プラント
プラントとは、『機動戦士ガンダムSEED』及び『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』並びに関連作品に登場する国家。
概要
複数の「砂時計型」をしたスペースコロニー[1]から成るコーディネイターによる国家。L5宙域に位置している。また、プラントの首都となっているスペースコロニーは「アプリリウス」である。
正式名称はProductive Location Ally on Nexus Technology(=総合的テクノロジーによる生産的配列集合体)。
第1次連合・プラント大戦終結後、正式に独立が認められてPeoples Liberation Acting Nation of Technology(=テクノロジーによる人民解放国)と改称。いずれも、略称はP.L.A.N.T.(プラント)である。
プラントの首長たる議長を頂点とした12人の議員から成る「プラント最高評議会」が最高意思決定機関である。また、軍事組織としてザフトが存在し、事実上の国軍となっている[2]。なお、第1次連合・プラント大戦終結後、パトリック・ザラが最高評議会議長とザフトのトップたる国防委員長を兼任したためにプラント全体が戦争に邁進してしまったことへの反省のため、これら両ポストの兼任ができないよう、規約が改訂されている。
設立経緯
前身はジョージ・グレンが宇宙クジラ「エヴィデンス01」の研究のために設立したコロニー「Zdiac」。これが拡大化したことから大西洋連邦・ユーラシア連邦・東アジア共和国(プラント理事国)に資金提供を依頼し、それらが作る「プラント運営会議」の支配下で大規模コロニーへと発展する。理事国は出資の見返りとして工業生産コロニーと化すことでプラントを運営したが、同地の食料生産を禁じこれを背景とした不平等貿易と植民地政策を敢行したために市民内で不満が発生。同時に地球での迫害に耐えかねたコーディネイターたちが安住の地を求めてプラントに移住した事から、開発事業に従事する者の殆どを占めるようになる。結果、コーディネイターは次第にプラントそのものを自分達の国のような捉え方に変えていった。プラント理事国を含む地球各国側は「プラント=主権国家」とは認めていなかった為、軍事的な威嚇やブルーコスモスによる各種テロリズムの発生などの度重なる強圧に耐えかねて独立運動が盛んになっていく。幾度となく会談の場が設けられたがことごとくが決裂し、地球国家でも大洋州連合とアフリカ共同体、南アメリカ合衆国はプラント擁護の立場を取るなど、地球国家側も対立を深めていく。最後の交渉のチャンスとして国連事務総長などの呼びかけにより月面都市コペルニクスで開催された会談がテロで爆破され、国連首脳陣が全滅して国連が崩壊(コペルニクスの悲劇)。犯人は不明だったが、プラント議長シーゲル・クラインがシャトルの故障で唯一難を逃れるという状況から理事国側は「プラントによるテロで、地球とナチュラル全体への宣戦布告」と断定し、地球連合の設立を宣言(アラスカ宣言)。即座に宣戦布告し、プラント近傍宙域での戦闘でユニウス・セブンに核ミサイルを撃ち込んだ血のバレンタインが発生[3]。 プラント議会はC.E.70年2月18日に独立宣言と徹底抗戦を明言し、理事国側の宇宙軍を排除してプラントを奪取。同時に地球連合非参加国に優先的に物資提供を行う事を表明し、大洋州連合と南アメリカ合衆国がこれを受諾。1年半にも及ぶ第1次連合・プラント大戦が開始される。
関連人物
- シーゲル・クライン
- 『機動戦士ガンダムSEED』の最高評議会議長。後にその座を追われ、暗殺される。
- パトリック・ザラ
- 国防委員長。シーゲルの次に最高評議会議長に就任。第1次連合・プラント大戦の終盤に死亡。
- アイリーン・カナーバ
- 最高評議会議員。パトリックの死後に臨時最高評議会議長となるも、後に辞任。
- ギルバート・デュランダル
- 『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』の最高評議会議長。第2次連合・プラント大戦の終盤に死亡。
- ワルター・ド・ラメント
- 『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』の最高評議会議長。
- ハリ・ジャガンナート
- 『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』の国防委員長。
登場作品
αシリーズ
- 第3次スーパーロボット大戦α 終焉の銀河へ
- 上層部のクライン派は戦争に否定的であったが、ザラ派の方は『第2次α』の頃より地球との戦争を計画していた模様。先にブルーコスモスが核攻撃してきたとはいえ、異星人と密約を交わしてまで地球圏全体に対し宣戦布告を行っており、地球上にまでニュートロンジャマーは打ち込まれなかったが、異星人の襲来も重なって犠牲者は増えた為に、地球側の反コーディネイター意識を加速させていく事になった。
- パトリック・ザラが最高評議会議長になってからは、STMCの再襲来が確認されてもなお、人類同士の戦争を優先させる動きに出ており、大量破壊兵器であるジェネシスも、連邦側への攻撃にしか使われなかった。パトリックやラウ・ル・クルーゼの死によって、ようやくプラントは正常な状態となっている。
- 本作では原作とは違いαシリーズの世界においては「連邦からの情報統制で、αナンバーズの面々の大半を始め、一般市民や連邦軍人の多くがその存在を知らなかった」という設定。
Zシリーズ
- スーパーロボット大戦Z
- アプリリウス同盟軍がプラント首都「アプリリウス」で締結されており、同盟軍の一翼を担っている。
- 第3次スーパーロボット大戦Z時獄篇
- ネオ・ジオンに同調する形でパトリック・ザラを信奉する一派が力を増してきており、全体が主戦派に傾いている。また、Z-BLUEに関しても敵対的中立を貫くなど不穏な情勢。
- 『第3次Z天獄篇』予告ではキラ・ヤマトやアスラン・ザラの反応からして、どうやら本格的に戦争状態に突入しているようだが…。
- 第3次スーパーロボット大戦Z天獄篇
- レイ・ザ・バレルが国防委員長に就任した。最高評議会が機能停止し、国防委員会が事実上のトップになっている。これらの動きはクロノと関係があり、彼らコーディネイターはクロノ改革派の生んだ保守派への対抗策の一つであったと発祥の秘密がプラント内に発覚したことで、その意図を達成すべくナチュラル=地球=クロノ保守派と戦う流れが出来てしまったせいだった。
- フル・フロンタルが率いるネオ・ジオンと同盟状態にあったが、反戦派のクーデターによって、抗戦派が拘束される。
- レイも名目上は「失脚」という形でZ-BLUEに合流した事により、改革派に属していたクライン家のラクス・クライン達反戦派の元、地球との融和の道を選ぶ。
携帯機シリーズ
- スーパーロボット大戦J
- 敵の一勢力といった感じ。それ以上でもそれ以下でもない。版権最後の敵勢力の一角でもあるため、地球側との和解は最終盤になる。
- ちなみに本作ではニュートロンジャマーキャンセラーはプラント製ではなく、ラウ・ル・クルーゼを介してフューリーからもたらされた技術となっている。
- スーパーロボット大戦W
- 第一部開始時点ではまだ戦争にこそなっていないものの、地球とは既に断交状態で交流はない。
- 地球と木連の戦争が終結した第一部のエピローグで、木連の地球侵攻に力を貸していた事が発覚した為に、地球から宣戦布告を受ける。結果としてブルーコスモス派に過激な武力侵攻をさせる原因を、自分達で作ってしまった。
- 逆に言えば、攻撃される口実を作らせない為に秘密裏に木連へ協力していたのかも知れないが、実際は地球と木連が和平を結ぶ予想外の事態となり、事実が明らかになって核攻撃の報復を受けるという結果だった。
- 地球と木連が和平を結んだので第二部では木連は地球側についているが、木連から離反した火星の後継者は引き続きプラントに協力している。
- スーパーロボット大戦K
- 『DESTINY』設定なので中盤までは敵であるが、デュランダルが中盤で打倒されるので以降は和解する。EDで連合、オーブと共に地球防衛隊を設立。
- スーパーロボット大戦L
- ナチュラルとコーディネイターの確執等、原作にもあった微妙な立場はあるものの、ちゃんとした一国家として存在している。
- 元よりプレイヤー部隊「LOTUS」の上部組織である(新)国連とは利害が一致して協力する事が多い。また、どこかの敵勢力に裏で手を貸すと言った事も何もせず、敵対する地球連合軍が「何かと悪事を働く存在である」というイメージが強かった事も有るので、善良な国家と言うイメージが強い。
- ユニウスセブン落下を目論んだコーディネイターのテロリスト集団や、異世界から迷い込んだフロンティア船団に最初に接触し独自に保護した事等、ともすればプラントに嫌疑が掛かってしまいそうな事件は幾つか有ったものの、いずれもデュランダルの政治手段により良い方に世論誘導がなされ、だいたい地球連合軍、ひいてはロゴスを悪者にする形で落ち着く[4]。
- デスティニープラン発表の際は強引な推し進めだけでなく、ジェネシスによる友軍を巻き添えにした攻撃や、セントラルと手を組んでいた事等、LOTUSの敵に回るだけあって悪の国家のような体裁になるが、事件が終わるとセントラルとの関係はすぐに切れ、停戦の申し込みも即座になされる等、すぐに元に戻る。
- スーパーロボット大戦UX
- 地球連邦とは別個の一国家として存在。「原作終了後にプラントへ渡ったラクスが、デュランダルに代わる新たな議長になった」という設定。
- 第一部終盤では、傍受したハザードとグラサンの密談の記録媒体をアレックス・ディノに提供。ハザードの悪事を暴き、カガリ達やUXを救った。
- さらに第三部では、ヒトマキナとの決戦に備えて密かにレクイエムを修復。レクイエムの一撃で月に穴を開け、ヒトマキナの本拠地への道を作り、アルティメット・クロスを援護した。
単独作品
- スーパーロボット大戦DD
- 2章Part8では停戦条約の交渉の為にプラントから親善大使が派遣されていると語られる。
余談
- プラントはコーディネイターが圧倒的多数を占める国家であり、全コーディネイターの総意を語っているが、実は地球圏全体で見ると、その中でプラントが占める割合は1割強に過ぎない(コーディネイター人口は、地球圏全体が5億人に対し、プラントは6000万人)。
- ちなみにプラント在住のコーディネイターは、プラントについて「過酷な宇宙環境で自分達が作り上げた故郷である」との考えが強い。元々、プラント理事国の搾取に対して独立戦争を挑んだ事から、地球に住むコーディネイターを「自分達を宇宙空間に追いやりながら、地球に住み自分達から搾り取った甘い汁を啜っている。憎きナチュラルと同類である」と見なしているのかもしれない(それこそ、宇宙世紀におけるスペースノイドとアースノイドの関係に近いとも言える)。
- 逆に地球に住むコーディネイターには、「少数派でありながらコーディネイターの総意を語るプラントは敵」と言う思想を抱く者も少なくないようで、大西洋連邦にも多くのコーディネイター兵士が所属している。
- しかし、アニメ本編中のキラ・ヤマトやMSVのジャン・キャリーに対しての扱いとして「地球軍側に付くコーディネイターは貴重」と共通した見解になっており、更に連合は、戦闘用コーディネイター及びソキウスの製造していた事とその後ナチュラルがMSを操縦出来るようになった際には用済みとして非人道的なソキウス廃棄の行動に出たりジャン・キャリーの存在が疎まれるようになるなど地球連合軍にコーディネイターが多いのか疑問が出る設定や描写もある。
脚注
- ↑ ちなみに、コーディネイターを敵視するブルーコスモス盟主であるムルタ・アズラエルは、プラントのコロニーの事を「忌々しい砂時計」と憎悪感情を込めて表現している。
- ↑ 第2次連合・プラント大戦後、ザフトは正式にプラントの国軍と定められ、それに伴う階級制度の導入等の組織再編が行われた。
- ↑ この核攻撃は地球連合の軍需産業複合体を牛耳るアズラエルやその部下のブルーコスモス将校の独断による所が大きく、連合での主流派の行動では無かった
- ↑ ユニウスセブンのテロリストは旧ザラ派でありデュランダル体制の現プラントとは関係が無いし、フロンティア船団に関しては敵対意思を持っていないフロンティア船団と友好的に接しようとしたデュランダルに対して侵略者と決め付けようとしたブルーコスモスと、だいたいその通りであったのだが。
資料リンク
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