アポカリュプシス

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アポカリュプシス(Apokalypsis)

『アポカリュプシス』とは宗教用語として用いられている言葉であり、ギリシャ語で『黙示』といった意味を持つ(日本では英語の「アポカリプス / Apocalypse」の方が馴染みがあるかと思われる)。

キリスト教やイスラム教等の一神教においては非常に重要な意味を持っており、うちキリスト教において最も重要な黙示と言えるのが、新約聖書の最後に収められている『ヨハネの黙示録』である。

キリスト教におけるアポカリュプシス

神からのことばを地上の人間が受け取る方法としては「黙示」の他に「啓示」がある。

『啓示(英:Revelation)』とは、「何らかの超常的な現象を通じて、神が人間にその意志を開き示すこと」を指す。即ち、本来は絶対的存在であり人間と交わることのない神が、何らかの手段で自らの意志を地上の人間に伝えることを指している。

唯一の神を信仰するキリスト教やイスラム教等の一神教においては、神のことばとも言うべき啓示は教義の根本を為すものであり、今日教典として用いられている「聖書」ないし「コーラン」はそれ自体が神の啓示の集大成であると言える。

キリスト教における啓示についてより詳しく見ると、例えば「旧約聖書 出エジプト記20章3節~17節」において、神がモーセに十の戒めを与えた事象、或いは「新約聖書 マタイの福音書1節20章~21章」において、神がヨセフにマリアがイエスを身籠った事を夢の中で伝える事象などは、神が自身のことばを直に人間に伝えている点で典型的な啓示である。

その一方「黙示」については、神がその意志を地上の人間に伝えるという意味においては「啓示」と大きな違いはない。最も大きな違いはその内容で、一般に「人間がこれまで経験したことのない事柄(主にこの世の創世や終末、また神の国等の超常的内容)」を伝えることが多く、啓示と比較して神秘性が強いのが特徴。

前出の「ヨハネの黙示録」においては、下記のような点が黙示されている。

  • 終末は将来必ず到来する。様々な災厄が世界を覆い、人類は全て死滅する。
  • その際にはキリストが再臨し、最後の審判を行う。キリストを信じた人々は生き返り、神の都で千年の間(=永遠に)王となる。
  • 一方、キリストを信じなかった者は、「悪魔」や「死」と共に火の池に投げ込まれ、永遠に苦しむ。

この黙示内容については歴史的に様々な解釈があったが、今日ではキリストの再臨と関連づけて捉えられ、その他数々の「啓示」と一体化した形で、教義の中核を為すものとして位置づけられている。

スーパーロボット大戦αシリーズ

基本設定

第3次αにおいて設定された「アポカリュプシス」は、前出の意味の中でもとりわけヨハネの黙示録において示されたような終末論、及び最後の審判を意識した内容となっている。

同作においてその力を行使し、審判を下すのが「無限力」あるいは「アカシックレコード」と呼ばれる存在である。それは『伝説巨神イデオン』における「イデ」、或いは「ゲッター線」「ビムラー」「ザ・パワー」等の意志をもった超エネルギーの集合体で、中でもイデは最も強力なイニシアチブを持つ存在となっている。

彼らは、銀河に満ちた生命体がこの銀河にとって相応しい存在であるかを見極め、相応しくない場合は隕石雨やSTMCの襲来といった形で審判を下し、新たな生命体の種を一から撒き直す「死と新生の輪廻」の作業を繰り返していた。言い換えればアポカリュプシスとは、アカシックレコードが自分たちが望む生命体を生み出すために、銀河をリセットすることと言える。

アカシックレコードは生命の進化・知性化を進める力であるが、進化させた生命が互いに殺しあう様に絶望しており、故にアポカリュプシスを行うに至ったらしい。言い換えればアカシックレコードの求める「銀河にふさわしい生命」とは戦いを超克し融和できる生命であり、そういった性質をもつメシア熱気バサラなどは滅びの対象外となっている(むしろ無限力が積極的に保護しようとする場面さえ見られる)。

αナンバーズの下にゲッター線・ビムラー・イデなどの無限力が集まっているのも、彼らが戦いに駆り立てられているのも無限力自身の仕業であり、彼らをサンプルとして人類が生きるに相応しい存在か試すと同時に、αナンバーズの戦いを利用することで銀河を滅ぼそうとしていたようだ。

尚、作中でのゲンドウの言によれば、ゾンダー及びソール11遊星主の暴走、後述のエビルのプロトデビルンへの変質、再生使徒、異次元・別銀河からの敵等等、全てが審判のための材料であるとのことである。ただ、ゾンダーアベルゲペルニッチムゲ・ゾルバドスなどは自身がアポカリュプシスの一部であることを特段認識している様子はなく、むしろ彼らなりのやり方でアポカリュプシスに抗おうとしていたので、無限力が彼らを直接操っているというよりは、彼らの行動を利用・誘導しているという方が正確かもしれない。

アカシックレコードは宇宙が誕生したときに定められて覆せない結果、即ち運命そのものでもあり、故に無限力がもたらすアポカリュプシスはまさしく抗い得ぬ滅びの運命と言える。

対抗措置・回避手段

このある種抗い得ぬ滅びの運命に対し、銀河の先住民族達は様々な対抗措置・或いは回避手段を生み出してきた。それらの中にはある程度の効果をあげたものもあれば、逆に彼ら自身の滅びを促進してしまう結果となったものもある。

地球の先住民族であるプロトカルチャーは、アポカリュプシスによる物理的な災厄(主としてSTMCの襲来など)に対抗すべく、ゼントラーディメルトランディといった戦闘種族を創造し、後にそれを更に上回る戦闘能力を持つ戦闘兵士エビルを誕生させた。しかしエビルは異次元宇宙から現れたエネルギー生命体に憑依され、スピリチアを有する生命体全てにとっての脅威へと変貌。これが今日の「プロトデビルン」である。制御が不可能となった巨人種族とプロトデビルンの大侵攻により、プロトカルチャーの滅亡は加速することとなってしまう。

一方、ヒトが肉体を捨てて魂を一つにし、無限力と融合することで滅びを免れるという方法も考え出され、一部のプロトカルチャーはそのような存在に達する手段を講じて滅びを回避した。これが碇ゲンドウゼーレが遂行しようとした「人類補完計画」の雛型である。本作ではエヴァンゲリオン原作において「補完」を実施した先住民族「第一始祖民族」は第6文明人と同一の存在であると位置付けられており、死海文書等により伝えられている人類補完計画の仔細は、プロトカルチャーが第一始祖民族=第6文明人が行った同様の計画を応用して実行に移したものである事が明かされている。イデがどのように生まれたのかは明言されていないが、これらの情報から、おそらく第6文明人が補完計画を行うことで一つに融合した結果誕生したものと推測される(少なくとも補完によって生まれる意思集合体とイデは「器を捨てて一つになった意志」という同質の存在である。尚、現在では補完計画に対する無限力の評価は様々であり、いわば補完計画の発案者であるイデには支持されているが、個々人の進化を望むゲッター線やビムラーには反対されている)。

その一方、これらの手段を講じた上でもその災厄は計り知れない規模で地球を襲い、99%以上の生命体が死に至る。しかしこの大災厄を生き延びた人々は細々と生き永らえ、少しずつではあるが文明を復興していった。約1万2千年前、彼らの末裔とも呼ぶべき古代ムー文明の人々が、対妖魔の戦力であると同時にSTMCへの対抗手段として造り上げた機動兵器が「ライディーン」である。STMCはこの時代にも地球に飛来していたようであり、ライディーン及び妖魔帝国の記録装置にはSTMCに関する情報が遺されていた。

尚、アポカリュプリシスへの対抗措置に関連した会話の中で、ルアフは「巨大な生体宇宙船による地球脱出」について言及し、サコンはそれを受けて「海底に眠っていたあの遺跡は地球を脱出しようとして失敗した宇宙船だった」と述べている。これは前作・第2次αに登場した「オルファン」を指したものであり、第3次αではブレンパワードの参戦がなかったために登場しなかったものの、アポカリュプリスへの対抗措置の一つという設定が与えられていたことが明らかとなった。

ガンエデンシステム

これらの試みの中でも特筆すべきは、特殊能力者・サイコドライバーの力によって滅びを免れるべく創造されたガンエデンシステムである。

同システムはサイコドライバーと呼ばれるアカシックレコードへの干渉能力を持つ者の力を引き出す器であり、彼らを介して無限力を引き出すことによって惑星を守護するためのシステムである。地球で誕生したファーストサイコドライバーである「ナシム」と「ゲベル」は、上述の災厄によって滅びの危機に瀕した地球を旅立ち、バルマー星に到達。バルマー星で文明を築き上げた後、ナシムは望郷の念にかられ地球に帰還。バルマー星に残ったゲベルと共に、それぞれ地球とバルマー星の守護神としての役割を果たすこととなった。

ゲベルはバルマー星防衛のために星間国家「ゼ・バルマリィ帝国」を築き上げ、防衛戦力としての帝国軍を組織する。しかし彼は、負の無限力(悪霊の力)を集め、アポカリュプシスとそれを引き起こす正の無限力を消滅させることを望むようになり、まつろわぬ者達の王「ケイサル・エフェス」を自称するようになる。

その一方地球に戻ったナシムは、当時地球上で巻き起こっていた超機人同士の大戦に干渉。STMCへの対抗措置としての役割も担っていた彼らの一部を自身の配下とし、一定の戦力整備を果たした後に永い眠りにつく。その後時を経て封印戦争の時代、地球を守護するという自らの役割を果たすべく復活。マシヤフとしての役割を与えたイルイを使役し、地球人の動向を観察する中で、地球を守護する剣としてαナンバーズを見出した。しかし最終的には彼らとの見解の相違により敵対関係となり、彼らとの戦いの中でガンエデンシステムは損壊。αナンバーズに対し、アポカリュプシスに立ち向かい、全銀河の代表として生命体の可能性を無限力に訴えかける役割を託すこととなった。

尚、機動兵器としてのガンエデンのコンセプトは『強力な念能力者が搭乗し、無限力に直接アクセスしてその力を引き出す』というもので、前述のライディーンのそれと近しい(ライディーンは無限力の一構成要素である「ムートロンラ・ムーの星)」へのアクセスによりその力を引き出す)。但しナシム・ガンエデンにはファーストサイコドライバーであるナシムの意志が残留していたため、洸の自由意志によって制御可能であるライディーンとは異なり、マシヤフであるイルイは自由意志によって同システムを制御することは不可能であった。ナシムと意志を一つにしたイルイ、及び、ゲベルの念が抜け落ちている器のコアであったルアフについては、洸と同様にその意志によってガンエデンを制御することが可能となっている。

アニマスピリチア

熱気バサラ、及びその「歌」を指す、銀河の特異点の一つ。上述したいずれの人工的対抗措置とも異なり、自然発生的に誕生したアポカリュプシスへのカウンター、或いは試練に際しての人類側への配慮と言うべき存在と考えられる。

原作と同様、歌で戦いを止めて和解をさせていたバサラの姿勢と意思の有様から、無限力の内では異なる概念の融和を望むイデが誕生を待ち望んだ存在である可能性が高い。その歌によってゼ・バルマリィ帝国の兵士に施された洗脳を解いたり、STMCや無限力にすら干渉する彼は、サイコドライバーとは全く異なるプロセスでアカシックレコードにアクセスする、全銀河で唯一の存在である。

尚、原作でのアニマスピリチアと歌エネルギーの設定は、歌によりプロトデビルンの元となったエネルギー生命体が誕生した世界である別次元「サブ=ユニバース」へ干渉する事で、時空間をも揺るがす超エネルギーを引き出すというものであった。

二つの結末

銀河大戦終盤、地球とゼ・バルマリィ帝国、バッフ・クランといった各勢力同士の全面戦争への突入により、STMCの大侵攻や各文明圏への流星雨が活発化。銀河は再びアポカリュプシスによる滅亡の危機に瀕する。

この事態の結末は地球とバッフ・クランが共存の道を歩むか否かにかかっており、共存の道を確立できた場合には、バルマー、バッフ・クラン、プロトデビルンといった各勢力はαナンバーズと共に、アポカリュプシスを乗り越えるべく全銀河的な共闘態勢を構築。その様を見届けた無限力は、銀河の生命体を認め、矛をおさめて彼らを見守っていく道を選ぶ。その直後に現れた、無限力の存在を抹消せんとする負の無限力の王「ケイサル・エフェス」に対しても、無限力及び全銀河の生命体の想いを融和の象徴である「歌」に込め、アニマスピリチアたる熱気バサラを中心にこれを打倒。これを以て彼らは、全生命体にとって究極の試練「アポカリュプシス」を、遂に乗り越えることに成功する。

その一方、バッフ・クランとの融和に失敗した場合、無限力には互いに争い合う愚かな生命体であると見做され、数限りないSTMCの群れが襲来、そして遂にはイデの発動が起こり、バッフ・クラン共々死滅の道に至ることになる(所謂イデエンド)。即ち、人類はアポカリュプシスを乗り越えられず、またも滅びの道をたどってしまうことになる。

尚、この際にもケイサル・エフェスは僅かながら登場。彼の目的は「無限力を屈服させた存在を倒して自身がその上位存在となること」であるが、この場合αナンバーズを始めとする現人類は無限力に自身を認めさせるに至らなかったため、彼はその目的を達することはできなかった。恐らくは次の機会を数万年の時をかけて気長に待つのだと思われる。

ちなみにいずれの場合でも、「世界の終焉」という概念のため勘違いされがちだが、アポカリュプシスの対象は太陽系の属する「銀河」である。よってアポカリュプシスによってαシリーズ以外の平行世界まで終焉を迎えるというわけではない(Zシリーズの「根源的な災厄」と比べるとわかりやすい)。

しかしαナンバーズがアポカリュプシスを乗り越えながらも、ケイサル・エフェスに敗北した場合、その限りではない。新たな宇宙を創世しようとするケイサル・エフェスとアカシック・レコードの「正と負の無限力のぶつかり合い」が、宇宙を歪めて幾重にも重なる平行世界の均衡が崩れて「全ての宇宙の崩壊」が起きる。「因果律の番人」の目的はこれを防ぐことである。

α世界とMX世界の関連

このアポカリュプシスだが、実は意外な形で他シリーズとαシリーズの関わりを仄めかしている。

それは、地球降下ルート23話「エモーション・ハイ」のインターミッションにおいて、海岸線で決意を固めるバサラに対し、唐突に現れた渚カヲルが語った以下の台詞である。

「…かつて僕がいた世界は、機械仕掛けの神の歌声によって一度死に、生まれ変わった…」
「その世界に住まう者達が望んだ『約束の地』としてね」
「だが、その地もかの者が定めた死と新生の輪廻からは逃れられなかった…」
「その結果、誕生したのが今君達が住まう世界なのさ」

「かの者」とは間違いなくアカシック・レコード即ち無限力である。問題となるのは前半の部分で、「機械仕掛けの神」と言えば、αシリーズではガンエデンを指す。しかし、「歌声」が関わるとなると、それは別の意味を持ってくる。

「歌う機械の神」というファクターは、αシリーズにはいない。高確率で該当すると思われるのが、MXに登場したラーゼフォン及び真聖ラーゼフォンである。これは、「約束の地」という単語からも容易に連想できる。

これを前提にカヲルの言を紐解いてみると、このようになる。

「かつてカヲルのいた世界(≒MXの世界)は、二柱の真聖ラーゼフォンと多元世界補完計画によって『調律』が為され、全てが一つとなって『約束の地』に変わった」
「しかし、その『約束の地』も、アカシック・レコードの定めた輪廻からは逃れられず(=争いを超克した融和とは看做されず)、アポカリュプシスによって結局滅亡した」
「その結果、αシリーズの舞台となる銀河が生まれた」

これは取りも直さず、MXの世界が滅亡したという衝撃的なニュアンスを含んでいることになる。しかし、同作をクリアしたユーザーなら承知の通り、MX本編においてはライディーンの介入により「調律」が、マグネイト・テンの奮闘により補完計画がそれぞれ頓挫しており、全てが終わった世界は真聖ラーゼフォンが観測者として見守ることになっている。

カヲルが言っているのは、「調律と補完計画が遂行された(=マグネイト・テンが敗北した)MXの並行世界」ではないかと言われているが、真相は不明。ただ、これが真実である場合、MXのエンディングを加味して考えるに、バサラの前に現れたカヲル、および13話エンドデモで「気づいたらイカロス基地にいた」レイはそちらの世界から飛んできた存在(つまり第3次αのレイは「MX」における「二人目」)ということになる。

現在では、第2次OGにおけるユーゼスの発言から、OG世界のストーリーはα世界が滅んだ後、生まれ変わった宇宙での物語であることが示唆されている。 これを踏まえると、スパロボシリーズ全体のストーリーから見た場合、MX本編の方がIF展開である可能性が出て来ている。

メモ

OGシリーズには「大いなる終焉」という単語が登場するが、関連性があるかどうかは不明。

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