「デスティニープラン」の版間の差分

提供: スーパーロボット大戦Wiki
ナビゲーションに移動 検索に移動
(設定や問題点等追記)
20行目: 20行目:
 
== 問題点 ==
 
== 問題点 ==
 
もちろん問題点はある。
 
もちろん問題点はある。
 +
 
*解析は正しいのか、遺伝子のみを判断材料にしてよいのか
 
*解析は正しいのか、遺伝子のみを判断材料にしてよいのか
 
*個人の性格や文化的な問題にどう対処するのか
 
*個人の性格や文化的な問題にどう対処するのか
26行目: 27行目:
 
*適正を持つ人の数とその職業に必要な数の差(就労の需給ギャップ)はどのように解消するのか
 
*適正を持つ人の数とその職業に必要な数の差(就労の需給ギャップ)はどのように解消するのか
 
*およそ何にも向いていない人はどうするのか、モチベーションの維持は可能か
 
*およそ何にも向いていない人はどうするのか、モチベーションの維持は可能か
 +
*プランによって遺伝子の適正について教えられても、それを受け入れて、プランに従い続ける事が出来るのか
 +
*プランを拒否した者達は、その後どのような社会的処置を受けてしまうのか
 +
 
等が挙げられ、細かい部分を指摘すればキリがない。しかし、それが「世界から一旦戦争をなくす」という大義名分を否定しきれるほど明確なものかは判断が分かれる点である。
 
等が挙げられ、細かい部分を指摘すればキリがない。しかし、それが「世界から一旦戦争をなくす」という大義名分を否定しきれるほど明確なものかは判断が分かれる点である。
  

2013年5月22日 (水) 22:54時点における版

デスティニープラン(Destiny Plan)

機動戦士ガンダムSEED DESTINY』にて登場した計画。

劇中終盤、プラント最高評議会議長ギルバート・デュランダルにより提唱され、人間の遺伝子を解析し、その人が持つ適性を調査し、その解析結果を基にその人を適した職業に斡旋するシステムとされ、またそれにより国家間の争いを解消とする目的を持つ。だが、この発表は世界中に混乱を与え、オーブ連合首長国とスカンジナビア王国、一部の地球連合軍は反対を表明。これらの勢力に対しデュランダルが実力行使に出たため、メサイア攻防戦が勃発。その最中にデュランダルが死亡したことで施行は阻止された。

その名の通り『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』という作品の中核ともいえる存在だが、劇中において多く語られなかった故にその解釈はファンや制作側、各SEED関連のメディアにて様々である。

演出との乖離

「個人から選択する権利を国家が取り上げ、遺伝子的に優れた者達(=コーディネイター)によって国家を管理する」という、一種の選民思想・管理社会にも似たシステムであるように演出されているが、実際は全ての人に強制しようとしたわけではなく職業選択の権利は個人にある(適性検査までを強制しようとした)。遺伝子的に才能がなくても努力で補えることは公式外伝等で多く描写されており演出と実態が合わなくなっている。

また「遺伝子で全てを決める」という概要から一見コーディネイターが重要ポストを占めるように考えられがちだが、「特定の才能を発現しやすく調整する=訓練すれば特定分野が確実に伸びると生まれる前から決まっている」というコーディネイターの設定が示すとおり、全人類の適正が正確に判明してしまうとナチュラルに対する優位性が殆ど消滅してしまう。「埋もれていた才能」はナチュラルの方が圧倒的に多いうえ、誰もが自分の有利な分野で活躍できるようになるからである。
コーディネイターはナチュラルより圧倒的に数が少なく出生率の問題も抱えているため「コーディネイターが地球圏を支配する」には圧倒的に不向き、というか完全に逆の計画なのである。

以上の点からデスティニープランのデメリットは一般市民には関わりが薄く、むしろ現在特権的地位にいる人間達がその立場を否定され、社会的地位と権力を失った場合に起こり得る社会的混乱にこそあると言える。

劇中では、拒否したのが親オーブ国家およびクライン派だけだったが、これは殆どの国がデスティニープランの複雑な全容を把握しきれず、実際は賛成・否かではなく、どうすれば良いか分からなかったというのが妥当である(むしろ即座に反対を表明したオーブの行動が早すぎる)。

これだけでも一つの作品の主題になり得るテーマであり、描写不足が度々指摘される『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』において、物語終盤で登場させるにはあまりにボリュームがありすぎた主題だったとも指摘されている。

問題点

もちろん問題点はある。

  • 解析は正しいのか、遺伝子のみを判断材料にしてよいのか
  • 個人の性格や文化的な問題にどう対処するのか
  • システムが不正に使用されたり歪められたりしないのか
  • 誰もやりたがらないが絶対必要な仕事(いわゆる3Kなど)や誰がやっても同じような単純な仕事には誰を充てるのか
  • 適正を持つ人の数とその職業に必要な数の差(就労の需給ギャップ)はどのように解消するのか
  • およそ何にも向いていない人はどうするのか、モチベーションの維持は可能か
  • プランによって遺伝子の適正について教えられても、それを受け入れて、プランに従い続ける事が出来るのか
  • プランを拒否した者達は、その後どのような社会的処置を受けてしまうのか

等が挙げられ、細かい部分を指摘すればキリがない。しかし、それが「世界から一旦戦争をなくす」という大義名分を否定しきれるほど明確なものかは判断が分かれる点である。

制作側の見解

SEEDシリーズの監督である福田氏は、「わざと間違っていると解るように描写した」「これを使えば確かに戦争はなくなる」「世界中の人に知られてしまったので、デュランダルが死亡しても引き継ぐものが現れるかもしれない点が厄介である」といった趣旨の発言をしている。

登場作品

前述の詳細不明な計画ではシナリオ上で明確に反対を打ち出すことにも難があるのか、スパロボでは大小様々なアレンジを加えられた上で語られている。

Zシリーズ

スーパーロボット大戦Z
機動新世紀ガンダムX』のフロスト兄弟はこのプランの副産物、弊害であり、犠牲者というクロスオーバー設定になっている。「ニュータイプ (X)に覚醒する可能性を持った人物を探し当てる」という目的でプランが流用され、遺伝子的に不適応というだけでフロスト兄弟は否定され、復讐を誓った。

携帯機シリーズ

スーパーロボット大戦K
原作同様ギルバート・デュランダルがプランの実行を推進しようとするが、主人公勢に阻止される。プランへの参加を拒否したオーブ連合首長国に対し、武装解除を要求する形で即座に軍を差し向けたり、対話を望むカガリ・ユラ・アスハに殆ど取り合わなかったりと、原作以上に性急にことを進めようとしていた感が強い。プランよりも強硬的な姿勢に反発が強まったという体裁である。
スーパーロボット大戦L
異星人戦略の延長線上として提唱される。原作では多く語られなかった「プランの中身」について本作独自の解釈が盛り込まれており、軍事面では「地球人のゼントラ化」や「『SEEDを持つ人間』の発見」のためにプランを用いて、そうした者たちを集めた部隊を結成して地球を守るための戦力増強に充てる、という「目的」が描写されている(つまりLOTUSと同じような部隊を幾つも作り出す、という意味)。
そのため、「遺伝子だけで人の適性が決まるのか」と言う矛盾点にある程度の答えが出ている(ゼントラ化可能かどうかは完全に遺伝子の問題である)ほか、最終的な目的はあくまで自軍と同じ「地球の防衛」であり、原作同様些か極端なやり方ではあるものの、それほどネガティブなイメージはない。

Scramble Commanderシリーズ

スーパーロボット大戦Scramble Commander the 2nd
機動戦士Ζガンダム』のパプテマス・シロッコもプランの賛同者となっており、プランの一環には彼のクローン軍団による地球圏の防衛も含まれていた。