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890 バイト追加 、 2020年3月29日 (日) 14:08
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作中における悪役でありながら徹底して温厚な[[性格]]で、ほとんど怒りの感情を見せたことがなく(ごくまれに、怒りに似た表情を見せたことがあるが)、[[ウェンディ・ギャレット]]をして「悪い人には見えない」と言わせたほど。人々の幸福の為に自身の命を差し出すという、ある種の高潔さ、覚悟も持ち合わせている。だが、深く[[信頼]]している新生オリジナル7が次々と死亡しながらも悲しみや怒りの感情を見せず、部下が造反した際には改めて理解し合おうと抱擁して「うっかり」殺害してしまったり、自分が人を殺しても「その人は自分や遺族の心の中で生き続けるのだからそれでいい」と(相手への挑発や、自身の逃避ではなく)本気で考えているなど、常人には理解しがたい常軌を逸した一面を持つ。というのもカギ爪の計画が成功すれば、死んだ人間も全て再構成されて生き返るため(ただし'''カギ爪の男の意識が全ての人間に刷り込まれる'''ため、完全に元通りというわけではない)、自らを含めた今ある全ての命について一切気にかけていないからである。
 
作中における悪役でありながら徹底して温厚な[[性格]]で、ほとんど怒りの感情を見せたことがなく(ごくまれに、怒りに似た表情を見せたことがあるが)、[[ウェンディ・ギャレット]]をして「悪い人には見えない」と言わせたほど。人々の幸福の為に自身の命を差し出すという、ある種の高潔さ、覚悟も持ち合わせている。だが、深く[[信頼]]している新生オリジナル7が次々と死亡しながらも悲しみや怒りの感情を見せず、部下が造反した際には改めて理解し合おうと抱擁して「うっかり」殺害してしまったり、自分が人を殺しても「その人は自分や遺族の心の中で生き続けるのだからそれでいい」と(相手への挑発や、自身の逃避ではなく)本気で考えているなど、常人には理解しがたい常軌を逸した一面を持つ。というのもカギ爪の計画が成功すれば、死んだ人間も全て再構成されて生き返るため(ただし'''カギ爪の男の意識が全ての人間に刷り込まれる'''ため、完全に元通りというわけではない)、自らを含めた今ある全ての命について一切気にかけていないからである。
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実際には負の感情を失くしてしまったわけではないのだが、マザーの滅亡や仲間内の殺し合いといった過酷な出来事によるショックから、そのような感情が自覚できなくなってしまったという背景がある。彼の主観の中では悪意は無く、善意だけで行動しており、それ故に彼の善の部分にのみ触れた人間の多くはその理想に心酔する事になり、その歪んだ本質まで理解している者は少ない。
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実際には「怒り」や「憎しみ」などの負の感情を失くしてしまったわけではなく、マザーの滅亡や仲間内の殺し合いといった過酷な出来事によるショックから、そのような感情を彼自身が自覚・認識することが出来なくなってしまったという背景がある。生じた負の衝動は最終的に無意識下での爆発と言う形で発露し、相手を殺害するという事態にまでしばしば発展する(右腕のカギ爪がカチャカチャと動くのはその前兆)。だが彼の主観の中では悪意は無く、善意だけで行動しており、それ故に彼の善の部分にのみ触れた人間の多くはその理想に心酔する事になり、その歪んだ本質まで理解している者は少ない。
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しかし「怒り」の感情がないわけではなく、彼自身がそれを自覚・認識することが出来ないだけであり、腹の底に滾る赫怒や苛立ちは最終的に無意識下の爆発と言う形で発露する(右腕のカギ爪がカチャカチャと動くのはその前兆)。
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前述の通り、無自覚に殺人を犯した上に都合のよい理屈で正当化を行う、謝罪や悲嘆にくれてみせる一方で殺した相手を忘れている、更に人の意思を無視し自分の「夢」以外の「夢」は全て矮小と捉える、「幸せの時」を推し進めるために結果的に多くの不幸の種をばらまいている。というのも彼の主観では「全てが清算される計画」が全ての前提にある上に、その際に自身の存在自体は消滅するため、その計画の過程で罪を犯そうが恨みを買おうが、償いと同時に自身への制裁も同時に行われるため、計画さえ遂行できれば自分も被害者も何も問題ない…という理論展開が彼の中ではされている。しかし計画そのものを否定する人々への配慮が全く無く、計画そのものも'''「全人類の幸福」を心の底から願っていながら、「他人に自由を著しく侵害されないという幸福の前提」を見ていない'''という致命的な欠陥も抱えており、結局のところ、自分の理想の為に他人を顧みないで行動する「極度のエゴイスト」といえる。
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前述の通り、無自覚に殺人を犯した上に都合のよい理屈で正当化を行う、謝罪や悲嘆にくれてみせる一方で殺した相手を忘れている、更に人の意思を無視し自分の「夢」以外の「夢」は全て矮小と捉える、「幸せの時」を推し進めるために結果的に多くの不幸の種をばらまいている。というのも彼の主観では「全てが清算(リセット)される計画」が全ての前提にある上に、その際に自身の存在自体は消滅するため、その計画の過程で罪を犯そうが恨みを買おうが、償いと同時に自身への制裁も同時に行われるため、計画さえ遂行できれば自分も被害者も何も問題ない…という理論展開が彼の中ではされて完結している。しかし計画そのものを否定する人々への配慮が全く無く、計画そのものも'''「全人類の幸福」を心の底から願っていながら、「他人に自由を著しく侵害されないという幸福の前提」を見ていない'''という致命的な欠陥も抱えており、結局のところ、自分の理想の為に他人を顧みないで行動する「極度のエゴイスト」といえる。
    
[[惑星EI|エンドレス・イリュージョン]]での初めての友である医者の手により百年単位の延命治療を受けたが、物語開始時点では既に延命措置が限界に達しており、死期が迫っている。 そのため自らの夢である『幸せの時』計画を遂行しようとするも、ヴァン達によって止められ、先短い命に終止符を打たれた。レイによって'''『夢』を殺され'''、最期はヴァンによって'''自らの『命』を殺される'''、という悪因悪果の末路を辿ることとなったのだった。
 
[[惑星EI|エンドレス・イリュージョン]]での初めての友である医者の手により百年単位の延命治療を受けたが、物語開始時点では既に延命措置が限界に達しており、死期が迫っている。 そのため自らの夢である『幸せの時』計画を遂行しようとするも、ヴァン達によって止められ、先短い命に終止符を打たれた。レイによって'''『夢』を殺され'''、最期はヴァンによって'''自らの『命』を殺される'''、という悪因悪果の末路を辿ることとなったのだった。
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=== 本質 ===
 
=== 本質 ===
明言されてはいないが、彼の主観は'''自分以外の全ての人間を、夢の中、あるいは虚構に近い存在と見なしている事'''が伺える。自分の意見を押し通せると確信する思考、個人を顧みない在り方、全てをリセットするという計画自体も「我々がゲームをプレイして、最後にやり直すような感覚」に置き換えるとわかりやすい。
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明言されてはいないが、彼の主観は'''自分以外の全ての人間を、夢の中、あるいは虚構に近い存在と見なしている事'''が伺える。自分の意見を押し通せると確信する思考、個人を顧みない在り方、全てをリセットするという計画自体も「我々がゲームをプレイして、最後にやり直すような感覚」に置き換えるとわかりやすい。だからこそ、誰が死のうが誰を殺そうが気にかけないし、愛情を向けようともそれは生命に対するものにはなりえない。
 
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だからこそ、誰が死のうが誰を殺そうが気にかけないし、逆に必要なら優しく接する事もできず、愛情を向けようともそれは生命に対するものにはなりえない。
      
総括するとクー・クライング・クルーという男は、過去に体験した絶望から逃れようとするあまり、'''現実の皮を被った夢だけを見ていた狂人'''であった……と言える。
 
総括するとクー・クライング・クルーという男は、過去に体験した絶望から逃れようとするあまり、'''現実の皮を被った夢だけを見ていた狂人'''であった……と言える。
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== 人間関係 ==
 
== 人間関係 ==
 
;[[ヴァン]]
 
;[[ヴァン]]
:彼の婚約者エレナを殺した事で激しく憎まれるが、最後は彼を「バカ代表」と評して自らの同志に加えようとした。
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:彼の婚約者エレナを殺した事で激しく憎まれているが、終盤になるまでなかなか彼の名前を覚える事はなかった。最後は彼を「バカ代表」と評して自らの同志に加えようとした。
 
;[[レイ・ラングレン]]
 
;[[レイ・ラングレン]]
 
:彼の妻のシノを殺した件でヴァンと同様に憎まれる事になる。
 
:彼の妻のシノを殺した件でヴァンと同様に憎まれる事になる。
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:彼の持つ能力に目をつけ、ラッキーに誘拐させて仲間に引き込む。同志の一人として信頼している。
 
:彼の持つ能力に目をつけ、ラッキーに誘拐させて仲間に引き込む。同志の一人として信頼している。
 
;[[ウェンディ・ギャレット]]
 
;[[ウェンディ・ギャレット]]
:作中後半にて彼女とデートを申し込む事になり、ミハエルを強引に連れ出した事を謝罪していたりした。彼女もまた同志に誘ったが、拒否される事になる。カギ爪の男自身はその決断を認めていたが、後に彼女はカギ爪の男の本質を見抜き、痛烈な批判をすることになる。
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:作中2回ほど彼女と対話する。彼女の事を他人を傷つける事のない優しい少女と評価しており、彼女とのデートの際にミハエルを強引に連れ出した事を謝罪し、彼女を同志に誘う。その誘いはきっぱりと断られるがカギ爪の男自身はその決断を認めていた。後に彼女は兄に対し引き金を引き、カギ爪の男の本質を見抜いた痛烈な批判をすることになる。
 
;[[ファサリナ]]
 
;[[ファサリナ]]
 
:腹心の部下。凄惨な過去から救い出した。カギ爪の本質まで理解している数少ない人物の一人で、その上で彼の全てを肯定して尽くし続けている。
 
:腹心の部下。凄惨な過去から救い出した。カギ爪の本質まで理解している数少ない人物の一人で、その上で彼の全てを肯定して尽くし続けている。
 
;[[カロッサ]]、[[メリッサ]]
 
;[[カロッサ]]、[[メリッサ]]
:カギ爪に心酔する双子の兄妹。
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:カギ爪に心酔する双子の兄妹。彼らの独断行動を計画に支障はないからと黙認した。
 
;[[ザピロ・ムッターカ]]
 
;[[ザピロ・ムッターカ]]
 
:ミハエル達の[[ヨロイ]]を調整する技術者。
 
:ミハエル達の[[ヨロイ]]を調整する技術者。
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:その後、必死に謝るのだが、自他の命に執着を持たないカギ爪の男はいずれ手にかけた相手の名前すら忘れていき、そうして「悪意なき殺人」を繰り返してきたと思われる。
 
:その後、必死に謝るのだが、自他の命に執着を持たないカギ爪の男はいずれ手にかけた相手の名前すら忘れていき、そうして「悪意なき殺人」を繰り返してきたと思われる。
 
;「うーん、打ち上げを速めたせいで予想外の事態になりましたね…。何かあっても嫌だし、ここは一つ撃っちゃいましょうか」
 
;「うーん、打ち上げを速めたせいで予想外の事態になりましたね…。何かあっても嫌だし、ここは一つ撃っちゃいましょうか」
:第21話にて、サウダーデが宇宙へと射出された後、ダンのサテライトベースを撃ち落とすよう命令する。この事がヴァン一行を苦しめる事となる。
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:第21話にて、サウダーデが宇宙へと射出された後、ダンのサテライトベースを撃ち落とすよう命令する。ベースを失ったヴァンがやがて死ぬ事を承知していたからか、わざわざその事をヴァンに謝罪するためにウェンディに伝言を頼む。
 
;「ウェンディさん。私と…デート…しませんか?」
 
;「ウェンディさん。私と…デート…しませんか?」
:同話ラスト。放棄された基地の通信に偶然応答した[[ウェンディ・ギャレット|ウェンディ]]に向けてデートに誘った時の台詞で、ウェンディとの初めてのデートである。
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:同話ラスト。放棄された基地の通信に偶然応答した[[ウェンディ・ギャレット|ウェンディ]]に向けてデートに誘った時の台詞で、ウェンディにとって初めてのデートである。
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;「よろしければ私と夢を見ませんか? あなた自身の目で新世界を、夢の誕生を…」<br/>「ふっ、あなたはそういうところが素晴らしい。どうかそのまま大人になってください。あなた達には…あなた達にはもっと早く会うべきだった…もっと、はやく…。新しい世界をお願いします、さようなら!」
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:第22話にて、ウェンディとのデートの際に彼女を同志に誘うが毅然とした態度で断られてしまう。
 
;「今、君は私の過去を見ています。そこにいるのは遙か昔、私が[[地球|マザー]]から逃れた時の仲間です。共に夢を語り合った友人達です。皆、愛に溢れていた…なのに…最後はお互い同士で…私はそこで身をもって学びました。人はどれだけ進歩しても、どれだけ環境が変わろうと、本能のよどみから逃れられない。もううんざりだ。私は誓いました。必ずこの手で争いのない世界を作ってみせると…!」
 
;「今、君は私の過去を見ています。そこにいるのは遙か昔、私が[[地球|マザー]]から逃れた時の仲間です。共に夢を語り合った友人達です。皆、愛に溢れていた…なのに…最後はお互い同士で…私はそこで身をもって学びました。人はどれだけ進歩しても、どれだけ環境が変わろうと、本能のよどみから逃れられない。もううんざりだ。私は誓いました。必ずこの手で争いのない世界を作ってみせると…!」
 
:第23話にて、ミハエルが放棄された月の基地を見て過去を語り始める。この凄惨な経験がカギ爪の男の現在の狂気を生み出してしまった。
 
:第23話にて、ミハエルが放棄された月の基地を見て過去を語り始める。この凄惨な経験がカギ爪の男の現在の狂気を生み出してしまった。
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:同話。ヴァンを自身の計画に欠けていた因子「バカ代表」として扱った際に、嬉々として言い放った言葉。
 
:同話。ヴァンを自身の計画に欠けていた因子「バカ代表」として扱った際に、嬉々として言い放った言葉。
 
:『T』では戦闘台詞に採用された。
 
:『T』では戦闘台詞に採用された。
;「夢を叶えるその日まで、何があっても私は死にません! これもヴァン君のおかげです、私は彼を新計画の最初の友人として迎えたいと思います! 前計画に欠けていたファクター「バカ代表」として! ヴァン君、ありがとう! ありがとう、ありがとう!!」
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;「夢を叶えるその日まで、何があっても私は死にません!」<br>「これもヴァン君のおかげです、私は彼を新計画の最初の友人として迎えたいと思います! 前計画に欠けていたファクター「バカ代表」として! ヴァン君、ありがとう! ありがとう、ありがとう!!」
:ヴァンにより計画が阻止され実行不可能となった際の台詞。怒るどころかもう一度やり直せる事に喜びを見出し、更にはヴァンをも友人として迎え入れようとする。カギ爪の狂気ここに極まれり。
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:最終話、ヴァンにより計画が阻止され実行不可能となった際の台詞。怒るどころかもう一度やり直せる事に喜びを見出し、更にはヴァンをも友人として迎え入れようと発言する。しかし口ではそう言いながらも彼のカギ爪は震え、バースデイでダンの巨大G-ER流体ソードを奪い取り、容赦ない攻撃を仕掛けるなど、無意識下の激しい怒り・殺意を発露させる。
 
:『T』でもこの下りは再現され、さらには「[[DG細胞]]を自らに植え付けてでも生き延びる」と言い放ち、その様子に[[T3|自軍部隊]]は慄然とし「'''和解は絶対に不可能'''」として匙を投げた。
 
:『T』でもこの下りは再現され、さらには「[[DG細胞]]を自らに植え付けてでも生き延びる」と言い放ち、その様子に[[T3|自軍部隊]]は慄然とし「'''和解は絶対に不可能'''」として匙を投げた。
;「凄い! 新しいお友達がいっぱいです!」
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;「ヴァン君…私はあなたを、愛していま」
:[[エルドラメンバー]]と[[プリシラ]]に言った台詞。
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:同話。他の仲間達を倒して計画を破綻させ、更に[[バースデイ]]までも両断して自分を追い詰めてきたヴァンに向かって言った彼の最期の言葉だが、言い終わる前にヴァンによって横一閃に両断される。夢を掴んで離さないためのカギ爪は右腕から斬り離され地に落ちた。
;「ヴァン君…私はあなたを、愛していま…」
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:同話。他の仲間達を倒して計画を破綻させ、更に[[バースデイ]]までも両断して自分を追い詰めてきたヴァンに向かって言った彼の最期の言葉。本心で言ったと思われるが、言い終わる前にヴァンによって横一閃に両断される。
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:全てを愛して何も憎まない彼の態度は、裏を返せば'''何も愛していない'''のと同じ事だったのかもしれない。
      
== 迷台詞 ==
 
== 迷台詞 ==
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