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54 バイト追加 、 2017年11月23日 (木) 11:53
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「'''スーパーデフォルメ'''」(略称・'''[[SD]]''')とは、キャラクターを低頭身化・簡略化して可愛らしい外見にすることによって、コミカルでルーズな雰囲気を加味する技法・および概念のことである。対義表現には「'''リアル化'''」などがある。
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「'''スーパーデフォルメ'''」(略称・'''[[SD]]''')とは、キャラクターを低頭身化・ディテールの簡略化などによって、コミカルでルーズな雰囲気を加味する手法・および概念のことである。対義表現には「'''リアル化'''」などがある。
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元々は『[[SDガンダムシリーズ]]』のために作られた言葉であり、正しくは「スーパーデ'''ィ'''フォルメ」である。しかし一般的には表記揺れの範囲で、多くにおいてこの2つの違いは言及されない。
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元々は『[[SDガンダムシリーズ]]』のために作られた用語であり、正しくは「スーパーデ'''ィ'''フォルメ」である。しかし一般的には表記揺れの範囲であり、多くにおいてこの2つの違いは言及されない。
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「スーパーディフォルメ」はバンダイの商標登録である事もあって、バンダイに限らない全般的なSD系デザインの流れを解説することも含めて、当該の項目名は「スーパーデフォルメ」としている。事実、1990年代にはバンダイ以外でも低頭身化・簡略化させたキャラクター玩具が次々と登場しており、児童雑誌ではそれらの製品の紹介にも「SD」という言葉が当たり前のように使われていた。
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「スーパーディフォルメ」はバンダイの商標登録であり、バンダイに限らない全般的なSD系デザインの流れを解説することも含めて、当該の項目名は「スーパーデフォルメ」としている。事実、1990年代にはバンダイ以外でも低頭身化・簡略化させたキャラクター玩具が数多く登場しており、児童雑誌ではそれらの製品の紹介にも「SD」という言葉が当たり前のように用いられていた。
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その後は版権や商標に関する社会全体の意識が昔より高まっていったためか、登録商標に被らなかったとしても「スーパーデフォルメ」や「SD」という言葉がメディア上で安易に使われることは少なくなった。現在ではこのような傾向のデザインを指す一般名詞としては「デフォルメ」が使われることが多い。また、メカではないものに対しては「'''ちびキャラ'''」という言葉が使われることもある。こちらは日本語として一般的な意味合いであることから商標とはされていない。
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その後は著作権に対する業界全体の意識が高まっていった事もあり、登録商標への抵触がなくとも「スーパーデフォルメ」や「SD」という言葉がメディア上で安易に使われることは少なくなった。現在ではこのような傾向のデザインを指す一般名詞としては「デフォルメ」が用いられることが多い。また、メカではないものに対しては「'''ちびキャラ'''」という言葉が使われることもある。こちらは日本語として一般的な意味合いであることから商標とはされていない。
    
なお、英語圏では「Chibified」となどと呼ばれることもある(Chibiは日本語のチビ)。これは「deformed」に「奇形の・醜い」といったネガティブな意味合いがあるためである。
 
なお、英語圏では「Chibified」となどと呼ばれることもある(Chibiは日本語のチビ)。これは「deformed」に「奇形の・醜い」といったネガティブな意味合いがあるためである。
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元来の「デフォルメ」(deformer)とは「変形させる」という意味の[[フランス語]]である。[[英語]]表記ではデフォーム(deform)となる。
 
元来の「デフォルメ」(deformer)とは「変形させる」という意味の[[フランス語]]である。[[英語]]表記ではデフォーム(deform)となる。
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絵画・彫刻の分野などでは、対象や素材の形態を変形して表現することで、創作者の考えるテーマを強調する技法のことを指す言葉として「デフォルメ」が使われている。
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絵画・彫刻の分野などでは、対象や素材の形態を著しく変形させることで、創作者が表現したいテーマを強調する手法を指す用語として「デフォルメ」が使われている。
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現在の[[日本]]では、全体のデザインを簡略化したうえで特徴的な部分のみ誇張する技法のことを「デフォルメ」と呼ぶことが多いが、これは「スーパーデフォルメ」の方の意味が影響されてしまった結果であり、芸術分野でのデフォルメは簡略化に限った技法ではない。
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現在の[[日本]]では、全体のデザインを簡略化したうえで特徴的な部分のみ誇張する手法のことを「デフォルメ」と呼ぶことが多いが、これは「スーパーデフォルメ」の方の意味が影響されてしまった結果であり、芸術分野におけるデフォルメは簡略化に限った手法ではない。
    
== SD形成史 ==
 
== SD形成史 ==
 
=== SDガンダム以前 ===
 
=== SDガンダム以前 ===
SDという言葉自体は[[SDガンダム]]で創り出されたものであるが、キャラクターを低頭身化・簡略化させてコミカルさを強調する技法はそれ以前から試みられていた。原点と言えるのは、比較的シリアスな漫画作品に挿入される息抜きのギャグシーンやパロディシーンで、キャラクターを「崩した絵」で描くことである。この手法は1970年代の少女漫画界で生み出され、現在に至るまで漫画演出における定番のひとつとなっている。
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SDという用語自体は[[SDガンダム]]で創り出されたものであるが、キャラクターを低頭身化・簡略化させてコミカルさを強調する手法はそれ以前より見られるものであった。原点と言えるのは、比較的シリアスな漫画作品に挿入される息抜きのギャグシーンやパロディシーンで、キャラクターを「崩した絵」で描くことである。この手法は1970年代の少女漫画界で生み出され、今日に至るまで漫画演出における常套手段のひとつとなっている。
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SDキャラクター全盛期を支えたデザイナーの1人である佐藤元によれば、低頭身キャラクターのデザイン技法を洗練させたのはアニメ誌『月刊OUT』の投稿者のコミュニティだとしている。『宇宙戦艦ヤマト』のヒットで中高生の若いアニメファンによって、先述された少女漫画的な手法のお遊びとして「崩しキャラを使ったパロディイラスト」をアニメ誌『月刊OUT』が多数投稿され、それらに触れたアニメ製作者の間にも同じようなセンスが浸透されていった。1980年代に入ると、影響を受けた作り手側がそれらを商業作品に落とし込むようになり、アニメ『超力ロボガラット』や食玩シールの『ビックリマン』シリーズ、タカラのミニカー玩具『チョロQ』など、キャラクターの低頭身・簡略化をプロダクトデザインへと昇華させた商業コンテンツが輩出されるようになった。そして、1980年代後半には当時の『月刊OUT』の読者世代がプロ化してクリエーター側になり、彼らによって爆発的にSDキャラクターが量産される事となる。
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SDキャラクター全盛期を支えたデザイナーの1人である佐藤元によれば、低頭身キャラクター化の手法を洗練させたのはアニメ誌『月刊OUT』の投稿者のコミュニティだとしている。『宇宙戦艦ヤマト』のヒットで中高生の若いアニメファンによって、先述された少女漫画的な手法のお遊びとして「崩しキャラを使ったパロディイラスト」をアニメ誌『月刊OUT』が多数投稿され、それらに触れたアニメ製作者の間にも同じようなセンスが浸透されていった。1980年代に入ると、影響を受けた作り手側がそれらを商業作品に落とし込むようになり、アニメ『超力ロボガラット』や食玩シールの『ビックリマン』シリーズ、タカラのミニカー玩具『チョロQ』など、キャラクターの低頭身・簡略化をプロダクトデザインへと昇華させた商業コンテンツが輩出されるようになった。そして、1980年代後半には当時の『月刊OUT』の読者世代がプロへ転向し、クリエーターとなった彼らによって数多くのSDキャラクターが創出される事となる。
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これらの中で、『[[SDガンダム]]』の直接的な先祖とされる商品が『チョロQ』である。これはプルバック式のゼンマイによって走行するコミカルな形状のミニカーなのだが、タカラはこのゼンマイ機構をロボットアニメ『太陽の牙ダグラム』の主人公ロボに組み込んだタイアップ玩具『'''チョロQダグラム'''』を1983年から売りだしていた。この際、『チョロQ』のデザインにあわせてダグラムも低等身で丸っこくデフォルメされた。これそれなりのヒットを記録し、『[[装甲騎兵ボトムズ]]』『[[機甲界ガリアン]]』『[[巨神ゴーグ]]』などのタカラ版権のロボットが次々とチョロQ化されることになる。
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これらの中で、『[[SDガンダム]]』の直接的な先祖とされるコンテンツが『チョロQ』である。これはプルバック式のゼンマイによって走行するコミカルな形状のミニカー玩具のシリーズで、タカラは同玩具のフォーマットをロボットアニメ『太陽の牙ダグラム』の登場ロボット群に置き換えたタイアップ玩具『'''チョロQダグラム'''』を1983年から展開していた。この際、『チョロQ』のデザインにあわせてダグラムも低等身でコミカルにデフォルメされた。これそれなりのヒットを記録し、『[[装甲騎兵ボトムズ]]』『[[機甲界ガリアン]]』『[[巨神ゴーグ]]』などのタカラ版権のロボットも続いてチョロQ化されることになる。
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この流れを見たバンダイも、自社がスポンサーをしているロボットに低頭身デフォルメを施した玩具を次々と企画。1984年~1985年にはチョロQ類似品『ロボチェンマン』、変形プラモデル『カワルドスーツ』、ミニプラキット『ディフォルメ・エルガイム』『ディフォルメ・ガンダム』など様々な商品が発売された。これらの試行錯誤を経た後、消しゴム人形『SDガンダム』が登場し大人気を得たことで、他のデフォルメ系シリーズは「SD」のブランドへ統合される形で発展的解消となった。このライン統合が後にSDガンダムのプラキットシリーズ化(BB戦士、元祖SDガンダム)へとつながることになる。
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この流れに乗ずるように、バンダイも自社がスポンサーをしているロボットに低頭身デフォルメを施した玩具を挙って企画。1984年~1985年にはチョロQ類似品『ロボチェンマン』、変形プラモデル『カワルドスーツ』、ミニプラキット『ディフォルメ・エルガイム』『ディフォルメ・ガンダム』など様々な商品が発売された。これらの試行錯誤を経た後、消しゴム人形『SDガンダム(ガシャポン戦士シリーズ)』がヒットしたことで、他のデフォルメ系シリーズは「SD」のブランドへ統合される形で発展的解消となった。このライン統合が後にSDガンダムのプラキットシリーズ化(BB戦士、元祖SDガンダム)へとつながることになる。
    
===「スーパーデフォルメ」の誕生===
 
===「スーパーデフォルメ」の誕生===
 
「スーパーデフォルメ」の用語の元祖である[[SDガンダム]]は、カプセルトイ(ガシャポン、ガチャガチャ)の消しゴム人形から始まった企画である。
 
「スーパーデフォルメ」の用語の元祖である[[SDガンダム]]は、カプセルトイ(ガシャポン、ガチャガチャ)の消しゴム人形から始まった企画である。
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「消しゴム人形」とはプラスチック消しゴムの材料である塩化ビニル樹脂で作られた人形のことで、1970年代の「スーパーカー消しゴム」のブームで一気に広まった。原材料コストが安く加工も容易であることから安価なミニチュアの素材として好まれ、1980年代には『キン肉マン』の「キン消し」や、『[[機動戦士ガンダム]]』の「ガン消し」など、様々なアニメや漫画のキャラクターが消しゴム人形として多数作られ、大人気となった。タカラ・バンダイといった玩具メーカーだけでなく、食玩市場から菓子メーカーもカプセルトイ市場に参戦、業界における一大マーケットが形成されていった。
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「消しゴム人形」とはプラスチック消しゴムの材料である塩化ビニル樹脂で作られた人形のことで、1970年代の「スーパーカー消しゴム」のブームで一躍広まった。原材料コストが安く加工も容易であることから安価なミニチュアの素材として好まれ、1980年代には『キン肉マン』の「キン消し」や、『[[機動戦士ガンダム]]』の「ガン消し」など、様々なアニメや漫画のキャラクターが消しゴム人形として多数作られ、大人気となった。タカラ・バンダイといった玩具メーカーだけでなく、食玩市場から菓子メーカーもカプセルトイ市場に参戦、業界における一大マーケットが形成されていった。
    
これらの消しゴム人形は安価であることこそが重要で、それゆえにコストをかけてまで凝った造形を行うわけにいかなかった。そこでバンダイは逆手をとって、[[ガンダムシリーズ]]の[[モビルスーツ]]を二頭身にまで極端に簡略化した消しゴム人形を売り出した。このシリーズ商品につけられた名前は『スーパーディフォルメガンダムワールド』であり、その略称として『SDガンダム』が使われていた。これが「'''スーパーデフォルメ'''」そして「'''SD'''」という名前の初出である。
 
これらの消しゴム人形は安価であることこそが重要で、それゆえにコストをかけてまで凝った造形を行うわけにいかなかった。そこでバンダイは逆手をとって、[[ガンダムシリーズ]]の[[モビルスーツ]]を二頭身にまで極端に簡略化した消しゴム人形を売り出した。このシリーズ商品につけられた名前は『スーパーディフォルメガンダムワールド』であり、その略称として『SDガンダム』が使われていた。これが「'''スーパーデフォルメ'''」そして「'''SD'''」という名前の初出である。
 
   
 
   
SDガンダムが画期的だったのは、「ガンダムをモデルにした'''独自のキャラクター'''」という一種のセルフパロディ商品として売り出されたことである。子供達が手にするのは「造形が安っぽいガンダムの人形」ではなく、擬人化されて言葉も話すギャグ系キャラクターの人形なのである。安っぽい造形はむしろこのコミカルさを生み出すアクセントとなり、それまでマイナス要素だと思われた部分はそのままプラス要素となったのである。
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SDガンダムが画期的だったのは、「ガンダムをモデルにした'''独自のキャラクター'''」という一種のセルフパロディ商品として売り出されたことである。子供達が手にするのは「造形が安っぽいガンダムの人形」ではなく、擬人化されて言葉も話すコミカルなキャラクターの人形なのである。チープな造形はむしろ親しみやすさを生み出すアクセントとなり、それまでマイナス要素だと思われた部分はそのままプラス要素となったのである。
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なお、『ロボチェンマン』『カワルドスーツ』『ディフォルメ・ガンダム』などの先行商品にも擬人化の要素はあったのだが、SDガンダムはそこを過剰なまでに強調させたことが、先行商品との決定的な差別化になったとされる。ガンダムの顔に「'''瞳'''」を加えて感情表現を可能にしたことと、ギャグイラストが入ったシールを製品に付属させてキャラクター性を重視したことは、擬人化のコンセプトを先行商品よりも圧倒的に強く押し出した。また、先行商品は原作のかっこいいロボットらしさを残すことも踏まえて三頭身のデフォルメだったのに対して、二頭身にまでデフォルメしたことも強いインパクトとなった。SDガンダムの企画側も先行商品との差別化は強く意識しており、スーパーディフォルメの「'''スーパー'''」はこれら先行商品よりも徹底したデフォルメである意味を込めてつけられたタイトルでもある。
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なお、『ロボチェンマン』『カワルドスーツ』『ディフォルメ・ガンダム』などの先行商品にも擬人化の要素はあったのだが、SDガンダムはそれをより推し進めた形で誇張させたことが先行商品との大きな差別化へ繋がったとされる。特にガンダムの顔に「'''瞳'''」を加えて感情表現を可能にしたことと、ギャグイラストが入ったシールを製品に付属させてキャラクター性を強調したことは、擬人化のコンセプトを先行商品よりも殊更強くアピールした。また、先行商品は原作のかっこいいロボットらしさを残すことも踏まえて三頭身のデフォルメだったのに対して、二頭身にまでデフォルメしたことも強いインパクトとなった。SDガンダムの企画側も先行商品との差別化は強く意識しており、スーパーディフォルメの「'''スーパー'''」はこれら先行商品よりも徹底したデフォルメである意味を込めてつけられたタイトルでもある。
    
SDガンダムはカプセルトイのみにとどまらず様々な玩具として売り出され、その人気からゲームやアニメともなり、現在に続く『[[SDガンダムシリーズ]]』が生まれ、「武者」「騎士」など様々な作品・キャラクターを生み出しバンダイの黄金期を支えた。このヒットを受け、ガンダムシリーズ以外でも版権キャラクターをSD化して「独自のコミカルなキャラクター」とする玩具を売り出す手法が様々なメーカーで展開、1990年代前半はこのような「SDモノ」コンテンツが乱立する事となった(後述)。
 
SDガンダムはカプセルトイのみにとどまらず様々な玩具として売り出され、その人気からゲームやアニメともなり、現在に続く『[[SDガンダムシリーズ]]』が生まれ、「武者」「騎士」など様々な作品・キャラクターを生み出しバンダイの黄金期を支えた。このヒットを受け、ガンダムシリーズ以外でも版権キャラクターをSD化して「独自のコミカルなキャラクター」とする玩具を売り出す手法が様々なメーカーで展開、1990年代前半はこのような「SDモノ」コンテンツが乱立する事となった(後述)。
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上記の「武者」「騎士」は大きな人気を得たが、物語性の強い世界観であるほどそこで活躍するキャラクターのデザインには世界観に根ざしたものがある程度求められるため、元の版権キャラクターのデザインを残さないといけないという制約上、「武者」「騎士」以外には成功例と言えるものはほとんどない。
 
上記の「武者」「騎士」は大きな人気を得たが、物語性の強い世界観であるほどそこで活躍するキャラクターのデザインには世界観に根ざしたものがある程度求められるため、元の版権キャラクターのデザインを残さないといけないという制約上、「武者」「騎士」以外には成功例と言えるものはほとんどない。
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しかし方法論そのものは、従来の「リアル頭身からSD化させたキャラクター」でなく「元よりSD頭身として作られたオリジナルキャラクター」を玩具メーカーがそれぞれ売り出すための手段として注目された。その多くは「騎士」「武者」の路線に肖った「ファンタジーRPG的世界観とSD体型のロボットを組み合わせた冒険もの」である。端緒となったのがタカラによる『魔神英雄伝ワタル』で、他にも『魔導王グランゾート』『[[NG騎士ラムネ&40]]』『[[覇王大系リューナイト]]』『からくり剣豪伝ムサシロード』『RPG伝説ヘポイ』など様々なタイトルが1980年代後半~1990年代前半にかけて制作された。しかしそれらの作品はファンタジー世界観に起因する他作品との合わせづらさが問題なのか、スパロボへの参戦が極めてレアなケースとなっている。また、背景がファンタジー的でないものとしては『超特急ヒカリアン』『[[疾風!アイアンリーガー]]』などがあるが、これらも背景には比較的シリアスな設定が盛り込まれており、SD=コメディものというかつての図式から脱却していることが分かる。
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しかし方法論そのものは、従来の「リアル頭身からSD化させたキャラクター」でなく「元よりSD頭身として作られたオリジナルキャラクター」を玩具メーカーがそれぞれ売り出すための手段として注目された。その多くは「騎士」「武者」の路線に肖った「ファンタジーRPG的世界観とSD体型のロボットを組み合わせた冒険もの」である。端緒となったのがタカラによる『魔神英雄伝ワタル』で、他にも『魔導王グランゾート』『[[NG騎士ラムネ&40]]』『[[覇王大系リューナイト]]』『からくり剣豪伝ムサシロード』『RPG伝説ヘポイ』など様々なタイトルが1980年代後半~1990年代前半にかけて制作された。しかしそれらの作品はファンタジー世界観に起因する他作品との合わせづらさが問題なのか、スパロボへの参戦が極めてレアなケースとなっている。また、背景がファンタジー的でないものとしては『超特急ヒカリアン』『[[疾風!アイアンリーガー]]』などがあるが、これらも背景には比較的シリアスな設定が盛り込まれており、SD=コメディものというかつての構図から脱却していることが分かる。
    
=== ブームの収束と浸透 ===
 
=== ブームの収束と浸透 ===
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SDガンダムが画期的とされた点として、SDキャラクターを「オリジナルから飛躍した独自のキャラクター」として確立させたことについては先に記したが、これを推進するために公式パロディとしてのギャグイラスト・漫画が製品のオマケとして用意され、『コミックボンボン』を中心に児童向け媒体で連載企画を行うタイアップも積極的に行われた。これらにより「SDキャラクターたちの性格」や「彼らがドタバタコメディを行う舞台」が掘り下げられていった。SDガンダムは「人が乗り込むロボット」ではなく「擬人化された意思ある存在」として生き生きと描かれ、また物語として見せることで版権SDキャラクター玩具が本編に出てくるロボットとは異なる、独自のキャラクターであることが子供達にも理解させることを容易にした。
 
SDガンダムが画期的とされた点として、SDキャラクターを「オリジナルから飛躍した独自のキャラクター」として確立させたことについては先に記したが、これを推進するために公式パロディとしてのギャグイラスト・漫画が製品のオマケとして用意され、『コミックボンボン』を中心に児童向け媒体で連載企画を行うタイアップも積極的に行われた。これらにより「SDキャラクターたちの性格」や「彼らがドタバタコメディを行う舞台」が掘り下げられていった。SDガンダムは「人が乗り込むロボット」ではなく「擬人化された意思ある存在」として生き生きと描かれ、また物語として見せることで版権SDキャラクター玩具が本編に出てくるロボットとは異なる、独自のキャラクターであることが子供達にも理解させることを容易にした。
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その際用いられた、版権キャラクターに元ネタと無関係にキャラクター性をつける手法は、見た目が無機質なロボットや非人間的な怪獣・宇宙人のようなキャラクターには特に有効であった。これらは元ネタの外見からイメージできるキャラクター性が希薄であったため、その外見に対してどのような性格をつけても許容されるからである。SDブーム初期に商業化された版権SDキャラクターの多くにおいて、ロボットアニメか特撮が元ネタとして用いられているのはこういった部分に起因する<ref>しかしこの手法はファンの間でキャラクターと演者(役者・声優など)をシンクロさせる「中の人」という概念が生まれた90年代後半を境に次第に受け入れられなくなり、以後はSDガンダムなどにおいても原作パイロットのキャラをそのまま投影したキャラクター付けがなされている</ref>。
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その際用いられた、版権キャラクターに元ネタと無関係にキャラクター性をつける手法は、見た目が無機質なロボットや非人間的な怪獣・宇宙人のようなキャラクターには特に有効であった。これらは元ネタの外見からイメージできるキャラクター性が希薄であったため、その外見に対してどのような性格をつけても許容されるからである。SDブーム初期に商業化された版権SDキャラクターの多くにおいて、ロボットアニメか特撮が元ネタとして用いられているのはこういった部分に起因する<ref>ただし、この手法はファンの間でキャラクターと演者(役者・声優など)をシンクロさせる「中の人」という概念が生まれた90年代後半を境に次第に受け入れられなくなり、以後はSDガンダムなどにおいても原作パイロットのキャラをそのまま投影したキャラクター付けがなされている</ref>。
    
その後、SDキャラクターがコンテンツとして市民権を得てからも、「本編とは別の世界観」を漫画などで表現していくという手法は頻繁に用いられた。これは「武者ガンダム」「騎士ガンダム」のようなシリアスな背景世界を生み出すために特に効果的に使われ、その流れが「オリジナルのSDロボットアニメ」の誕生につながっていくのは上述したとおりである。
 
その後、SDキャラクターがコンテンツとして市民権を得てからも、「本編とは別の世界観」を漫画などで表現していくという手法は頻繁に用いられた。これは「武者ガンダム」「騎士ガンダム」のようなシリアスな背景世界を生み出すために特に効果的に使われ、その流れが「オリジナルのSDロボットアニメ」の誕生につながっていくのは上述したとおりである。

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