一年戦争

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一年戦争とは、『機動戦士ガンダム』作中に起きている戦争。

概要[編集 | ソースを編集]

名称は、宇宙世紀0079年1月3日にジオン公国地球連邦政府に宣戦布告し、宇宙世紀0080年1月1日に終戦協定を結ぶまでの期間がちょうど1年間であることに由来する。

一週間戦争[編集 | ソースを編集]

宣戦布告の直後、ジオン公国軍は当時において革新的と言えた人型機動兵器モビルスーツを投入させた奇襲作戦を仕掛け、月面都市グラナダを制圧に成功するも、続いてサイド1・2・4へ奇襲を行ったジオン軍は、NBC兵器(毒ガス兵器、GGガス)無差別使用し、この所謂「コロニー潰し」によって、ジオンの方針に賛同的ではなかったスペースノイドの多くが虐殺され、この時点で28億という膨大な人命が失われている[1]

翌日の1月4日、コロニー潰しの対象となったサイド2のコロニーの一つである「アイランド・イフィッシュ」に核パルスエンジンが取り付けられ、地球のジャブローに落下させる「ブリティッシュ作戦」が発動されるも、地球連合軍の防戦やその他多くの不測の事態によって、コロニーはアラビア半島の上空で崩壊。1月10日、ジャブローへの直撃は避けられたものの、コロニーはオーストラリアのシドニーに直撃し、シドニーを含むオーストラリア大陸の16%は消滅し、直径500㎞にも及ぶ巨大なクレーターが形成される。

この1月10日までに行われた戦いは特に「一週間戦争」と呼ばれ、全人類110億人のうち半数が死亡する未曽有の大惨事となり、地球及び壊滅したサイドの生存者達のジオンへの反感は最高潮になった。

ルウム戦役以降[編集 | ソースを編集]

シャア・アズナブル(当時は中尉)が、ジオンのエース「赤い彗星」として名を馳せていく事になる「ルウム戦役」以降、当初こそモビルスーツを主体としたジオン公国軍が優勢であり、事実上無条件降伏に近い形で地球連邦はジオンと和平を結ぶ寸前にあったのだが、ジオンで捕虜の身となり、その実情を知ったレビル将軍が連邦に帰還した事で事態は大きく変わることになり、「ジオンに兵無し」という言葉と共に、地球連邦政府は戦争の継戦を宣言。ジオン側の一ヵ月で戦争を終結させるという短期決戦プランは完全に瓦解した。

ジオン側はルウム戦役の勝利でルナツー方面以外の制宙権を確保していたため、地球侵攻作戦を発動。第一次降下戦でオデッサ付近、第二次降下戦で北米大陸、第三次降下戦で北京を中心としたアジア一帯、他にもアフリカの連邦軍一大拠点キリマンジャロを制圧する等、地球戦線でもジオン優勢に推移した。 反面で連邦の本拠地が存在するジャブローは詳細な位置すら確認が出来ず、連邦政府を壊滅させる決定的な機会を得られなかったことや無作為に戦線を拡大し過ぎた結果、各方面で戦力不足や兵站不足を招き、結果的に国力が乏しいジオンにとって最も避けるべきであった膠着状態を招いてしまう。

この間、連邦軍は「V作戦」を発動。元々国力で勝る地球連邦軍は、ガンダムを始めとする高性能MSの開発・生産に成功し、オデッサ作戦を機に地球戦線の形勢を一気に逆転させる。ジオン側は11月末にジャブロー強襲戦を行ったが、こちらは出入り口確保の失敗もあり戦力を消耗するだけの結果に終わった。 宇宙でもビンソン計画が行われ、緒戦で壊滅した連邦宇宙軍もジオンに対抗できる規模での再建を果たしたため、ソロモン攻略戦でも連邦軍に惨敗した。この時点でジオンが国力が著しく低下した惨状となる。

その後、和平交渉を行おうとしたデギン・ソド・ザビとレビル将軍の二人が、ギレン・ザビの陰謀によって死亡するという事態が起こるも、そのギレンを始めとするジオン公国における指導者層であったザビ家の一族がことごとく死亡したために地球連邦軍の勝利に終わった[2][3]

SRWでの扱い[編集 | ソースを編集]

SRWでは旧シリーズと下記の『GC(XO)』と『OE』、『COMPACT』を除いて全て過去の出来事として扱われている。また、今現在も宇宙世紀ガンダムは『Zガンダム』か『逆襲のシャア』の時系列でのスタートが基本であるため、一年戦争の出来事を改変してしまうと他ロボットシリーズ以上に設定に大きな狂いが生じてしまう。そのため、一年戦争時の結末は外伝作品含め、基本的に原作設定(初代ガンダムはテレビ版)に準じている[4]。 機体も『Zガンダム』の7年前であるため、いわゆる『旧式扱い』されてしまい、主人公メカであるガンダム含め、散々な低ステータスで設定をされることが多かった。

しかし、『GCスーパーロボット大戦XO)』と『OE』の二作品において、物語序盤が一年戦争を主軸にして展開され、一年戦争関係の機体のステータスも見直しが掛かった。 また、主役メカ三機(ガンダムNT-1アレックスガンダムEz-8)に関しては高威力の必殺技が実装されるなど十分最後まで使っていける性能になっている。 『OE』は配信終了し、新たに購入してのプレイが不可能であるため、今現在も購入可能で原作展開の一年戦争を体験できるスパロボは『GC(XO)』のみとなっている。

関連人物[編集 | ソースを編集]

地球連邦軍[編集 | ソースを編集]

レビル将軍
一年戦争における地球連邦軍の最高司令官。モビルスーツ開発計画「V作戦」の推進者でもある。
ホワイトベース隊
新型強襲揚陸艦「ホワイトベース」を旗艦とし、「ガンダム」をはじめ数機の最新鋭のモビルスーツを保有する地球連邦軍の別働部隊。指揮官ブライト・ノア
第08MS小隊
地球連邦軍のアジア方面軍コジマ大隊所属のモビルスーツ部隊。隊長はシロー・アマダ

ジオン公国軍[編集 | ソースを編集]

ザビ家
ジオン公国公王デギン・ソド・ザビを長とする一族。彼の長男であるギレン総帥が、ジオン公国軍の最高司令官として一年戦争を主導した。
サイクロプス隊
新型ガンダムの調査・破壊を任務とするジオン公国軍の潜入工作部隊。隊長はシュタイナー・ハーディ

関連用語[編集 | ソースを編集]

一週間戦争
U.C.0079年1月3日からU.C.0079年1月10日までの開戦から一週間までの間に起きた戦役。
ジオン公国が地球連邦政府に宣戦布告。事前に準備・展開していたジオン軍侵攻部隊が、宣戦布告と同時にサイド1(ザーン)、サイド2(ハッテ)、サイド4(ムーア)、月面都市グラナダを強襲、これらを瞬く間に制圧した。また、防衛にあたった連邦宇宙軍も各地で電撃的な奇襲戦を展開するジオン軍の機動力と攻勢に対応しきれず連戦連敗を重ね、劣勢を強いられた。
ジオンの攻撃を受けたサイドはNBC兵器による無差別攻撃であったため、殆どの住民が殺戮される。両軍の戦死者も含め、この時点で犠牲者は全人口110億人中、28億人にも及んだ。
ブリティッシュ作戦
ジオン公国軍が挙行した宇宙世紀史上初となるコロニー落とし
サイド2(ハッテ)の8バンチコロニー「アイランド・イフィッシュ」に核パルスエンジンを取付けて、地球の連邦軍最高司令部ジャブローへ降下される。
しかし、連邦宇宙軍艦隊の必死の抵抗や地上軍の核ミサイル攻撃により、大気圏突入後にアラビア半島上空でコロニーが空中分解したため、ジャブローは直撃を逃れる。
しかし、コロニーの破片は地球上に降り注ぎ、コロニー前方のベイ部分はオーストラリアのシドニーが消滅し、他にも大型破片がロシアのバイカル湖と北米大陸に落下。細かい破片はアメリカ大陸、ユーラシア大陸に降り注ぐ等、多くの人類が犠牲になった。
ルウム戦役
サイド5(ルウム)周辺で起きた一年戦争最大規模の艦隊戦。ジオン公国は再度のコロニー落としを画策し、宇宙攻撃軍を中心に戦力を結集してサイド5へ侵攻。この動きを察知した連邦軍はルナツーで動員可能な宇宙艦艇をかき集めて決戦に及んだ。3倍の戦力を有していた連邦軍がジオンのモビルスーツの威力を前に惨敗し、レビル将軍を捕虜にする等、ジオン公国軍の大勝利に終わった。この敗北で一週間戦争から損耗の一途を辿っていた連邦宇宙軍の艦隊戦力はほぼ壊滅し、ジオンに制宙権を完全に奪われることとなった。ただし、モビルスーツ展開前の緒戦でジオン艦隊も大きな痛手を負い、この時の損害は終戦に至るまで補填しきれなかった。
赤い彗星」の異名で知られるジオン公国軍のエースパイロットであるシャア・アズナブルのデビュー戦としても有名。
南極条約
当初はジオン側に有利な休戦条約になるはずであったが、ジオン公国軍からの脱走に成功したレビル将軍の「ジオンに兵なし演説」によって連邦政府が継戦を決意したため、戦時条約へと変更となり、ジオンの短期決戦プランは瓦解する。
地球降下作戦
ジオン公国軍による地球占領作戦。オデッサ、キャルフォルニアベース、ペキン、キリマンジャロ等の重要拠点を制圧。しかし、地球上ではMSは単なる陸戦兵器に留まり、連邦軍相手に有利な戦闘を繰り広げても物量の問題もあり圧倒までは至らず、また地球環境は環境整備されたコロニー市民には過酷であったため、攻めきる事が出来ずに各地が戦線化して膠着した。
サイド7遭遇戦
U.C.0079年9月18日に起きた宇宙世紀史上初となるガンダムザクIIによるモビルスーツ同士の戦闘。これ以降、地球連邦軍の反攻が始まる。
後に、地球連邦軍のエースパイロットとなるアムロ・レイの初陣としても有名。
ニューヤーク遭遇戦
地球連邦軍の別働部隊「ホワイトベース隊」とジオン公国軍との戦闘。ジオン公国軍の将であるガルマ・ザビが戦死。
オデッサ作戦
地上最大の資源地帯を抱えるオデッサの奪還を狙った地球連邦軍による大反攻作戦。レビル将軍の指揮の元、他地域が手薄になることも覚悟の上で連邦地上軍総勢の1/3にあたる大戦力が結集・投入され、オデッサそのものを完全に包み込む重厚な包囲網が敷かれた。ジオン側にこれを正面戦闘で撃退する力はなく、ジオン側指揮官のマ・クベが切り札として用意していた内部工作や禁じ手の水爆もホワイトベース隊の活躍で無力化され、地球連邦軍の勝利に終わる。この戦闘で地球上のミリタリーバランスは一変し、一気に連邦有利に突き進む。ただし、オデッサ陥落も想定していたマ・クベの策で「これでジオンはあと10年戦える」とされる量の資源が宇宙に送られている。
ジャブロー強襲
地球連邦軍の本拠地「ジャブロー」にシャア率いるジオン公国軍の特殊部隊「マッドアングラー隊」にジャブローの詳細な位置が発見されてしまったことにより、オデッサ敗退後の劣勢挽回を目指して、ジオン軍キャリフォルニアベースの戦力を投入した戦闘。しかし、ジャブローの堅牢な防御力を前にジオン軍は半数近くのMSが降下中に撃ち落とされるなど一方的な消耗を強いられ、攻略の糸口を掴めないままに敗退。更に貴重な戦力を一方的に消耗した。
また、マットアングラー隊も攻撃後に破壊工作を行うため侵入するも、撃退する事に成功する。
チェンバロ作戦
地球連邦軍艦隊がジオン公国軍の宇宙要塞「ソロモン」へ侵攻。ソーラ・システムを初使用する。ソロモンの守将であるドズル・ザビが戦死。ソロモン陥落により宇宙戦線でもジオンの劣勢が決定的となる。
ソーラ・レイ照射
ジオン公国軍が宇宙世紀史上初となるコロニーレーザーソーラ・レイ」を使用する。
これによって、レビル将軍を含めた地球連邦軍の将兵およびジオン公国の公王であるデギン・ソド・ザビが死亡した。
星一号作戦
U.C.0079年12月31日。地球連邦軍は残存艦艇を再編し、ジオン公国軍の最終防衛ラインである宇宙要塞「ア・バオア・クー」を攻略した。
なお、その戦闘中にジオン公国軍の指導者層であるギレン・ザビおよびキシリア・ザビが内輪揉めで死亡しており、ジオン公国軍の敗北が確定。
U.C.0080年1月1日に地球連邦政府とジオン共和国との間に終戦協定が結ばれた。

関連作品[編集 | ソースを編集]

現在のところ、一年戦争の開戦から終戦までの経緯を一続きで描写している映像作品は存在していない(余談の欄も参照)。

機動戦士ガンダム
サイド7遭遇戦からア・バオア・クー攻略戦までを描いている。
機動戦士ガンダム 0080 ポケットの中の戦争
一年戦争最末期にサイド6「リボーコロニー」で起きた新型ガンダムを巡る戦闘を描いている。
機動戦士ガンダム 第08MS小隊
ニューヤーク遭遇戦以降に地球上で展開された連邦・ジオン間の戦役を描いている。

スーパーロボット大戦COMPACT』における一年戦争[編集 | ソースを編集]

本作は「宇宙世紀00XX年における一年戦争後半」の出来事として扱われている。本作の「一年戦争」もまた地球連邦とジオン公国の独立戦争であることに変わりなく、ジャブロー侵入から物語が始まる。

ただし、本作では『機動戦士ガンダム』に相当する出来事は、本編の2・3年前における「Dr.ヘルの蜂起」や「メガノイド戦役」に置き換えられている。そのため、ホワイトベース隊をはじめとする地球連邦軍はジオン軍と協力し、Dr.ヘル一派メガノイドムゲ帝国を打倒したことになっている。

ゆえに、本作の「一年戦争」は、前半が『Ζガンダム』のグリプス戦役、後半が『ΖΖ』の「第1次ネオ・ジオン抗争」に相当する出来事として扱われている。

前半(本編前)[編集 | ソースを編集]

前半はロンド・ベルティターンズを擁する地球連邦と、シャア・アズナブルハマーン・カーン(『Ζ』時点)を軍高官に据えたジオン公国との戦争が展開された。

形勢はジオン軍がやや有利で、ジャブロー侵入にまで着手した。

後半(本編)[編集 | ソースを編集]

後半ではジオン軍ジャブロー侵入時にロンド・ベルとシャアの部隊がバイストン・ウェルに召喚され、膠着状態に陥る。二部隊が地上に帰還した後、ギレン・ザビキシリア・ザビが何者かに暗殺され、ジオン公国ネオ・ジオンに再編される。

この政変に前後して、

が相次ぐ。更には

が重なり、メガノイド戦役以上の混沌とした戦争になった。

なお、恐竜帝国OZの動向については明言されていない。

余談[編集 | ソースを編集]

  • 既述したとおり、一年戦争を題材にしたガンダムシリーズ作品は多数存在しているが、一年戦争の開戦から終戦までの経緯を一続きで描いた映像作品は現在のところ存在していない。
    • ちなみに、『機動戦士ガンダム』のキャラクターデザインを担当した安彦良和氏によるコミカライズ作品『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』(SRW未参戦)では、一年戦争の開戦[5]から終戦までの経緯がほぼ一続きで描かれている。

脚注[編集 | ソースを編集]

  1. なお、このコロニー潰しの指揮を執らされたのは、後に宇宙海賊として名を馳せるシーマ・ガラハウの一味で、更には毒ガスで虐殺されたコロニーの一つである「アイランド・イフィッシュ」は、『第08MS小隊』の主人公・シロー・アマダの故郷であり、本人も巻き込まれているが、辛うじて生還している。
  2. ただし、小惑星「アクシズ」や暗礁宙域「茨の園」等、宇宙の各地に多くのジオン公国軍の残党が潜伏し、後の時代の混乱の一因となった。
  3. また、一年戦争開戦初期にジオン公国軍が自国(サイド3)以外のコロニーを多数破壊した事もあり、アムロ・レイをはじめとして地球連邦軍に加わるスペースノイドも多かったが、戦後のコロニー再建計画の遅れに起因する難民問題がアースノイドとの対立の火種となり、後の時代に暗い影を落とすことになる。
  4. 例外的に『α』の前史においては、ソロモン攻略戦の最中にマクロスが両軍の艦隊を巻き込みながら落下してきたため、なし崩し的に休戦協定が結ばれたという改変が行われている。結果、ザビ家3兄弟が生存したままネオ・ジオンが結成された。
  5. 前史である「サイド3における地球連邦政府からの独立運動およびザビ家の台頭に伴うジオン公国の成立」も含む。

資料リンク[編集 | ソースを編集]