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286 バイト除去 、 2014年8月10日 (日) 22:40
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== スーパーデフォルメ(Super Deformed) ==
 
== スーパーデフォルメ(Super Deformed) ==
「'''スーパーデフォルメ'''」(略称・'''[[SD]]''')とは、リアル頭身の対象を低頭身化・簡略化して、丸っこく可愛らしい外見にすることで、コミカルでルーズな雰囲気を強調する技法のことである。
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「'''スーパーデフォルメ'''」(略称・'''[[SD]]''')とは、キャラクターを低頭身化・簡略化して可愛らしい外見にすることによって、コミカルでルーズな雰囲気を加味する技法・および概念のことである。対義表現には「'''リアル化'''」などがある。
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元々は『[[SDガンダムシリーズ]]』のために作られた用語であり、正確には「スーパーデ'''ィ'''フォルメ」である。しかし一般的には表記揺れの範囲で、この2つに違いは用いられない。「スーパーディフォルメ」はバンダイの商標登録なこともあり、バンダイに限らない全般的なSDデザイン傾向を解説することも含めて、当該の項目名は「スーパーデフォルメ」とする。
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元々は『[[SDガンダムシリーズ]]』のために作られた言葉であり、正しくは「スーパーデ'''ィ'''フォルメ」である。しかし一般的には表記揺れの範囲で、多くにおいてこの2つの違いは言及されない。
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事実、1990年代にはバンダイ以外も低頭身化・簡略化させたキャラクター玩具が次々と作り出され、児童雑誌ではそれらの製品の紹介にも「SD」という言葉が当たり前のように使われていた。
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「スーパーディフォルメ」はバンダイの商標登録である事もあって、バンダイに限らない全般的なSD系デザインの流れを解説することも含めて、当該の項目名は「スーパーデフォルメ」としている。事実、1990年代にはバンダイ以外でも低頭身化・簡略化させたキャラクター玩具が次々と登場しており、児童雑誌ではそれらの製品の紹介にも「SD」という言葉が当たり前のように使われていた。
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近年では版権や商標に関する社会全体の意識が昔より高まっているため、登録商標に被らなかったとしても「スーパーデフォルメ」や「SD」という言葉がメディア上で安易に使われることは少なくなった。現在ではこのような傾向のデザインを指す一般名詞としては「デフォルメ」が使われることが多い。また、メカではないものに対しては「'''ちびキャラ'''」という言葉が使われることもある。こちらは日本語として一般的な意味合いであることから商標にはなってない。
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近年では版権や商標に関する社会全体の意識が昔より高まっているため、登録商標に被らなかったとしても「スーパーデフォルメ」や「SD」という言葉がメディア上で安易に使われることは少なくなった。現在ではこのような傾向のデザインを指す一般名詞としては「デフォルメ」が使われることが多い。また、メカではないものに対しては「'''ちびキャラ'''」という言葉が使われることもある。こちらは日本語として一般的な意味合いであることから商標とはされていない。
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なお、英語圏では「Chibified」となどと呼ばれることもある(Chibiは日本語のチビ)。これは「deformed」に「奇形の・醜い」といった悪い意味があるためである。
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なお、英語圏では「Chibified」となどと呼ばれることもある(Chibiは日本語のチビ)。これは「deformed」に「奇形の・醜い」といったネガティブな意味合いがあるためである。
    
=== デフォルメ ===
 
=== デフォルメ ===
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== SD形成史 ==
 
== SD形成史 ==
 
=== SDガンダム以前 ===
 
=== SDガンダム以前 ===
SDという言葉は[[SDガンダム]]が作り出したものだが、キャラクターを低頭身化・簡略化させてコミカルさを強調する技法はそれ以前から試みられていた。原点と言えるのは、比較的シリアスな漫画作品に挿入される息抜きのギャグシーンやパロディシーンで、キャラクターを「崩した絵」で描くことである。この技法は1970年代の少女漫画界で生み出され、現在に至るまで漫画技法の定番のひとつである、
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SDという言葉自体は[[SDガンダム]]で創り出されたものであるが、キャラクターを低頭身化・簡略化させてコミカルさを強調する技法はそれ以前から試みられていた。原点と言えるのは、比較的シリアスな漫画作品に挿入される息抜きのギャグシーンやパロディシーンで、キャラクターを「崩した絵」で描くことである。この手法は1970年代の少女漫画界で生み出され、現在に至るまで漫画演出における定番のひとつとなっている。
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SDキャラクター全盛期を支えたデザイナーの1人である佐藤元によれば、低頭身キャラクターのデザイン技法を洗練させたのはアニメ誌『月刊OUT』の投稿者のコミュニティだとしている。『宇宙戦艦ヤマト』のヒットで中高生の若いアニメファンが、上述した少女漫画的な技法のお遊びとして「崩しキャラを使ったパロディイラスト」を月刊OUTに多数投稿しており、当時の若い世代のアニメファンや、アニメ製作者の間でそういうセンスが浸透されていった。1980年代に入ると、影響を受けた作り手側がそのようなセンスを商業作品に落とし込むようになり、アニメ『超力ロボガラット』や食玩シールの『ビックリマン』シリーズ、タカラのミニカー玩具『チョロQ』など、キャラクターデザイン(メカデザイン)の低頭身・簡略化を手抜き感なく高い完成度で実現した商業コンテンツが世に出てくるようになった。そして、1980年代後半には当時の『月刊OUT』の読者世代がプロとして企画側になり、彼らによって爆発的にSDキャラクターが量産された、というわけである。
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SDキャラクター全盛期を支えたデザイナーの1人である佐藤元によれば、低頭身キャラクターのデザイン技法を洗練させたのはアニメ誌『月刊OUT』の投稿者のコミュニティだとしている。『宇宙戦艦ヤマト』のヒットで中高生の若いアニメファンによって、先述された少女漫画的な手法のお遊びとして「崩しキャラを使ったパロディイラスト」をアニメ誌『月刊OUT』が多数投稿され、それらに触れたアニメ製作者の間にも同じようなセンスが浸透されていった。1980年代に入ると、影響を受けた作り手側がそれらを商業作品に落とし込むようになり、アニメ『超力ロボガラット』や食玩シールの『ビックリマン』シリーズ、タカラのミニカー玩具『チョロQ』など、キャラクターの低頭身・簡略化をプロダクトデザインへと昇華させた商業コンテンツが輩出されるようになった。そして、1980年代後半には当時の『月刊OUT』の読者世代がプロ化してクリエーター側になり、彼らによって爆発的にSDキャラクターが量産される事となる。
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これらの中で、『[[SDガンダム]]』の直接的な先祖とされる商品が『チョロQ』である。これはプルバック式のゼンマイによって走行するコミカルな形状のミニカーなのだが、タカラはこのゼンマイ機構をロボットアニメ『太陽の牙ダグラム』の主人公ロボに組み込んだ玩具を1983年から売りだしていた(名前はズバリ『'''チョロQダグラム'''』)。この際、『チョロQ』のデザインにあわせてダグラムも低等身で丸っこくデフォルメされた。これそれなりのヒットを記録し、『[[装甲騎兵ボトムズ]]』『機甲界ガリアン』『巨神ゴーグ』などのタカラ版権のロボットが次々とチョロQ化されることになる。
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これらの中で、『[[SDガンダム]]』の直接的な先祖とされる商品が『チョロQ』である。これはプルバック式のゼンマイによって走行するコミカルな形状のミニカーなのだが、タカラはこのゼンマイ機構をロボットアニメ『太陽の牙ダグラム』の主人公ロボに組み込んだタイアップ玩具『'''チョロQダグラム'''』を1983年から売りだしていた。この際、『チョロQ』のデザインにあわせてダグラムも低等身で丸っこくデフォルメされた。これそれなりのヒットを記録し、『[[装甲騎兵ボトムズ]]』『機甲界ガリアン』『巨神ゴーグ』などのタカラ版権のロボットが次々とチョロQ化されることになる。
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この流れを見たバンダイも、自社がスポンサーをしているロボットに低頭身デフォルメを施した玩具を次々と企画。1984年~1985年にはチョロQ類似品『ロボチェンマン』、変形プラモ『カワルドスーツ』、ミニプラキット『ディフォルメ・エルガイム』『ディフォルメ・ガンダム』など様々なものが発売された。そして最終的に消しゴム人形『SDガンダム』が登場し、大人気を得たことで、他のデフォルメもののシリーズは「SD」のブランドに統合される形で発展的解消を遂げた。このライン統合が後にSDガンダムのプラキットシリーズ化(BB戦士、元祖SDガンダム)につながることになる。
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この流れを見たバンダイも、自社がスポンサーをしているロボットに低頭身デフォルメを施した玩具を次々と企画。1984年~1985年にはチョロQ類似品『ロボチェンマン』、変形プラモデル『カワルドスーツ』、ミニプラキット『ディフォルメ・エルガイム』『ディフォルメ・ガンダム』など様々な商品が発売された。これらの試行錯誤を経た後、消しゴム人形『SDガンダム』が登場し大人気を得たことで、他のデフォルメ系シリーズは「SD」のブランドへ統合される形で発展的解消となった。このライン統合が後にSDガンダムのプラキットシリーズ化(BB戦士、元祖SDガンダム)へとつながることになる。
    
===「スーパーデフォルメ」の誕生===
 
===「スーパーデフォルメ」の誕生===
 
「スーパーデフォルメ」の用語の元祖である[[SDガンダム]]は、カプセルトイ(ガシャポン、ガチャガチャ)の消しゴム人形から始まった企画である。
 
「スーパーデフォルメ」の用語の元祖である[[SDガンダム]]は、カプセルトイ(ガシャポン、ガチャガチャ)の消しゴム人形から始まった企画である。
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「消しゴム人形」とはプラスチック消しゴムの材料である塩化ビニル樹脂で作られた人形のことで、1970年代の「スーパーカー消しゴム」のブームで一気に広まった。原材料コストが安いうえに簡単に加工ができることから安価なミニチュアの素材として好まれ、1980年代には『キン肉マン』の「キン消し」や、『[[機動戦士ガンダム]]』の「ガン消し」など、様々なアニメや漫画のキャラクターが消しゴム人形として多数作られ、大人気となった。タカラ・バンダイなどの玩具メーカーだけでなく、食玩市場から菓子メーカーもカプセルトイ市場に参戦し、まさに百花繚乱の状態となる。
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「消しゴム人形」とはプラスチック消しゴムの材料である塩化ビニル樹脂で作られた人形のことで、1970年代の「スーパーカー消しゴム」のブームで一気に広まった。原材料コストが安く加工も容易であることから安価なミニチュアの素材として好まれ、1980年代には『キン肉マン』の「キン消し」や、『[[機動戦士ガンダム]]』の「ガン消し」など、様々なアニメや漫画のキャラクターが消しゴム人形として多数作られ、大人気となった。タカラ・バンダイといった玩具メーカーだけでなく、食玩市場から菓子メーカーもカプセルトイ市場に参戦、業界における一大マーケットが形成されていった。
    
これらの消しゴム人形は安価であることこそが重要で、それゆえにコストをかけてまで凝った造形を行うわけにいかなかった。そこでバンダイは逆手をとって、[[ガンダムシリーズ]]の[[モビルスーツ]]を二頭身にまで極端に簡略化した消しゴム人形を売り出した。このシリーズ商品につけられた名前は『スーパーディフォルメガンダムワールド』であり、その略称として『SDガンダム』が使われていた。これが「'''スーパーデフォルメ'''」そして「'''SD'''」という名前の初出である。
 
これらの消しゴム人形は安価であることこそが重要で、それゆえにコストをかけてまで凝った造形を行うわけにいかなかった。そこでバンダイは逆手をとって、[[ガンダムシリーズ]]の[[モビルスーツ]]を二頭身にまで極端に簡略化した消しゴム人形を売り出した。このシリーズ商品につけられた名前は『スーパーディフォルメガンダムワールド』であり、その略称として『SDガンダム』が使われていた。これが「'''スーパーデフォルメ'''」そして「'''SD'''」という名前の初出である。
 
   
 
   
SDガンダムが画期的だったのは、「ガンダムをモデルにした'''独自のキャラクター'''」という一種のセルフパロディ商品として売り出されたことである。子供達が手にするのは「造形が安っぽいガンダムの人形」ではなく、擬人化されてしゃべりもするギャグ風のキャラクターの人形なのである。安っぽい造形はむしろこのコミカルさを生み出すスパイスとなり、それまでマイナス要素だと思われた部分がそっくりそのままプラス要素となったのである。
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SDガンダムが画期的だったのは、「ガンダムをモデルにした'''独自のキャラクター'''」という一種のセルフパロディ商品として売り出されたことである。子供達が手にするのは「造形が安っぽいガンダムの人形」ではなく、擬人化されて言葉も話すギャグ系キャラクターの人形なのである。安っぽい造形はむしろこのコミカルさを生み出すアクセントとなり、それまでマイナス要素だと思われた部分はそのままプラス要素となったのである。
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なお、『ロボチェンマン』『カワルドスーツ』『ディフォルメ・ガンダム』などの先行商品にも擬人化の傾向はあったのだが、SDガンダムはそこを過激なまでに徹底したことが、先行商品との決定的な差別化になったとされる。ガンダムの顔に「'''瞳'''」を施して感情表現を可能にしたことと、ギャグイラストが入ったシールを製品に付属させてストーリー性を表現したことは、擬人化のコンセプトを先行商品よりも圧倒的に強く押し出した。また、先行商品は原作のかっこいいロボットらしさを残すことも踏まえて三頭身のデフォルメだったのに対して、二頭身にまでデフォルメしたことも強いインパクトになっていた。SDガンダムの企画側も先行商品との差別化は強く意識しており、スーパーディフォルメの「'''スーパー'''」はこれら先行商品よりも過激なデフォルメである意味を込めてつけられたタイトルでもある。
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なお、『ロボチェンマン』『カワルドスーツ』『ディフォルメ・ガンダム』などの先行商品にも擬人化の要素はあったのだが、SDガンダムはそこを過剰なまでに強調させたことが、先行商品との決定的な差別化になったとされる。ガンダムの顔に「'''瞳'''」を加えて感情表現を可能にしたことと、ギャグイラストが入ったシールを製品に付属させてキャラクター性を重視したことは、擬人化のコンセプトを先行商品よりも圧倒的に強く押し出した。また、先行商品は原作のかっこいいロボットらしさを残すことも踏まえて三頭身のデフォルメだったのに対して、二頭身にまでデフォルメしたことも強いインパクトとなった。SDガンダムの企画側も先行商品との差別化は強く意識しており、スーパーディフォルメの「'''スーパー'''」はこれら先行商品よりも徹底したデフォルメである意味を込めてつけられたタイトルでもある。
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SDガンダムはカプセルトイのみにとどまらず様々な玩具として売り出され、その人気からゲームやアニメともなり、現在に続く『[[SDガンダムシリーズ]]』が生まれ、「武者」「騎士」など様々な作品・キャラクターを生み出しバンダイの黄金期を支えた。このヒットを受け、ガンダムシリーズ以外でも版権キャラクターをSD化して「独自のコミカルなキャラクター」とする玩具を売り出す手法が様々な企業で展開された。1990年代前半はこのようなSDモノが乱立していた。
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SDガンダムはカプセルトイのみにとどまらず様々な玩具として売り出され、その人気からゲームやアニメともなり、現在に続く『[[SDガンダムシリーズ]]』が生まれ、「武者」「騎士」など様々な作品・キャラクターを生み出しバンダイの黄金期を支えた。このヒットを受け、ガンダムシリーズ以外でも版権キャラクターをSD化して「独自のコミカルなキャラクター」とする玩具を売り出す手法が様々なメーカーで展開、1990年代前半はこのような「SDモノ」コンテンツが乱立する事となった(後述)。
    
=== パロディからの脱却 ===
 
=== パロディからの脱却 ===
SDというデザインはどうしてもシリアスさよりコミカルさの方が強調されるため、版権SDキャラクター玩具が押し出す独自キャラクター性はコメディリリーフに特化したものが多かったが、SDデザインそのものが受け入れられるに従って、版権SDキャラクターの独自キャラクター性をシリアス方向でも出していく方向性が開拓されていった。
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SDというデザインはどうしてもシリアスさよりコミカルさの方が強調されるため、版権SDキャラクター玩具が押し出す方向性はコメディ面に特化したものが多かったが、SDデザインそのものが受け入れられるに従って「SDでシリアス性を表現する」という方向性が新たに開拓されることとなる。
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コミカルな低頭身キャラクターでもハードで重厚な世界観を表現できることは、ロッテの食玩シール「ビックリマン 天使VS悪魔シール」の大ヒットにより前例があったため、それに追随する形で神話的で壮大な世界観がいくつかの版権SDキャラクターの展開のために作られるようになった。SDブームと同時期には『ドラゴンクエスト』によって始まったファンタジーRPGブームが存在しており、その影響も多大にあった。代表的なものに『騎士ガンダム(SDガンダム外伝)』『武者ガンダム(SDガンダム戦国伝)』がある。
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コミカルな低頭身キャラクターでもハードで重厚な世界観を表現できることは、ロッテの食玩シール『ビックリマン 悪魔VS天使シール』の大ヒットによる前例があったため、それに追随する形で神話的で壮大な世界観がいくつかの版権SDキャラクターの展開のために作られるようになった。SDブームと同時期には『ドラゴンクエスト』によって始まったファンタジーRPGブームが存在しており、その影響も多大にあった。代表的なものに『武者ガンダム(SD戦国伝)』『騎士ガンダム(SDガンダム外伝)』がある。
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上記の「武者」「騎士」は大きな人気を経たが、物語性の強い世界観になればなるほどそこで活躍するキャラクターのデザインには世界観に根ざしたものがある程度求められるため、元の版権キャラクターのデザインを残さないといけないという都合上、「武者」「騎士」以外では成功例と言えるものはほとんどない。
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上記の「武者」「騎士」は大きな人気を得たが、物語性の強い世界観であるほどそこで活躍するキャラクターのデザインには世界観に根ざしたものがある程度求められるため、元の版権キャラクターのデザインを残さないといけないという制約上、「武者」「騎士」以外には成功例と言えるものはほとんどない。
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しかしこのやり方は版権SDキャラクターでなく「SD化されたオリジナルキャラクター」を玩具会社が売り出すための手法として注目された。その多くは「騎士」「武者」の路線を引き継いだ「ファンタジーRPG的世界観とSD体型のロボットを組み合わせた冒険もの」である。端緒となったのがタカラが玩具展開した『魔神英雄伝ワタル』で、他にも『魔導王グランゾート』、『[[NG騎士ラムネ&40]]』、『[[覇王大系リューナイト]]』、『からくり剣豪伝ムサシロード』、『RPG伝説ヘポイ』など様々なものが1980年代後半~1990年代前半にかけて乱立するかのように作られた。しかしそれらの作品はファンタジー世界観に起因する他作品との合わせづらさが問題なのか、スパロボへの参戦が極めてレアなケースとなっている。また、背景がファンタジー的でないものとしては『超特急ヒカリアン』、『[[疾風!アイアンリーガー]]』などがあるが、これらも背景には比較的シリアスな設定が盛り込まれており、SD=コメディものというかつての図式から脱却していることが分かる。
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しかしこのやり方は従来の「リアル頭身からSD化させたキャラクター」でなく「元よりSD頭身として作られたオリジナルキャラクター」を玩具会社が売り出すための手法として注目された。その多くは「騎士」「武者」の路線を引き継いだ「ファンタジーRPG的世界観とSD体型のロボットを組み合わせた冒険もの」である。端緒となったのがタカラがリリースした『魔神英雄伝ワタル』で、他にも『魔導王グランゾート』『[[NG騎士ラムネ&40]]』『[[覇王大系リューナイト]]』『からくり剣豪伝ムサシロード』『RPG伝説ヘポイ』など様々なタイトルが1980年代後半~1990年代前半にかけて制作された。しかしそれらの作品はファンタジー世界観に起因する他作品との合わせづらさが問題なのか、スパロボへの参戦が極めてレアなケースとなっている。また、背景がファンタジー的でないものとしては『超特急ヒカリアン』『[[疾風!アイアンリーガー]]』などがあるが、これらも背景には比較的シリアスな設定が盛り込まれており、SD=コメディものというかつての図式から脱却していることが分かる。
    
=== ブームの収束と浸透 ===
 
=== ブームの収束と浸透 ===
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現在では、極端な低頭身で可愛らしさを強調したキャラクター自体は当時以上に増えている。地域振興キャラクターとして世間をにぎわせている「ゆるキャラ」のデザイン傾向はその典型例とも言える。
 
現在では、極端な低頭身で可愛らしさを強調したキャラクター自体は当時以上に増えている。地域振興キャラクターとして世間をにぎわせている「ゆるキャラ」のデザイン傾向はその典型例とも言える。
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21世紀の現在ではカプセルトイをはじめとした安価な景品玩具の彩色造形技術が前世紀とは比較にならないほど上昇しており、海洋堂のチョコエッグのブーム以降、リアルな造形でかつ安価な景品玩具が多数発売されるようになっている。しかし、SD化されたキャラクター商品も安定した人気をもっており、2~4頭身に省略化された安価な景品人形は現在でもカプセルトイや食玩、クレーンゲームなどをにぎわしている。もちろんSD景品モノも彩色造形技術向上の恩恵は受けており、現在の安価な低等身人形が持つ関節稼動や変形・合体などのギミックの搭載や、塗装の細かさなどは、『SDガンダム』が生み出された当時のそれとは比べ物にならない。
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SD化されたキャラクター商品も安定した人気を維持しており、2~4頭身に省略化された安価なフィギュアは現在でもカプセルトイや食玩、クレーンゲームなどをにぎわしている。素材・造形・彩色技術の向上が可能とした関節可動や変形・合体などのギミックの搭載、塗装の細かさなどは、『SDガンダム』が生み出された当時のそれとは比べ物にならないレベルである。
    
また、グッドスマイルカンパニーの『ねんどろいど』やバンダイの『Chibi-Arts』など、版権キャラクターのSDフィギュアの販売に特化した玩具ブランドが21世紀に入ってからいくつか登場している。これらはリアルサイズのフィギュアとは異なる需要がSDフィギュアには確固として根付いていることを表している。
 
また、グッドスマイルカンパニーの『ねんどろいど』やバンダイの『Chibi-Arts』など、版権キャラクターのSDフィギュアの販売に特化した玩具ブランドが21世紀に入ってからいくつか登場している。これらはリアルサイズのフィギュアとは異なる需要がSDフィギュアには確固として根付いていることを表している。
    
== SDの世界観 ==
 
== SDの世界観 ==
SDガンダムが真に画期的であったのは「オリジナルとは別の独自のキャラクター」としてSDキャラクターを確立させたことというのは先に記したが、これを強調するために、二次創作パロディとしてのギャグイラスト、ギャグ漫画が製品のオマケとして用意され、『コミックボンボン』などの幼年雑誌で漫画連載をするタイアップも惜しみなく行われた。これらにより「SDキャラクターたちの性格」や「彼らがドタバタコメディを行う舞台」が掘り下げられていった。
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SDガンダムが画期的であったのは「オリジナルとは別の独自のキャラクター」としてSDキャラクターを確立させたことというのは先に記したが、これを強調するために、二次創作パロディとしてのギャグイラスト、ギャグ漫画が製品のオマケとして用意され、『コミックボンボン』などの幼年雑誌で漫画連載をするタイアップも惜しみなく行われた。これらにより「SDキャラクターたちの性格」や「彼らがドタバタコメディを行う舞台」が掘り下げられていった。
    
それらの漫画作品では、SDガンダムは人が乗り込むロボット'''ではなく'''、擬人化された意思ある存在として生き生きと描かれていた。これを物語として見せられてしまえば、版権SDキャラクター玩具が本編に出てくるロボットとは異なる「独自のキャラクター」であることが子供達でも分かり理解される。
 
それらの漫画作品では、SDガンダムは人が乗り込むロボット'''ではなく'''、擬人化された意思ある存在として生き生きと描かれていた。これを物語として見せられてしまえば、版権SDキャラクター玩具が本編に出てくるロボットとは異なる「独自のキャラクター」であることが子供達でも分かり理解される。

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