差分

ナビゲーションに移動 検索に移動
10 バイト追加 、 2013年4月26日 (金) 01:27
7行目: 7行目:     
==あらすじ==
 
==あらすじ==
貧乏長屋に住む魚屋の一人の男。酒好きが講じて仕事にも身が入らないといういまでいうアルコール中毒患者そのものなダメ人間であった。ある日、そんな彼が芝浜で小判が詰まった財布を拾う。これだけあれば働かずに一日中酒を飲んでもしばらくは何も問題がないくらいの額だ。大喜びした男はさっそく大量の酒を注文し、夜通し飲み続けてそのまま寝こけてしまう。
+
貧乏長屋に住む魚屋の一人の男。酒好きのあまり仕事にも身が入らないというダメ人間で、今で言うところのアルコール中毒患者そのものであった。ある日、そんな彼が芝浜で小判が詰まった財布を拾う。これだけあれば働かずに一日中酒を飲んでもしばらくは問題がないくらいの額だ。大喜びした男はさっそく大量の酒を注文し、友人を誘って夜通し飲み続けてそのまま寝こけてしまう。
   −
次の日の朝、女房からたたき起こされ、あんたのような貧乏人がこんなに酒を頼んで支払はどうする気だと怒鳴られる。なあに心配いらない、ここに大金が…と懐を探るが例の財布がない。妻に聞いても夢でも見たんじゃないかと取り合いもしない。酒の飲みすぎでついに幻覚を見るまでになったのかとゾッとした男は、それ以来一切の酒を断つようになる。
+
次の日の朝、女房からたたき起こされ、あんたのような貧乏人がこんなに酒を頼んで支払いはどうする気だと怒鳴られる。なあに心配いらない、ここに大金が…と懐を探るが例の財布がない。妻に聞いても夢でも見たんじゃないかと取り合いもしない。酒の飲みすぎでついに幻覚を見るまでになったのかとゾッとした男は、それ以来一切の酒を断つようになる。
   −
もともと腕が良かったことから酒をやめた途端に仕事の質があがり、数年後、男は自分の店を持つまでになっていた。ある年の大晦日の晩、男は女房にいままで苦労をかけたことを改めて詫びる。そこに至り、女房はあのときの財布を出してきて、告白を始めた。一文や二文ではなく小判がつまった財布はおえらさまの物だろう。それを勝手につかってしまえば、下手をすれば首が飛ぶ。能天気な夫はその危険性にまったくきづいていない。女房は男が泥酔していることに乗じて、財布を拾得物として役人に届け、目覚めた夫には財布なぞはじめからなかったと嘘をついたのだ。そして財布の方はなぜか持ち主が現れなかったため財布を拾った男のもとに払い下げられたのだが、女房は今の今まで男にはそれを隠していたのだ。
+
もともと腕が良かったことから酒をやめた途端に仕事の質があがり、数年後、男は自分の店を持つまでになっていた。ある年の大晦日の晩、男は女房に今まで苦労をかけたことを改めて詫びる。そこに至り、女房はあのときの財布を取り出して告白を始めた。一文や二文ではなく小判がつまった財布はおえらさまの物だろう。それを勝手に使ってしまえば、下手をすれば首が飛ぶ。脳天気な夫はその危険性にまったく気づいていない。女房は男が寝込んだ隙に財布を拾得物として役人に届け、目覚めた夫には財布なぞはじめからなかったと嘘をついたのだ。そして財布の方はなぜか持ち主が現れなかったため財布を拾った男のもとに払い下げられたのだが、女房は今の今まで男にはそれを隠していたのだ。
   −
男は女房を怒りはせず、立ち直らせるきっかけをよく与えてくれたと感謝する。女房は今まで秘密にしていたお詫びを兼ねて男に数年ぶりの酒をついだ。男はそれを口までもっていくが、そこで杯を置く。
+
男は女房を怒りはせず、立ち直らせるきっかけをよく与えてくれたと感謝する。女房は今まで秘密にしていたお詫びを兼ねて男に数年ぶりに酒を注いだ。
 +
男は杯を口まで持っていこうとしたが、ふと、それを置く。
    
「よそう、また夢になるといけねぇ」
 
「よそう、また夢になるといけねぇ」
599

回編集

案内メニュー