パプテマス・シロッコ

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パプテマス・シロッコ
外国語表記 Paptimus Scirocco
登場作品

ガンダムシリーズ

声優 島田敏
デザイン 安彦良和
初登場SRW 第2次スーパーロボット大戦
SRWでの分類 パイロット
ラストボス
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プロフィール
種族 地球人
性別
生年 宇宙世紀0061年
年齢 26歳
没年月日 宇宙世紀0088年2月22日
身長 180180 cm <br /> cm
所属

地球連邦軍

軍階級 大尉(劇場版では大佐)
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パプテマス・シロッコは『機動戦士Ζガンダム』の登場人物。

概要

ティターンズの一員で、階級は大尉(劇場版『Ζ』では大佐)。

木星帰りのニュータイプであり、あらゆる分野における天才的才能を持って組織のナンバー3にまで上り詰めていくのだが、やがて内に秘めた野心を露にして、「天才によって変革された世界」の為に動き出す事になる。

人物

元は生粋の軍人ではなく、木星と地球の間を航行する超大型輸送艦ジュピトリスの艦長として資源採掘の職務に就いていた地球連邦政府の官僚だった。

ガンダムシリーズ全体の登場人物の中でも指折りの天才で、苛酷な木星の環境を生きてきた影響でニュータイプとしても高い素養の持ち主となっている。モビルスーツのパイロットとしての技量も、カミーユ・ビダンシャア・アズナブルハマーン・カーンといったエース達をも凌駕し、更にはオリジナルのモビルスーツを設計する技術と頭脳も合わせ持ち、察力やカリスマ性から戦略家や政治家としても優れ、おまけにハンサムなルックスから女性にも強いという、正に弱点の無い万能なキャラクターであると言える。

しかし、そのあまりにも優れた才能故に、極度なまでに自惚れの強いナルシストでもあり、自分以外の他人…特に「凡人」に対しては見下す事を隠そうともしない傲慢さの持ち主。サラ・ザビアロフを始めとする彼を慕う女性以外でその考えを理解・共感し従おうとする存在は皆無に等しく、それが思わぬ足枷となってしまう事さえある。しかも劇場版においては、シロッコに引かれていたレコア・ロンドにも「権力を手にしたら女はいらなくなる」と陰口を叩かれて、命を落とし魂だけとなったカツ・コバヤシからも「誰にも心を開こうとしない」と評されてしまっている。

ティターンズに入った真の目的は、ティターンズそのものの実権を手にする事にあり、一握りの天才による人類の変革の為、地球圏を自らの理想通りの形で支配する事を目論んでいた。当然、ジャミトフ・ハイマンを始めとするティターンズの者達も、自らの目的の為に利用する為の存在に過ぎないのだが、意外にもジャミトフの思想の真理については理解を示しており、マウアー・ファラオとの会話でも、ジャミトフがティターンズを設立したのは「戦争を起こして地球の経済を窮地に追い込み、地球上の人間を減らしていく」という目論見があったのを的確に見抜いていた。シロッコはこのジャミトフの手段を利用して地球から人類の間引きを行った後、地球の支配権を自らの手に収めようとしていたのである。

劇中での活躍

グリプス戦役中に木星から地球圏へと帰還するが、自作したモビルスーツであるメッサーラのテストも兼ねてブライト・ノアの乗船していたシャトルである「テンプテーション」を襲撃。そこへ駆けつけたカミーユのガンダムMk-IIクワトロ・バジーナの百式と交戦するが、すぐに撤退する。その後、ティターンズの指導者であるジャミトフ大将と血判の契約書を交わす形でティターンズ入りしている。しかし、そのやや大仰とも言える姿勢から、組織のナンバー2であるバスク・オムにはかえって怪しまれる事となり、ジャミトフからも何らかの目的があるのを見抜かれて危険視されるが、増長し始めたバスクへの牽制やシロッコの様な人物でも扱えるようにならなければならないという考えから、あえて泳がされる事となっている。

ティターンズ入りしてから早々に、宇宙での戦いへの介入を始めていくが、地球至上主義でエリート意識が高い軍人の集まりであるティターンズ内にあって、地球より遠く離れた木星でしかキャリアを積んでおらず、生え抜きの軍人でもなかったシロッコは、「木星帰りがっ!」という陰口を浴びる等あまり歓迎された存在ではなかった。しかし、他の幹部が失敗を重ねる中、独断行動ながらもアポロ作戦にてドゴス・ギアでのグラナダ制圧に成功する等、成果を出し続けて頭角を現していき、ジャマイカン・ダニンガン少佐が死亡した事もあって、バスクに次ぐ組織のナンバー3と言える人物へと順調に出世していく。

一方、ジオン公国の残党勢力であるアクシズが地球圏に帰還してからは、傀儡とは言え表向きには指導者となっているミネバ・ラオ・ザビの元へ自ら赴き忠誠の姿勢を見せる等、不穏な動きを見せ始めていく事になり、グワダンでジャミトフ、ハマーンとの会談が行われた際、遂には総帥ジャミトフを暗殺。ティターンズの実権を握ろうとしていたが、エゥーゴとの戦いが佳境に入り、更にはハマーン率いるアクシズの勢力までもが介入していた状況で指導者のジャミトフを暗殺してしまったのが裏目に出てしまい、シロッコを疑って従うはずの無いバスクの存在もあってティターンズの指揮系統は混乱してしまう。そして自らもジ・Oに搭乗してハマーンのキュベレイプレッシャーをぶつけあって対峙するが、周辺への注意が疎かになってしまった結果、カツの攻撃から自身を庇ったサラも死亡してしまう事態となった。

その後、レコアにバスクを始末させ[1]、ようやく指揮系統を手中に収めた時には、メールシュトローム作戦を発動させたエゥーゴによってコロニーレーザーの「グリプス2」が奪取されてしまい、レコア、ヤザン・ゲーブルといった目に掛けた有力な手駒も次々と失ってしまう。巻き返しを図るべく、グリプス2へと向かいコロニーレーザーを発射不能に追い込もうとするも失敗。クワトロ、ハマーンの二人と互いの主張をぶつけ合った後、グリプス2のコロニーレーザーによってティターンズの艦隊大半を失ってしまう。

もはやエゥーゴに勝てないと悟り逃走を試みるも、最期は追撃してきたカミーユの乗るΖガンダムのウェイブライダー形態による体当たりでジ・Oのコクピットもろとも機首に押し潰されて絶命。TV版では死の間際にカミーユへ思念を放ち、彼の精神を道連れにした[2]。一方、劇場版でも同様に敗北して道連れにしようとしていたが、こちらではカミーユが穏やかに受け流す事を覚えていた結果、失敗に終わってしまい、最後は自らの木星時代からの船であったジュピトリスを巻き込む形で爆散している。

キャラクターの総評 

シロッコは自らの理想として、「女性による世界の統治」を掲げて、自らは傍観者に過ぎないと多くの人間に公言しており、後の宇宙戦国時代と評される宇宙世紀0152年では、シロッコと同じく木星帰りであるフォンセ・カガチマリア・ピァ・アーモニアを擁立する形で「男性を中心とする社会こそが争いの源で、それを払拭すべく女系社会に回帰させる」という「マリア主義」が唱えられ、シロッコもこれに近い思想を広めようとしていた可能性が高い。

一方で自らを天才(世界の支配権を握る人間)と称した本音とも取れる言動との間に矛盾があり、劇中でも多くの人物にその思想はただの建前にすぎないのではないかと推測されている。事実、自分の理想通りの優秀な女性の指導者だったハマーンに対しては、組織が違うとはいえ自分の思い通りには出来そうにない事から、「排除すべき存在」としたり、様々な暗躍をし権力を得ようとした背景から、本心は不明なものの「自らの意のままに働く女性を前に立て、自分は黒幕として裏から支配しつつ木星という僻地で持て余していた才能を存分に発揮する」というのが本当の目的であったのではないかと想像されている。

また、自らを慕う女性達に対しても、「表面的」には愛情を持っているかのように接しながら、サラにはグラナダでアーガマを始末する為だけに自らも命を落としかけない危険な爆破テロを実行させようとしたり、レコアに対してもバスクのコロニーへの毒ガス注入の命令を下された際に止めようともしない等、実際は「自らの意のままに従ってくれる有益な駒として見ていない」と思われる部分もあった。劇場版でのレコアの独り言やカツの魂のシロッコへの評価からもその事を伺わせており、終盤においてカミーユからも「いつも傍観者で、人を弄ぶだけの人」と指摘された際には、「私にはそういう資格がある!」と、完全に居直った上での本性を剥き出しにしている始末だった。

しかし、優れた才能を持ち一見すれば完璧な人物に見えながらも、自らの価値観や美学に沿わない者は徹底的に認めないどころか、むしろ排除する事しか考えられなかったというある種の「幼い」とも言えるシロッコの本質は、多くの反感を招くだけとなり、結局の所それは自らが否定していた「重力に魂を引かれた者」と何ら変わりが無かった[3]。更にエゥーゴやアクシズとの三つ巴になり得る危機的な状況下で指導者のジャミトフを暗殺して組織の実権を握ろうという早まった行動に出た結果、逆にバスクを始めとする一部勢力に反発される形で裏目に出てしまうという文字通り「策士策に溺れる」事態を招き、最後には自らの元にいた人間達の魂にまで見放されてしまい、自滅同然で死亡するに至ったのは、皮肉と言わざるを得ない(劇場版では最後にカミーユの精神を道連れにすら出来ず、乗艦のジュピトリスの方を巻き添えにしてしまった為、猶更である)。

登場作品と役柄

ハマーンシャア(逆シャア版)、ギンガナムと並ぶガンダムシリーズ系の大ボスで、特に『第3次』や『F完結編』などでは条件次第でラストボスを務めるなど、常に大物扱いされているイメージが強い。それ故にカミーユやクワトロだけでなく、アムロジュドーシーブックウッソなどニュータイプである歴代ガンダムの主人公達との対決場面が見せ場となっている。

オリジナル勢力とも存分に絡んだ旧シリーズ~『α』の頃が彼の黄金期と言え、それ以降は『Ζガンダム』のストーリーが再現される作品が少なくなり、出番が激減した。『Ζガンダム』キャラで特に参戦回数を稼いでいるカミーユ、クワトロ、ファ、ハマーンなどに比べると携帯機シリーズ・単独作品(下項)で出番をもらえず、本編以前に死亡後の扱いが目立っている。しかし『Z』で久々に再登場し、存在感を見せつけた。「女性による世界統治」を提唱しており、作品によっては他作品の女性権力者を擁立しようとすることもあるが、その傲慢な本質を見透かされ、拒絶されるだけで終わっている。

斯様に、登場すれば敵役として良い立場はもらいやすいのだが、シャア・ハマーンのような自軍参戦の機会には恵まれず、生きてシナリオを終えられるケースも非常に少ない。キャラクター的にはカミーユやクワトロ等と和解など不可能で至極当然のような反面で、参戦回数の多さにより多種多様なIF展開が為されてきた宇宙世紀ガンダム世界のトップパイロットとしては稀少な扱いとも言える。

何かとクローンが作られる事が多く、『F完結編』ではゲストに、『α』ではユーゼスに、『SC2』ではデュランダルに自身のクローンを作られている。

旧シリーズ

第2次スーパーロボット大戦
初登場作品。DC所属。DC宇宙軍司令官という重職で、ホワイトベース隊を引き込もうとしてくる。終盤にクーデターを目論むが、失敗に終わる。
第2次スーパーロボット大戦G
デビルガンダムの事件を仕組んだ首謀者であり、ルートによってはなんとデビルガンダムに乗ってくる。
第3次スーパーロボット大戦
前作の流れから、DCとは距離を置いた独自勢力として登場。一部ルートではヴァルシオン改に搭乗し、最終ボスとなる(通常のヴァルシオンに乗ってくるルートもある)。カミーユでシロッコにトドメをさすと、原作を再現した精神崩壊イベントが発生する
ハマーンと並んでゲーム中最高クラスの回避能力を誇り、アムロ達よりも一回り高い数値である。高めのレベルで登場することもあって、命中率の良い武器であっても精神無しではほとんど攻撃を当てることができない。また、クリティカル率もかなり高いので反応の低いスーパー系で攻撃するときは注意が必要である。
スーパーロボット大戦F完結編
本人は『第3次』で既に死亡しており、本作で登場するシロッコはそのクローンである。原作同様ティターンズに取り入り、ジャミトフを暗殺。ルートによってはラストボスになり、ヴァルシオンに乗るニュータイプという凶悪な構成となる。BGMはパイロット依存なのでシャピロゼゼーナンと違いBGMは「ARMAGEDDON」ではない。
なお、ラスボス版は「それまでのクローンのその又クローン」である。この出生に関して「お前は綾波レイか!!」と突っ込みたくなったプレイヤーは少なくない。
アクシズ落としを目論み、一度は停止させられるものの再度動かすのだが、通常ならトレーズミリアルドに阻まれアクシズを破片にされてしまう。しかし、MAP兵器でわざとトレーズとミリアルドを殺した場合は、アクシズを動かすために自分で爆破して破片にする。

αシリーズ

スーパーロボット大戦α
ジュピトリアンの一員。『ガンダムW』のリリーナを統治者にしようとする。また、どういうわけか『α』世界の成り立ちについて知っている節があり、ケイサル・エフェスの存在を匂わせるような発言もしている。
数少ない敵の2回行動可能人物の一人であり、高Lvニュータイプ底力を併せ持っていたりとパイロットとしては相変わらずとんでもないが、本作ではジュピトリスの艦長としての登場がメインとなるため以前ほどの脅威は無い。最終的にはジ・Oに乗り換えるものの今作の性能はそれ程でもなく、おまけにカミーユと一度戦闘するとイベントで撃墜されるため本格的な戦闘そのものを回避可能だったりと、高い実力を発揮できぬまま出番を終えることも。

Zシリーズ

スーパーロボット大戦Z
本作では久々に彼の謀略が全開モード。ガンダム系のみならず他作品との絡みも多く、存在感が増している。
ギルバート・デュランダル賢人会議弾劾の演説を逆に利用し、デューイ・ノヴァクエーデル・ベルナルと組み、地球連邦を完全に牛耳るなど、原作以上の権謀術数っぷりを発揮。『∀ガンダム』のディアナ・ソレルを統治者にしようとするも、「お前にそれを決める資格はない」と突っぱねられる。
本人の能力はニュータイプ天才再攻撃という三種の神器を持ち、ジ・Oも今までのシリーズで最強を誇るので、ハマーンより強く御大将にも匹敵する。今回、初めてドゴス・ギアに乗る。
スーパーロボット大戦Z スペシャルディスク
チャレンジバトル/HARDのミッション5にてカミーユやクワトロとあいまみえることなく、エマ、カツ他二軍パイロット連中に撃墜される……歴代で最も無様な姿かも。
第3次スーパーロボット大戦Z時獄篇
既に故人だが、多元宇宙迷宮でカミーユの前に登場し、TV版ラストの展開が再現される。顔グラフィックが絶命時の1種類しかなく、キャラクター事典に掲載されるのもそれのみ

COMPACTシリーズ

スーパーロボット大戦COMPACT
ティターンズに所属する。ジャミトフが登場しないことから、本編時点でティターンズの総指揮官を務めている模様。乗機はジ・O
能力を打ち間違えたのかいつものような強さはなく、パイロット能力が名もなき「ザコ」とほとんど変わらない不遇な扱い。NT能力とジ・Oの性能に注意するくらい。
スーパーロボット大戦COMPACT for WSC
『COMPACT』同様、雑魚並のパイロット能力に設定されている。

携帯機シリーズ

スーパーロボット大戦A
グリプス戦役が終わっておりシロッコも死亡しているため本人は登場しないが、最終話でカミーユがヴィンデルとの戦闘前会話でヴィンデルを「かつて見てきた(自分の目的の為に他人を弄ぶだけ弄び)自分だけは安全なところで笑っている最低な男のよう」とシロッコを思わせる評価をする。

Scramble Commanderシリーズ

スーパーロボット大戦Scramble Commander
敵側でただ1人、ソーディアンの意図を見抜いていた。終盤にソーディアン内部に入り込み、EVA量産機を従えてシースに挑む。
スーパーロボット大戦Scramble Commander the 2nd
『SC』以来の久々の登場。ギルバート・デュランダルの同志であり、彼とデスティニープランを実行しようとしており、プランが成功した後には、自身のクローン軍団を地球防衛の任に就かせる予定だった。
蛇足だが、彼が登場するのは中盤を過ぎたあたりで、その後、ジ・Oに乗ってきて1度戦闘する機会があるが、その話で死亡してしまう。なお、この時の止めをカミーユで刺すとΖガンダム(HMR装備)が入手可能。

単独作品

スーパーロボット大戦64
所属組織がティターンズからOZになっている。旧シリーズ程の大活躍はしない、というか本筋である独立軍ルートではまさかのリストラ。OZルートではOZロームフェラ派宇宙軍を抱き込んでバルジリーブラを拠点に独立勢力となる。
スーパーロボット大戦X-Ω
ジ・Oのパイロット。

関連作品

ヒーロー戦記 プロジェクトオリュンポス
ティターンズに所属し、バスク・オムの下でテロリスト鎮圧の指揮を執っているが、その一方でテロリスト達の元締であるアポロン総統とも通じており、彼の配下として暗躍する。
中盤、ゼウスメンバーに正体を明かした後はジ・Oに搭乗し、彼等と2回戦う。
リアルロボット戦線
完全な敵パイロット。シャアルートではギャプランに乗り中ボスとして登場。
ポセイダル・シロッコルートではアウドムラで宇宙に向かおうとするが、撃墜に成功するとそのまま死亡する。取り逃がすと大ボスとなり、ギャプラン、ジ・Oに乗る。主人公達に倒された後、シャアの発射したコロニーレーザーで消し飛ばされ死亡する。

パイロットステータス

能力値

各能力が圧倒的。特に技能面の強さは凄まじく、版権ラスボスの名を辱めないものがある。

精神コマンド

F完結編α
ひらめき加速熱血集中鉄壁
Z
集中直感分析覚醒
X-Ω
集中覚醒
パイロットパーツ装備時
神速直感

特殊技能(特殊スキル)

F完結編64
ニュータイプL9、シールド防御L5、切り払いL9
α
底力ニュータイプL9、シールド防御L9、切り払いL9
Z
ニュータイプL8、カウンターL9、サイズ差補正無視天才気力+ (ダメージ)再攻撃
やはりと言うべきか強烈なラインナップ。天才+ニュータイプを実現して、それまでの法則を破ったと言える(天才の項目参照)。それまでの似た組み合わせと言えば念動力ケイサル・エフェス、同作で登場した極+超能力頭翅ぐらいだが、この2人と決定的に違うのは彼が生粋の人間という事。
ドゴス・ギアに乗っている時でさえ戦艦にあるまじき命中・回避能力を見せるが、ジ・Oに乗り換えてからが本当の恐怖の始まり。後述の隊長効果に加えてジ・Oに装備されている強化パーツ「ハロ」の効果もあり、命中率・回避率はかなり高い。
ただし、底力ガードなどの防御系技能を持っていないので案外脆く、そこに付け入る隙がある(ジ・OもMSゆえに大型のスーパーロボットでサイズ差優位を確保可能なのも見逃せない)。
尚、最終戦時以外では天才以降の3つが未習得の状態になっているが、その時でさえ他のボスとは一線を画す強さを発揮してくる。

小隊長能力(隊長効果)

命中率+30%、反撃時の攻撃力+20%
Z』で採用。最終命中率+30%・反撃時の与ダメージ増加と非常に強力な効果で、隊長効果の性質上小隊員にも適用される。天才+ニュータイプに加えてこの効果によって、最終戦時には命中率の補正が+80%という冗談の様な数値。
さらに、隊長効果の命中・回避・クリティカル率は全て最終補正(『Z』のマニュアル参照)なので、この内30%は常時の最終命中が掛かっているのとほぼ同じ。こちら側も集中・隊長効果・ジャミング機能の最終補正を総動員して対策すべき。

人間関係

ティターンズ(自派)

ハイファン(SRW未登場)
ジュピトリスの艦長。シロッコも彼には厚い信頼を置いている。
サラ・ザビアロフ
シロッコの部下で彼に心酔している。ボリノーク・サマーンに乗る。人を道具として使うところもあるシロッコだが、自分を慕って支えようともしてくれる彼女のことは、単なる部下以上の大事な存在に思っていたようで、自分の思いをかなり明確に語ったりしている。そして彼女が自分を庇って戦死した時には激昂していた。
ちなみに、彼女はシロッコを「パプテマス様」とファーストネームかつ独自の名称で呼ぶ。
レコア・ロンド
エゥーゴから寝返ってシロッコについた。パラス・アテネに乗る。しかし、サラに比べると扱いはややぞんざいであった感が否めない上に、サラには一方的に対抗心を向けられ、更にはバスクの命令でコロニーへの毒ガス注入を命令されても止めてもらえない等、散々な事になっており、結局は女としての情念を暴走させたまま、彼女は死亡する事になった。
ジェリド・メサ
ドゴス・ギアで艦長をしていた時期の部下。自身が設計・開発した可変型MSガブスレイを与えたが、フォン・ブラウン占拠作戦の際に彼を捨石にした。彼がいない所では小僧呼ばわりするなど、すっかり見下している。
マウアー・ファラオ
ドゴス・ギアで艦長をしていた時期の部下で、自身が設計・開発した可変型MSガブスレイを与える。いつもの調子で甘い言葉で彼女を口説こうとするが、ジェリド一筋な彼女には通用しなかった。
ヤザン・ゲーブル
志向性や性格も正反対だが、「(ハンブラビに)得体の知れない力を感じる」と語ったヤザンの感性や戦闘力を評価し意気投合。自身が設計・開発した可変型MSハンブラビを与えている。ヤザンは後年を描いた作品『機動戦士ガンダム MSV-R ジョニー・ライデンの帰還』にてシロッコを「面白いヤツ」と評している。
ガディ・キンゼー
「妙なの」(癖のある人物)を引き付けるシロッコに辟易していた。
トニオ・マンハイム
『機動戦士ガンダム ヴァルプルギス』(SRW未参戦)に登場するシロッコの信奉者。シロッコと共にオーヴェロンとシロッコのクローンであるマシロの製造に携わっていた。

ティターンズ(敵対)

ジャミトフ・ハイマン
ティターンズ所属として表面上は忠誠を誓っていたが、その後は手の平返しで彼を暗殺し、ティターンズの実権を掌握する。ただし、シロッコはジャミトフがティターンズを設立し、戦争を起こしていた真理について気付き理解しており、彼の元についたのも、そのジャミトフの真理を利用した上で地球を掌握し、自らの理想を実現させる為であった。ただ、機会だったとはいえ、エゥーゴやアクシズとの対立が激化している状況で暗殺してしまったのは、致命的なミスとなってしまう事になった。
非SRW作品『ギレンの野望』では、選択肢によって最後まで裏切らずに付き従う。連邦ルートでレビルが生きている場合も最後まで裏切らないので、(女性による統治ではないが)自身は歴史の当事者ではなく傍観者に過ぎないというのは一応彼の本心なのかもしれない。
バスク・オム
互いに反感を抱いており、ジャミトフ暗殺後も当然従おうとしなかった為、レコア(劇場版ではヤザン)を使って謀殺する。
非SRW作品『ギレンの野望』では彼の生死により、一派を率いてティターンズを離脱するか残留するかが分かれており、殆どの場合彼を粛正している。余程気に入らない存在であったようだ…。
ジャマイカン・ダニンガン
バスクと同じく反感を持たれていたが、シロッコは内心小物としか見ていなかった様で、然程気にしてはいなかった。実際、シロッコが手を下す事無く、ジャマイカンは自滅に近い形で命を落としている。

エゥーゴ

カミーユ・ビダン
互いに最大の仇敵。TV版では結果的にカミーユに倒されるが、彼を精神崩壊させることになる。劇場版では完全敗北。
クワトロ・バジーナ
ニュータイプによる人類の革新」を掲げている癖に、自分の邪魔だけはしてくる凡人以上に許せない存在。「ニュータイプのなり損ない」と罵倒し、彼をいち早く排除しようとする。
ブライト・ノア
第10話では、初登場時に自分が設計・開発した新型可変MSであるメッサーラの運行テストを兼ねて、彼が船長を務める民間人を乗せた連絡船「テンプテーション」を襲撃した。
エマ・シーン
近藤和久氏の描く漫画版では、自分をかばおうとしたレコアを倒した彼女に激怒・殺害した。
カツ・コバヤシ
彼にサラを殺されて激怒するが、カツからはサラの仇と恨まれる。

その他

フォウ・ムラサメ
COMPACT』では、彼女を用いてサイコガンダムの実験を行っていた。
ロザミア・バダム
第2次』では彼女を強化して利用した。
ハマーン・カーン
互いにその能力を危険視して激闘を繰り広げ、最後はクワトロも交えて三つ巴の争いを繰り広げた。
しかし、非SRW作品『機動戦士ガンダム ガンダムVS.ガンダム』ではシャアとの対立を「痴話喧嘩」と評すも、あっさり受け流した彼女から逆に言い訳のしようもない痛烈な皮肉を浴びせられてしまった。
アムロ・レイ
原作では面識はないが、スパロボではシャアと同じく因縁の相手。
お互いにトップクラスのニュータイプ同士なせいか両者共に戦闘台詞も豊富。「凡人どもに良い様に利用され力の使い方を誤ったニュータイプ」と断じている。
マシロ・オークス
『機動戦士ガンダム ヴァルプルギス』(SRW未参戦)に登場するシロッコのクローン。当初は自覚はなかったが、オーヴェロンに搭乗し続けるうちにシロッコの人格が覚醒し、言動もシロッコそのものと化す。

他作品との人間関係

立ち位置の重要さもあって各作品の指導者と絡む事が多く、彼の存在の大きさが伺い知れる。

ガンダムシリーズ

宇宙世紀ガンダムシリーズ

フラナガン・ブーン
第3次』では直属の部下。
ジュドー・アーシタ
スパロボではトップレベルのニュータイプ同士なためか、因縁の相手。彼を「山猿」だの「大局的に物事を見る事の出来ない子供」だの散々貶しており、逆にジュドーからは「頭でっかちの許せない大人」と断じられていた。
非SRWゲーム『ガンダム無双』では利用しようとするが、人徳で仲間を増やすジュドーを自分よりも優れたリーダーと認め、彼のような若い力に未来を託す方向に考えを改めている。
カロッゾ・ロナ
α』などで共闘。『α』では共にバルマー側につく。
フォンセ・カガチ
『α』では彼と共にジュピトリアンの中心に。
マリア・ピァ・アーモニア
『α』ではカガチと共に彼女を擁立している。
ファラ・グリフォン
第2次G』では彼女を強化人間に仕立て上げた。『α』でも立ち位置としては部下に当たる。
シーマ・ガラハウ
『α』では終盤で部下となる。
ルー・ルカ
非SRWゲーム『ガンダム無双』で共闘。彼女に疑惑の目を向けられていたが、後に考えを改められた。

アナザーガンダムシリーズ

リリーナ・ドーリアン
α』では彼女を擁立しようとする。
デルマイユ
64』では彼に従ってはいるが、ジャミトフを暗殺した後、彼もツバロフともどもモビルドールを用いて暗殺する。
デキム・バートン
α外伝』でデキムが登場した際、シロッコと接触していた事が語られ、真のオペレーション・メテオの事も知っていた。
フロスト兄弟シャギア・フロストオルバ・フロスト
Z』では部下。クーデターで追放した旧賢人会議派を上手く利用する為に彼らを潜り込ませた。しかし、カテゴリーFと見なされている彼らをどこか見下している為に、内心では憎しみを抱かれていた。
フィクス・ブラッドマン
『Z』ではクーデター後、デューイと共に彼を新連邦の大統領に立てる。
ティファ・アディール
『Z』ではレクイエムの発射とD.O.M.E.の解析の為に利用する。

正暦作品

ディアナ・ソレル
Z』では彼女を擁立しようとするが、彼女からも拒絶され、後に見限ってしまう。ディアナからすれば迷惑でしかなかったが…。
アグリッパ・メンテナー
『Z』ではある密約を交わしていた。
テテス・ハレ
『Z』ではディアナを暗殺しようとする彼女を阻止した。

ガンダムSEEDシリーズ

キラ・ヤマト
Z』では彼がスーパーコーディネイターであることを知っており、彼の事も「天才」として目に掛けていた様だが、戦闘での台詞からも解かるとおり、女性を平然と道具の様に利用する姿勢を激しく嫌悪されている。
アスラン・ザラ
SC2』ではデュランダルとの密談を彼に傍受されるが、シロッコはすぐに気付いていた。
後のレクイエムでの戦闘でも、その事に関する戦闘前会話が発生する。
シン・アスカ
『Z』では、彼を並ならぬ素養と力を持つ者と見抜いていた。
ネオ・ロアノーク
『Z』では階級が同じ大佐であるにも拘らず部下になっている。
ギルバート・デュランダル
『SC2』では志を共にする同志であり、『Z』ではお互いを認め合いながらも相容れないライバル同士である。また、名前の呼び方も『SC2』では「ギルバート」、『Z』では「デュランダル」となっている。
『SC2』においてシロッコは、デュランダルが提唱するデスティニープランの為に自らのクローンを彼に提供している。
ロード・ジブリール
『SC2』でも『Z』でも体よく利用する。
ジョゼフ・コープランド
『Z』では彼の目の前でジャミトフを殺害し、彼にロゴスの罪を認めさせる演説を行わせた後、彼を失脚に追いやった。

リアル系

アマンダラ・カマンダラ(真オルドナ・ポセイダル)
色々と似たような人物。特に女性に対する扱いでは、最終的にそれが元で破滅したものの「成功したシロッコ」とも評される。
また、シロッコが志半ばで果てたのに対してこちらはヤーマン王朝への復讐という目的を完遂している。それを知ることなく屈辱の中で最期を迎えることになったのは因果応報か。
黒騎士
CC』では共謀してジャミトフを暗殺する。
ホランド・ノヴァク
Z』では、謀略を重ねて独善的な世直しをしようとするところが、デューイと同じだと彼に断じられる。シロッコ自身も気に入らないというだけで自分達を否定し、確実性の無い方法で解決しようとするホランドを見下している。
デューイ・ノヴァク
『Z』では同志。彼と共にクーデターを決行し、共に新連邦の中心人物に。
エンブリヲ
まだ競演に至っていないが、アマンダラと同様に色々と似ている人物(変な髪形である点も含む)。天才な上に不老不死になっている点からも、ある意味ではアマンダラ以上に「成功したシロッコ」と言えなくも無い。
その他にも、戦いの終結後は旅に出ることを志向する、自身を歴史の当事者ではなく傍観者と規定する、女性崇拝を唱えながら自分の道具としてしか扱っていない(そしてそれを籠絡した女性から見透かされる)など、なにかと共通点が多い。その末路も「他人を道具として利用する下衆な本性を罵倒されながら両断される」というよく似たものになっている。

スーパー系

破嵐万丈
α』での終盤ではガンダム系の主人公以外に彼とも戦闘前会話がある。
シロッコは万丈の能力を評価しつつも所詮は俗物と否定し、万丈の方も異星人と組んで地球圏を混乱に陥れたシロッコに怒りを露にした。
ハルル・アジバ
F完結編』では同盟を結ぶ。ちゃっかりDSドライブの技術を頂戴している。
シャピロ・キーツ
F完結編』や『α』では共闘しており、両作品とも共に異星人勢力と結託していた。
『F完結編』では彼にクローンを創造され、体よく利用される事になっている。
碇ゲンドウ
『F完結編』では裏で協力し合っていた。ゲンドウから「地球に余計なことをするな」と言われたが意に介さなかった。
ガルーダ
『α』で共にバルマー陣営に属する。ガルーダの死後、彼を無能扱いした為、豹馬の激怒を招く。
フェイ・シンルー
Z』では部下。
風見博士
『Z』ではD.O.M.E.での彼の狂気染みた言葉にも一理あるとし、改めて自分の思想を押し通そうとする。

バンプレストオリジナル

ギリアム・イェーガー
ヒーロー戦記』では「アポロン総統」となった彼の側近を務めていた。
ビアン・ゾルダーク
旧シリーズの『第2次』では主君にあたるが、密かにクーデターを起こして実権を奪い取ろうと画策していた。
しかし、ビアンにはその計画が筒抜けとなっており、失脚させられた。
テイニクェット・ゼゼーナン
F完結編』ではシロッコをクローンとして甦らせ、利用しようとする。
ラオデキヤ・ジュデッカ・ゴッツォ
α』では彼らと結ぶ。流石のシロッコも、同作では彼らに体よく利用される形に。
ユーゼス・ゴッツォ
『α』では手を組む。彼に自身のクローンを作られていた。彼の影響かどうかは不明だが、同作ではケイサル・エフェスの存在に気付いているような発言をする。
エーデル・ベルナル
Z』では彼女やデューイと共に新連邦を掌握するが、女性とはいえ彼女を新時代を導く存在としては見ていなかったようである(結果としてその評価は当たっていた)。エーデルも、シロッコを内心では「傍観者」と侮蔑し、嘲笑していた。

ロボットアニメ以外の作品

ヤプール、シャドームーン
ヒーロー戦記』での同僚。

名台詞

TV版

「私にあのエゥーゴを討たせたいのならそうするべきだ」
初登場の第10話では、一言も喋らなかったが、第11話にての初台詞。いきなり傲慢とも取れる自信に満ち溢れた態度である。
「落ちろ、カトンボ」
彼の代名詞たる名台詞。なお、「カトンボ」とは一般的にはガガンボと呼ばれる虫のこと。敵を虫けら扱いしてしまうほど、彼の傲慢と技量は冠絶している。
ゲームでは叫ぶようにカトンボ!と叫んでいるが、TV版では呟くように言う。
「フッフッフッフ…、ハッハッハッハ…、落ちろ!」
メッサーラで、カミーユガンダムMk-IIエマリック・ディアスの目の前でガンダムシリーズ初の変形シーンを披露して、得意になったシロッコの台詞。
「どうだ、自分の設計・開発したMSはお前達のものとは格が違うんだ」と言わんばかりの高笑いである。
シロッコ「私の使命は、重力に魂を引かれた人々を、解放することだと思っている」
マウアー「それは、エゥーゴの目的です」
シロッコ「違うな、宇宙宇宙と騒ぎ立てながら、エゥーゴだって地球圏に縛られている点では、連邦の人々と変わらん」
マウアーに目をつけたシロッコは、彼女を抱き込もうと自身の思想を語った際のやりとり。当の彼女にやろうとしている事がエゥーゴと変わらない事実を指摘されても、シロッコはエゥーゴも連邦と同じで自分は違うと否定。あくまでも自分は他の者達とは違い、「特別」であると信じて疑わない、シロッコのナルシスト振りを垣間見せる。
「ジャミトフは、地球に引かれている人々を根絶やしにするために、地球連邦軍をティターンズにした。戦争を起こして、地球の経済を徹底的に窮地に追い込めば、地球上の人間は餓死をしていなくなる」
ジャミトフの真意についてジェリドとマウアーに説明した際に。シロッコはジャミトフ自身を理解していたが、一方で「戦争の後に地球圏を治める天才が必要」とも言っており、単なる踏み台としか見ていない節も見られた。
「大人には大人の男が似合うものだ。小僧を相手にするのが好きなら別だが。君の野望をかなえられる男は私だけだ。君に野心がある限り、それだけは忘れない方がいい」
第21話にて、カミーユとアポリーの二人に敗れて負傷したジェリドを気遣うマウアーを口説いて。シロッコらしい傲慢さが溢れているが、ジェリド一筋で怪我をしている彼の身を案じていたマウアーの神経を逆撫でするだけとなり、「なんて男…」と軽蔑されてしまう。
これだけのいい女は、普通の男だったらとても諦めきれないところ。だが、しつこく食い下がらずにさっさと退くのがカリスマたるシロッコのやり方。男は退き際が肝心なのだ。
「私は次の時代を動かすのは女性だと思っている。」
サラに対して言った彼の理念。ただし、シロッコはその時代を動かす女性を自らの手駒として動かそうとしていた感が否めず、表面上はあくまでフェミニストを装いつつ、その内面は全て己のエゴで埋め尽されているシロッコの危険な一面を垣間見せていた。
スパロボではこの理念があらゆる方向へと暴走し、自分が目に書けた女性達を無節操に落としに掛かろうとする事に。
「決められた役割を演ずるというのは、難しいものだな…」
グラナダを制圧したシロッコが、出し抜かれた腹いせにジャマイカンに殴られた際、発した台詞。あくまでもシロッコにとっては「予定通り」の展開であるらしく、どこか嫌味なナルシストといえる面を見せている。
「あの女…好きになれそうだ」
第28話、ジュピトリスへと潜入したレコアを指して。後のレコアの裏切り伏線でもある。
「そういうことだ、すまないなジャミトフ」
TV版でのジャミトフ暗殺する際のセリフ。
ちなみにジャミトフ暗殺の場面は、TV版ではジャミトフはシロッコに銃殺されているが、一方、近藤和久氏の描いた漫画版ではジャミトフはシロッコに直接短刀で刺殺されている。
「聞こえるか全ティターンズ艦隊! これはジャミトフ・ハイマン閣下の遺言である。ジャミトフ総裁はハマーン・カーンによって暗殺された!」
「グワダンを叩けッ! これは閣下の弔い合戦である」
TV版でジャミトフを殺害した直後にティターンズ全軍に発した演説。自分で殺害しておきながら罪をハマーンに擦り付けて、ティターンズを乗っ取る事を画策した。
この直後はティターンズが一丸となってアクシズを攻撃させることに成功したが、後にバスク・オム大佐麾下のドゴス・ギアを中心としたティターンズ部隊はシロッコに反発したため、ティターンズは事実上の内乱状態に陥ってしまう。
「いい気になるな、ハマーン!」
「見えた!」
ガンダム作品で初めてファンネルが使われたシーン。レコアもサラも全く反応できず武装をファンネルに撃ち抜かれ無力化されてしまうのだが、シロッコは全て避けた後に次からはファンネルをライフルで撃ち落している。圧倒的技量とニュータイプ能力を見せ付ける。
「うぁぁ!ぐっ…なんていうプレッシャーだ。だが、あれごときのモビルスーツに!」
さすがのシロッコもハマーン相手では苦しい。しかしファンネルのオールレンジ攻撃を受けてもキュベレイをあれごとき呼ばわりと常に相手を下に見ているシロッコらしさに溢れるセリフ。
「サラが許しても私は許さん!」
サラがカツから自分を庇って撃墜された直後、叫びながらカツに対して激昂する。
基本慇懃無礼な態度を崩さず、「生の感情を丸出しに戦う」ことを理性では否定するシロッコだが、やはり彼も血の通った人間。大事な部下の死を前には感情的な行動を取った。
「生の感情丸出しで戦うなど、これでは人に品性を求めるなど絶望的だ。やはり人はよりよく導かれねばならん。指導する絶対者が必要だ!」
第49話にて、ジェリドを倒したカミーユの感情の発露を感じ取って。
「貴様のようなニュータイプのなり損ないは、粛清される運命なのだ! わかるか!」
コロニーレーザー内にてシャアに対して。赤い彗星を「なり損ない」呼ばわりする所に彼の自分の能力に対する自信が表れている。
天才の足を引っ張ることしか出来なかった俗人どもに、何が出来た? 常に世の中を動かしてきたのは、一握りの天才だ!」
世の中はあくまでも才能ある者だけによって動かされ、そして自分がその一人と信じて憚らないシロッコ。そういう意味ではシロッコの最大の敵はエゥーゴでもアクシズでもなく、無数の凡人たちなのであり、彼にとって周りにいる人間の殆どが邪魔者以外の何者でもなかった事を伺わせる。
恐らくは、この俗人・凡人の群れには当然ながらシロッコが言う「女達」も含まれるのであろう。彼の真意が仄見えてくる台詞ではないだろうか。
「ちっぽけな感傷は、世界を破滅に導くだけだ!少年!!」
「人の心を大事にしない世界を創って何になるんだ」と主張するカミーユに対してシロッコが言い放った答えがこれ。かなり追い込まれた為か、思いっきり本音(生の感情)をぶちまけてしまった様で、結局自分(天才)以外の人間の価値を何一つ認めようとしなかったシロッコもまた、「地球の重力に魂を引かれた人間」でしかない事を、他ならぬ自分自身で証明してしまう事になった。
「こ、これではエゥーゴに勝てん!」
自らの手中に収めたティターンズ艦隊がコロニーレーザーの一撃により一瞬で宇宙の藻屑と化した光景を目の当たりにした台詞。自信家であるシロッコもこれには動揺を隠し切れなかったが、所詮は謀略と暗殺、簒奪といった正々堂々とは程遠い手段で掌握したものに過ぎない為、どの道、指揮系統の混乱の隙を突かれて壊滅に追い込まれた可能性も否定できない。
しかしながら、本来シロッコはコロニーレーザーの発射を阻止するためにコロニーレーザー内部に侵入したのであり、直前に発射装置を一方的に攻撃できる状況があった。にも関わらず、途中で発射装置の破壊よりも、MSを降りてシャアとハマーンの対談に立ち会う事を優先してしまったが為に、このような取り返しのつかない結果になってしまった。追い詰めた敵に自身の理論を語ろうとした慢心(この時、よほど自分の考えを語りたかったのか、銃を出すのを忘れており、先に銃を出しておいたハマーンに「この小うるさい見物人を始末してな」と銃口を向けられて冷や汗をかくという醜態を見せている)の結果としか言いようがない。
「勝てると思うな、小僧ォーッ!」
ティターンズの艦隊を壊滅に追い込まれ、逃走を図った自身を追撃してきたカミーユとの最終決戦にて。自分の野望も崩れた所にカミーユにしつこく追い回されたせいか、珍しく激昂している。
劇場版では「私にはそういう資格がある!」
「私の知らない武器が内蔵されているのか!?」
Ζガンダムバイオセンサーが発動し、カミーユのニュータイプ能力に感応して発光している様子を見た時の台詞。
天才であるが故に、強力なMSを設計、開発し大いなる野望を実現するべく勤勉に努力してきたシロッコには、MSが死者のを吸って強くなるという非科学的現象が理解できない。
「身体を通して出る力…? そんなものが、モビルスーツを倒せるものか!」
Ζガンダムが発する光を「身体を通して出る力」と表現するカミーユに対して。この期に及んでもなお、目の前の現象を理解しようとしない。
しかし、ヤザンですら逃げ出すΖガンダムの超常現象を見ても動じないあたりは、やはり只者ではないことをうかがわせる。
「ジ・O、動け! ジ・O、なぜ動かん!」
カミーユ乗るΖガンダムのバイオセンサーが発する「何か」で搭乗機のジ・Oが動かなくなった時の一言。直後にウェイブライダーの突撃を喰らう。
なお、後年の作品に登場するとある人物もまた、この時のシロッコと同様の事態に直面して、これと似た趣旨の台詞を吐いている。
「私だけが、死ぬわけがない…貴様の心も一緒に連れて逝く…カミーユ・ビダン…」
TV版での最期の台詞。カミーユの心を道連れにした。
スパロボでも「カミーユでシロッコにトドメを刺してはいけない」という不文律が存在している。一方、『Z』等ではこの台詞があったものの、カミーユの精神は崩壊しなかった。

劇場版

「言葉が走った!?」
ライラの断末魔の台詞を感じ取った時に。作中、幾度も自身のNT能力によって女性達の言葉を耳にするも、最後までその正体に気づくことはなかった。
「ジャミトフ閣下、若い女を口説ききれませんでしたね」
劇場版でのジャミトフを暗殺する際のセリフ。シロッコの言う若い女とはハマーンのことを指している。
「ガンダムが見逃してくれたのなら、私にも百式は壊せんな」
ジャミトフ暗殺後、グワダンから脱出する際「艦内でモビルスーツは壊せない」とカミーユにジ・Oを見逃された時の台詞。プライドの高さとカミーユ同様、艦内でモビルスーツを破壊すると脱出できなくなる計算もあったのだろうが意外な律儀さを見せる。
「聞こえるか全ティターンズ艦隊! これはジャミトフ・ハイマン閣下の遺言である。ジャミトフ総裁はハマーン・カーンによって暗殺された!」
「その目的はエゥーゴと手を組んだジオンの残党共が地球連邦政府を支配することにある! そのような事態になればティターンズは反地球連邦軍のクーデター分子として粛清される立場に陥るのである」
劇場版におけるシロッコのジャミトフ暗殺直後の演説。
TV版ではジャミトフの弔い合戦を主張し、ティターンズ将兵の結束と乗っ取りを促そうとしたが、こちらではスペースノイド勢力が合流し、地球連邦政府が屈したら「ティターンズは破滅する」と将兵の不安を煽って支持を得ようとする内容となっている。
しかし、バスク・オムからは露骨な乗っ取りと看做されたようで、「ジャミトフ総裁を殺したのは奴だ」と猛反発している。
ちなみにこの見通しは間違いではなく、機動戦士ガンダムΖΖではグリプス戦役で疲弊した地球連邦政府がネオ・ジオンに媚売りとも言える外交政策を行ったり、その他の外伝作品でも敗北したティターンズは完全に逆賊扱いされてしまっている。
「もう貴様は消えて良い!!」
劇場版の最終決戦で、いつまでも百式で見苦しく足掻くシャアに鬱陶しさを感じて、右足を撃ち抜いた台詞。
傍観者を気取って「ニュータイプのなり損ないは粛清される運命なのだ」と評していたTV版と違って、自分の手でこの世から排除してやるという殺る気満々である。
カミーユ「あなたはいつも傍観者で、人を弄ぶだけの人ではないですか!」
シロッコ「私にはそういう資格がある!!」
TV版における「勝てると思うな、小僧!」の箇所。ことさらシロッコというキャラクターの高慢さが伺えるワンシーンとなっている。
カミーユ「女達のところへ戻るんだ!」
シロッコ「お…女だ……と」
劇場版における最期の台詞。TV版とは明確な意図を持って台詞が置き換えられ、完全敗北を喫する。
唐突に「女達の所へ戻れ」と言われたら、さすがに困惑もするだろうが…。権力の道具として女達を扱ったシロッコと、女性達の出会いと支えを原動力に「史上最高のニュータイプ」に至ったカミーユとの雌雄がここに決した。

その他

「レコア!?」
近藤和久氏の描く漫画版にて。自分を庇ってレコアエマに撃墜されるのを目のあたりにしての台詞。
「おのれ…」
「消えろ! Mk-II!!」
上記の台詞の後、激怒してエマを報復目的で撃墜する際の台詞。だが、逆にこの行動がカミーユの激怒を招き、敗北の切欠となってしまう…。
TV版でサラがカツに撃たれた時の激怒を考えれば、レコアが撃たれて激怒するのもうなずける。ちなみに近藤版ではサラはシロッコの腹心ではないので、レコアがTV版のサラの立ち位置も担当した形になっている。

スパロボシリーズの名台詞

戦闘台詞

「腑抜けたニュータイプに何が出来るというのだ!」
「アムロ・レイ! 時代は貴様を必要としていないのだよ!」
Z』で、アムロと戦闘すると発生する特殊戦闘台詞。互いにトップクラスのニュータイプである事から、人類の革新についての意見が平行線を辿る。
「私は黒歴史を越えて人を導く存在なのだ!」
「黒歴史の使徒め! その機体の存在を消してやる!」
『Z』で黒歴史関係の機体と戦闘すると発する特殊戦闘台詞。

旧シリーズ

「…ふん、もはや私はDCでの地位などどうでもよい。既にビアンヴァルシオンとて、私のジ・Oの敵ではない!」
「こやつらを片付けたら、挨拶に行くとビアンに伝えておけ!」
第2次』「逆襲のシロッコ」より、シュウに自身のクーデター計画の失敗を告げられて。
ホワイトベース隊を倒してビアンに挑む予定のようだったが、この頃のIフィールドはビーム完全無効なので、ビーム兵器メインのジ・Oではヴァルシオンの相手は無謀と言わざるを得ない。その後ヴァルシオンの性能を見直したのか、『第3次』ではシロッコ自らがヴァルシオンや改良型に乗っている。
「…シャピロも余計なことをしてくれたものだ。最後の最後に真実を教えるとはな」
「くくくく…この行動は後世へ語り継がれる。そして私の名は人々の記憶に残るだろう。ふふふふ…ははははははっ!」
F完結編』、DCルート最終話「ファイナルオペレーション-完結-」でのセリフ。己がシロッコのコピーに過ぎないと知った彼は、その存在を人々に刻み付けるべくアクシズ落としを敢行する。
「ふふふふ。これでいい。これで。所詮、私は偽りの存在。これで、やっと…」
同話での断末魔。

αシリーズ

「いい目をしている。これからの世界を統べていく者は君のような強い女性だ」
「カテジナ=ルース少尉、これからの活躍を期待している」
α』第27話「マシン展開」より。ジュピトリスに出頭してきたカテジナを見据え、彼女の「資質」を感じ取り期待を寄せるが、カテジナ自身はシロッコが纏う底知れぬプレッシャーの前に警戒感を抱いていた。
「お前は気づいていないのか? 我々の歴史…そして世界は一人の男によって歪められていることに…そして…ここにいる者は全てその男によって意図的に集められていることに…」
『α』第66話「絶望の宴は今から始まる」or「人類に逃げ場なし」より。シロッコがカミーユに言い放った台詞で、最終作の第3次αにて遂に登場した霊帝の存在を示唆した伏線。『α外伝』ではシュウ・シラカワが同様の言葉を言い放ち、カミーユはシロッコの言葉を思い出している。
「この期に及んで我々に戦いを挑むとは…冷静さを欠いているな、シャア!」
「そうだ。貴様は人類の革新を見届けると言いながら、実際はその手に世界を欲しがっている!」
同上。クワトロとの戦闘前会話。
「…確かに、お前達は我々を倒すしかないだろう」
「…争いを呼ぶ者として、地球圏から排除されつつあるお前達に残された道は…眼前の敵を倒すことだ。そうしなければ、お前達は存在している意味がない…だが、我々やエアロゲイターを倒した後で…」
「お前達は自分達が地球圏の俗人共に受け入れられると思っているのか?」
「…我々を倒せば、お前達は名実共に地球圏最強の戦力となるだろう…そして、お前達は人々の恐怖の対象となり…次第に疎外されていくのだ」
同上。遂にジ・Oに乗って姿を現した時の台詞。
地球側から厄介者扱いされているロンド・ベルの行く末を暗示しているかのようであり、後の『第3次α』では皮肉にもシロッコの言葉が現実のものとなってしまう…。

Zシリーズ

「旧世紀のヒッピー・ムーブメントさながらだ。何の理もなく感性だけで他者を批判し、具体的な方策は何一つ持たない」
Z』第56話より。コペルニクス会談にて、ホランドコーラリアンとの対話を考えている事を知った時に発した台詞。ホランドをヒッピーに準えているところは、『エウレカセブン』の原作に1960年代以降のアメリカ合衆国文化から引用されたものが多々あることを踏まえた、シナリオライターのお遊びか。
「最後は自分の手で決着をつけたがるか…。デュランダル…やはり、貴様は私と似ているよ」
同上。メサイア攻防戦にて。総大将でありながら自ら前線に出てきたシロッコに対し、同様にデュランダル議長も前線に出てきた事を知って。『Z』における彼らのライバル関係が如実に表れている台詞[4]
何気に「貴様は私と似ているよ」の部分は『Z』でも使われている「君は僕に似ている」から引用している。これもシナリオライターのお遊びと思われる。

Scramble Commanderシリーズ

「ええ、お任せ頂きたい。私も、あなたの推し進めるプランの熱烈な賛同者ですからね。あなたのプランが実現すれば、世界を動かす一握りの天才達が有象無象どもに振り回される時代は終わる。」
SC2』におけるデュランダルとの密談にて。
「ふ、ふふふ、ふはははは…だが、私は…死なん…。歴史の…立会人として…私は…永…遠に…。」
『SC2』での最期の台詞。この台詞の真意は、後にデュランダルの口から明かされる事になる。

ヒーロー戦記 プロジェクトオリュンポス

「ギリアム? …ああ、あの男は死んだよ」
「貴様たちを始末できなかったことを恥じてな。自ら命を断った」
ヘリオス要塞にて光太郎の「ギリアムはどうした」との問いに対して。シロッコのこの言葉の意味は、アポロンとの戦いの後で明らかになる。

スパロボシリーズの迷台詞

「すると私は幽霊ということになるな。だが、こうしてちゃんと足はついているぞ」
F完結編』「ファイナル・オペレーション(後編)」にて、ルナツーで死亡したはずのシロッコに対し、カミーユが問いただした際での台詞。
非科学的な現象を信用しないシロッコが言うのだから、おかしいこと甚だしい。ちなみに、キシリアにも「さすがのロンド・ベルも幽霊退治は専門外か?」と言われる。

搭乗機体・関連機体

ジ・O
シロッコの専用機として設計・開発されたモビルスーツ。シロッコがグリプス戦役終盤に搭乗した機体である。
メッサーラ
シロッコが設計した試作型可変モビルアーマー。シロッコも搭乗したことがある。
パラス・アテネボリノーク・サマーン
シロッコが設計した試作型モビルスーツ。
ガブスレイハンブラビ
シロッコの設計案を元にして制作された試作型可変モビルスーツ
バイアラン
漫画版で設計・搭乗。
ジュピトリス
木星圏で採取されたヘリウム3の運搬をする大型輸送艦。シロッコが艦長を務める。
ドゴス・ギア
元はシロッコが保有する大型宇宙戦艦だったが、物語の中盤にティターンズの旗艦となる。また、艦の指揮権もバスク・オムに譲られた。

SRWでの搭乗機体

デビルガンダム (第1形態)
第2次G』。
ヴァルシオン
第3次』、『F完結編』。
ヴァルシオン改
『第3次』。

余談

  • 漫画『機動戦士Ζガンダム Define』では、TV版・劇場版のように元からティターンズに所属していたわけではなく、3年ぶりの地球圏帰還のためその情勢を探るべく臨検という名目でアーガマに接触、それによりクワトロ(=シャア)やカミーユの存在を意識したり、さらにはティターンズの乗っ取りを画策するようになるなどと言った経緯が描かれ、そのキャラクターがより掘り下げられている。

脚注

  1. 劇場版では、ヤザンがバスクを始末している。
  2. 壮絶なシーンではあるが、ウェイブライダーの先端が突き刺さったシーンは有名アイスキャンディーに似ていることから「スイカバー突撃」だの、断末魔を叫ぶシロッコの顔もどこかシュールさを孕むことから「顔芸」とネタにされることもしばしば。
  3. この点に関しては、自らが「ニュータイプのなり損ない」と見下し、自分の影響力を利用しようとしている者達を俗物と見なしながらもあえて利用していったシャアの方が「大人」として優れていたとも言える。
  4. ちなみにデューイはそんな彼らのやり方を良しと思っておらず、後にこのやり方を暗に非難する発言をしている。

資料リンク