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| == ギリシア神話(Greek Mythology) == | | == ギリシア神話(Greek Mythology) == |
− | ギリシア発祥の[[神話]]。人間臭い神々と英雄たちの織り成す神話で、歴史上存在した(現在の88以外に抹消されたものも含む)星座の多くが、古代ギリシア人が神話をモチーフに考え出したもの。ゼウスを初めとして、色恋にまつわる事件が多い。またある事件が後に別の事件の発端となったり、ある英雄が複数の事件で活躍したり子孫がまた英雄になったりと歴史的な連続性が見られる。古代神話の常として同じ事物に対して複数の逸話が伝わっている。 | + | ギリシア発祥の[[神話]]。人間臭い神々と英雄たちの織り成す神話で、歴史上存在した(現在の88以外に抹消されたものも含む)星座の多くが、古代ギリシア人が神話をモチーフに考え出したもの。 |
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| + | ギリシア神話には主神ゼウスを初めとして、色恋にまつわる事件が多い。また、ある事件が後に別の事件の発端となったり、ある英雄が複数の事件で活躍したり子孫がまた英雄になったりと歴史的な連続性が見られる。古代神話の常として同じ事物に対して複数の逸話が伝わっている。なお、ギリシア神話の神々は必ずしも人柄(神柄?)が良いとは限らないので、そんな彼等の気まぐれによって特に非の無い人物が理不尽な目に遭わされる逸話も少なく無い。 |
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| 神話の中で最も知名度が高く、星座や[[太陽系]]の惑星・小惑星、果ては心理学用語にも多数の神話由来の名がつけられている。 | | 神話の中で最も知名度が高く、星座や[[太陽系]]の惑星・小惑星、果ては心理学用語にも多数の神話由来の名がつけられている。 |
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| :雷霆を武器とし神々で最強の力を持ち、巨人達との戦いでは大いに活躍した。その後に現れた怪物テュポーンに対しても、他全ての神が逃げ出す中で唯一立ち向かい一度は敗北して両足の腱を切り落とされるも、回復するや再び挑んで追い詰めるなど勇猛である。また、母である地母神ガイアには不可能だった、[[宇宙]]の平定も成し遂げている。(後述の女性関係を除けば)平時は暴力的な面は描かれず、英雄たちの死や悲劇に涙を流し無垢な子供を守ろうとする温和な気質を持つ「'''弱者の守護神'''」たる存在。ただし、ガイアの予言を恐れて最初の妻であるメーディスの出産を阻んだりしている(この結果、副次的にゼウスは運命にさえ縛られなくなった)。 | | :雷霆を武器とし神々で最強の力を持ち、巨人達との戦いでは大いに活躍した。その後に現れた怪物テュポーンに対しても、他全ての神が逃げ出す中で唯一立ち向かい一度は敗北して両足の腱を切り落とされるも、回復するや再び挑んで追い詰めるなど勇猛である。また、母である地母神ガイアには不可能だった、[[宇宙]]の平定も成し遂げている。(後述の女性関係を除けば)平時は暴力的な面は描かれず、英雄たちの死や悲劇に涙を流し無垢な子供を守ろうとする温和な気質を持つ「'''弱者の守護神'''」たる存在。ただし、ガイアの予言を恐れて最初の妻であるメーディスの出産を阻んだりしている(この結果、副次的にゼウスは運命にさえ縛られなくなった)。 |
| :その一方で'''病的ともいえる女好き'''で、妻帯者にも関わらず多くの女性と子を成した。その際は動物や他人、果ては雨にまで化けて女性の寝所に侵入する。挙句、姉に無理矢理子供を作らせている。 | | :その一方で'''病的ともいえる女好き'''で、妻帯者にも関わらず多くの女性と子を成した。その際は動物や他人、果ては雨にまで化けて女性の寝所に侵入する。挙句、姉に無理矢理子供を作らせている。 |
− | :そんな彼の妻は、よりによって結婚と貞節を司る故か恐ろしく嫉妬深い女神ヘラ。'''ゼウス・ヘラ夫妻の諍いのとばっちりで事件に発展した例が割とある'''。また、恋愛に対して豪快なのは私事だけではなく、ハーデスが娘のペルセポネーに恋した際は求婚の許可をもらいに来た彼に対してむしろ誘拐するように唆している。 | + | :そんな彼の妻は、よりによって結婚と貞節を司る故か恐ろしく嫉妬深い女神ヘーラー。'''ゼウス・ヘーラー夫妻の諍いのとばっちりで事件に発展した例が割とある'''。また、恋愛に対して豪快なのは私事だけではなく、ハーデースが娘のペルセポネーに恋した際は求婚の許可をもらいに来た彼に対してむしろ誘拐するように唆している。 |
| :こんなにも多くの女性と浮名を流したのは、多くの都市国家がゼウスの恩恵を授かった逸話を作った辻褄合わせというのが定説。神話的には、強力な神々や半神半人を生み出すことで宇宙や人間界の基盤を守るためとされる。 | | :こんなにも多くの女性と浮名を流したのは、多くの都市国家がゼウスの恩恵を授かった逸話を作った辻褄合わせというのが定説。神話的には、強力な神々や半神半人を生み出すことで宇宙や人間界の基盤を守るためとされる。 |
| :*[[機動武闘伝Gガンダム]]では[[ゼウスガンダム]]の名の由来として使われている。 | | :*[[機動武闘伝Gガンダム]]では[[ゼウスガンダム]]の名の由来として使われている。 |
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| :*[[大空魔竜ガイキング]]では[[大空魔竜]]最大最強の兵器ゼウスミサイルの名の由来として使われている。 | | :*[[大空魔竜ガイキング]]では[[大空魔竜]]最大最強の兵器ゼウスミサイルの名の由来として使われている。 |
| ;ポセイドン(Poseidon) | | ;ポセイドン(Poseidon) |
− | :ギリシア神話の海神。クロノスとレアの子であり、兄弟のゼウス、ハデスと力を合わせて父神の王権を奪ったあと、三兄弟の間で世界を分割統治すべく[[海|海洋]]の支配者となった。 | + | :ギリシア神話の海神。クロノスとレアの子であり、兄弟のゼウス、ハーデースと力を合わせて父神の王権を奪ったあと、三兄弟の間で世界を分割統治すべく[[海|海洋]]の支配者となった。 |
| :*[[ゲッターロボG]]では[[ポセイドン号]]、[[ゲッターポセイドン]]の名の由来として使われている。 | | :*[[ゲッターロボG]]では[[ポセイドン号]]、[[ゲッターポセイドン]]の名の由来として使われている。 |
| :*[[真マジンガー 衝撃! Z編]]ではミケーネ三大神の一柱ポセイドンの名の由来となっている。 | | :*[[真マジンガー 衝撃! Z編]]ではミケーネ三大神の一柱ポセイドンの名の由来となっている。 |
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| :ローマ神話における[[ビューナスA|ヴィーナス]]に相当する。 | | :ローマ神話における[[ビューナスA|ヴィーナス]]に相当する。 |
| :*[[マジンガーZ (TV)|マジンガーZ]]では[[アフロダイA]]の名の元ネタ。 | | :*[[マジンガーZ (TV)|マジンガーZ]]では[[アフロダイA]]の名の元ネタ。 |
− | ;アテナ(Athena) | + | ;アテーナー(Athena) |
| :知恵、工芸、戦争の女神。ゼウスの頭部から武装して鎧を纏った姿で生まれた。戦争の神アレスと比べると肯定的な意味合いが強い。 | | :知恵、工芸、戦争の女神。ゼウスの頭部から武装して鎧を纏った姿で生まれた。戦争の神アレスと比べると肯定的な意味合いが強い。 |
| :ローマ神話における[[ミネルバX|ミネル]][[ミネルバ|ヴァ]]に相当する。 | | :ローマ神話における[[ミネルバX|ミネル]][[ミネルバ|ヴァ]]に相当する。 |
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| ;プロメテウス(Prometheus) | | ;プロメテウス(Prometheus) |
| :ティターンの一柱。人類に「火」を与えて文明を発展させたが、その行いによってゼウスの逆鱗に触れてしまい、カウカーソス山の山頂に張り付けにされながら毎日再生する肝臓をハゲタカに啄まれる生き地獄を味わうこととなった。 | | :ティターンの一柱。人類に「火」を与えて文明を発展させたが、その行いによってゼウスの逆鱗に触れてしまい、カウカーソス山の山頂に張り付けにされながら毎日再生する肝臓をハゲタカに啄まれる生き地獄を味わうこととなった。 |
− | :*[[超時空要塞マクロス]]では[[マクロス]]がアームドベースの代わりに攻撃空母プロメテウスとドッキングしている。 | + | :*[[超時空要塞マクロス]]では[[マクロス]]がアームドベースの代わりに攻撃空母プロメテウスとドッキング([[マクロス (強攻型)|人型に変形したマクロス]]の左腕となる)している。 |
| :*[[バンプレストオリジナル]]では[[プロメテウス・エクスペリメント]]の名の由来として使われている。 | | :*[[バンプレストオリジナル]]では[[プロメテウス・エクスペリメント]]の名の由来として使われている。 |
− | ;ハデス(Hades) | + | ;ハーデース(Hades) |
| :地下の王にして、死者を管理する冥界神。クロノスとレアの子であり、ゼウスとポセイドンの兄弟。オリュンポス十二神に数えられたり数えられなかったり、フィクションで悪役にされがちと立場が安定しない。また、金属などの地下鉱脈の主ともいわれる。 | | :地下の王にして、死者を管理する冥界神。クロノスとレアの子であり、ゼウスとポセイドンの兄弟。オリュンポス十二神に数えられたり数えられなかったり、フィクションで悪役にされがちと立場が安定しない。また、金属などの地下鉱脈の主ともいわれる。 |
| :ちなみに、ローマ神話では繁栄の神プルートーと同一視される。これは、生死は表裏一体であるという観点から。 | | :ちなみに、ローマ神話では繁栄の神プルートーと同一視される。これは、生死は表裏一体であるという観点から。 |
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| ;ダイダロス(Daidalos) | | ;ダイダロス(Daidalos) |
| :ギリシア神話の有能な大工。斧、錘、水準器、神像、そしてミノタウロスを閉じ込める為の迷宮を造った。 | | :ギリシア神話の有能な大工。斧、錘、水準器、神像、そしてミノタウロスを閉じ込める為の迷宮を造った。 |
− | :*[[超時空要塞マクロス]]の攻撃空母プロメテウスと共に[[マクロス (強攻型)]]の腕の名前の由来となっている。 | + | :*[[超時空要塞マクロス]]の攻撃空母プロメテウスと共に[[マクロス (強攻型)]]の右腕の名前の由来となっている。 |
| :*[[六神合体ゴッドマーズ]]の[[ダイダロス]]の名の由来となっている。 | | :*[[六神合体ゴッドマーズ]]の[[ダイダロス]]の名の由来となっている。 |
| ;イカロス(Icarus) | | ;イカロス(Icarus) |
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| ;オーリーオーン(Orion) | | ;オーリーオーン(Orion) |
| :ギリシア神話に登場する狩人。海の神ポセイドンとミーノース王の娘エウリュアレーとの間に生まれ、背の高い偉丈夫で、稀に見る美貌の持ち主であった。父親であるポセイドンから海を歩く力を与えられ、海でも川でも陸と同じように歩く事ができた。 | | :ギリシア神話に登場する狩人。海の神ポセイドンとミーノース王の娘エウリュアレーとの間に生まれ、背の高い偉丈夫で、稀に見る美貌の持ち主であった。父親であるポセイドンから海を歩く力を与えられ、海でも川でも陸と同じように歩く事ができた。 |
− | :しかし、そのうち力を自慢するようになり、これを見かねた女神ヘーラは、オリオンをこらしめるために、彼の足元に大きなサソリを放った。さすがのオリオンもサソリの毒には勝てず、命を落としたという。 | + | :しかし、そのうち力を自慢するようになり、これを見かねた女神ヘーラーは、オーリーオーンをこらしめるために、彼の足元に大きなサソリを放った。さすがのオーリーオーンもサソリの毒には勝てず、命を落としたという。 |
− | :*[[Zシリーズ]]では[[バルビエル・ザ・ニードル]]が名乗っていた偽名オリオンの由来となっている。 | + | :*[[Zシリーズ]]では[[バルビエル・ザ・ニードル]]が名乗っていた[[偽名]]「オリオン」の由来となっている。 |
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| == 生物、怪物 == | | == 生物、怪物 == |
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| :*[[機動戦士ガンダムSEED DESTINY]]では[[ガナーザクウォーリア]]の武装のモチーフとなった。 | | :*[[機動戦士ガンダムSEED DESTINY]]では[[ガナーザクウォーリア]]の武装のモチーフとなった。 |
| :*[[バンプレストオリジナル]]に登場する[[オルトロス隊]]の名前の由来となっている。 | | :*[[バンプレストオリジナル]]に登場する[[オルトロス隊]]の名前の由来となっている。 |
− | ;メドゥーサ(Medousa) | + | ;ゴルゴーン(Gorgon) |
− | :「メデューサ」とも。 | + | :醜い容貌で、蛇の毛髪を持つ三姉妹。「ゴルゴー」とも言い、[[英語]]読みだと「ゴーゴン」である。長女がステンノー、次女がエウリュアレー、三女がメドゥーサである。 |
− | :蛇の頭髪と見た者を石化させる怪物であり、ゴーゴン三姉妹の三女。元は美しい髪を持った美女だったが、「自分の髪はアテナの髪より美しい」と自慢したばかりにアテナの逆鱗に触れてこのような姿となった。それでもなお許されず、アテナの命を受けたペルセウスに殺される。 | + | :後述のメドゥーサがアテーナーの怒りに触れて呪いを掛けられた際に、メドゥーサの二人の姉達はアテーナーに抗議したが、逆にメドゥーサと同じ呪いを掛けられるという理不尽な結果となってしまった。 |
− | :*[[蒼穹のファフナー]]では[[ファフナー]]の射撃武装メデューサの名前の由来となっている。 | + | :*[[マジンガーシリーズ]]では[[ゴーゴン大公]]の名の由来となっている。 |
− | :*[[マシンロボ クロノスの大逆襲]]では[[ディオンドラ]]が愛用している妖剣メドゥーサの名を由来とする。 | + | ;;メドゥーサ(Medousa) |
| + | ::「メデューサ」とも。 |
| + | ::蛇の頭髪と見た者を石化させる怪物であり、ゴーゴン三姉妹の三女。元は美しい髪を持った美女だったが、「自分の髪はアテーナーの髪より美しい」と自慢したばかりにアテーナーの逆鱗に触れてこのような姿となった。それでもなお許されず、アテーナーの命を受けたペルセウスに殺される。 |
| + | ::*[[蒼穹のファフナー]]では[[ファフナー]]の射撃武装メデューサの名前の由来となっている。 |
| + | ::*[[マシンロボ クロノスの大逆襲]]では[[ディオンドラ]]が愛用している妖剣メドゥーサの名を由来とする。 |
| ;フェニックス(Phoenix) | | ;フェニックス(Phoenix) |
| :ギリシア神話やエジプト神話に登場する伝説上の鳥。数百年に一度、自ら香木を積み重ねて火をつけた中に飛び込んで焼死し、その灰の中から再び幼鳥となって現れるという。物語的な神話上のエピソードはない。 | | :ギリシア神話やエジプト神話に登場する伝説上の鳥。数百年に一度、自ら香木を積み重ねて火をつけた中に飛び込んで焼死し、その灰の中から再び幼鳥となって現れるという。物語的な神話上のエピソードはない。 |
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| :*[[バンプレストオリジナル]]では[[アイム・ライアード]]の本名「ハーマル・アルゴー」の名前の由来となっている。 | | :*[[バンプレストオリジナル]]では[[アイム・ライアード]]の本名「ハーマル・アルゴー」の名前の由来となっている。 |
| ;アイギス(Aigis) | | ;アイギス(Aigis) |
− | :主神ゼウスが娘の女神アテナに与えた防具(盾とも胸当てとも言われている)。邪悪・災厄を払う魔除けの能力を持ち、後に退治された怪物メドゥーサの首をはめ込んだ。フィクションでは、主に盾あるいは守護を司る存在に使われることが多い。 | + | :主神ゼウスが娘の女神アテーナーに与えた防具(盾とも胸当てとも言われている)。邪悪・災厄を払う魔除けの能力を持ち、後に退治された怪物メドゥーサの首をはめ込んだ。フィクションでは、主に盾あるいは守護を司る存在に使われることが多い。 |
| :[[英語]]読みではイージス(Aegis)と言う。 | | :[[英語]]読みではイージス(Aegis)と言う。 |
| :*[[機動戦士ガンダムSEED]]では[[イージスガンダム]]が登場する。 | | :*[[機動戦士ガンダムSEED]]では[[イージスガンダム]]が登場する。 |
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| == 余談 == | | == 余談 == |
− | :上記のように(他の神話も同様だが)神同士では近親相姦が平然と行われているが、これが人間となると禁忌とされる。その悲劇の主人公がオイディプースであり、心理学にも応用されている。
| + | *上記のように(他の神話も同様だが)神同士では近親相姦が平然と行われているが、これが人間となると禁忌とされる。その悲劇の主人公がオイディプースであり、心理学にも応用されている。 |
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