ノーマ
『クロスアンジュ 天使と竜の輪舞』に登場する人種の区分。「女性にしか存在せず、男性は一人もいない」点が特徴。
概要
作中世界では「マナ」と呼ばれる万能の力を誰でも使用し、その力の恩恵で一見、理想的で平和な社会が築かれている。しかし、一定の確率でマナが使えないばかりかその力を触れるだけで無効化してしまう人間が生まれてしまう。マナが扱えない人間として生まれるのは女性のみであり、男性はいない。その女性達を作中世界では「ノーマ」と呼んでいる。(タスクはマナを使えない人間ではあるがノーマとはみなされない。理由は後述)。
そのため、ノーマという存在はマナに依存しきっているほとんどのマナ使いからは差別・迫害され、アルゼナルへと隔離される。アルゼナルは外界と隔絶された施設であり、送られたノーマ達はそこで養育され、「異世界から転移してくるドラゴンと戦うためだけに認められる存在だ」と教育される。大抵は赤ん坊のうちに親から離されるため、肉親の記憶を持っているノーマは非常に少ない(劇中において「肉親の記憶を持っている」と確実に言えるのはアンジュ、ヒルダ、ジルの3人のみ)。成長したノーマは10歳を過ぎた頃からメイルライダー、整備士、オペレーターなどドラゴンとの戦闘に関わる仕事に携わる事になる。メイルライダーは搭乗するパラメイルがコクピットが剥き出しの上、身体を固定する装備さえ無く、死亡率が高い。
真相
実は、「クロスアンジュ作中世界の大半の人間はエンブリヲによって新たに生み出されたホムンクルスである」という事実が本編終盤において判明する。エンブリヲはマナを扱う人間を操る事ができるため、ホムンクルス達をそのように遺伝子調整していた。しかし、女性はマナを扱えない先祖がえりをして生まれてくる者、すなわち「ノーマ」が現れる事実が分かる判明すると、彼女達を迫害対象になるようにマナ使いに仕向け、マナ使いによってアルゼナルに送られたノーマに対してマナの維持に必要なドラグニウムを体内に持っているドラゴンと戦わせていたのである。
また、ドラゴンことアウラの民達の目的は「自分達の始祖であり、エンブリヲに捕らえられているアウラを奪還し、自分達の世界の崩壊を防ぐ事」であり、世界の破壊など全く考えていなかった。つまり、「ノーマ達はエンブリヲに利用され、自分達を迫害する者達のために無意味な戦いを強いられていた」のである(元々、マナを使えない彼女達にとってはマナが使えなくなったとしても変化が無い)。
本編中盤では、本編以前にそうした事実に気づいたノーマ達が劇中の世界に元々住んでおり、エンブリヲと敵対していた古の民と手を組んで行われた「リベルタス」という計画を実行し、失敗した事が明かされる。
そして、本編終盤では、ノーマ達は「長年互いに殺し合いをしてきたドラゴンこと異世界の種族であるアウラの民と同盟を結ぶ」という一大方針転換を行う。この同盟にこぎ着けたのはアンジュとサラマンディーネの結び付きが大きい。龍神機の開発によって搭乗者であるサラマンディーネ達は人間の姿とまま戦闘に参加し、アンジュと劇的な出会いを果たす。
『クロスアンジュ』最終話では、何故ノーマは女性だけにしか存在しなかった理由がアンジュにより語られており、「神(=エンブリヲ)に対する人間の潜在的な反抗意思であった」事が明かされる。多大な犠牲を出しながらもエンブリヲを打倒したノーマ達はアウラの民のいる世界である「真なる地球」に転移し、アウラの民と同盟を継続して移住。共に地球の復興を進める事となる。こうして長年、迫害され、不毛な殺し合いにさらされて来た彼女達にようやく平穏が訪れたのである。また、元々いた地球ではマナが消滅したため、今後生まれるノーマ達を区別する事は不可能になり、差別は自動的になくなっていくと推測される。
……が、最終話以降、偽りの地球(マナ世界)から(真実の地球=ドラゴン世界へ)やって来た人間たちはほぼすべてが女性であり、男性はタスク一人しか存在しないことから、真実の地球にやって来た純然たる人類は(遺伝学的観点からして)ほぼ確実に絶滅する運命にあるものと推測される。
スパロボでの扱い
マナとノーマは『クロスアンジュ』という作品における根幹かつ独自設定であるため、他作品(=マナという力の存在しない世界)の人間との設定上のすり合わせが必要となる。
『クロスアンジュ』初参戦の『V』では他作品のキャラをマナ使いorノーマ扱いに改変するのではなく、「始祖連合国と呼ばれる独自のマナ文化を築く閉鎖的な国家の連合体が形成され、その中でマナを使えない人間がノーマ」という設定になっている。
また、火星の後継者も自部隊に所属するパラメイル第一中隊と交戦した際に「ノーマなのに連合に加担するのか」という旨の発言をするが、「マナを使えない」という意味においては火星の後継者もノーマと同様の立ち位置、という矛盾が発生している。