カルヴィナ・クーランジュ

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概要

スーパーロボット大戦J

もうひとりの主人公。“ホワイト・リンクス”の異名を持つ。人型機動兵器の操縦に天性の才を持っており、養成校時代には戦技科教官を相手に全勝記録を築いたという。

表向きには冷静で落ち着いた性格をした大人の女性だが、その実、攻撃的かつ激情的であったりする。人付き合いはさほど得意ではなく、時折垣間見せる刺々しい言動から協調性の欠如を問題視され、優秀な成績を修めたにも関わらず火星に配属された。

しばらくして、火星で人類初の木星蜥蜴と遭遇戦に参加。生還を果たすも負傷し、地球圏に戻ったのち軍を退役する。その後はアシュアリー・クロイツェル社(AK社)の月面支社で契約社員として、新型機の評価とテストパイロットの指導を務めていた。

気心の知れた仲間のほかアル=ヴァンという理解の深い恋人を得るなど順風満帆な日々を過ごすも、幸せな時は長く続かず、フューリーが証拠隠滅のために起こした月面テロに巻き込まれ、職場と仲間に加えて恋人を喪失。 たった一人生き残り、その際にパイロットとしてはリハビリが必要となるまでの重傷と、深刻な心的外傷を負ってしまう。

2か月後、ネルガル重工のプロスペクターに戦艦ナデシコのクルーとしてスカウト[2]され、戦闘アドバイザーとして乗艦するところから彼女の『J』は始まる。

ナデシコ艦橋で指揮を執った月面脱出時に遭遇した三人の少女を乗せた謎の人型機動兵器にただ一人適性[3]を示したことから、意にそぐわぬ形でパイロットとして復帰。やがて敵中に死別したはずの恋人アル=ヴァンの姿を見出し戦場で再会を果たすことになるとは、夢にも思わないのであった……。

OGシリーズ

地球連邦軍に所属していた頃はDC戦争L5戦役において多大な戦果をあげており、“ホワイト・リンクス”と呼ばれるほどのエースであったが、その後軍を退役、アシュアリー・クロイツェル社のテストパイロットに転職していた。しかし同社はフューリーの襲撃により自身とテニア、そしてテストをしていた乗機のベルゼルートを残して壊滅、戦いに身を投じることになる。社が壊滅した際の戦闘こそ正当防衛として認められるが、それ以降は民間企業のテストパイロットが軍用兵器を使用して戦闘を行うことには問題があったため、ギャスパル・ギラン元帥直々の取り成しで少尉に復任。PTXチーム預かりとなる。 復任して以降は上官の指示に一応は従うが、内心では軍の任務を煩わしく感じていた。その後、壊滅したアシュアリー社で目撃したラフトクランズのパイロットがアル=ヴァンだった事に怒り、彼が仲間の仇と誤解したまま執拗に狙いだす。[4]

登場作品と役柄

携帯機シリーズ

スーパーロボット大戦J
女主人公として登場。指揮官技能を持つ異例のタイプ。被弾すると気力が下がる性格であるため、グランティードには完璧に不向き。相性を考えるならベルゼルートなのだが、本作ではリアル系が弱くスーパー系が強いため悩みどころ。
序盤は戦火のなかで遭遇した三人の少女やクルーとの交流を通じ、心身にまとった厭世観や喪失感から立ち直ろうとする女性として……。死別したはずのアル=ヴァン・ランクスと再会し、彼の正体(支社を襲撃した宇宙人『フューリー』の騎士)を知った中盤からは、愛憎に揺れる復讐鬼として行動するようになる。
敵勢力の幹部アル=ヴァンの元恋人という重要な設定はあるのだが、もう一人の主人公である紫雲統夜がフューリーとのハーフという設定を有しているために、やや影が薄い印象がある。
戦後、サイトロンの導きのもと復縁した恋人アル=ヴァンの力となるため、フューリー移民のオブザーバーとなる道を選択する。

OGシリーズ

スーパーロボット大戦OG ムーン・デュエラーズ
専用搭乗機はベルゼルート。服装を一部刷新(ストッキング着用)。担当声優の浅野真澄氏は当作品でスパロボ初参加。PV1のナレーションも担当した。
本作ではアシュアリー・クロイツェル社襲撃には居合わせておらず、ベルゼルートのテスト飛行から帰還し壊滅した施設に佇むラフトクランズを目撃した所から彼女の物語が始まる。その為彼女自身は外傷等の被害はなく、明確に敵と定められる目標を目撃している事等から、Jと違い厭世的な雰囲気は微塵もなく序盤はただただ怒りに任せて仇を追い求める描写が目立つ。
また、戦術アドバイザーとしての設定が消滅した為、指揮官技能を失っている。先述した通り、Jと違って負傷しているわけではないので設定上は通常のPTAMも乗れるはずなのだが、ゲーム上は乗り換え不可能。ベストパートナーは防御の補強能力をもつメルアか防御系の「精神コマンド」を複数習得するカティア。

パイロットステータス設定の傾向

能力値

J
リアル系とスーパー系で能力が変化する。統夜と比較すると防御では劣るが技量で勝る。
OGシリーズ
高機動高火力のパイロット。「不屈+閃き(直感)」の二重コマンドをとれないところがボス戦闘においてネックとなる。

精神コマンド

J
集中狙撃ひらめき熱血覚醒
不屈鉄壁必中熱血気合グランティードヴォルレント選択時)
OGMD
集中狙撃必中熱血連撃(ツイン)

特殊技能(特殊スキル)

J
ヒット&アウェイ底力援護攻撃援護防御指揮コンボ
カウンター底力援護攻撃援護防御指揮コンボ(乗機がグランティード、ヴォルレントの場合)
OGMD
ヒット&アウェイ底力L6見切り

固有エースボーナス

自機の全パイロットの最大SP+5、フューリーの機体に対して、与える最終ダメージ+10%
補助系と攻撃力アップ系のラインナップ。自身とパートナーのSPの底上げが出来るので、そこそこ使える。なお、トーヤとは一部ボーナスの内容が被っている。
フューリーに対して与える最終ダメージが上がるのは前期BGM「Revenger」にかけたものと思われる。

パイロットBGM

「Revenger」
前半主人公機BGM。タイトルが「復讐者」という直球ど真ん中。
「Guardian Angel」
後半主人公機BGM。今度は「守護天使」。ちょうどアル=ヴァンとの決着を終えた後なのでタイミング的にはばっちりである。前半曲「Revenger」のアレンジでありながら爽やかな曲調が、復讐に区切りをつけたカルヴィナの心情を的確に表現している。

人間関係

フューリー

アル=ヴァン・ランクス
恋仲にあったフューリーの騎士。アシュアリー・クロイツェル社を壊滅させた彼を憎みながらも、心の奥底ではなおも一途に想い続けており、オーブでの決闘の敗者となった彼が死亡したと思い込んだ際にはショックで部屋に閉じこもるなど、愛情を完全に捨て切れてはいない。
宇宙軍時代の上官でもあったらしく、アシュアリー・クロイツェル社のプロジェクトにカルヴィナを勧誘したのもアル=ヴァンである。AK社で行われた最初の模擬戦でアル=ヴァンの前に一方的な敗北を喫している。
『OGMD』では互いに「カリン」「アリー」と愛称で呼び合うほどの仲であったが、序盤は誤解から彼を憎むようになってしまう(『J』と違い、アシュアリー壊滅の首謀者ではないので誤解が解けてからはスムーズによりを戻している)。
ジュア=ム・ダルービ
素性を隠してアシュアリー・クロイツェル社に潜り込んでいたフューリーの準騎士。カルヴィナの元教え子でもある。内心では地球人の彼女を見下しており、「カルヴィナ教官」と呼びつつも侮蔑を隠さない。
『OGMD』ではラースエイレムを使わされたことで騎士の称号を剥奪、除名されたことも相まって『J』以上に憎まれている。
エ=セルダ・シューン
『OGMD』では、彼の名前は知ってはいたが、あまり交流はなかったようだ。
ソ=デス・ズォー
『OGMD』での仇。因縁の相手の筈だが、ベルゼルート・ブリガンディの初陣で彼からアシュアリー襲撃の真相を聞かされた直後に怒りと焦りに任せて撃墜してしまい、単なる噛ませ犬に終わった。

地球人

カティア・グリニャールメルア・メルナ・メイア
パートナーたち。カティアがカルヴィナを呼ぶ時に使う「ミストレス」とは「マスター」の女性形を指す[5]
フェステニア・ミューズ
パートナーの一人。『OGMD』では初登場時のパートナーは彼女で固定となる。
紫雲統夜
『OGMD』にて共演。当初は性格や戦う理由の違いもあってか反りが合わない様子だったが、徐々に態度を軟化していく。
フランツ・ツェッペリン
アシュアリー・クロイツェル社に勤務する開発者。『J』の物語開始時にはすでに敵方に殺害されており、生前の彼にプログラムされた電子空間内に存在する疑似人格として登場する。
エ=セルダ・シューン(統夜の父)やアル=ヴァンとは友人関係にあり、彼らが太陽系外の来訪者であることを察していた。誘拐されていた三人の少女はフューリーの施設内で生前のフランツの姿を目撃したことがあるという。エ=セルダの手引きである可能性が最も高そうだが、ゲーム内では特に説明されることはない。
『OGMD』では生存しているため、ベルゼルート・ブリガンディの開発者として直接顔を合わせる。

OGシリーズ

軍に復帰したものの、任務より仇を取る事に執着している為に突っ走りやすく、周囲から諭される事が多い。

イルムガルト・カザハラ
L5戦役時代のカルヴィナを知っていた。リオの見立てでは美人だからよく覚えていたとの事。
カルヴィナが鋼龍戦隊に所属するようになってからも何かと面倒を見ている。
ライディース・F・ブランシュタイン
フューリーを一人でも追おうとするカルヴィナに対して、自身の経験から「個人で出来ることに限界がある」と諭す。
アヤ・コバヤシ
アル=ヴァンがフューリー側の人間と知った事で荒れるカルヴィナを「辛い経験をしたのは貴方だけではない」と諭す。
ジョシュア・ラドクリフ
トーヤ共々、何かと気をかけられている。カルヴィナを落ち着ける際、リムが入れた濃い目のココアを差し出されるのがパターンとなっている。
グラキエース
自身の経験から、アル=ヴァンとの対話を諦めるなと諭す。

版権作品との人間関係

ガンダムシリーズ

ムウ・ラ・フラガ
ともに経験豊富なパイロットで会話も多い。出会った当初は呼び名に関して、アル=ヴァン以外からは名前を呼ばれたくないと拒否反応を示していた。
マリュー・ラミアス
アル=ヴァンとの再会後に情緒不安定になった彼女を案じ、戦いを続けられるかどうか見極めようとする。なお、彼女はカルヴィナに対する呼び方の変遷が激しく、第20話では名字、第50話では名前、第52話ではさん付けで呼んでいるが、これは制作側のミスと思われる。
カガリ・ユラ・アスハ
後述のイベントでパートナー達に掴みかかっていた場面で彼女に非難されてしまう。

リアル系

スバル・リョーコ
ナデシコ乗艦時はリョーコがエステバリス隊を、それ以外をカルヴィナが統率していた。勝気な女性パイロット同士、腕を信用している。
プロスペクター
ヘッドハントに現れたネルガルのスタッフ。カルヴィナの現状をプレイヤーに説明する役割も持っている。トラウマを掘り返された事から、苦手としている。
相良宗介
「元少尉殿」などと堅苦しく、なおかつ妙な呼び方をするため少々彼女を辟易させる(最終的には「クーランジュ殿」で妥協した模様。ちなみに彼女を敬称で呼ぶ際は「退役少尉殿」が妥当な呼び方ではある)。カルヴィナが神経を尖らせていたときには、彼なりに励ましの言葉をかけていた。
メリッサ・マオ
カルヴィナ以上の戦歴をもつベテランパイロットであり、対等に話せる相手。アル=ヴァンと再会したイベントの直後、尋問同然でパートナーに掴みかかっていたカルヴィナを殴り倒し叱責することもあった。その後も思いつめないように度々忠告を行う。
ネリー・キム
バイタルジャンプで伊佐未勇ともども彼女の下にたどり着く。カルヴィナは不思議な雰囲気のネリーに自然と心を開き、憎しみで戦ってはいけないと諭される。カルヴィナにとっては意味ある出会いとなったが、そのあとすぐにネリーはリバイバルに巻き込まれ消滅してしまう。

スーパー系

結城沙羅
同じ境遇の女性。アル=ヴァン絡みになると色々と不安定になるせいで彼女から気遣われる事も。

名台詞

スーパーロボット大戦J

「グッドラック」
序盤のみ多用する口癖。
「…別に、どうでもいいわ。やれというならやってもいい」
第2話「vs地球連合軍」より。主人公機のパイロットになることが決まった時のもの。序盤はこういうドライとも投げやりとも取れる態度が目立つ。
カルヴィナ「知っていることを全部話せ! ことの次第によっちゃ、あんたたちでもただじゃ済まさないよ!」
カティア「…ごめんなさい。でも私たちも知らないのよ」
フェステニア「何度も言ってるじゃない! ねぇカルヴィナ! 本当だよ!」
カルヴィナ「黙れ! 最初に見た時に気にはなってた。使えさえすればどうでもいいと思ってたけど、あの事件が関係あるとわかった以上、もう知らないじゃ通らない! なぜあたしの所に来た!? あいつらのこと、(主人公機名)のこと、あんたたちのこと、無理やりにでも全部しゃべってもらう!」
メルア「やめて!」
第20話「「真実」は一つじゃない」より。アル=ヴァンと再会した後、前述にある通り尋問同然でパートナーに掴みかかってしまい、直後にその様子を見かねたマオに殴り倒されてしまう。
「…みんな死んだんだ。子供が生まれるってはしゃいでたジャッキー。木星トカゲを倒す兵器をつくることで恋人の敵が討てると信じてたアリス。ようやく休暇がとれたから家族に会いにいくと言っていたマツザキ。外宇宙への探査船団に参加するのが夢だったヴォルグ。婚約したばかりだった技術部のキャシーと医療班のレン。あたしの大切な仲間や友人たちは誰も…誰も助からなかったんだ! なのに、あたしだけが生き残って…それが全部あいつがやったことだったなんて!」
同上。アル=ヴァンに裏切られた事を知り、殺された社の同僚を思い出しながら、憤りを露にする。シリアスなシーンではあるが、よく見ると同僚達皆が盛大に死亡フラグを立てている。
ちなみに、同僚が殺されたことに対するアル=ヴァンへのこの怒りは、後のシナリオの中では未消化ぎみになっているため、カルヴィナは最終的に殺された同僚の無念を晴らすよりも彼への愛を優先したと見ることも可能である。
『OGMD』でも差異はあるが、やはり同僚達はフラグを立てていた。
カルヴィナ「…世話になったわね。いろいろありがとう。ほんの数日だったけどここで過ごせてよかったんだと思う。たぶんね。ずいぶん気が休まったわ」
ネリー「あなたにはそれが必要だったのね。だからここにきたのよ。憎しみに凝り固まった心を解きほぐすため」
カルヴィナ「…あんな話をあんたにまですることになるとは思わなかった。きっとこの場所と、あんたのせいね。でも戦いに戻れば…あいつと会えば、あたしはきっとここへくる前と同じに戻るでしょう」
ネリー「そうでなければ戦えないからでしょう? 憎しみを抱かなくては、怒りにすがらなくては、心が砕けてしまうから…」
第28話「カーテンの向こうで」冒頭の会話。伊佐未勇ともどもネリーの世話になるカルヴィナ。ネリーの最後の言葉はカルヴィナの戦う動機の核心、苦しみの根源をついている。
「ネリーが…死んだ…? そういうことなの…?」
「そんな…」
「そんなバカな話はない! また…またあたしは守れなかったというの…? うわぁぁぁぁっ!」
同上。バロンズゥの力を得たジョナサン・グレーンから必死にネリーを守ろうとしたカルヴィナだったが、結果的にリバイバルに巻き込まれ彼女が消滅した事実を目の当たりにし、絶叫する。同僚を守れなかったというトラウマがよみがえったのかもしれない。
「そんなこと言わないで。だって今、こうしてあなたに会えて、私がどんなに嬉しいかわかる? アル=ヴァン…あなたを殺すのは、この私! この時のために、私は生き残ったの!」
「自分でも、こんな気持ちなのは不思議だったわ。だけどようやくわかった。今でもあなたは、私の全て! だから私の全てを賭けてあなたを殺す! さあ、戦いましょう、アル=ヴァン!」
オーブでのアル=ヴァンとの決着に際して。愛と憎しみ、そのどちらかを捨てることができなかったが故のこのセリフ。カルヴィナをヤンデレと言われるのは上記の詰め寄ったシーンとこれがきっかけであろう。
「いい男だった、か。裏切られても…」
第39話「消えない灯火、消える命」冒頭でカルヴィナが、フランツ・ツェッペリンが残した彼の疑似人格に「(アル=ヴァンを)どう思った?」と尋ね、返ってきた答えが「いい男だった」というものであった。
「ちょっと、アル=ヴァンのこと言ってるの? 心を交わした? この欠陥プログラム! 迂闊なこと言うと、ぶっこわすわよ!」
第50話「百億の夜と千億の闇」より。フランツの疑似人格に、カルヴィナが地球人で唯一フューリーと真に心を交わしたと言われて。もう物語の終盤であるが、この話題に関してはまだまだ心がささくれ立っているのがわかる。この後ユリカになだめられていた。
「一年前の私なら、あなたを殺そうとしたかもね。でも今は、もうちょっとマシな事に弾丸を使うことを知ってる。行きましょう、私達に出来ることがあるんだから。それをしないのが罪だって、思わない?」
終盤で初対面したシャナ=ミアに対して。確かに復讐心に身を委ねていたころのカルヴィナだったら本当に殺そうとしていたかもしれない。
カルヴィナ「…私の判断ミスね。理由は、部隊と自分の信頼関係を、過小評価したこと」
カティア「カルヴィナさん…」
カルヴィナ「あやまるわ。ごめんなさい」
甲児「うおおっ! あ、あのカルヴィナさんに…」
豹馬「あ、頭下げてもらっちまうなんて…いいのか、おい?」
第51話「冷たい世界 前編」より。最後の戦いで、自分一人で黙って出撃しようとして仲間から止められ、謝るカルヴィナ。二人の驚きようから、彼女が周囲から普段どう見られていたかがわかる。
「あんたは昔の私よ。戦う理由は、怒り、憎しみ、そして絶望…だけど私は、あの人の本当の想いを受け取ったわ。今は、フューリーも人類も滅ぼしたくない。そのためなら喜んで盾になる、(主人公機名)はそのためにある!」
最終話 冷たい世界 後編」より。ラスボスのグ=ランドンと対峙した時の台詞。全てを失ったあの時から様々な経験を経て、復讐の果てにたどり着いたカルヴィナの結論。
「私が仇として憎んだフューリー、アル=ヴァン・ランクスは、オーブで死んだわ。私に殺されてね」
「復讐は終わったの。今、目の前にいるのは…私の、世界一大切な人。世界で一番、守りたい人…」
「…今でも愛してるわ、アル=ヴァン」
エンディングで、起動するガウ・ラ=フューリアをアル=ヴァンと止めに行く時の台詞。以前は彼の名前を聞いただけでイライラしていたのが嘘のような言葉であるが、死んだ同僚への責任や負い目によってこれまで押さえつけてきた感情が吐露されたものであろう。
「どうして…どうしてわからないの!? 私が今日まで生きてきたのは、あなたがいたからなのに。敵でも仇でも、殺したいほど憎んでも! あなたがいたから!」
「あなたに死なれたら…今度こそ私、生きていけない…! アル=ヴァン、どうしてそんな、ひどいこと言うのよ! お願い、一人になんかしないで! お願いよ!」
これまでの罪を償うため、ガウ・ラ起動部の破壊による誘爆を防ぐ犠牲となって死のうとするアル=ヴァンへ、懇願するように叫ぶ。
「…だったら、私も一緒にいさせて」
「私の全ては、もうここにあるわ。だから、いいの」
カルヴィナの説得にも耳を貸さないアル=ヴァンに、カルヴィナは最期まで共にいる事を望む。結局、カルヴィナのこの決断がアル=ヴァンが生きて罪を償う事を選択するきっかけとなった。
…地味にこの場面、カルヴィナはアル=ヴァンと心中しようとしていた事になるので、物凄く穿った見方をすればこれもヤンデレ展開と言えなくはない。

スーパーロボット大戦OG ムーン・デュエラーズ

「あんた達、いったい何者!?」
宇宙ルート第1話「ホワイト・リンクス」の戦闘台詞。彼女の戦いが始まる。
「あたしが何故、リンクス……大山猫と呼ばれていたか、その理由を教えてあげるわ」
宇宙ルート第3話「災い、かの地より」より。
(やれやれ、冗談のつもりだったんだけど)
ダークブレインの事で冗談半分で全宇宙の支配が目的か聞いたら、その通りの答えがかえってきた事に呆れる。こうして、徐々に鋼龍戦隊の雰囲気に染まっていった。
「……悲劇の主人公にでもなったつもり?」
「あたしは大勢の仲間を失ったわ。知りたい知りたいで他人に詰め寄ってくるような子供に、鬱陶しいことを言われたくないわね」
第7話(共通シナリオ)にて、トーヤと対面した際に。
「博士、空いているパーソナルトルーパーやアーマードモジュールはないの!?」
地上ルート第8話「光るグランティード」より。ゲーム上では反映されていないが、少なくとも乗ろうと思えば乗れるようである。
「……みんな死んだわ。子供が生まれるとはしゃいでたジャッキー……休暇が取れたから帰省すると言っていたアリス……家を買ったばかりのヴォルグ……メアリーにプロポーズする気だったゴードン……」
第16話「忘れたはずの呼び名」より。J同様死亡フラグを立てていた同僚達。ジャッキーとアリスはJでも同じだっただけに、新しく登場した「ゴードン」という名に意味深なものを感じてしまう。
「あたしの仲間が死んで当然だっただと!?ふざけるな!(パートナーの少女)!リミッターを切れ!」
「ジュアァァァ=ム!あたしの怒りを思い知れ!!」
26話でジュア=ムに仲間は死んで当然と詰られて激昂、気力MAX+熱血の最強武器を叩き込んで撃墜寸前まで追い込むが・・・
「まずい!!」
(やられる……っ!!)
「ここで終われるかぁぁぁ!!」

搭乗機体

プレイ開始時にどれか一つを選択。

余談

「ヤンデレ」という評価について
「復讐者の女主人公」という点では、『J』の直前に発売された『第3次α』のセレーナ・レシタールと同類である。しかし、セレーナの物語がダークヒーロー路線の明快な復讐譚であるのに対し、カルヴィナの物語は脚本の完成度がいまいちで、本来この手の愛憎が絡むシナリオで最も重要であるはずの彼女の感情の推移がプレイヤー側から理解しづらいきらいがあった。加えて作中の「愛しているから殺す」という発言に象徴されるような、愛憎の情をむき出しにしたオリジナルキャラクターはスパロボ史上でも彼女だけであろう。そういった姿や復縁後の様子から、ヤンデレと見なされることが多くなった。
ところで、Wikipediaの「ヤンデレ」の項目には、その定義についてこのように記されている。

広義には、精神的に病んだ状態にありつつ他のキャラクターに愛情を表現する様子を指す。その一方、狭義では好意を持ったキャラクター(「デレ」)が、その好意が強すぎるあまり、次第に精神的に病んだ状態になることを指す。

ときおりカルヴィナが見せた激しい怒りや攻撃性の背景には、同僚を皆殺しにされた苛烈な経験だけではなく、アル=ヴァンへの愛が裏切られたという感情が存在しているのは間違いない。また、「愛しているから殺す」という例の発言に注目するなら、広義のヤンデレに該当するといえるかもしれない。
第28話のネリー・キムとの会話を見る限り、彼女の心情の核心は、許せない相手であるアル=ヴァンを心の奥底ではまだ愛してしまっていて、その矛盾の重さに彼女自身が耐えられないという点にあり、この二つの感情の相克がカルヴィナ編の主題と言える。だが実際のところ、シナリオの中ではこの点が丁寧に描かれたとはいえず、同僚を殺された無念や怒りと、最後にアル=ヴァンを許し彼への愛を語るその姿との間にいまいち整合性を提供できていないため、とりあえずヤンデレとして理解するのが手っ取り早いと思われたのであろうと推測できる。
  • アンソロ漫画において、彼女の機体の武器名を変更し、セクハラ発言を言わせる、というネタがあった。(例「巨乳でドカーン」「彼氏募集中」)
  • 『J』のイメージソングとして『CASTAWAY』(歌・玉置成実)が制作されCMで流されたが、その歌詞の内容は直接的ではないものの、カルヴィナを想起させうるものとなっている(castawayという言葉は「捨てられた」「見捨てられた人」といった意味)。

脚注

  1. なお、浅野氏がカルヴィナを担当する事は『第2次OG』制作中に音響担当から寺田プロデューサーに提案があって決まったとの事。
  2. ちなみに、本来はゴート・ホーリーのポジションであり、そのため彼はJでは登場していない。
  3. 統夜と違いカルヴィナは地球人だが、月支社において長期間サイトロンを浴び続けたために、サイトロン・コントロールに対する適性が生じ、サブパイロットのサポートを受けることでフューリー製メカの操縦が可能となっていた。
  4. この誤解は、パートナーの三人娘も同様に持ってしまい、カティアに至っては「彼の話に耳を貸す必要は無い」とまで言い切っている。
  5. メルアもカティアもフェステニアも第34話を境にして唐突に“カルヴィナ”と呼ぶようになる(それまではクーランジュと呼んでいた)。『OGMD』ではこの設定は無くなり、最初から普通に“カルヴィナ”と呼ぶ。