇宙戦争が行われているが、互いの資源惑星を破壊していくうちに双方が資源不足になっている。そこに「相手陣営の惑星を傷付けずに占領する」という需要が生まれ、拠点制圧兵器として生み出されたのがこのATである。 |
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− | 極限までに汎用性と生産性を高めた兵器で、町工場程度の施設があれば製作や改造を安価に行うことができる。操縦も非常に簡単で、少しの訓練で誰でも動かすことができる。その一方で無駄な機能は徹底的にカットされており、その中には機体の耐久性や持続性も含まれる。ATは大切に扱う決戦兵器でなく「一つの作戦で使い捨てる」ようなものなため、作戦遂行のための短期間だけ持てば良いとされているのである。特筆すべき点は、'''パイロットの生存性を高める機構も無駄なものとして切り捨てられている'''(手持ち型の消火器やヒーター程度はある)ことであり、それ故にATは「'''鉄の棺桶'''」の[[異名]]も持つ。
| + | 極限までに汎用性と生産性を高めた兵器で、町工場程度の施設があれば製作や改造を安価に行うことができる。操縦も非常に簡単で、少しの訓練で誰でも動かすことができる。その一方で無駄な機能は徹底的にカットされており、その中には'''機体の耐久性や持続性も含まれる'''。そのため歩兵の携行火器や爆弾で手足がもぎ取れたり、少々高い所から落ちただけで爆発したり、挙句にはAT輸送車に紙くずのように跳ね飛ばされて木端微塵になったりと、[[やられメカ|通常のロボットアニメでは考えられないほど容易に破壊されてしまう]]。ATは大切に扱う決戦兵器でなく「一つの作戦で使い捨てる」ようなものなため、作戦遂行のための短期間だけ持てば良いとされているのである。特筆すべき点は、'''[[パイロット]]の生存性を高める機構も無駄なものとして切り捨てられている'''(手持ち型の消火器やヒーター程度は有る<ref>ヒーターは寒冷地での行動中のみでの描写のため、オプションで付けたもので常に装備されている訳では無い可能性もある。</ref>)ことであり、それ故にATは「'''鉄の棺桶'''」の[[異名]]を持つ。 |
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− | ATおよびAT乗りは作品タイトルである「'''ボトムズ(最低野郎)'''」という異名で呼ばれることもある。これは、「パイロットの命よりも生産性を重視した最低のコンセプト、機体とともに使い捨てにされるような底辺の兵士たち」といった意味からきたものとされる。後に[[英語]]タイトル(Armored Trooper VOTOMS)と合わせる意味で、「'''V'''ertical '''O'''ne-man '''T'''ank for '''O'''ffence & '''M'''aneuver-'''S'''(攻撃と機動のための直立一人乗り戦車)」の略称であるという設定が追加されている。 | + | ATおよびAT乗りは作品タイトルである「'''ボトムズ(最低野郎)'''」という異名で呼ばれることもある。これは、「パイロットの命よりも生産性を重視した最低のコンセプト、機体とともに使い捨てにされるような底辺の兵士たち」といった意味からきたものとされる。後に[[英語]]タイトル『Armored Trooper VOTOMS』と合わせる意味で、「'''V'''ertical '''O'''ne-man '''T'''ank for '''O'''ffence & '''M'''aneuver-'''S'''(攻撃と機動のための直立一人乗り戦車)」の略称である、という設定が追加されている。<ref>なおこの略称も、「最低野郎」という蔑称の払拭を狙って軍が喧伝したものとされる。</ref> |
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| == 主なアーマード・トルーパー == | | == 主なアーマード・トルーパー == |
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| == 関連用語 == | | == 関連用語 == |
| ;耐圧服 | | ;耐圧服 |
− | :所謂[[パイロットスーツ]]のこと。ATにはパイロットの生命維持のための装備はないので、'''これだけが命綱'''。着心地も悪くないのか劇中では[[キリコ・キュービィー|キリコ]]を含め普段着同然となっている者も多い。 | + | :所謂[[パイロットスーツ]]のこと。ATにはパイロットの生命維持のための装備は無いので、'''これだけが命綱'''。ただし着心地は悪くないのか、劇中では[[キリコ・キュービィー|キリコ]]を含め普段着同然としている者も少なくない。 |
| :特にスコープドッグ搭乗に際しては、機体が気密性度外視の構造のため必需品であるが、他の機体でも宇宙はもちろん寒冷地・砂漠など過酷な環境下での作戦行動時には必ず着用する必要がある。 | | :特にスコープドッグ搭乗に際しては、機体が気密性度外視の構造のため必需品であるが、他の機体でも宇宙はもちろん寒冷地・砂漠など過酷な環境下での作戦行動時には必ず着用する必要がある。 |
| :ヘルメットはそのデザイン上、ゴーグルを下ろしていると顔が確認し辛い。しかも、大抵の者は耐圧服が同じ<ref>なお、アニメのAT戦闘シーンで登場するATが敵も味方も同じ外見の量産型ということがしょっちゅうあったため、'''声で判断しないと誰と誰が戦ってるのか視聴者に伝わらない'''という状況がしばしば発生した。</ref>。 | | :ヘルメットはそのデザイン上、ゴーグルを下ろしていると顔が確認し辛い。しかも、大抵の者は耐圧服が同じ<ref>なお、アニメのAT戦闘シーンで登場するATが敵も味方も同じ外見の量産型ということがしょっちゅうあったため、'''声で判断しないと誰と誰が戦ってるのか視聴者に伝わらない'''という状況がしばしば発生した。</ref>。 |
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| :ミッションディスクはATの基本操縦技術を習得しやすくしている反面、「AT乗りはいくらでも補充が効く」「使い捨てても問題無い」という風潮を高める要因の一つにもなっているとも言える。また、ATがダメージを受けたり長時間使用するとディスクが「焼き付き」使用できなくなる事がある。 | | :ミッションディスクはATの基本操縦技術を習得しやすくしている反面、「AT乗りはいくらでも補充が効く」「使い捨てても問題無い」という風潮を高める要因の一つにもなっているとも言える。また、ATがダメージを受けたり長時間使用するとディスクが「焼き付き」使用できなくなる事がある。 |
| :ゲーム内では、ATのパイロットが「ミッションディスクが焼き付きやがった」、キリコが「ミッションディスクが役に立ったか」等の台詞がある。 | | :ゲーム内では、ATのパイロットが「ミッションディスクが焼き付きやがった」、キリコが「ミッションディスクが役に立ったか」等の台詞がある。 |
| + | :なおATを動かす事自体にはミッションディスクは必要ではなく、あくまでも操縦補助用のサブMMIといったものであり、キリコの[[スコープドッグII]]は劇中イプシロンとの戦闘中にディスクが途中で焼き付いたにも関わらず戦闘を続行している。 |
| ;ポリマーリンゲル液 | | ;ポリマーリンゲル液 |
| :ATには内燃機関は搭載されず、人工筋肉の一種である「[[マッスルシリンダー]]」によって四肢を駆動するようになっている。シリンダー内部はポリマーリンゲル液(PR液)と呼ばれる液体に満たされており、アイドリング状態ではポンプによってシリンダー内を循環している<ref>駆動時には電気信号によって化学反応が発生し、[[マッスルシリンダー]]が収縮する。PR液はATの全身にくまなくめぐっており、人間で言うなら血液に近い。被弾した箇所からPR液が漏れ出す様子は、人間が怪我で出血した様子を思わせる。</ref>。 | | :ATには内燃機関は搭載されず、人工筋肉の一種である「[[マッスルシリンダー]]」によって四肢を駆動するようになっている。シリンダー内部はポリマーリンゲル液(PR液)と呼ばれる液体に満たされており、アイドリング状態ではポンプによってシリンダー内を循環している<ref>駆動時には電気信号によって化学反応が発生し、[[マッスルシリンダー]]が収縮する。PR液はATの全身にくまなくめぐっており、人間で言うなら血液に近い。被弾した箇所からPR液が漏れ出す様子は、人間が怪我で出血した様子を思わせる。</ref>。 |
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| ;降着形態 | | ;降着形態 |
| :ATは胸部全体がコクピットブロックになっている。そこで、パイロットの乗り降りを容易にするために、脚部を大きく[[変形]]させて全高を下げる機構が内装されている。また、この機構はパラシュート降下における着地時の衝撃吸収装置としても機能する。 | | :ATは胸部全体がコクピットブロックになっている。そこで、パイロットの乗り降りを容易にするために、脚部を大きく[[変形]]させて全高を下げる機構が内装されている。また、この機構はパラシュート降下における着地時の衝撃吸収装置としても機能する。 |
− | :なお、『[[第2次スーパーロボット大戦Z|第2次Z]]』では[[キリコ・キュービィー|キリコ]]の搭乗する機体が[[強化パーツ]]によって飛行している状態で、地上の敵にアームパンチをする際の着地時に見ることができる。 | + | :なお『Zシリーズ』では[[キリコ・キュービィー|キリコ]]の搭乗する機体が[[強化パーツ]]によって飛行している状態で、地上の敵にアームパンチをする際の着地時に見ることができるほか、キリコの搭乗機の一部のアサルト・コンバットのモーションに組み込まれていたりもする。 |
| ;ローラーダッシュ | | ;ローラーダッシュ |
| :ATの足底にはコアレスモーターのローラーや履帯(キャタピラ)が装着されており、平坦な場所ではこれを使った高速移動「ローラーダッシュ」が可能。 | | :ATの足底にはコアレスモーターのローラーや履帯(キャタピラ)が装着されており、平坦な場所ではこれを使った高速移動「ローラーダッシュ」が可能。 |
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| ;ターンピック | | ;ターンピック |
| :ATの脚部・くるぶしの部分に付いている可動式のスパイク。ローラーダッシュ時に地面に打ち込むことで、AFV(装甲戦闘車両)や戦車ではとうてい真似のできない急速旋回を行なえる。 | | :ATの脚部・くるぶしの部分に付いている可動式のスパイク。ローラーダッシュ時に地面に打ち込むことで、AFV(装甲戦闘車両)や戦車ではとうてい真似のできない急速旋回を行なえる。 |
| + | :OVAではキリコが言った「ターンピックが冴えないな」(=ターンピックの調子が悪くて、うまく旋回ができない)という台詞がボトムズファンの琴線に触れ、ATが鮮やかな旋回を見せる場面は'''「ターンピックが冴えてるな」'''と評されるようになった。 |
| ;アームパンチ | | ;アームパンチ |
− | :ATの前腕部に内装されている格闘戦用装備。炸薬によってマニピュレータを杭打ち機のように瞬間的に押し出す。炸薬は薬莢式になっているので、回数に制限はあるものの連続して打撃を繰り出すことも可能。 | + | :ATの前腕部に内装されている格闘戦用装備。二の腕部分から先が二重のシリンダー式になっており、炸薬によって手首から先のマニピュレータを杭打ち機のように瞬間的に押し出す機構である。炸薬は薬莢式になっているので、回数に制限はあるものの連続して打撃を繰り出すことも可能。 |
| + | :なお、薬莢が排出されるギミックは、高橋良輔監督によれば前作『[[太陽の牙ダグラム]]』で共同監督を務めた、故・神田武幸氏がモデルガンマニアで、彼が持っていたブローバック機能によって薬莢が排出される、オートマチックのモデルガンを見て思い付いたとのこと。 |
| ;パイルバンカー | | ;パイルバンカー |
− | :これもATの格闘戦用装備で、巨大な金属製の槍(あるいは杭)を炸薬や電磁力などにより高速射出し、敵の装甲を撃ち抜く。大抵ついでに'''中のパイロットも串刺し'''にしてしまうが、ATではそもそもどの武器でも似たような事になるので大差はない。 | + | :これもATの格闘戦用装備で、巨大な金属製の槍(あるいは杭)を炸薬や電磁力などにより高速射出し、敵の装甲を撃ち抜く。本来、この武装は'''装甲を貫通させて中のパイロットを串刺しにするためのもの'''である。 |
− | :後発のアニメやゲーム作品(無論、スパロボも)に多大な影響を与えた武器として有名…なのだが、実は「パイルバンカー」という名称自体が後付けである。 | + | :後発のアニメやゲーム作品([[アルトアイゼン|無論、スパロボも]])に多大な影響を与えた武器として有名…なのだが、'''実は「パイルバンカー」という名称自体が後付け'''である。 |
| ;機甲猟兵 | | ;機甲猟兵 |
− | :『機甲猟兵メロウリンク』の主人公メロウリンクの立場である、懲罰やATを損失した事等により[[生身ユニット|生身]]でATとの戦闘を強制された兵士。 | + | :『[[機甲猟兵メロウリンク]]』の主人公メロウリンクの立場である、懲罰やATを損失した事等により[[生身ユニット|生身]]でATとの戦闘を強制された兵士。 |
− | :一応対AT用ライフル等の装備も使用するものの、その実情がAT乗りよりも過酷であることは言うまでもなく、生存の為どんな汚い手段でも講じる事から「ボトムズ(最低野郎)」以下の存在である「'''戦場の蛆'''」とまで蔑視されている。 | + | :一応、対AT用ライフル等の装備は与えられているものの、その実情がAT乗りよりも過酷であることは想像に難くないだろう。生存の為にどんな汚い手段でも講じる事から「ボトムズ(最低野郎)」以下の存在である「'''戦場の蛭'''(せんじょうのヒル)」とまで蔑視されている。 |
| + | ;ターレットレンズ |
| + | :ATの頭部に装着された三つ目のカメラアイ。これを回転させることでカメラのレンズを切り替え、距離に応じた最適な焦点に合わせる。 |
| + | :ガチャン!ガチャン!と回転するアクションが最高にむせる。 |
| + | :第四話の予告「回るターレットから、キリコに熱い視線が突き刺さる」のフレーズは特に有名。 |
| + | :なお、現実にもこの機構は存在しており、身近な例で言えば顕微鏡がそれである。 |
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| == 余談 == | | == 余談 == |
− | *装甲の薄さで有名なATだが、初期段階ではその設定が固まっていなかったのか、第4話[[次回予告]]では「故国を守る誇りを'''厚い装甲に包んだ'''アーマード・トルーパー」と謳われている。また、同話のスコープドッグは犯罪者集団から機銃や小型ミサイルの集中砲火を浴びているが、まるで[[スーパーロボット]]のようにびくともしていなかった。 | + | *装甲の薄さで有名なATだが、初期段階ではその設定が固まっていなかったのか、『装甲騎兵ボトムズ』第4話[[次回予告]]では「故国を守る誇りを'''厚い装甲に包んだ'''アーマード・トルーパー」と謳われている。 |
− | *ATは、後年の作品である『[[コードギアスシリーズ]]』に登場する人型兵器[[ナイトメアフレーム]]にも影響を与えている。 | + | **なお、同上話劇中においてスコープドッグは犯罪者集団から'''機銃や小型ミサイルの集中砲火を浴びているが、まるで(堅牢な)[[スーパーロボット]]のようにびくともしていなかった'''。 |
| + | *ATは、後年の作品である『[[コードギアスシリーズ]]』の[[ナイトメアフレーム]]にも影響を与えている。 |
| + | *『[[装甲騎兵ボトムズ]]』の監督である高橋良輔氏によれば、「'''(高橋監督がまだ子供だった)太平洋戦争の敗戦後の時代に、日本の国土を走り回っていた進駐軍をジープのイメージしたのがATだった'''」と語っている。 |
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| == 脚注 == | | == 脚注 == |