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| == 概要 == | | == 概要 == |
− | タイトルの「巨神」の読み方は「きょ'''じ'''ん」。古代文明のロボットを偶然発掘した地球人が、それを狙う異星人の攻撃から逃れるために宇宙をあてもなく放浪する漂流劇をテーマにした作品。OP曲のサビの歌詞「スペース・ランナウェイ・イデオン」がこの作品の内容を端的に表している。話が進むにつれて主人公達を取り巻く状況が悪化していくことが特徴で、敵も味方も戦場で無惨に死んでいく様子が鮮烈に描かれているため「黒富野」の頂点ともされる。 | + | タイトルの「巨神」の読み方は「きょ'''じ'''ん」。古代文明のロボットを偶然発掘した地球人が、それを狙う[[異星人]]の攻撃から逃れるために宇宙をあてもなく放浪する漂流劇をテーマにした作品。OP曲のサビの歌詞「スペース・ランナウェイ・イデオン」がこの作品の内容を端的に表している。話が進むにつれて[[主人公]]達を取り巻く状況が悪化していくことが特徴で、敵も味方も戦場で無惨に死んでいく様子が鮮烈に描かれているため「黒富野」の頂点ともされる。 |
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− | 主役ロボの[[イデオン]]は正義のヒーローでもリアルな兵器でもなく、戦闘能力とは別次元の、宇宙や生命を創造したり滅ぼしたりする力を持つ'''「機械仕掛けの神」'''である。そしてそのイデオンを動かす動力源「[[イデ]]」はただのすごいエネルギーではなく、意思ある存在であり、そのロボットを動かす人間よりも上位の存在である。このような描かれかたは今日のロボットアニメにおいて珍しくはないが、当時はかなり斬新な作風であった。 | + | 主役ロボの[[イデオン]]は正義のヒーローでもリアルな兵器でもなく、戦闘能力とは別次元の、宇宙や生命を創造したり滅ぼしたりする力を持つ'''「[[デウスエクスマキナ|機械仕掛けの神]]」'''である。そしてそのイデオンを動かす動力源「[[イデ]]」はただのすごいエネルギーではなく、意思ある存在であり、そのロボットを動かす人間よりも上位の存在である。このような描かれかたは今日のロボットアニメにおいて珍しくはないが、当時はかなり斬新な作風であった。 |
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− | しかもTV放映時は[[打ち切り]]のために'''戦闘の途中で突然イデが発動して、全ての存在を[[因果地平]]の彼方へ葬り去り、[[宇宙]]には誰もいなくなった(ナレーションも含む)'''という結末になったことで、皮肉にも本作が持つ神話的・黙示的な側面がより強調された。後にTV版を補足する劇場版が上映されたが、こちらでも唐突感こそなくなったものの、イデが発動して因果地平に…という全滅作劇の方向性は変わらず、イデオンは伝説の作品として当時のアニメファンに[[トラウマイベント|トラウマ]]を植えつけることとなる。そのおかげか、1980年代前半のロボットアニメでは「意思あるエネルギー」で主役ロボットが動く作品や、最終回で全てのキャラクターが人間としては死んでしまい、人間以上のナニカに進化したり同化したりするという終わり方をする作品がわりと目立つ。これらの要素は今現在でもロボットものに限らずアニメ作品の一つの定型として根付いている<ref>「機械仕掛けの神」「意思あるエネルギー」の代表の[[ゲッターロボ]]は、TV放映時はこのようなイメージはなかった。これらの側面が与えられるのは1990年代の漫画展開からである。</ref>。 | + | しかもTV放映時は[[打ち切り]]のために'''戦闘の途中で突然イデが発動して、全ての存在を[[因果地平]]の彼方へ葬り去り、[[宇宙]]には誰もいなくなった([[ナレーション]]も含む)'''という結末になったことで、皮肉にも本作が持つ神話的・黙示的な側面がより強調された。後にTV版を補足する劇場版が上映されたが、こちらでも唐突感こそなくなったものの、「イデが発動して因果地平に…」という全滅作劇の方向性は変わらず、『伝説巨神イデオン』は文字通り「伝説の作品」として当時のアニメファンに[[トラウマイベント|トラウマ]]を植えつけることとなる。 |
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| + | そのおかげか、1980年代前半のロボットアニメでは「意思あるエネルギー」で主役ロボットが動く作品や、最終回で全てのキャラクターが人間としては死んでしまい、人間以上のナニカに進化したり同化したりするという終わり方をする作品がわりと目立つ。これらの要素は今現在でもロボットものに限らずアニメ作品の一つの定型として根付いている<ref>余談だが、現在では「機械仕掛けの神」「意思あるエネルギー」の代表格である[[ゲッターロボ]]は、TV放映時はこのようなイメージはなかった。これらの側面が与えられるのは、1990年代の[[漫画]]展開からである。</ref>。 |
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| ==ストーリー== | | ==ストーリー== |
− | 地球人類が外宇宙へ移民を行っているはるかな未来。ソロ星という星の移民団はそこで発見された謎の遺跡の調査を行っていた。そこへ突然謎の異星文明の調査団がやってくる。互いが初めて出会った二つの星の人たちは注意深く「ファーストコンタクト」を行ったが、文化の違いによる誤解から武力衝突に発展。そのとき突然、この遺跡から謎の巨大ロボットと宇宙船が出現する。事情がわからぬまま宇宙船に乗り込みソロ星から脱出した地球移民たち。
| + | 地球人類が外宇宙へ移民を行っている遥かな未来。ソロ星という星の移民団はそこで発見された謎の遺跡の調査を行っていた。そこへ突然謎の異星文明の調査団がやってくる。互いが初めて出会った二つの星の人たちは注意深く「ファーストコンタクト」を行ったが、文化の違いによる誤解から武力衝突に発展。そのとき突然、この遺跡から謎の巨大ロボットと宇宙船が出現する。事情がわからぬまま宇宙船に乗り込みソロ星から脱出した地球移民たち。 |
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| そう、この遺跡こそ、彼ら[[バッフ・クラン]]の異星人が血眼になって探している、[[無限力]]「[[イデ]]」の遺跡であった。種族の命運をかけてでもイデを手に入れようとするバッフ・クランは彼らを追撃する。 | | そう、この遺跡こそ、彼ら[[バッフ・クラン]]の異星人が血眼になって探している、[[無限力]]「[[イデ]]」の遺跡であった。種族の命運をかけてでもイデを手に入れようとするバッフ・クランは彼らを追撃する。 |
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| == 用語 == | | == 用語 == |
| ;[[イデ]] | | ;[[イデ]] |
− | :[[バッフ・クラン]]が捜し求める、無限の力を持つ超エネルギー。独自の意思を持っており、純粋な防衛本能に感応して発動する。 | + | :[[バッフ・クラン]]が捜し求める、無限の力を持つ[[動力・エンジン・エネルギー|超エネルギー]]。独自の意思を持っており、純粋な防衛本能に感応して発動する。 |
| ;[[無限力]] | | ;[[無限力]] |
− | :「むげんちから」と読む。 | + | :「'''むげんちから'''」と読む。 |
| ;[[ソロ星]] | | ;[[ソロ星]] |
| :地球から250万光年、アンドロメダ星雲内に存在する惑星。 | | :地球から250万光年、アンドロメダ星雲内に存在する惑星。 |
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| :ポスター等に顔を見せているが、実際は『F完結編』の予告に登場するのみ。 | | :ポスター等に顔を見せているが、実際は『F完結編』の予告に登場するのみ。 |
| ;[[スーパーロボット大戦F完結編]] | | ;[[スーパーロボット大戦F完結編]] |
− | :F完結編の後半、未来から[[タイムスリップ]]するという形で登場。そのため[[バッフ・クラン]]はハルルなど一部の艦隊しか転移してこなかった設定であり、敵方の存在感は今一つ。一方[[イデオン]]の存在感は半端ではなく、マップの大半を射界に収め、ラスボスをも一撃で撃沈する[[イデオンガン]]の冗談のような性能は、多くのプレイヤーに強烈なインパクトを与えた。 | + | :『F完結編』の後半、「未来から[[タイムスリップ]]する」という形で登場。そのため、[[バッフ・クラン]]は「ハルル等の一部の艦隊しか転移してこなかった」という設定であり、敵方の存在感は今一つ。 |
| + | :一方[[イデオン]]の存在感は半端ではなく、マップの大半を射界に収め、ラスボスをも一撃で撃沈する[[イデオンガン]]の冗談のような性能は、多くのプレイヤーに強烈なインパクトを与えた。 |
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| === [[αシリーズ]] === | | === [[αシリーズ]] === |
| ;[[第3次スーパーロボット大戦α 終焉の銀河へ]] | | ;[[第3次スーパーロボット大戦α 終焉の銀河へ]] |
− | :寺田P曰く「αシリーズへのイデオン参戦は第3次αまで暖めていた」とのことで、どの面から見ても非常に力の入った扱われ方をされている。各要素がいずれも物語の中核を担い、特に「[[無限力]]」は設定的な重要性が加味された。[[バッフ・クラン]]も抜かりなく、オリジナル敵勢力の[[ゼ・バルマリィ帝国|バルマー]]を凌駕し[[宇宙怪獣]]にも比肩する、原作通りの超巨大勢力として描かれる。 | + | :寺田P曰く「αシリーズへのイデオン参戦は『第3次α』まで暖めていた」とのことで、どの面から見ても非常に力の入った扱われ方をされている。 |
− | :[[イデオン]]は攻撃面でF完結編には劣るものの、扱いやすさは格段に向上している。 | + | :各要素がいずれも物語の中核を担い、特に「[[無限力]]」は設定的な重要性が加味された。[[バッフ・クラン]]も抜かりなく、オリジナル敵勢力の[[ゼ・バルマリィ帝国|バルマー]]を凌駕し[[宇宙怪獣]]にも比肩する、原作通りの超巨大勢力として描かれる。 |
| + | :[[イデオン]]は攻撃面で『F完結編』には劣るものの、扱いやすさは格段に向上している。 |
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| == 主要スタッフ == | | == 主要スタッフ == |
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| :日本サンライズ | | :日本サンライズ |
| ;監督 | | ;監督 |
− | :富野喜幸 | + | :富野喜幸(現:富野由悠季) |
| ;キャラクターデザイン | | ;キャラクターデザイン |
| :湖川友謙 | | :湖川友謙 |
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| == 余談 == | | == 余談 == |
− | *ちょっとした誤解から始まった諍いが救いのない殲滅戦争に発展するこの物語のテーマは、冨野監督によると'''「バカは死ななきゃ治らない」'''である。 | + | *ちょっとした誤解から始まった諍いが救いのない殲滅戦争に発展する『伝説巨神イデオン』のテーマは、富野監督によると'''「バカは死ななきゃ治らない」'''である。 |
− | *外伝作品として長谷川裕一氏の漫画『機動戦士VS伝説巨神 逆襲のギガンティス』がある。 | + | *外伝作品として長谷川裕一氏の[[漫画]]作品『機動戦士VS伝説巨神 逆襲のギガンティス』がある。 |
− | **『[[機動戦士ガンダムΖΖ]]』と『[[機動戦士ガンダム 逆襲のシャア|逆襲のシャア]]』の間のミッシングリンクを補完すると同時に、一見無関係に思えるイデオンと[[ガンダムシリーズ]]の繋がりが長谷川氏独自の大胆な解釈で描かれた。なお、公式設定が定着する以前に発表された作品であるために以後の[[宇宙世紀]]作品とは矛盾が生じる描写がある。 | + | **『[[機動戦士ガンダムΖΖ]]』と『[[機動戦士ガンダム 逆襲のシャア|逆襲のシャア]]』の間のミッシングリンクを補完すると同時に、一見無関係に思えるイデオンと[[ガンダムシリーズ]]の繋がりが長谷川氏独自の大胆な解釈で描かれた。なお、公式設定が定着する以前に発表された作品であるため、以後の[[宇宙世紀]]作品とは矛盾が生じる描写が存在している。 |
| *劇場版のプロモーションとして行われたイベント「明るいイデオン」の一環として、『[[無敵鋼人ダイターン3]]』のOP曲「カムヒア! ダイターン3」を本作のキャラでパロディした『'''アジバ3'''』なるMAD作品が、日本サンライズ(現・サンライズ)の公式スタッフの手で作られている。 | | *劇場版のプロモーションとして行われたイベント「明るいイデオン」の一環として、『[[無敵鋼人ダイターン3]]』のOP曲「カムヒア! ダイターン3」を本作のキャラでパロディした『'''アジバ3'''』なるMAD作品が、日本サンライズ(現・サンライズ)の公式スタッフの手で作られている。 |
| **赤いタキシードに身を包む[[破嵐万丈|万丈]]役のドバ総司令をはじめ、[[ビューティフル・タチバナ|ビューティ]]=ハルル、[[三条レイカ|レイカ]]=ギンドロ、[[コロス]]=カララ、[[ドン・ザウサー]]=べス、[[ダイターン3]]=イデオンといった布陣で描かれるOPは、爆笑必至の完成度を誇る。 | | **赤いタキシードに身を包む[[破嵐万丈|万丈]]役のドバ総司令をはじめ、[[ビューティフル・タチバナ|ビューティ]]=ハルル、[[三条レイカ|レイカ]]=ギンドロ、[[コロス]]=カララ、[[ドン・ザウサー]]=べス、[[ダイターン3]]=イデオンといった布陣で描かれるOPは、爆笑必至の完成度を誇る。 |