ガンダムファイト

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ガンダムファイト(Gundam Fight[1])とは、『機動武闘伝Gガンダム』に登場するコロニー国家間の代理戦争。

概要[編集 | ソースを編集]

ガンダムファイトとは、コロニー国家の代表者によって行われる戦争の代替行為。出場者はガンダムファイターと呼ばれる。

機動武闘伝Gガンダム』の舞台である未来世紀では、物語開始前に『(第一次)カオス戦争』と呼ばれる地球とコロニー連合とが争った破滅的な戦争が発生しており、結果コロニー連合側が勝利するものの双方に甚大な人的・物的損害が生じている。その後今度はコロニー国家間同士での緊張が高まり、第二次カオス戦争勃発は時間の問題という状態になっていた。この状況を憂慮したE.C.デューサー教授は、全面戦争を回避する方策として代理戦争であるこの概念を提唱した[2]。このガンダムファイトは4年に一度開催され、優勝者が所属するコロニー国家はその後4年間にわたりコロニー国家連合の主導権を得る。また、ファイトには、軍用MSとは一線を画す専用の操縦系統を備え持った専用の機体「モビルファイター」(MF) を用いる。

ファイト期間は「サバイバルイレブン」と「決勝ラウンド」の2つの段階に分かれる。詳細は後述。

戦争の回避手段として、また決勝大会は現実のオリンピックのように興行的な側面もあることから一定の人気があり、コロニーの住人からは好意的に見られている。一方で、第一次カオス戦争の敗戦地域である地球がイベントの舞台と定められている上に、機動兵器同士がぶつかり合う影響で各地で生じる甚大な環境破壊や人的被害への補償も無いことから、地球の住人からは基本的に歓迎されていない。

優勝国の権益が大きいために確実に勝利するための不正も横行している。例を挙げれば、ガンダムファイターにふさわしい武闘家に対し、国家権力でガンダムファイト参加を強制する[3]、相手ファイターがガンダムに乗っていない時に暗殺する、など。劇中ではこうした闇の部分も度々クローズアップされている。一時は射撃兵装を重視したブリテンガンダムが3大会連続で優勝したことによって、火器の規制をすべきとの声を挙げた国々によりガンダムファイトの存続そのものが危ぶまれ、再度全面戦争の危機に直面するなど、危ういバランスの上で成り立っている。

劇中で行われている「第13回大会」はデビルガンダムを巡る各国の陰謀に巻き込まれて混迷を極めたため、優勝国が権利を放棄しているが、ガンダムファイトは戦争回避のために依然として必要とされており、様々な問題を孕みつつも引き続き開催されていくであろうことが最終回で語られる。

なお、漫画作品『機動武闘伝Gガンダム外伝 暗黒のデス・ファイト』によると、裏社会で開催される「闇のガンダムファイト」も存在する模様。

内容[編集 | ソースを編集]

以下にガンダムファイトの進行について解説する。なお、決勝ラウンドのルールは、ガンダムファイト主催国 (=前回大会の優勝国) の裁量である程度自由に決めることが許されているため、以下の内容は基本的に『機動武闘伝Gガンダム』劇中に登場した第13回大会のものである。

サバイバルイレブン[編集 | ソースを編集]

1年間に及ぶガンダムファイトの内、予選に当たる部分。ガンダムファイト国際条約に基づき、地球全土をリングとして11ヶ月間生き延びることを目的とする。この間、ガンダムファイターは地球を脱出することは認められておらず、他国のガンダムファイターに遭遇した際には戦いを挑み、打ち負かしていく必要がある (双方に戦闘の意思がなければ、戦わなくてもよい)。戦闘によってMFの頭部を破壊されれば失格となり、ガンダムファイトから脱落する。それ以外の部位破壊であれば、いくらでも修理して戦線に戻ることができる。

11ヶ月経過後、決勝ラウンド開始が告知されてから一定時間以内に決勝会場へ到着することで、決勝ラウンドへの出場が確定する。到着が間に合わなかった場合も失格となる。

主目的はあくまで「生き延びること」であるため、いくら他国のガンダムファイターを撃破しようと決勝ラウンドで優遇されるといったことはなく、戦闘を意図的に避けることも非難の対象とはならない。戦いを避けて見つからないように隠れ潜むことも戦略の1つである。

決勝ラウンド[編集 | ソースを編集]

サバイバルイレブンを生き残ったガンダムファイター達による決勝大会。前述の通り、ある程度のルールは主催国が策定することができる。

決勝リーグ戦
決勝ラウンド進出者同士で行われる、総当たり制のリーグ戦。第7回大会では行われておらず、以降の大会において採用されるようになったのか、第13回大会のみの開催なのかは不明。リーグ戦終了までに再起不能 (ファイターの死亡など) になっていない者のうち、成績優秀者が最終バトルロイヤルに進出できる。ネオフランスのジョルジュ・ド・サンド及びネオロシアのアルゴ・ガルスキーは作中で確認できる限り3敗していながら最終決戦に進出できたことから、基準はそれ以下と推定される。
最終バトルロイヤル
前述のリーグ戦を勝ち抜いたガンダムファイター全員による、特定のフィールド (第13回大会においてはランタオ島) 内でのバトルロイヤル戦。バトルロイヤルであるため、国際条約にある一対一の原則は無視され、親しいガンダムファイター同士がタッグを組んで1体の敵に挑むなどの変則バトルも許容される。ここで戦って戦って戦い抜き、最後に勝ち残った者に、ガンダムファイト優勝者の証、「ガンダム・ザ・ガンダム」(多数のガンダムの中で最もガンダムに相応しい存在=最強のガンダム)の称号が与えられる[4]

歴代優勝者[編集 | ソースを編集]

優勝者 搭乗ガンダム 所属国家
第1回 ヘローダ・ディオニソス バルカンガンダム ネオギリシャ
第2回 フィアー・フィラデル ガンダムフリーダム ネオアメリカ
第3回 ダハール・ムハマンド ファラオガンダムIII世 ネオエジプト
第4回 サイ・フェイロン フェイロンガンダム ネオチャイナ
第5回 フェルナンド・ロワール バロンガンダム ネオフランス
第6回 ビットリオ・アルジェント ガンダムトーネード ネオイタリア
第7回 ウォルフ・ハインリッヒ カイザーガンダム ネオドイツ
第8回 スキレイ・ジリノフス コサックガンダム ネオロシア
第9回 ジェントル・チャップマン ブリテンガンダム ネオイングランド
第10回
第11回
第12回 東方不敗マスター・アジア クーロンガンダム ネオホンコン
第13回 ドモン・カッシュ ゴッドガンダム ネオジャパン

登場作品[編集 | ソースを編集]

SRWにおいては「優勝したコロニー国家に国家間の主導権が与えられる」という設定が他作品の世界観との兼ね合いを難しくするため、原作どおりの規模・意義を持たせられる事はまれであり、国益の絡まない「ただの格闘大会」扱いされている作品も多い。それに対応して、前述の負の側面が語られることもほとんどなくなっている。

スパロボに置いては長きに渡りマイナーな競技といった扱いだったが、『OE』で初めて代理戦争としてのガンダムファイトが再現され、『T』においては『宇宙開発が停滞し荒廃した時代におけるガンダムファイトの意義』というテーマでガンダムファイトがクローズアップされている。

旧シリーズ[編集 | ソースを編集]

スーパーロボット大戦Fスーパーロボット大戦F完結編
ドモン・カッシュ兜甲児マサキ・アンドーの会話で、「ガンダムが戦うからガンダムファイト」ではなく「ガンダムファイトに出る機体だからガンダム」と珍問答が繰り広げられる。
ドモンとミケロ・チャリオットの会話で『F』の世界にも存在していることがわかるが、代理戦争の意味合いはなく、格闘技大会のような位置付け。

COMPACTシリーズ[編集 | ソースを編集]

スーパーロボット大戦IMPACT
「優勝コロニーには地球連邦政府から4年間自治権が与えられる」という、原作ほどではないにしてもかなり重要な意義が持たせられているが、オープニングストーリーテロップにおいて、数々の敵勢力の襲来による騒乱が原因で中止されていることが語られている。隠しシナリオにおいてシャア・アズナブルからは「コロニー間の団結を乱し、コロニーの独立を妨げる悪しき風習」として批判されている。

携帯機シリーズ[編集 | ソースを編集]

スーパーロボット大戦J
イネス・フレサンジュ曰く「お互いにその武勇を競う格闘競技」とのことなので、代理戦争という意味合いは無いと思われる。コロニー出身のキラ・ヤマトディアッカ・エルスマンはもとより、アオイ・ジュンらもその存在を知らなかったため、知名度はあまり高くないらしい。
ディアッカは「…ナチュラルの考えることは、ほんとわかんねぇな」と呆れていた。

VXT三部作[編集 | ソースを編集]

スーパーロボット大戦T
本作ではおおよそ原作通りにガンダムファイトが設定に組み込まれており、年表では一年戦争の30~40年前(第13回ガンダムファイトの40~50年前)に第1回ガンダムファイトが開催されたことになっている。なお原作におけるコロニー国家は存在せず、例えばドモンもネオジャパン代表ではなく日本代表となっている。
『Gガンダム』は原作終了後の設定だが、ガンダムファイター達への超法規的措置を逆手にとってやりたい放題している者達がいたことを問題視され、連邦議会で無期限中止を検討されている。それが原因で各ファイター達は心に不安が生まれてしまっているようだ。
また、第33話冒頭にて軍用ガンダムのパイロット達とシャッフル同盟による模擬ガンダムファイトが行われる。
ガンダムファイトには真の目的があり、それはただの代理戦争などではなく『人々に勇気を与えるため』であった。強者同士の戦いは見る者の心を奮わせ、闘志を呼び覚ます。真の戦いは火星で行われ、流派東方不敗伝承者達による激闘が繰り広げられた。
そして、EDでは2年後に第14回ガンダムファイトが無事開催されることが決定した。

単独作品[編集 | ソースを編集]

新スーパーロボット大戦
ドモンとヒイロ・ユイのガンダムファイトイベントがある。
スーパーロボット大戦MX
ドモンらとDG細胞で作られた偽ファイター達とのガンダムファイトイベントがある。
このほか「コロニー格闘技選手権」と呼ばれる大会が定期的に開催されており、前々回の決勝戦でドモンと竜崎一矢が激戦を繰り広げたとのこと。この大会が機体に搭乗して戦うのか生身で戦うのかは不明瞭だが、知名度は高いようだ。
スーパーロボット大戦NEO
国際競技として世界中に知られる人気スポーツであり、オリンピックやワールドカップの様な扱いである。今までと違い世界中の人間が知っているメジャーなスポーツという扱いであり、「競技」としての扱いは今までで一番良いと言える。
スーパーロボット大戦Operation Extend
コネクトと、キシリア派として独立した正統ジオンが主導権を争う為に、なんとガンダムファイトの作法に基づき、双方の代表による決闘がなされた。キング・オブ・ハートことドモン・カッシュは立会人として審判を務める。
スパロボで初めて「代理戦争としてのガンダムファイト」が再現されたため、プレイヤーに衝撃を与えた。
正統ジオン側の代表たちはジオングトールギススサノオガンダムタイプではないが、Gガンダムにおけるガンダムの定義に当てはめればガンダムファイトに参加した時点でこの3機もガンダムである(トールギスはウイングガンダムゼロの前身となった機体で、スサノオも広義ではガンダムタイプに分類される機体ではある)。

関連用語[編集 | ソースを編集]

ガンダムファイト国際条約
ガンダムファイトに関するルール。
モビルファイター
ガンダムファイト用に各国で開発されたモビルスーツモビルトレースシステムで操縦する。各国が誇りと威信をかけるだけの事はあり、国の総力を挙げて開発・バックアップされる高性能機である。また、機体のデザインが非常に国際色豊かなのも特徴。
ガンダムファイター
モビルファイターのパイロット。各国家を代表する選手・武道家が務める。
ガンダム・ザ・ガンダム
ガンダムファイト優勝者個人に贈られる称号。意味は「ガンダムの中のガンダム」「真のガンダム」といった意味がある。
リジェスファイト
コンパチヒーローシリーズのダンジョンRPG『ロストヒーローズ』においてシナリオ中盤で行われるガンダムファイトをモチーフとしたイベント。
光の国(ウルトラマンシリーズの舞台の一つ)を内包した異世界であるウルトラ・キューブの所有権を巡って争われる格闘大会でヒーローチームも参加する事になる。
主催は本作の敵組織であるリジェスの幹部であるマスターガンダム。ウルトラマン、仮面ライダー、ガンダムそれぞれから猛者が参加している他、ウルトラマンの世界が舞台だというのにクエスト名や台詞もほぼ全て『Gガンダム』のパロディになっている。

類似設定[編集 | ソースを編集]

限定戦争[5]
電脳戦機バーチャロンシリーズ』の世界において、企業国家間の利害調停の不調による戦争回避の手段として行われる、人型機動兵器同士の戦闘のこと。
企業国家と契約した兵士たちが戦う、国際戦争公司によって定められた厳密なルールの下に管理されている、娯楽・興行的側面がある実質的な代理戦争という点も類似している。
一方で、戦争の代替行為でありながら搭乗者を意図的に殺害することを禁じる条約が定められているガンダムファイトと違って明確な殺し合いであり、厳密なルールの管理の下で命をかけた戦闘が繰り広げられる

脚注[編集 | ソースを編集]

  1. WORLD、機動武闘伝Gガンダム、2022年2月10日閲覧。
  2. 戦争に勝利できる戦力を保持している大国家は当然この提言に難色を示したが、シャッフル同盟の根回しにより、最終的に全コロニー国家がガンダムファイトの開催を認めている。
  3. 父親を人質にされて参加を強制されたドモンや、小さい頃から望まずに軍人として英才教育を受けさせられてきたアレンビーも被害者と言える。
  4. 本作の「機動武闘伝Gガンダム」と言う題名は『機動武闘伝ゴッドガンダム』の略ではなく『機動武闘伝ガンダム・ザ・ガンダム』の略である。
  5. これ自体はゲームの造語ではなく現実の戦争における概念を表した言葉で『相手を完全に殲滅することは追求していない形態をとった戦争』を意味する。

資料リンク[編集 | ソースを編集]