SDガンダムシリーズ
「SDガンダムシリーズ」とは、ガンダムシリーズのモビルスーツをSD化した擬人化キャラクターによる玩具のこと。単に「SDガンダム」とも。「武者ガンダム」や「騎士ガンダム」など、モビルスーツをモチーフにした独自のキャラクターたちを生み出したことでも知られる。
玩具の販促のために用いられる漫画やアニメ作品についてもこの項に含む。
デフォルメの特徴
SDガンダムはスーパーデフォルメ(略称・SD)という言葉自体を生み出した元祖ともいえる玩具企画である。このSDという言葉がどのようなデフォルメ(姿形変化)のことを表すかは当該項目に譲るが、SDガンダムシリーズについては以下の特徴を持つ。
- モビルスーツを極端に低頭身化してリデザインを行う。2~2.5頭身が基本。一部の製品には3頭身以上のものも存在するが少数派である。
- モビルスーツたちは擬人化され、人格があるキャラクターとして扱われる。誰かが乗り込んで操縦しているわけではない。
- ツインアイを持つガンダムタイプに対しては、目の中に「瞳」が施される。
SDガンダムシリーズの生みの親とされるデザイナーの横井孝二氏によると、漫画家の鳥山明氏が描く「丸みを帯びたメカ」に大きな影響を受けているということで、また、擬人化のイメージソースとしては鳥山氏の漫画『Dr.スランプ』にモブとして登場するウルトラマンやゴジラのパロディキャラたちをイメージしていたということである。
瞳についてはSDガンダムシリーズの最大の個性と言え、キャラクターが意志を持っているということを伝える擬人化の意匠である。ただし、瞳がつけられるのは「ツインアイのガンダムタイプ」以外ではほとんど見られないので、全体から見れば少数派である。それゆえに主役級のガンダムの存在感がひときわ強まり、SDモビルスーツが集合したイラストにおいて主役級のガンダムは一目で見分けがつく。その個性の強さゆえ、瞳が苦手でSDガンダムシリーズを敬遠する人も少なからず存在している。そのための配慮もあってか、近年ではゲーム作品の『SDガンダム G GENERATION』シリーズを中心に、キャラクターではない純粋なSD体型のMSを表現するため瞳を廃したデフォルメを採用した製品も出てきている(元々90年代に販売されていたSDガンダムの玩具でもカメラアイについては瞳が付いているものと付いていないものの両方のシールが付属されていた)。
スーパーロボット大戦シリーズとの関わり
初代の『スーパーロボット大戦』では擬人化されたSDガンダムそのものが、同じくマジンガーZやゲッターロボと一緒に戦うというゲームであった。しかし、続編の『第2次スーパーロボット大戦』以降はあくまで「原作アニメのキャラクターとロボットが登場するキャラクターゲーム」となり、ユニットのグラフィックにだけSDガンダムの絵を使用しているという措置が取られている。スパロボがSDデザインを使い続けている理由には様々な理由があるが、「SD」という共通の方向性のリデザインを施すことで多種多様な作品の雰囲気をある程度統一すると同時に、ifの世界であることも強調できるためという点が最も大きい。
初期のスパロボ『第○次シリーズ』でデザインワークスを統括したレイ・アップの横井孝二氏は、SDガンダムの「生みの親」の一人であり、スパロボは「(当時の)SDガンダムの玩具のデザイン」を基準として他のロボットたちもそれに合わせるような形で統一感がとられていた。多種多様な作品が共演するスパロボでも「瞳」がつけられたのはガンダムタイプだけだったため、スパロボでのガンダムタイプはひときわ目立つ存在であった(ただし「真ゲッターロボ」のようにオリジナルのデザインの時点で「瞳」があるロボットについてはSD化しても瞳はつけられている)。1990年代末に『SDガンダム GGENERATION』シリーズなどでバンダイが「瞳」を廃したデザインで商品展開を行うようになると、スパロボ側もこれに合わせ2000年発売の『スーパーロボット大戦α』からは「瞳」を廃したデザインが採用されている。なおこの措置は『α』開発途中に行われたようで、ゲーム誌に掲載された開発画面では「瞳」が描かれており、修正が困難であるゲーム中のCGムービーにも描かれたままとなっている。
なお、現在は横井氏がレイ・アップから独立しているため、弟子筋にあたるかげやまいちこ氏がデザインワークスの統括にあたっている。また、2010年代ではスパロボのSDキャラクターの頭身は3頭身~4頭身が主流になっており、玩具の「SDガンダム」ともまた異なる基準の統一感が作られている。
また、スパロボとSDガンダムの関係性でよく語られる俗説に、「ガンダムシリーズのモビルスーツはほかのロボットアニメと異なり、一体一体で版権が個別に管理されていて、ユニットの数を出せば出すほど版権量がかかる。しかし、SDガンダムで版権を取得すればすべてのモビルスーツをその版権1つで出すことができる」というものがある。スパロボシリーズでは、ユニットはSD体型で描かれていてもカットインのグラフィックではリアル体型、というのが多いが、なぜかガンダムシリーズだけカットインもSDサイズという状況が長く続いていることがこの説の信憑性を強くしている。2011年~2012年に前後編で発売された『第2次スーパーロボット大戦Z』は登場ユニットはSDサイズだが、ガンダムシリーズのリアルサイズカットインを実現した初のスパロボである(ただし、それ以前もシャイニングガンダムの手やガンダム試作3号機の腕など、明らかにリアルサイズになっているカットインや、ガンダムエックスがシルエットでリアルサイズになっているカットイン、デスティニーガンダム等のカメラアイのみが映るカットインが存在した)。
その他、スパロボにおけるSDというデザインワークスそのもののあり方については当該項目も参照のこと。
一方、SDガンダム版権を取得しているのなら、「武者ガンダム」や「騎士ガンダム」などオリジナル色が強いSDガンダムも参戦できるのではないかという期待は強かった。他のSDガンダムのゲームでは武者や騎士がゲストで出てくることが多く、リアルサイズのガンダムが登場する「ガンダム無双」シリーズに武者や騎士が出演する際は、他作品に近い8頭身化が行われる。スパロボと同じく「原作アニメのキャラクターとロボットが登場するキャラクターゲーム」として、ユニットのみにSDガンダムを使っている『SDガンダム G GENERATION』シリーズでさえ、武者や騎士が登場している。スパロボではこれがなかなか実現しなかったことについては、「モチーフ元のモビルスーツが同じSDキャラクターは、一体しか出せないというルールがあるため」ということがファンの間では定説になっている。例えば、スパロボでΖΖガンダムが出た場合、武者駄舞留精太頑駄無(むしゃだぶるぜいたがんだむ)は出せないという解釈(ΖΖガンダムが二機登場することになるため)である。しかしこれもまた『Gジェネ』などでは問題ないのになぜスパロボではNGなのかという疑問が新たに生じてしまっているため、決定的な理由とは成り得ていない。単なる設定の衝突を意識してのこととも考えられるが、明確な答えは出ていない。
尤もそれ以前に、SDガンダムシリーズは非映像化作品が非常に多い為、実際に参戦の障害となっているのは声優とBGMの問題である可能性が高いとされている。
2013年発売の『スーパーロボット大戦UX』において、SDガンダムシリーズがユニットデザインだけではなく「参戦作品」の一つとして初めて登場した。なお、SDガンダム側は『SDガンダム三国伝 BraveBattleWarriors』で、リアルサイズガンダム側は『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』『劇場版 機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer-』であるのだが、『三国伝』のSDキャラたちのモチーフとなっているモビルスーツには、コズミック・イラ作品と『00』シリーズの機体が含まれておらず、SDガンダム側とリアルサイズガンダム側で登場するモビルスーツが一切被っていない為、上記の説を覆すには至っていない。2015年発売の『スーパーロボット大戦BX』においてはSDガンダム側は『SDガンダム外伝』が、リアルサイズガンダム側は『劇場版 機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer-』、『機動戦士ガンダムUC』、『機動戦士ガンダムAGE』が参戦しているが『SDガンダム外伝』はメインキャラ格のみの参戦に留まっているため、特に問題は起きていない[1]。
2019年に『スーパーロボット大戦X-Ω』にて期間限定参戦となったが、同作ではSDガンダムシリーズ全体を作品として括っての参戦となる。
SDガンダムシリーズの世界観
SDガンダムシリーズが持つ特徴に、「MSの擬人化」という要素を最大限に活かした、原作とは異なるテーマや世界観を持つ「別の作品」として展開される点がある。
リアルロボットアニメのフラグシップであるガンダムで、擬人化というパロディを受け入れさせるためには、原作の持つイメージをあえて「壊す」ための工夫が必須である。それは最初期のカプセルトイの時点で試みられており、これには擬人化したモビルスーツのギャグシーンを一コマ漫画にしたイラストシールが付属していた。そこでのSDキャラクターたちは「原作アニメとは無関係に意思ある存在」ということを強くアピールしており、SDガンダムというコンテンツが受け入れられたのはこのシールの功績に依る部分も大きいとされる。
この流れをより推進させるため、商業漫画雑誌でSDガンダムを登場させるギャグ漫画を連載することになる、SDガンダムシリーズの漫画は複数の漫画雑誌に掲載された経歴があるが、メインとなっていたのは講談社の児童向け漫画雑誌『コミックボンボン』であった。
初期の頃はただ「このシリーズは原作とは異なるギャグ世界で描かれるコメディである」ことさえ伝えられればよく、「ギャグ世界」には細かい設定などは不要であった。作家ごとにキャラクター設定や世界観も異なっていた。この流れはえてして硬直化しがちなガンダムシリーズにとって大きな爆弾となり、一時期のガンダムシリーズを支えてアナザーガンダム誕生へも影響を与えたと言えるほどの大きな効果を残すことになる。しかしそのうち、ギャグではなくシリアスな独自世界でもSDキャラクターたちを展開させる企画が出てくる。「漠然としたギャグ」ではなく「確固とした背景ストーリー」を伝えるために漫画連載はますます重要視され、SDガンダムの玩具展開とコミックによる背景世界観の描写は不可分のものとなった。しかし、2007年に『ボンボン』が休刊したことで、SDガンダムの新しいシリーズ展開が難しくなってしまっている現状がある。
SDガンダムシリーズがコミックを使って作り出した世界観やテーマは様々なものがある。原作をパロディしたギャグもの、原作と無関係にモビルスーツたちによる日常系コメディ、シリアスな異世界ファンタジーもの、果ては学園コメディまで、何でもありである。登場キャラクターも生命体からメカ、モンスターや精霊、さらには神様まで網羅しており、しかもSDガンダムとリアル体系のガンダムが共存すらしている。「SDガンダムは自由なのだ」という言葉もあり、一部ではガンダムで思いつく大抵のネタは既にSDが通り過ぎているとさえ言われるほどである。端的に言えば「わざわざガンダムを使って表現する必要のない世界観」にまでガンダムを無理にでも使うのがSDガンダムシリーズであり、この自由さこそが現在まで愛されている最大の魅力である。しかし、その一方でシャア・アズナブル役の池田秀一氏は下品な台詞が多いSDガンダムの仕事を快く思っていなかったというエピソードも残している。
武者頑駄無シリーズ
「武者頑駄無」とはSD化されたモビルスーツに和風の武者甲冑を施したもののことである。元々は『プラモ狂四朗』(SRW未参戦)に登場した改造ガンプラだったが、その後『SD戦国伝』として独自に展開していった。
このシリーズは、終盤に主人公が結晶鳳凰(クリスタルフェニックス)に認められて、大将軍に襲名し。ラストボスとの最終決戦に挑む(一部作品を除く)という展開が、お約束となっている。
それと、本シリーズに登場する人物や武器は無理矢理漢字に変換されており、読めない人も多い。
- SD戦国伝(第1弾 ~ 第3弾)
- 初期のシリーズで、『武者七人衆編』、『風林火山編』、『天下統一編』で構成されている。
- 新SD戦国伝(第4弾 ~ 第7弾、第10弾)
- 第2期シリーズで、『地上最強編』、『伝説の大将軍編』、『七人の超将軍』、『超機動大将軍』と展開され、『超SD戦国伝』を挟んだ後に展開された『天星七人衆』で構成されている。尚、『天星七人衆』は『地上最強編』~『超機動大将軍』との目立った繫がりは見られず、物語の舞台も別の国になっている。
- 超SD戦国伝(第8弾 ~ 第9弾)
- 第3期シリーズで、『武神輝羅鋼』、『刕覇大将軍』で構成されている。尚、『刕覇大将軍』は『武神輝羅鋼』の100年後の世界が舞台。
- ムシャ戦記 光の変幻編(第11弾)
- 過去のシリーズとの繋がりがあり、これまで以上に過去作品の敵が復活して登場することが多い。
- SDガンダム ムシャジェネレーション(第12弾)
- 機械生命体としてではなく、従来のガンダム作品らしく、巨大ロボットとして登場。最終的には、第1作目『武者七人衆編』に繋がる。
- 武者○伝シリーズ(第13弾 ~ 第15弾)
- 現代日本を舞台に歴代武者頑駄無が召喚され、働きながら、悪の軍団と戦いを繰り広げる。
- SDガンダムフォース絵巻 武者烈伝 武化舞可編(第16弾)
- 武者番長風雲録(第17弾)
騎士ガンダムシリーズ
「騎士ガンダム(ナイトガンダム)」とはSD化されたモビルスーツに西洋風の騎士甲冑を施したもののことである。展開時期は1989年~1998年だが、2007年頃からはじまったカードダスの復刻が好評をもって迎えられた影響か、2013年から『新約SDガンダム外伝』という名で新企画が組まれた。
SDガンダムシリーズが誕生した時期は、ちょうどファミコンで『ドラゴンクエスト』などのファンタジーRPGが爆発的に広まった時期であり、いわばその流れに便乗した企画である。そのため、騎士ガンダムの着る装備はリアルな中世の鎧というより、ファンタジーものに出てくる「伝説の武具」のようなケレン味のあるデザインとなっている。騎士ガンダムシリーズは武者ガンダムシリーズよりも後に展開が始まっているため、SDガンダムでシリアス系を行うことへの不安要素はなく、「魔法使い風のモビルスーツ」など武者ガンダム以上に挑戦的なデザインも行われた。
展開の中心はカードダスであり、各カードの裏にかかれたテキストで、ストーリーや世界観の理解を深められるようになっていた。これは食玩の「ビックリマン 悪魔VS天使シール」の模倣ではあるが、当時はこのようなやり方は様々なコンテンツで行われていた。なお、舞台となる世界の名前「スダ・ドアカワールド」は「カードダス」の逆読みである。その中でもラクロアという王国が最も主要な舞台として扱われた。
武者ガンダムとは兄弟的な扱いであったが、騎士ガンダムの玩具は「元祖SDガンダム」が主流で展開され、「BB戦士」が主流であった武者ガンダムとは住み分けがされていた。また、武者ガンダムとの差別化要素として、アムロやシャアなどのガンダムシリーズの人間キャラクターたちもSD化されて登場する点と(スダ・ドアカは普通に人間が暮らす世界で、モビルスーツたちはいわばファンタジーで言うエルフやドワーフのような「異種族」扱いである)、機兵と呼ばれる巨大ロボットが登場する点がある。機兵は人間だけでなくSDモビルスーツたちもパイロットとして乗り込むことができる。
なお、世界観設定としては武者シリーズと同じ世界であり、武者ガンダム達の中にはスダ・ドアカワールドから天宮に移住してきた者もいる。
騎士ガンダムシリーズはさらに以下のように区分される。
- SDガンダム外伝(第1弾 ~ 第4弾)
- 最初に展開された騎士ガンダムシリーズ。これは、さらに「ジークジオン編」「円卓の騎士編」「聖機兵物語」「機甲神伝説」の四部に分けることができる。
- ユニオン族とジオン族の民族紛争、そしてその黒幕である光と闇の竜たちの争いを背景に、世界を駆け巡った幾人もの「騎士」たちの興亡の戦記である。
- 新SDガンダム外伝(第5弾 ~ 第7弾)
- 二番目に展開された騎士ガンダムシリーズ。これはさらに「ナイトガンダム
物語 」「黄金神話 」「鎧闘神戦記」の三部に分けることができる。 - 前作よりも派手な展開となっており、この手の大河ファンタジーものにおける定番展開が散見される。「機兵」に代表される戦力面のインフレーションこそ目立つが、ストーリーが破綻しているわけではなく、スダ・ドアカの創世と崩壊に絡む壮大な神話が描かれた。
- SDガンダム聖伝(第8弾)
- 前作でスダ・ドアカの物語を行き着くところまでやってしまったため、世界設定を変更してリブートしたシリーズ。舞台は「リオン・カージ」であり、機兵のような極端なレベルの戦力は廃止され、展開のインフレが起こらないように配慮され、騎士も各職業を経て、転職できる特別なものとなった。
- しかし、機兵廃止が逆に地味という印象を与えてしまったらしく、リオン・カージの物語が次のシリーズに続くことはなかった。余談になるが、2010年に復刻された「鎧闘神戦記」で、リオン・カージもスダ・ドアカと同じ世界(時間軸は未来)にあることが解説されている。
- 一般的には騎士ガンダムシリーズは、ここで終了したとされる。
- SDガンダム列伝 ガンダム騎士団(第9弾)
- 過去のシリーズの騎士たちが「エレナ・ルウム」に召喚されて、勇者として戦うクロスオーバーもの。
- 漫画のみで展開し、カードダス化はされず、騎士ガンダムそのもののブーム終焉により半年で打ち切られた(しかも、過去シリーズの騎士たちが次々と敵に殺されていくという衝撃的なストーリー)ため、長らく公式からはなかば黒歴史的に扱われている部分があった。2011年にアスキー・メディアワークスから販売された『SDガンダム大全集 騎士ガンダム編』においても当作については触れられていないが、2015年に本作の主人公アルフガンダムのモチーフにダブルオークアンタが割り当てられた。
- 連載当時は単行本未発売だったが、19年後の2017年に単行本が発売された[2]。
- SDガンダム英雄伝(第10弾)
- 人間と機兵のみを登場させた特殊なシリーズ。しかし、一応はスダ・ドアカの公認の歴史の時間軸に組み込まれている。
- ゲームをコアとした企画で、プレイステーションとワンダースワンでそれぞれ別の作品が作られた。『ボンボン』では漫画版も連載されている。
- 特筆すべきは『ムシャジェネレーション』とクロスオーバーしている点で、天宮の「人間」が乗り込む機兵「武者」が登場する。
- 新約SDガンダム外伝(第11弾 ~)
- 2013年より開始されたシリーズ。第1章にあたる「
救世騎士伝承 」では、過去のシリーズのおさらい(「神話復活編」「巨神伝承編」)をしつつ、本編(「二人の皇子編」「黒き暴君編」「もう一つの聖杯編」「新王光誕編」の四部構成)が開始される。舞台は「鎧闘神戦記」の時代から十数年を経たブリティス王国。2015年春に完結をみせたが、2016年に後日談「救世騎士伝承EX」(「覚醒のエレメントドラゴン」「激突!一角騎士VS運命騎士」「時を廻る幻獣騎士」「決戦の雷龍剣」の四部構成)が展開。 - 2017年からは、SDXや元祖といった玩具関連と連動したキャンペーン「SD外伝まつり」の下で、「鎧闘神戦記」の後日談となる第2章「新世聖誕伝説」が展開。
SDガンダム三国伝
史実の三国志の武将たちとモビルスーツの双方をモチーフとしたSDガンダムを作ろうというコンセプトのシリーズ。BB戦士20周年企画として立ち上げられたもので、武者ガンダムのスピンオフ企画と言える。
舞台は「三璃紗(ミリシャ)」と呼ばれる古代中国風のファンタジー世界で、三国志演義ほぼそのままの世界観を持つ。出てくるSDキャラクターたちは「三国志の武将名+モビルスーツ名」となっている(例・孔明リ・ガズィ)。裏設定として、SD戦国伝の影舞乱夢の未来の姿とされているが、戦国伝との表面的なつながりは描写されない。
展開期間は2007年~2011年。BB戦士の補完として漫画連載も行われ、アニメ『SDガンダム三国伝 BraveBattleWarriors』も放映された。「風雲豪傑編」「英雄激突編」「戦神決闘編」の三部構成になっており、一部は三国志演義で言うところの董卓討伐まで、二部は赤壁の戦いまでを描いている。三部は司馬家による魏の簒奪を元ネタにしているがオリジナル色が強い展開になり、最終的には三璃紗を闇に陥れようとする魔神「蚩尤」との戦いが描かれる。アニメは二部までが描かれた。
アジア市場も視野に入れて展開され、華字文化圏での玩具の展開は日本よりも充実していた。
2007年からの展開にも関わらず、コズミック・イラ作品のモビルスーツをモチーフにした武将が一人もいない。これは当時の放送契約上の都合によるものとされており、2013年にはコズミック・イラ作品のモビルスーツをモチーフにリデザインされた武将勢が描かれている。
生物・種族としての「SDガンダム」
シリーズ開始当初はコメディ作品だったこともあって、ロボットであるはずのSDガンダムたちが喋ったり身長が人間並だったりするのは「そういうもの」でしかなく、特にこれといった設定は存在しなかった(必要なかった、とも言える)。
このあたりについて明確に設定されたのは『SDガンダム外伝』が初めてで、同シリーズにおいては「モビルスーツ族(以下MS族)」という人間とは異なる知的生命体という設定。所謂一般的なファンタジー作品に登場するエルフやドワーフのような「人間と同等の知性を持つ異種族」と同様の存在である、と位置付けられた。また同時期に展開された『SD戦国伝』と併せてSDガンダムたちが飲食を行う光景、親子・兄弟などの血縁関係といった有機生命体であることを示す描写もこの時期からより顕著になっており、SDガンダムは「見た目がガンダムなだけで本質は人間と変わらない」存在となっていった。実際『外伝』の一部作品では人間族とMS族の夫婦も登場しており、生殖行為が可能であるならば生物学的にも人間との差異がほとんど存在しないことになる。『UX』において三璃紗の武将たちが「れっきとした人間」と看做されたのもこうした描写からのものだろう。
また戦国伝シリーズの一作にして、最も過去の時系列の出来事である『SDガンダム ムシャジェネレーション』では生物としてのSDガンダムのルーツが断片的に描かれている。この作品では「生物としてのSDガンダム」は登場せず、マウンテンサイクルよろしく地中に埋まっていたMSを発掘して改修した「武者MS」という兵器が人間によって運用されている[3]。同作ではコミックボンボンで連載された漫画版と、説明書付属のコミックワールドでは設定や物語がやや異なっているが、最終決戦の結末にて「ターンタイプの武者MSが大爆発する」という点は共通している。この大爆発によってターンタイプを構成するナノマシンが広範囲にばら撒かれ、それがMSの自己進化を促して機械から生物へと至らせた……と推察されている(公式で明言はされていない)。『UX』では同じくナノマシンによって機械から生物へと進化した存在を擁する『鉄のラインバレル (原作漫画版)』とのクロスオーバーが行われている。
アニメ作品
上述のようにSDガンダムシリーズは漫画作品が「オリジナル」として扱われるのが基本だが、いくつかはアニメ化もされている。他のガンダムシリーズのアニメと同じく「創通・サンライズ」の版権管理で製作されている。
知名度やブームから考えるとアニメ展開は驚くほど控えめであったとも言える。特に、2003年の『SDガンダムフォース』まではTVシリーズ展開がなされなかった事[4]から鑑みても、放送局やスポンサーがそれぞれ異なる複数のガンダムシリーズ作品が共演するゆえに、TVシリーズとして放送するには権利関係の障壁が大きい(「創通・サンライズ」だけでは解決しにくい)のではないかともされている。
SDガンダム三国伝 BraveBattleWarriors
『SD三国伝』のTVアニメ版。詳細は当該項目参照。
ゲーム「SDガンダム」
「SDガンダム」はガンダムシリーズを扱ったシミュレーションゲームのシリーズ名にもなっている。1990年代後半以降は、玩具や漫画よりもこちらのシミュレーションゲームの方が「SDガンダム」というブランドのメインコンテンツになりつつある。
1988年にファミコンのディスクシステムで『SDガンダムワールド ガチャポン戦士』というタイトルで発売されたのが元祖で、以降、いくつものバージョンアップを経て、現在まで続いている。
元々は玩具のSDガンダムを使ったキャラクターゲームという位置づけだったが、序々にガンダムシリーズの原作アニメを再現するゲームとしての方向性にシフトしていき、擬人化というSDガンダムシリーズの持つ特徴はなりを潜めた。ただし、登場するユニットのデザインは全てSD化されたモビス-ツということは現在まで踏襲しており、「SDガンダム」の名が冠せられることに偽りはない。
- 『SDガンダム G GENERATION』シリーズ
- 通称「Gジェネ」。1998年にプレイステーションで登場して以来、現在までこのシリーズタイトルで様々なプラットフォームで展開している。数も20を超え、スーパーロボット大戦シリーズに並ぶロボットゲーム界の老舗である。
- 戦闘でのアクション要素は再び廃され、ユニットを操る「キャラクター」の概念が追加された。原作アニメに出てくるパイロットたちを乗せ、彼らが戦う様子を眺めるという、ある意味ではスパロボシリーズに近づいた形である。この時点でSDガンダムの持つ「擬人化」という要素は完全にオミットされた。
- ストーリーの有無は作品によって違い、それこそスパロボのように原作ベースのクロスオーバーをするストーリー性が濃い作品と、「原作のドラマを再現する戦場に、自分が好きなキャラとユニットを編成した”プレイヤー軍”を介入させる」というストーリー性の薄い作品の二通りに分かれる。2009年発売の『WARS』以降は「ジェネレーションシステム」という各ガンダム世界を管理するシステムがストーリーに関わる事が多い。
- スパロボとも深い繋がりが存在し、『機動戦士クロスボーン・ガンダム』は前以てGジェネに参戦した事でスパロボにも参戦可能になったとみられている。Gジェネ側も2011年の『3D』以降は精神コマンドが採用されており、影響を受けている節がある。
- ちなみに寺田プロデューサーはGジェネのプレイヤーである事をスパログで公言している[5]。
- その他
- このシミュレーションゲーム系以外でも「SDガンダム」の名を冠したゲーム作品は存在する。主なものとしては騎士ガンダム世界を舞台にしたRPGシリーズ[6]、武者ガンダム世界が舞台のSRPGシリーズなど。これらは特にSDガンダム全盛期とされるファミコン~スーパーファミコン時代に発売されたものが多い。他にもSDガンダムを用いたアクションゲームの単独作品が数年に一本くらいのペースで発表されたりしている。
- なお、コンパチヒーローシリーズは「SDガンダム」のタイトルは冠していないにも関わらずSDガンダムが出てくるクロスオーバー作品である。[7]
脚注
- ↑ 特に人間キャラについては「同一人物が存在する事になるので登場しない」と寺田プロデューサーが明言しており、それ以外でも味方側のMS族はガンダムタイプしか登場しない。
- ↑ 同年には同じく連載当時は単行本化されなかった『ムシャジェネレーション』も単行本が発売された。
- ↑ これら武者MSは描写こそSDだが、リアルガンダム世界に存在したMSそのものであることが匂わされている。……つまりSDガンダム世界はリアルガンダム世界の遥か未来(∀ガンダムよりもさらに後)である可能性がある(この「リアル世界→SD世界」という時系列についてはムシャジェネ以前の作品から既に示唆されてはいた)。
- ↑ TV東京系列で『SDガンダム外伝』等のOVAシリーズを再編集して1クール放送されたことはあった。これは『疾風!アイアンリーガー』の前番組であり、番組MCも同作品のルリー銀城役・横山智佐氏であった。
- ↑ マイブーム
- ↑ 『SDガンダム外伝』が参戦した『BX』ではこれらゲーム作品からの設定もいくつか採用されている。
- ↑ ただしシリーズ1作目(即ちシリーズとして成立する前の作品)のタイトルは「SDバトル大相撲」。
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