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| ウィスパードたちは、自分が知るはずのない知識を「実は知っていたことを突然思い出す」ことで新しい知識を生み出していく。その「思い出す」瞬間に何かの囁きを聞いたような気がするとウィズパードたちは口をそろえていうため、「囁かれるもの=ウィスパ-ド」と名付けられた。 | | ウィスパードたちは、自分が知るはずのない知識を「実は知っていたことを突然思い出す」ことで新しい知識を生み出していく。その「思い出す」瞬間に何かの囁きを聞いたような気がするとウィズパードたちは口をそろえていうため、「囁かれるもの=ウィスパ-ド」と名付けられた。 |
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− | 彼ら/彼女らの自覚的な認識では、自分が「思い出した」知識は当たり前の常識のように感じられてしまうため、自分が天才になったという自覚は全く持ってていない。その代わりに周囲の普通人たちのことを当たり前の常識も知らない変な人たちみたいに見下してしまいがちになるのだという。自分ではなく周囲が変化してしまったような感覚に陥るのだ。そんなことを考えてしまう自分自身への自己嫌悪は劣等感につながり、周囲の人たちと溶け込めなくなるストレスは彼らの精神をむしばんでいく。ウィスパードは羨ましがられるものではなく病気のようなものなのである。 | + | 彼ら/彼女らの自覚的な認識では、自分が「思い出した」知識は当たり前の常識のように感じられてしまうため、自分が天才になったという自覚は全く持ってていない。その代わりに周囲の普通の人たちのことを「当たり前の常識も知らない変な人たち」として見下してしまいがちになるのだという。 |
| + | あるいは、自分ではなく周囲が変化してしまったような感覚に陥る。そんなことを考えてしまう自分自身への自己嫌悪は劣等感につながり、周囲の人たちと溶け込めなくなるストレスが精神を蝕んでいくこともあるなど、症状だけなら一種の精神病に近い側面もある。 |
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| ウィスパード同士の間では「共振」と呼ばれる方法で意志を伝達することが可能。ただし、「共振」をやり過ぎると互いの人格が混ざり合い人格崩壊の危険性がある。 | | ウィスパード同士の間では「共振」と呼ばれる方法で意志を伝達することが可能。ただし、「共振」をやり過ぎると互いの人格が混ざり合い人格崩壊の危険性がある。 |
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| === 真相 === | | === 真相 === |
− | ウィスパード誕生の発端は、作中におけるグリニッジ標準時の1981年12月24日11時50分、ソ連の実験施設ヤムスク11で行われていたオムニ・スフィアの実験である(オムニ・スフィアとは簡単に言えば人間の精神領域のこと)。この実験は、[[ラムダ・ドライバ]]にも使用されている「TAROS」に関係する。まず、ドミトリー・ヴァロフ博士はTAROSの理論を造り上げた。精神世界を科学的に記述・利用できると考えた博士は、実際にオムニ・スフィアの存在にたどり着き、実験を小規模ながら成功させていた。
| + | ウィスパード誕生の発端は、作中におけるグリニッジ標準時の1981年12月24日11時50分、ソ連の実験施設ヤムスク11で行われていたオムニ・スフィアの実験である(オムニ・スフィアとは簡単に言えば人間の精神を包括する広大な領域のこと)。この実験は、[[ラムダ・ドライバ]]にも使用されている「TAROS」に関係する。まず、ドミトリー・ヴァロフ博士はTAROSの理論を造り上げた。精神世界を科学的に記述・利用できると考えた博士は、実際にオムニ・スフィアの存在にたどり着き、実験を小規模ながら成功させていた。 |
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| オムニ・スフィアは時間にも空間にも束縛されない精神の世界である。その中で自分の精神を移動させ、物質世界に任意にアクセスできるとすれば、その利用価値は計り知れない。未来予知、情報の自在なやり取り、あるいは洗脳や記憶のハッキング、軍事的な観点だけでも凄まじい効果を発揮する。その一つの極致と言えるのが、ラムダ・ドライバである。また、レナードもTAROSによる未来予知で、太陽風を利用してアマルガムがミスリルを壊滅させる、という「予言」をカリーニンに渡している。現代のTAROSは、レーバテインならば[[アル]]、ダナンならばダーナをブースターとして、オムニ・スフィア転移反応を起こしている。しかし、理論構築当時にはそんなものはなかったため、'''生物の脳を増幅装置として大量に接続していた'''。この実験のため、脳組織を死亡させず、活動を制御するための薬物を精製していたのが、ヤムスク11のプラント群である。 | | オムニ・スフィアは時間にも空間にも束縛されない精神の世界である。その中で自分の精神を移動させ、物質世界に任意にアクセスできるとすれば、その利用価値は計り知れない。未来予知、情報の自在なやり取り、あるいは洗脳や記憶のハッキング、軍事的な観点だけでも凄まじい効果を発揮する。その一つの極致と言えるのが、ラムダ・ドライバである。また、レナードもTAROSによる未来予知で、太陽風を利用してアマルガムがミスリルを壊滅させる、という「予言」をカリーニンに渡している。現代のTAROSは、レーバテインならば[[アル]]、ダナンならばダーナをブースターとして、オムニ・スフィア転移反応を起こしている。しかし、理論構築当時にはそんなものはなかったため、'''生物の脳を増幅装置として大量に接続していた'''。この実験のため、脳組織を死亡させず、活動を制御するための薬物を精製していたのが、ヤムスク11のプラント群である。 |
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− | しかし、冒頭に上げた1981年のその日、全力稼動テストの最中にTAROSは暴走を起こした。この結果、TAROSから二つの強力な精神波が放射された。一つはイオタ波で、これはヤムスク11の住民の精神を汚染し、結果全滅させることとなった。もう一つのタウ波は世界全土に波及し、放射から3分間の間に出生した新生児の脳に影響を与えた。この、脳にタウ波を刷り込まれた新生児たちが、ウィスパードである。ウィスパードは「ささやかれた者」という当て字が示すとおり、ブラックテクノロジーの知識を「持っている」のではなく「教えられている」のである。誕生時にタウ波によって刷り込まれたのはこの受信能力である。この「爆心地」であるヤムスク11は、中枢に存在し、被験者となって死亡した少女・[[ソフィア]]のTAROSに残留した思念波と、そのオムニ・スフィアを通じて届くイオタ波による汚染を未だ受けている。周囲に近づいたヘリのパイロットはこの影響で錯乱し、内部を進んでいたかなめも強烈な既視感に悩まされていた。レモンは「太陽系は動いているのだから、時間的に言えば18年前のヤムスク11の座標は宇宙の彼方だ」と指摘したが、オムニ・スフィアは精神の存在が在って意味を成し、さらに地球と共に存在する世界であるため、絶対座標の指摘は意味を成さない。
| + | しかし、冒頭に上げた1981年のその日、全力稼動テストの最中にTAROSは暴走を起こした。この結果、TAROSから二つの強力な精神波が放射された。一つはイオタ波で、これはヤムスク11の住民の精神を汚染し、結果全滅させることとなった。もう一つのタウ波は世界全土に波及し、放射から3分間の間に出生した新生児の脳に影響を与えた。この、脳にタウ波を刷り込まれた新生児たちが、ウィスパードである。ウィスパードは「ささやかれた者」という当て字が示すとおり、ブラックテクノロジーの知識を「持っている」のではなく「教えられている」のである。誕生時にタウ波によって刷り込まれたのはこの受信能力である。 |
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− | ウィスパードとは正確に言うと、オムニ・スフィアの中を伝達されるある種の波により、過去と未来で情報の伝達を行える人物のことである。基本的には受け取るのみであるが、それによって「歴史の異変」が発生していた。この事実を知る人間は、この世界のゆがみを'''「時間災害(タイム・ハザード)」'''と呼称している。そのような者達が言う「本来の歴史」とは言うなれば、我々の生きるこの歴史のことであるが、ウィスパードとオムニ・スフィアの干渉が必然であれば、本編の世界こそが本来の歴史とも言える。作中のブラック・テクノロジーも「ある技術が未来からウィスパードを通して過去に伝わる」→「その技術が発展する」→「発展した技術が再び過去へ伝わる」を何度も繰り返すことにより、異常に発達したものである。
| + | この「爆心地」であるヤムスク11は、中枢に存在し、被験者となって死亡した少女・[[ソフィア]]のTAROSに残留した思念波と、そのオムニ・スフィアを通じて届くイオタ波による汚染を未だ受けている。周囲に近づいたヘリのパイロットはこの影響で錯乱し、内部を進んでいたかなめも強烈な既視感に悩まされていた。レモンは「太陽系は動いているのだから、時間的に言えば18年前のヤムスク11の座標は宇宙の彼方だ」と指摘したが、オムニ・スフィアは精神の存在が在って意味を成し、さらに地球と共に存在する世界であるため、絶対座標の指摘は意味を成さない。 |
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− | ヤムスク11のTAROS最深部にはソフィアの「遺体」がある。これは遺体そのものではなく、TAROSに残留した精神がその姿をオムニ・スフィアを通じて現出させているものである。ヤムスク11を未だ汚染している精神波はこの「遺体」を通じて別の時代から届いているもので、タウ波をイオタ波に変換・増幅するコンバーターの役目を果たしている。テッサはこれを爆破するつもりだったが、「自分の生きる世界」を求めるソフィアの「ささやき」にかなめが自意識を乗っ取られてしまったために失敗に終わっている。
| + | ウィスパードとは正確に言うと、オムニ・スフィアの中を伝達されるある種の波により、過去と未来で情報の伝達を行える人物のことである。基本的には受け取るのみであるが、それによって「歴史の異変」が発生していた。この事実を知る人間は、この世界のゆがみを'''「時間災害(タイム・ハザード)」'''と呼称している。 |
| + | そのような者達が言う「本来の歴史」とは言うなれば、我々の生きるこの歴史のことであるが、ウィスパードとオムニ・スフィアの干渉が必然であれば、本編の世界こそが本来の歴史とも言える。作中のブラック・テクノロジーも「ある技術が未来からウィスパードを通して過去に伝わる」→「その技術が発展する」→「発展した技術が再び過去へ伝わる」を何度も繰り返すことにより、異常に発達したものである。 |
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| + | ヤムスク11のTAROS最深部にはソフィアの「遺体」がある。これは便宜上の表現であり遺体そのものではなく、TAROSに残留した精神がその姿をオムニ・スフィアを通じて現出させているものである。ヤムスク11を未だ汚染している精神波はこれを通路として別の時代から届いているもので、この「遺体」はタウ波をイオタ波に変換・増幅するコンバーターの役目を果たしている。テッサはこれを爆破するつもりだったが、「自分の生きる世界」を求めるソフィアの「ささやき」にかなめが自意識を乗っ取られてしまったために失敗に終わっている。 |
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| そして、ウィスパードたちに「ささやき」を与えていた「ウィスパリング(ささやく者)」の正体は、'''未来の時間軸における千鳥かなめ(に成り代わったソフィア)'''である。本編の世界においてはかなめがソフィアを拒絶したことと、世界改変の要であったTARTAROSの爆破によりこの時間には繋がらなくなっている。 | | そして、ウィスパードたちに「ささやき」を与えていた「ウィスパリング(ささやく者)」の正体は、'''未来の時間軸における千鳥かなめ(に成り代わったソフィア)'''である。本編の世界においてはかなめがソフィアを拒絶したことと、世界改変の要であったTARTAROSの爆破によりこの時間には繋がらなくなっている。 |
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| ;[[スーパーロボット大戦W]] | | ;[[スーパーロボット大戦W]] |
| :本作ではブラックテクノロジーの多くは古代文明に由来しており、ウィスパードについても、「もしかすると古代太陽系文明人が遺伝子内に遺したデータベースではないか」、と[[インファレンス]]が推測している。 | | :本作ではブラックテクノロジーの多くは古代文明に由来しており、ウィスパードについても、「もしかすると古代太陽系文明人が遺伝子内に遺したデータベースではないか」、と[[インファレンス]]が推測している。 |
− | :なお、原作における兵器技術の不自然さは「無論、先人の努力の結果もある。異星からもたらされたものもある。だが、説明不能のものもある…」として、「人型ロボット兵器を始めとして何かがおかしくなっている」と、アーム・スレイブに限らず多くのロボット兵器が何らかのブラックテクノロジーに由来していると扱われている。そして[[ヴァルホーク|主人公機]]もまたブラックテクノロジーである。 | + | :なお、原作における兵器技術の不自然さは「無論、先人の努力の結果もある。異星からもたらされたものもある。だが、説明不能のものもある」「人型ロボット兵器を始めとして何かがおかしくなっている」と、アーム・スレイブに限らず多くのロボット兵器が何らかのブラックテクノロジーに由来していると扱われている。そして[[ヴァルホーク|主人公機]]もまたブラックテクノロジーである。 |
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| === 単独作品 === | | === 単独作品 === |